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まとめサイト開設に必読!留意すべき法律上の問題点とは?

Q
 当社は、他社のサイトの情報をまとめた「まとめサイト」を開設したいと考えています。この場合の法的留意点を教えてください。

A
 まとめサイトを作成するにあたって、掲載した文書や画像、動画等の権利者に許可を得なかった場合、著作権法上の複製権・翻案権・同一性保持権・氏名表示権・公衆送信権侵害、憲法上保障される肖像権侵害となり、権利者から損害賠償請求や差止請求をされてしまう可能性があります。さらに、故意に侵害したと認められる場合、刑事罰が課される可能性もあります。
また、著作権法上の権利を侵害しない場合であっても、デッドコピーの使用等によって作成者の利益を害したと認められるのであれば、不法行為に基づく損害賠償請求をされる可能性もあります。


澤田直彦

監修弁護士:澤田直彦
弁護士法人 直法律事務所 代表弁護士

IPO弁護士として、ベンチャースタートアップ企業のIPO実績や社外役員経験等をもとに、永田町にて弁護士法人を設立・運営しています。
本記事では、
「まとめサイト開設に必読!留意すべき法律上の問題点とは?」
について、詳しくご解説します。

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まとめサイトとは?~定義~

まとめサイト又はキュレーションサイトとは、その名の通り、インターネット上の文章や画像、動画等をまとめて掲載したウェブサイトのこと、と想定してお答えします。

まとめサイトは文字通り、様々な情報がまとめられたサイトではありますが、サイトにおける掲載の方法や個々の記事の性質に応じて、法的に生じる問題も変わってきます。
それら全てを列記したり、種類ごとに分類したりすることは非常に難しいですが、今回はまとめサイトを大きく二つのタイプに分け、どのようなウェブサイトが法律上の権利を侵害してしまうのか簡単に解説したいと思います。

まずは、まとめサイトの性質に応じた分類をしていきます。

(1)コンテンツをキュレーションし、内容を変更せずに掲載するまとめサイト

これには、Yahoo!ニュース、Smartnewsなどの他社が掲載したコンテンツを収集し、内容には手を加えず、カテゴリー分けをして掲載するまとめサイトが該当します。

まとめサイト内において掲載される記事については管理者が手動でインターネット上から情報を収集するもの、アクセス傾向などからユーザーの好みを分析しアルゴリズムに沿って自動的に収集するもの、あるいはその両方の方式で収集するものがあります。
このようなまとめサイトでは、「複製権」「公衆送信権」「肖像権」、著作者の氏名の表示がなされていないと判断される場合には「氏名表示権」の侵害が問題となり得ます。

(2)文章や写真、動画といったコンテンツを抜粋・編集して掲載するまとめサイト

これには、RETRIPやby.Sなど専門家やユーザーがコンテンツをインターネット上で収集した上で 、それらから抜粋や編集を行いまとめサイトを作成するものが該当します。
このようなタイプのまとめサイトは、そのまま掲載する(1)のタイプのまとめサイトとは異なり、コンテンツに手を加える点に特徴があるため、「翻案権」「同一性保持権」「氏名表示権」「公衆送信権」「肖像権」の侵害が問題となり得ます。

以上のように大まかに二分しましたが、両方の性質を有するまとめサイトも存在するので、コンテンツをどのように利用しているのか、具体的に検討してください。

まとめサイトの法的な問題点とは

まとめサイトの多くは、無数にあるインターネット上の既存コンテンツを利用して記事を作成しています。そのため、日々更新される膨大な数のコンテンツの一つ一つに対して、権利者から承諾を得ることは現実的ではないと思われるかもしれません。

しかし、権利者に無断でコンテンツをまとめサイトに掲載していた場合、抗議を受け、記事の修正対応やウェブサイトの運営方針の変更を余儀なくされる可能性があります。

最悪のケースとしては、損害賠償請求や差止請求をなされるといったことも十分想定されます。

そこで、
どういった場合に法的な問題が発生するのか、
問題が発生しないようにまとめサイトを運営するにはどうすればいいのか、

解説していきます。

著作権法上の問題点

繰り返し述べている様に、まとめサイトの特徴は既存のコンテンツを利用する点にあります。したがって、まず注意しなければならないのは、コンテンツに係る著作権法との関係です。

著作権法は、「著作物の文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与すること」を目的(著作権法1条)としています。
これは、まとめサイトに掲載した文章や画像、動画、音楽等が「著作物」にあたる場合は無断掲載行為が著作権法に違反する可能性がありますが、逆に言えば、それらが「著作物」にあたらない場合、かかる行為は著作権法違反とはならない、ということです。
著作権法では、「著作物」について、以下のように規定されています。

著作権法第2条1項1号
思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

「著作物」にあたるといえるには、“思想又は感情”を“創作的”に“表現”したものでなければならないということであり、小説・漫画や映画、イラスト、ゲームなどにおける、アニメのキャラクター設定等、それ自体はアイデアに過ぎない場合には、思想又は感情が”表現”されたものではないため、著作物として保護されていません。

また、本の中に出てくる史実の文章といった単なる事実の表記は、”表現”されたものではないため、該当箇所について著作物性はありません。
“創作的”とは、捉え方が非常に難しい言葉に感じられるかもしれませんが、著作者の何らかの個性が感じられる部分があることを意味します。
これは、個々の事例について個別具体的に判断していかなければなりません。
したがって、まとめサイトにおいて掲載する文章、画像、動画、音楽といったコンテンツが、それぞれ「著作物」に該当するか個別に検討していく必要があります。

文章
文章の中でも、記事の「見出し」と「本文」となる部分については性質が異なるため、分けて考えます。

●見出し
見出しは、言語の「著作物」(著作権法10条1項1号)にあたりにくい傾向にあります。

言語の「著作物」とは、思想または感情が言語によって表現されている著作物をいいます。

記事の見出しとなる文書は、限られた文字数の中で、記事の内容を簡潔な表現で正確に伝えるものであるため、表現の選択の幅が少なく、創作性は否定されやすいです。
知財高裁も、『マナー知らず大学教授、マナー本海賊版作り販売』、『A・Bさん、赤倉おんせんでアツアツの足湯体験』といったニュース記事の見出しは他の表現が想定できず、平凡でありふれたものであることから、創作性がなく、「著作物」に該当しないとの判断をしています。

見出しなどの短い文章については、ほとんどが「著作物」に該当しないと考えていいでしょう。

ただし、先ほどの見出しの件について、知財高裁は、「著作物」にあたらないとしても、これらに類似する文章、いわゆるデッドコピーとして使用をした者に対する、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)を認容しました。

見出しが著作権法の「著作物」に該当するという厳密な意味での法的な権利を有しなくとも、法的保護に値する利益を有しており、デッドコピーの利用によって、それらが侵害されたといえるとしたからです。

この場合、法的保護に値する利益を有しているといえるには、コンテンツに対して多大の労力や費用をかけている、相応の苦労・工夫により作成している、価値を有するものとして扱われているといった事情が必要となります。

また、権利侵害の態様として、見出しを利用している側が営利目的を有している上、無断で使用し、反復継続して情報の鮮度が高い時期に、特段の労力を要することもなくこれらをデッドコピーし、よって作成者の業務と競合するといった事情も認めました。

したがって、著作物性の認められない見出しであっても、創意工夫されていると認められるものについて、無断でインターネット上にまとめサイトとして掲載した場合、不法行為性が認められ、損害賠償請求される可能性があります。

近年、インターネットユーザーの増加と共に、強いインターネットリテラシーが求められる時代となっています。例え、著作物性が認められていない見出しであったとしても、無配慮なコピーや、何の工夫もせずに極めて類似した見出しを複数掲載し続ければ、法的には問題がない場合であっても、複製された相手の心中は穏やかでないでしょう。

また、偶然であったとしても、極めて類似した見出しを出し続けると“パクり”と呼ばれ、インターネット上で炎上し、新たな法的トラブルの引き金となる可能性もあるため、掲載には十分な注意が必要です。

●内容となる文章
見出しとは異なり、本文となる文章は言語の「著作物」に該当する可能性が高いです。

長文においては、個人の思想・感情が、素材となるテーマの選択や文章構成、文章表現に個性として表われているといえるためです。

もっとも、著作権法は例外として

著作権法第10条2項
事実の伝達にすぎない雑報や時事の報道は著作物にあたらない


と規定しています。

まとめサイトでも、ニュース記事をまとめて掲載しているものは多くありますが、全ての時事報道が「言語の著作物」にあたらないというわけではないので注意が必要です。

これは、単純な事実を客観的にありふれた表現で述べたニュース記事について注意的に規定したものであり、事実の記載に加えて記者のコメント等がある場合は、言語の「著作物」にあたります。
したがって、時事の報道がすべて「言語の著作物」にあたらないというわけではなく、この例外規定に当たる場合は限られると考えてよいでしょう。

画像
画像のなかでも、記事とセットとして掲載される写真について述べていきます。

写真については、写真の「著作物」(著作権法10条1項8号)にあたりやすいです。

アングル・構成・採光・シャッター速度等の撮影技術や現像方法、被写体の選択・組み合わせ・配置等には、個人の創作性が表れている場合がほとんどといえるからです。

もっとも、防犯カメラやスピード写真、人工衛星が撮影したような機械的に撮影された写真については、撮影技術や被写体に創作性がないため、「著作物」にはあたりません。

また、後述のように、写真については被写体の肖像権が生じるため、著作権法上問題がなくとも、別途肖像権との関係で問題となる可能性があるので、注意する必要があります。


動画
動画については、家庭用に撮影されたもの、つまり、商業用でない動画については、写真と同様に考えればよいです。

これに対して、俳優等が出演しているドラマや映画といった商業用の動画については、映画の「著作物」(著作権法10条1項7号)にあたります。

この場合、被写体の権利については問題とならないと考えてよいでしょう。なぜなら、このような商業用の動画については、動画の作成者の権利のみが問題となり、被写体の権利は働かない(著作権法91条2項、92条2項2号ロ、92条の第2項2号)とされているからです。

したがって、商業用の動画については、動画の著作権者の著作権が問題となります。

【関連記事】「動画投稿サイトのユーザーの著作権侵害に関するサイト運営者の責任」

音楽
音楽は、音楽の「著作物」(著作権法10条1項2号)にあたります。

音楽の「著作物」について注意しなければならないのは、曲それ自体に関する著作権、それを演奏・歌唱した実演家の著作隣接権、それを録音した録音物についてのレコード製作者の著作隣接権の三つが問題となるという点です。

したがって、それぞれの著作権が問題となります。ただし、実演家に関してはレコード会社との間で専属実演家契約が締結されていることが多いため、実演家の著作隣接権はレコード会社が保有する著作権にまとめられることがあります。

また、楽曲に関しては、社団法人日本音楽協会(JASRAC)の管理楽曲であれば、一定の著作権使用料を支払うことによって使用することができます。

【関連記事】「ネットワークによる音楽配信ビジネスを行う際の注意点」

無断でのコンテンツを掲載する行為は著作権法上どのような行為にあたるか

コンテンツが「著作物」にあたる場合、権利者に許諾を得ることなく、それらをまとめサイトに掲載する行為は、著作権法上のどのような権利を侵害することになるのでしょうか。

1で分類したまとめサイトの種類に分けて、解説していきます。

(1)コンテンツをキュレーションし、内容を変更せずに掲載するまとめサイト

このタイプ(無断転載)のまとめサイトは、複製権・公衆送信権が問題となります。

複製権

著作権法第21条
著作権者は、その著作物を複製する権利を専有する。

「複製」とは、コンテンツに依拠し、その内容や形式を覚知させるに足りるものを再製することをいいます。

そのため、コンテンツに多少の修正や増減がされていても、実質的に同一といえ、コンテンツに創作的付加がされていない場合には、「複製」行為にあたります。

そして、「複製」は有形的な再製をしたといえること、すなわち、将来反復して使用される可能性のある形態の再生物を作成する必要があり、瞬間的・過渡的に蓄積する行為はあたりません。

現在、コンテンツをカテゴライズして掲載し、アクセスを可能にしているまとめサイトが多くありますが、それらの多くはウェブのキャッシュサーバーなどにおける情報の蓄積を利用しています。

他サイトにおけるコンテンツを、一旦、自社のサーバーに保存してから、利用して新しいコンテンツを生成するのであれば、将来的に反復して使用することができるといえるため、前述の「複製」にあたり、明確に違法なものとなります。

しかし、ウェブサイトへのアクセス負荷を軽減し、効率的な通信を実現するために、一時的にキャッシュサーバーに情報を蓄積することは、瞬間的・過渡的といえるため、「複製」にあたらないと考えられています。

現状、コンテンツをキャッシュとして蓄積する行為は、アクセス負荷の軽減・効率的な通信を目的とする場合において、著作権法上、違法とならないといっていいでしょう。

例えば、Smartnewsは、リリース当初はコンテンツの記事を自社サーバーに一度ダウンロードしてから配信していたため、複製行為にあたるとの懸念がありました。そこで、SmartNewsは、ユーザーをキャッシュサーバーとして定義した自社のサーバーに誘導し、上記の目的達成のためにキャッシュとして蓄積しているに過ぎず、複製権侵害にはあたらないとしています。

したがって、複数のウェブサイトや記事コンテンツ(たとえば、食べログやぐるなびなどの口コミサイトを同一店舗の評価を比較するまとめサイトを運営するなど)をまとめてそのまま掲載しようとする場合に、あくまでアクセス負荷の軽減・効率的な通信を目的として、自社サーバーにキャッシュとして一時的にコンテンツを蓄積するのであれば、問題となりません。

しかしながら、ウェブのキャッシュを利用したコンテンツの使用 については、これまでに何度も物議を醸しており、今後も問題となり得ることが考えられるため、注視し続ける必要があると言えます。

また、コンテンツについてのURLのリンクを貼る、画像をクリックするとリンク先に飛ぶことのできる画像を貼る行為についても、原則として「複製」にあたらないとされています。リンク先のウェブサイトのデータは直接ユーザーのコンピューターに送信され、まとめサイトに送信される、コピーが蓄積されるといったことがないからです。

しかし、違法なウェブサイトをリンクとして貼った場合、違法であることを知りつつ貼る、著作権者から指摘を受けた後も削除せずに張り続けるといったことをしていると、公衆送信権を侵害する行為として、後述のように、幇助犯として刑事上の責任を負ったり、民事上の責任を負う可能性があります。

さらに、まとめサイトの著作物であるかのように表示するといった方法が採られている場合には、後述する同一性保持権といった著作者人格権の侵害となり得ます。

【関連記事】 「メルマガで他社ウェブサイトのコンテンツを利用する際の留意点」

公衆送信権

著作権法第23条
著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあっては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

まとめサイトはコンテンツをインターネット上に掲載することから、同時に、公衆送信権の中の自動公衆送信権を侵害することにもなります。自動公衆送信とは、公衆送信のうち、公衆からの求めに応じて自動t系に行うことをいい、インターネットのホームページはこれにあたるとされています。

また、上述のように、リンクを貼る行為について、複製権を侵害しない場合であっても、公衆送信権を侵害する可能性もあるため、注意してください。

(2)文章や写真、動画といったコンテンツを抜粋・編集して掲載するまとめサイト

このタイプのまとめサイトは、翻案権・同一性保持権・氏名表示権・公衆送信権が問題となります。

翻案権

著作権法第27条
著作権者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、または、脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

著作権者は、著作権物の二次的著作物を作成する権利をも有します。したがって、他の者が著作物を利用して、新たに二次的著作物を作成する行為、すなわち「翻案」行為をした場合は、著作権者の権利を侵害することになります。

「翻案」とは、著作物を複製した上で、その著作物の表現上の本質的な特徴の同一性を維持したまま、表現に修正、増減、変更等を加えて、新たな思想または感情を創作的に表現することをいいます。

表現の本質的特徴とは、コンテンツが著作物として保護する根拠となった、創作性が認められる部分をいうため、コンテンツの中で著作物性が認められないような重要でない部分について、手を加えたとしても、「翻案」にはあたりません。

また、もはやコンテンツの本質的な特徴を感得することができないような状態、すなわちコンテンツを利用したものであっても、元のコンテンツを超えるほどの大きな変更をするなどして利用した場合も「翻案」にあたりません。

ここで注意しなければならないのは、創作的に表現する行為には、編曲や変形といったコンテンツそのものに変更を加える行為だけでなく、翻訳する行為も含まれるということです。外国語のコンテンツ内容をそのまま日本語に翻訳するだけなので権利者に許諾をとることなく行ってもいい、というわけではありません。


同一性保持権
翻案権が問題となるケースでは、同時に、同一性保持権も侵害することになります。

著作者は、著作物について意に反する変更・切除等の改変をされない、という精神的・人格的な権利を有するからです。

翻案権と内容は変わらないと思ってよいですが、翻案権の趣旨は著作物に係る財産の保護にあるのに対して、同一性保持権は著作権者の精神的権利の保護にあるため、それぞれの権利について侵害が成立することになります。

著作権法第20条
著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。

同一性を侵害する行為とは、著作物を複製した上で、その著作物の表現上の本質的な特徴の同一性を維持したまま、外面的な表現形式に改変を加える行為をいいます。

表現の本質的特徴については、「翻案」と同様に考えてよいため、コンテンツの中で著作物性が認められない部分について、手を加えたとしても、同一性保持権の侵害となりません。

また、もはやコンテンツの本質的な特徴を感得することができないような状態で利用した場合も、「翻案」と同様に、同一性保持権の侵害にあたりません。

「意に反して」とは、文字通り、著作権者の同意を得ていない場合をいうと考えてよいでしょう。もっとも、些細な改変であっても著作権者の主観的な意思に反する限り、同一性侵害行為としてしまうと、著作物の利用に不都合が生じてしまうため、後述の通り、例外的に「やむを得ない改変」といえる場合には同一性保持権を侵害しません。


氏名表示権
コンテンツに手を加えて掲載した場合、氏名表示権を侵害することになります。

著作権者は、著作者として社会的評価を得る、または著作物との関係を社会に知られないようにするという人格的な利益を有しているからです。

著作権法第19条
著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。

単に氏名として表示するだけでは足りず、「著作者として表示」されることまで必要とされています。

「著作者として表示」とは、実名やペンネームの表示だけでなく、称号、身分、職業等ありとあらゆる肩書の表示を含むとされているため、無断で氏名や称号を変更したり削除してしまったり、無記名著作物に著作者の実名を入れて表示してしまうと、氏名表示権を侵害することになります。

なお、同一性保持権と氏名表示権は、著作者の人格的な権利のことであるため、著作者が死亡した後であっても、著作者が健在であれば侵害となるべき行為はできないとされています(著作権法60条)。

また、(2)タイプのまとめサイトの場合も、内容は(1)と同様なので割愛しますが、公衆送信権をも侵害することになります。

例外として許されるケース

権利者からコンテンツの許諾を得ないで掲載したのであれば、まとめサイトは全て、これらの権利を侵害し、著作権法違反ということになってします。

しかし、コンテンツが著作物にあたるとするのであれば一切の利用を認めないとすると、あまりにも弊害が大きいといえることから、例外が存在します。

(1)コンテンツをキュレーションし、内容を変更せずに掲載するまとめサイト

① 「時事の事件の報道のための利用」にあたる
まとめサイトでの掲載行為に、正当な報道目的があると認められる場合です。

著作権法第41条
写真、映画、放送その他の方法によって時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道の目的上正当な範囲内において、複製し、及び当該事件の報道に伴って利用することができる。

「時事の事件の報道のための利用」といえるには、以下の要件を満たさなければなりません。

  1. 時事の事件を報道する場合であること
  2. 事件を構成する著作物であること
    または、当該事件を視聴覚的に報道しようとすれば利用を避けることができない、事件中に出現する著作物であること
  3. 報道の目的上、正当な範囲内にあること


1.時事の事件を報道する場合であること
時事の事件は、単なるニュースではなく、その日におけるニュースとして価値のあるものでなければならないと考えられています。すなわち、過去の事件などをまとめサイトに掲載した場合、それはこの例外規定にはあたらないということです。

2.事件を構成する著作物であることまたは、当該事件を視聴覚的に報道しようとすれば利用を避けることができない、事件中に出現する著作物であること
これは、報道を行うにあたって取り除くことが不可能といえるようなものでなければならず、例えば、窃盗事件において盗まれた絵画が写っている写真を転載した場合や、美術館の展覧会についての報道を行う際に、その展覧会に展示されている絵画が写っている写真を転載した場合、甲子園の報道をする際にバックグラウンドで流れている演奏曲を流した場合等をいいます。

3.報道の目的上、正当な範囲内にあること
報道の目的として正当な範囲に含まれる場合とは、具体的な利用状況に照らして、本来的な利用である鑑賞目的とはいえない必要があります。したがって、著作物の出現の仕方が報道するために必要とはいえないほど、強調されている場合には許容されません。

(2)文章や写真、動画といったコンテンツを抜粋・編集して掲載するまとめサイト

① 「引用」にあたる
コンテンツを引用しているにすぎないといえる場合です。

著作権法第32条
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

引用といえるには、以下の要件を満たさなければなりません。

  1. 公正な慣行に合致する
  2. 引用の目的上正当な範囲内で行なわれる
  3. 「引用」にあたる
    ・引用した部分と被引用部分が明確に区別できる
    ・量、質からみて、引用部分が主で、被引用部分が従という関係である

1.公正な慣行に合致する
公正な慣行に合致しているとは、社会通念に従って相当と判断されるべき態様のことをいい、具体的には、コンテンツの出所を明示していることが必要となります(著作権法48条1項1号)。

2.引用の目的上正当な範囲内で行なわれる
引用の目的上正当な範囲内で行われているとは、報道・批評・研究その他の目的で、引用する必要性がある場合をいうとされています。

3.「引用」にあたる
引用した部分と被引用部分が明確に区別できる
当然のことですが、自らが創作した部分と元のコンテンツの区別が、他社から見てもわかるほどにできてなければなりません。
量・質からみて、引用部分が主で、被引用部分が従という関係である
主従関係については、引用著作物が主体性を保持したまま、被引用著作物が補足説明をしている、例証や参考資料を提供しているにすぎず、付従的な役割を果たしている場合に、要件を満たすと考えられています。
これは、引用の目的や両著作物の性質・内容、引用部分の分量、引用方法・態様等を考慮して判断しなければなりません。

また、記事などの文章を引用する場合、要約して引用することも考えられますが、このような要約引用も「引用」として認められる余地があります。

要約引用は、「引用」の要件を満たした上で、著作物の趣旨を忠実に要約する場合であれば、許されると考えられています。

ソーシャルネットワーキングサービスの代表とも言えるTwitterでは、しばしばまとめサイトにおいて埋め込み形式で引用されることがありますが、それらは利用規約によって引用が認められています。

ユーザーは、本サービス上にまたは本サービスを介してコンテンツを送信、投稿または表示することによって、当社が、既知のものか今後開発されるものかを問わず、あらゆる媒体または配信方法を使ってかかるコンテンツを使用、コピー、複製、処理、改変、修正、公表、送信、表示および配信するための、世界的かつ非独占的ライセンス(サブライセンスを許諾する権利と共に)を当社に対し無償で許諾することになります(明確化のために、これらの権利は、たとえば、キュレーション、変形、翻訳を含むものとします)。このライセンスによって、ユーザーは、当社や他の利用者に対し、ご自身のツイートを世界中で閲覧可能とすることを承認することになります。ユーザーは、このライセンスには、Twitterが、コンテンツ利用に関する当社の条件に従うことを前提に、本サービスを提供、宣伝および向上させるための権利ならびに本サービスに対しまたは本サービスを介して送信されたコンテンツを他の媒体やサービスで配給、放送、配信、リツイート、プロモーションまたは公表することを目的として、その他の企業、組織または個人に提供する権利が含まれていることに同意するものとします。
Twitter利用規約より(https://twitter.com/ja/tos

もっとも、Instagramは、埋め込み形式での引用によって無断に写真を利用する行為が著作権侵害となる旨の声明が出されました。

利用規約では、以下のように、引用といった第三者によるコンテンツの利用を認めており、アメリカでは今年、埋め込み式での引用は著作権侵害とならないとする判決が下されました。しかし、Instagramを運営するFacebookは、利用規約において利用者からのサブライセンスの付与は認めているものの、埋め込み機能のAPIにはサブライセンスが付与されないとし、埋め込み形式での画像の無断使用は著作権侵害となるとの見解を示しました。

したがって、Instagramの投稿を埋め込み形式で引用する場合、投稿者に許諾を得なければならないということになりますが、このようなソーシャルネットワークサービスについては利用規約についても随時変更されていくため、利用する際は必ず事前に利用規約を確認する必要があります。

利用者がサービス上で、またはサービスに関連して、知的財産権の対象となっているコンテンツ(写真や動画など)をシェア、投稿またはアップロードする場合、利用者は、弊社が(利用者のプライバシー設定およびアプリ設定に沿って)利用者のコンテンツをホスト、使用、配信、変更、運営、複製、公演、公開あるいは翻訳し、また派生作品を作成する非独占的、使用料なしの、譲渡可能、サブライセンス可能な全世界を対象としたライセンスを付与するものとします。
Instagram利用規約より (https://ja-jp.facebook.com/help/instagram/581066165581870

【関連記事】著作権を引用するときに気をつけるべきポイント【著作権法第32条】


② 「やむを得ない改変」にあたる
改変行為が「やむを得ない改変」といえ、同一性保持権を侵害しないといえる場合です。

著作権法第20条2項
四 前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変
「やむを得ない改変」といえるには、以下の要件を満たさなければなりません。
1. 改変行為をする強い必要性があること
2. 著作物の利用目的を実現するために改変を加えることが他に選択肢のない唯一の方法といえること

1. 改変行為をする強い必要性があること
著作権法第20条1号の学校教育目的、2号の建築物の住居に伴う改変目的、3号のプログラム利用に伴う改変目的と同程度の、改変行為についての必要性が求められます。
例えば、権利者からコンテンツの翻案行為について許諾を得て変更を加えた場合、同一性保持権についての許諾を得ていないからという理由で著作権法違反となってしまうとコンテンツの利用者に不都合が生じてしまうため、この場合は改変行為を行うについて強い必要性があるとされます。

2. 著作物の利用目的を実現するために改変を加えることが他に選択肢のない唯一の方法といえること
コンテンツについて、改変行為をしなくても利用することができることが証明されてしまった場合には、かかる条件は満たされないことになります。


③ 氏名の表示をしなくとも著作権者の利益を害しないとき
氏名を表示する必要性がないと認められる場合です。

著作権法第19条2項
著作者名の表示は、著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、省略することができる。

例えば、コンテンツである写真が宣伝広告目的に撮影されたもので、まとめサイトにおいても宣伝広告を目的に写真を掲載する場合、広告の写真については撮影者の氏名を表示しないのが通例であり、これまで写真の撮影者に特段損害が生じるといったことがなかったといえるのであれば、氏名を表示しなくとも、氏名表示権は侵害されません。


④ 「時事の事件の報道のための利用」にあたる
(1)のタイプのまとめサイトと同様に、まとめサイトでの掲載行為に、正当な報道目的があると認められる場合です。

肖像権の侵害

肖像権は、憲法13条の幸福追及権の一つであるプライバシー権を根拠として、憲法上保障されている権利です。

したがって、著作権法に違反しない場合であっても、無断で写真を掲載した行為により、写真の被写体についての肖像権が侵害される可能性があります。

もっとも、プライベートな写真の場合、被写体が写真の利用方法について合意をしていることは少なく、いかなる場合に肖像権が侵害されたといえるかは曖昧になってしまいかねます。したがって、被写体が何の合意をすることもなく、撮影を拒否しなかった場合には、その利用範囲はプライベートな範囲に限られると解するべきであり、インターネット上のウェブサイトで公開することについてまで合意したとはいえないでしょう。

また、芸能人やスポーツ選手等の著名人の肖像については、経済的に価値があるため、パブリシティー権とも呼ばれています。

したがって、著名人の画像を無断で掲載することは、著名人の有する、自己の肖像を排他的に営業活動に利用することについての財産的な権利を侵害しているといえます。

著作権法上の権利・肖像権を侵害した場合

コンテンツの権利者から、記事の修正対応やウェブサイトの運営方針を求められるだけでなく、著作権法上の権利または肖像権が侵害されたとして、民法上の損害賠償請求(709条)や差止請求(著作権法112条)をされる可能性があります。

さらに、著作権を故意に侵害した者は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、あるいはその両方が処せられます(著作権法119条)。

また、コンテンツに著作物性が認められない場合であっても、上述の見出しのように、作成者の損害を認め、損害賠償請求を認容した裁判例もあります。

まとめ

まとめサイトを作成するにあたり、まずは作成しようとしているサイトの目的・性質に伴い、どのようなコンテンツをどのような形式で利用するのか、ということを正確に理解することが非常に重要となります。

そこを理解しておくことによって、コンテンツについて、著作権法上のどの権利を侵害する可能性があるのか、事前に把握することができます。

その上で、当該まとめサイトが権利侵害の例外規定に当てはまっているかどうか、コンテンツ一つ一つを丁寧に場合分けして検討しなければなりません。

このように、まとめサイトが他社のコンテンツを利用するものである以上、細心の注意を払わなければ、いとも簡単に著作権法違反となってしまいます。

したがって、まとめサイトを作成するのであれば、まずは事前に、コンテンツの権利者に対して許諾を得ておくことが、要らぬ紛争を避ける最善策といえるでしょう。

許諾を得ることが難しい場合でしたら、是非この記事を参考にしつつ、随時変化していくインターネット関連の判例に注意して作成して下さい。


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