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©表示(マルシー表示)のメリットとは?表示しない場合の著作権は?


Ⓒ(マルシー)表示を付すと、何かメリットはありますか?
Ⓒ表示をしないと著作権が発生しないのかも含めて教えてください。


日本においては、Ⓒ表示の有無によって著作権発生が左右されることはありません。
したがって、Ⓒ表示をしなくとも、著作物は法的に保護されます。日本が無方式主義を採用していることが理由です。

著作権の共有・行使のために何らかの方式の履行を義務付けられることを「方式主義」といいます。
他方、そのような義務を求めないことを「無方式主義」といいます。無方式主義を採用した国の著作物が方式主義の国でも保護されるようにするための制度がⒸ表示の制度であり、この点がメリットです。

Ⓒ表示を付す場合には、
・Ⓒという記号
・著作権者の氏名
・最初の発行の年
を相互に近接して見やすい場所に表示することが推奨されます。

本記事では、以上に挙げたメリットについて詳しく見ていきます。


澤田直彦

監修弁護士:澤田直彦
弁護士法人 直法律事務所 
代表弁護士

IPO弁護士として、ベンチャースタートアップ企業のIPO実績や社外役員経験等をもとに、永田町にて弁護士法人を設立・運営しています。

本記事では、
「Ⓒ表示(マルシー表示)のメリットとは?表示しない場合の著作権は?」
について、詳しくご説明します。

弁護士のプロフィール紹介はこちら直法律事務所の概要はこちら「著作権」について、お問い合わせはこちら

Ⓒ表示とは

「Cマーク」、「著作権マーク」とも見かけるⒸ表示は、一般的には「マルシー表示」という読み方で使われる著作権表示です。
Cはcopyright(コピーライト)の略です。

商品ブランドロゴの右上や、webサイトの最下部でよく目にすることも多いでしょう。

Ⓒ表示は

①「Ⓒの記号」
②「当該著作権を有する者の氏名(法人を含む)」
③「当該著作物の最初の発行の年」

の3つの要素から成り立っています。

万国著作権条約の加盟国間では、最初の発行の時から発行されたすべての複製物に適切なⒸ表示を付せば、著作権法上の保護を受けられるものとしました(万国著作権保護条約3条1項)。

Ⓒ表示を付すメリット

メリット総論

Ⓒ表示を付けるメリットは、無方式主義を採用している国の国民の著作物が、方式主義を採用している国においても著作権法の保護を容易に享受できる点です。

著作権の享受・行使のために何らかの方式の義務の履行を義務付けられている国とそうでない国とがあります。義務付けられているものを方式主義と呼び、義務付けられていないものを無方式主義と呼びます。

世界の主流は無方式主義を採用しています。日本も無方式主義を採用しています。

しかし、従前のアメリカや一部の南米諸国等の海外では、方式主義を採用していました。
そうすると、日本で最初に発行された著作物が方式主義国の著作権法上でも保護されるためには、その国で定められている独自の要件を履行しなければなりませんでした。
無方式主義を採用している日本などの国の著作権者にとって、それを履行することが煩雑であることは明らかでした。

この問題点を解決したのが、万国著作権条約です。
万国著作権条約の加盟国間では、最初の発行の時から発行されたすべての複製物に適切なⒸ表示を付せば、方式主義国内でも無方式主義国の著作物であっても、著作権法上の保護を受けられるものとしました(万国著作権保護条約3条1項)。

万国著作権条約で著作権が保護を受けるためには、当該著作者その他の著作権者の許諾を得て発行された当該著作物のすべての複製物に、

  1. 「Ⓒの記号」
  2. 「当該著作権を有する者の氏名(法人を含む)」
  3. 「当該著作物の最初の発行の年」

の3つを近接して表示し、当該著作物の見やすい位置にわかりやすく表示するものとされています。

日本でⒸ表示を付すメリットとリスク

⑴ 日本でⒸ表示を付すメリット

日本は著作権に関して無方式主義を採用しています。
そのため、著作権の保護要件としてⒸ表示が求められているわけではありません。

しかし、次のようなメリットがあると考えられます。

①著作権侵害行為に対する警告という事実上の効果
当該著作権の所在及び発行年を示すことで、著作権侵害行為に対する警告の意味を成すという事実上の効果があります。

②著作権侵害者の過失の立証の一助となる可能性
著作権を侵害した者に対して損害賠償を求める場合に、侵害者の過失の立証が容易となる可能性があります。
過失は、日常用語では不注意を意味しますが、法的には注意義務を怠った場合に過失があると判断されます。著作権侵害が予測できる場合は、著作権に関して調査する等の注意義務があると考えられます。
Ⓒ表示が適切な使い方で付されている場合には、調査義務を行う前提となる著作権侵害が予測しやすい状況ですから、過失の立証が容易になる可能性があります。

なお、著作権侵害については、別記事がありますので、参照してみてください。

⑵ 日本でⒸ表示を付す際のリスク

例として、ある商品に著作権が認められないにもかかわらず、Ⓒ表示を付した場合には、商品の品質又は内容等を誤認させたとして不正競争(不正競争防止法2条1項13号違反)に該当するリスクがあります。
著作権の存続期間が満了しているような場合には、注意しましょう。

アメリカでⒸ表示を付すメリット

Ⓒ表示を適切に付していれば、著作権侵害の被告の善意の侵害の抗弁による損害額の減額が認められないというメリットがあります。

アメリカは、以前は方式主義を採用しており、著作権の保護要件として、Ⓒ表示を適切に付すことを求めていました。
しかし、1989年のベルヌ条約正式加盟に伴い、著作権の保護要件としての「Ⓒ表示を適切に付すこと」が求められなくなりました。

それでもなおⒸ表示のメリットが存在します。
メリットが生じるのは、著作権侵害に対する損害賠償額算定の場面です。
具体的には、Ⓒ表示がなされていれば、被告に善意の侵害の抗弁による損害額の減額を認めないと定められています(米国著作権法401条(d)項)。

まとめ

Ⓒ表示に関しては、日本においてその法的な意義が存在するわけではありません。
ただ、Ⓒ表示を付すことで、当該著作物のライセンスの交渉窓口を明確化したり、著作権侵害の行為に対してけん制する役割を事実上もっていることは言えるでしょう。

Ⓒ表示や、著作権のお悩みについてご相談がある場合は、お気軽に当事務所の弁護士までお問い合わせください。

● 日本は著作権に関して無方式主義を採用しているため、著作権は創作とともに発生します。そのためⒸ表示がなくとも著作権は発生します。

● 日本国内においてⒸ表示を付すメリット

  1. 当該著作権の所在及び発行年を示すことで、著作権侵害行為に対する警告という事実上の効果がある
  2. 著作権を侵害した者に対して損害賠償を求める場合に、侵害者の過失の立証が容易となる可能性がある

● なお、日本ではⒸ表示が著作権取得の要件ではありませんが、付す場合には、当該著作者その他の著作権者の許諾を得て発行された当該著作物のすべての複製物に、3つの要素

  1. 「Ⓒの記号」
  2. 「当該著作権を有する者の氏名(法人を含む)」
  3. 「当該著作物の最初の発行の年」

を相互に近接して表示し、当該著作物の見やすい位置にわかりやすく表示する、
というルールを守るのが望ましいです。

関連するQ&A

Q.
Ⓟ表示やⓇマークを見たことがあるのですが、どのようなものですか。

A.
1.Ⓟ表示とは
Ⓟ表示は、レコードに関するロゴ表示で、一般に「*マルピー表示*」と呼ばれています。
レコードを意味するphotogramの頭文字であるPを○で囲んだものです。

Ⓟ表示のメリットは、レコード製作者や実演家の権利の保護の条件として、レコード盤またはレコードジャケット等に適切なⓅ表示を付せば、レコード製作者や実演家の権利保護の条件として一定の方式を要求する方式主義の国においても、Ⓒ表示と同様に、それ以上の方式・手続を履践することなく無方式主義の国のレコードに関するレコードの製作者や実演家の権利が保護されることです(実演家等保護条約11条、レコード保護条約5条)。

Ⓟ表示は、発行されているレコードの複製物又は容器にⓅ記号を第一発行年とともに表示すること要します。複製物又は容器においてレコード製作者、主たる実演家が確認できない場合は、Ⓟ表示にレコード製作者の権利を有する者のⓇ名称、実演家の権利を有している者の名称も含めます。

2.Ⓡマークとは
Ⓡマークは、商標に関するマークで、一般に、「*マルアールマーク*」と呼ばれています。
登録商標を意味するregistered trademarkの頭文字であるRを○で囲んだものです。

日本において、商標権の保護要件としてⓇマークが求められているわけではありません。
したがって、Ⓡマークのメリットは、商標権侵害行為に対する警告という事実上の効果があるにすぎません。

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