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著作権管理ビジネスの注意点とは?著作権等管理事業法上の登録が必要?

Q
 私は、ウェブサイト上で、漫画、CG、キャラクターデザイン等の著作権を著作権者から預り、商業化できた場合には、利益を配分するというビジネスを考えました。このような著作権管理ビジネスをする場合の注意点を教えてください。

A
 著作権管理ビジネスを行う場合は、著作権管理等事業者にあたることとなるため、著作権管理事業法(2001年10月1日より施行)上の登録をしたうえで、同法に従って事業を行う必要があります。具体的には、管理委託契約約款や使用料規程の作成・届け出をしなければならず、利用許諾の制限や各種監督にも服することになります。


澤田直彦

監修弁護士:澤田直彦
弁護士法人 直法律事務所 代表弁護士

IPO弁護士として、ベンチャースタートアップ企業のIPO実績や社外役員経験等をもとに、永田町にて弁護士法人を設立・運営しています。
本記事では、
「著作権管理ビジネスの注意点とは?著作権等管理事業法上の登録が必要?」
について、詳しくご解説します。

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著作権管理ビジネスの法的構造

譲渡方式と信託譲渡方式との比較

ご相談いただきましたビジネスモデルは、貴社が、著作権者から著作物の管理の委託を受け、許諾者(ライセンサー)として当該著作物の利用等について管理し、そこから利益を得た場合には著作権者に当該利益を配分するというものかと思います。
この場合、
①著作権者から著作権を譲渡してもらう方式
②信託譲渡を受ける方式または委託契約を締結する方式が考えられます。

まず、①の方式ですが、著作権それ自体を買い受け、その対価を著作権者に支払うという形で利益を配分するという方法です。

著作権者から著作権を譲り受けるわけですから、貴社が権利者となります。

そのため、著作物を自由に利用することが可能です(著作権を預かって管理をするという方法ではありません)。

しかし、著作権を買い取るためには多額の資金が必要となるうえ、著作権者側も自己の権利を完全に譲渡することに難色を示す場合も多いでしょう。そのため、①の方式は現実的ではありません。

そこで、著作権者から著作権を信託譲渡してもらう、または、委託契約を締結するという②の方式が考えられます。

前者の信託とは、「特定の者が一定の目的…に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきもの」(信託法2条1項)を言います。

要するに、権利者が管理を任せる者に対して権利を移転させ、それによって得た利益を受益者に還元するという方法です。信託譲渡の場合、著作物を利用許諾者として運用してもらうという目的で著作権を著作権者が法形式上、譲渡し、著作権者が受益者として利益の配当を受けることとなります。

また、ここでいう委託契約は、著作物等の利用の許諾や管理の取次ぎ(商法502条11号)または代理(民法99条、商法504条)として行わせるという委任契約(民法643条、商法505条)のことです。

信託譲渡の方式は、①の方式とは異なり、著作権を預かった側が信託の趣旨に反して著作物を処分してしまった場合には、預ける側の著作権者(委託者かつ受益者)は著作権の違法な処分行為を取り消すことができ(信託法27条)、預けられる側(受託者)が完全な権利者となるわけではない点に特色があります。

また、委託契約の場合は著作権の移転を伴いません。
従いまして、②の方式のほうがより著作権者にとって受け入れやすいものと言えます。このように、貴社としては著作権者から信託譲渡を受けることが考えられますが、著作権の信託譲渡を受けて行う管理事業を法的には著作権等管理事業と言います。

山中さん2図形

著作権等管理事業とは?

ここで、どのような場合に著作権等管理事業に該当するかを検討します。

なぜなら、著作権等管理事業にあたるとされた場合、事業者は著作権等管理事業法による種々の規制に服することとなるからです。

著作権等管理事業とは、「管理委託契約(委託者が人的関係、資本関係等において受託者と密接な関係を有する者として文部科学省令で定める者であるものを除く。)に基づき著作物等の利用の許諾その他の著作権等の管理を行う行為であって、業として行うもの」(著作権等管理事業法2条2項)と定義されています。

要するに、著作権者と後述する管理委託契約を締結し、著作権の著作物等の利用許諾や管理を業として行う場合が著作権等管理事業にあたります。
(*例えば音楽の著作権等管理事業ではJASRACなどがあります。)

そのため、後述する文化庁長官の登録(2.⑴登録)を受けなければなりません。
もっとも、下記の場合は当該事業にあたらないとされています(著作権等管理事業法施行規則2条)。

①受託者の親族又はこれに準ずる密接な人的関係を有する者

②受託者の親会社(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和三十八年大蔵省令第五十九号)第八条第三項に規定する親会社及び会社以外の会社等(同項に規定する会社等をいう。以下本号において同じ。)であってこれと同様に他の会社等の意思決定機関(同項に規定する意思決定機関をいう。)を支配しているものをいう。)、子会社(同項に規定する子会社をいう。)及び関連会社(同条第五項に規定する関連会社をいう。以下本号において同じ。)並びに受託者が他の会社等の関連会社である場合における当該他の会社等

③受託者の役員

④受託者が会社である場合における自然人たる主要株主(発行済株式(議決権のあるものに限る。)の総数又は出資の総額の百分の十以上の株式又は出資を所有している者をいう。次条第一号において同じ。)であって、当該受託者の財務及び事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができるもの

⑤前二号に掲げる者の親族又はこれらに準ずる密接な人的関係を有する者

上記の①から⑤の場合に著作権等管理事業者にあたらないとされるのは、受託者が委託者の利益のために管理することが期待でき、いわば委託者の自己管理に等しいと解されるからです。それゆえ、これらの場合には著作権等管理事業法の適用はなく、登録等を行う必要もありません。

管理委託契約

上述のように、著作権等管理事業者は著作権者との間の管理委託契約に基づいて著作権の管理等の事業を行うことになります。

ここでいう管理委託契約とは、著作物等の利用の許諾その他の当該著作権等の管理を行わせることを目的とする信託契約または委託契約を言います(著作権等管理事業法2条1項)。

具体的には、次の信託契約と委任契約が該当します。

第一に、ここでいう信託契約は、委託者が受託者に著作権等の権利を移転する場合です(同項1号)。この場合、著作権等が信託譲渡される結果として、受託者が権利者として自己の名で使用料請求や訴訟提起をすることができる点に特色があります。

従いまして、貴社で使用料請求や訴訟提起まで行いたいと考えている場合には信託契約の方式で管理委託契約を締結する必要があります。

ただし、「信託は、訴訟行為をさせることを主たる目的としてすることができない」(信託法10条、訴訟信託の禁止)とされている点には注意が必要です。

たとえば、すでに紛争状態にある場合に専ら訴訟をさせることを目的に信託することは禁止されています。


第二に、ここでいう委任契約は、著作権等の権利を移転させるわけではなく、著作物等の利用の許諾や管理の取次ぎ(商法502条11号)または代理(民法99条、商法504条)として行わせるという委任契約(民法643条、商法505条)を言います(著作権等管理事業法2条1項2号)。

たとえば、著作権者の経済的負担で受任者の自己の名で契約等の法律行為を行う場合(取次ぎ)や著作権者の名で代わりに受任者が法律行為を行う場合(代理)です。この場合、上述の信託契約とは異なり、受任者自身が権利者ではないため、弁護士や弁護士法人でない限り、訴訟提起等の争訟性のある行為は行うことができない点に注意が必要です(弁護士法72条)。


なお、次の場合には管理委託契約にはあたらないとされていますので、文化庁長官の登録を受ける必要はありません。

まず、委託者である著作権者が、受託者である著作権等管理事業者による著作物等の利用の許諾に関する使用料の額を決定する場合には管理委託契約にあたらないとされています(著作権等管理事業法2条1項柱書)。

また、コンテンツ配信業者のように当該事業者の顧客であるユーザーがパソコン等の端末に複製を作成して利用されることが想定されているような場合は、ユーザーによる利用範囲はすでに著作権者によって決定されていることから、当該業者とユーザー間の許諾契約は管理委託契約にあたりません。

たとえば、インターネット・コンテンツ配信業者が配信している動画をユーザーがダウンロードするような場合における配信業者とユーザーの許諾契約は「管理委託契約」に該当しないこととなります。

著作権等管理事業を行う際の注意点

以上の検討で、著作権等管理事業者に該当するとなった場合には、著作権等管理事業法上の登録を行い、管理委託契約約款や使用料規程の作成・届け出を行う必要があります。

また、利用許諾の制限や各種監督にも服することになります。

登録

まず、文化庁長官の登録を受ける必要があります(著作権等管理事業法3条)。すなわち、下記の必要書類とともに、下記の事項を記載した登録申請書を文化庁長官に提出して登録申請を行う必要があります(著作権等管理事業法4条)。

【必要書類】
❶第六条第一項第三号から第六号までに該当しないことを誓約する書面
❷登記事項証明書、貸借対照表その他の文部科学省令で定める書類

【記載事項】
①名称
②役員(第六条第一項第一号に規定する人格のない社団にあっては、代表者、同項第五号及び第九条第四号において同じ。)の氏名
③事業所の名称及び所在地
④取り扱う著作物等の種類及び著作物等の利用方法
⑤その他文部科学省令で定める事項

なお、登録の要否については文化庁のウェブサイトでQ&A方式でまとめられておりますので、そちらもご参照ください。

登録申請がされると、下記の登録拒否事由(著作権等管理事業法6条)がない限りは著作権等管理事業者登録簿に登録され、その旨が登録申請者に遅滞なく通知されます(著作権等管理事業法5条)。

①法人(営利を目的としない法人格を有しない社団であって、代表者の定めがあり、かつ、その直接又は間接の構成員との間における管理委託契約のみに基づく著作権等管理事業を行うことを目的とするもの(以下「人格のない社団」という。)を含む。以下この項において同じ。)でない者

②他の著作権等管理事業者が現に用いている名称と同一の名称又は他の著作権等管理事業者と誤認されるおそれがある名称を用いようとする法人

③第二十一条第一項又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない法人

④この法律又は著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)の規定に違反し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない法人

⑤役員のうちに次のいずれかに該当する者のある法人
 心身の故障により著作権等管理事業者の役員の職務を適正に行うことができない者として文部科学省令で定めるもの
 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
 著作権等管理事業者が第二十一条第一項又は第二項の規定により登録を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内にその著作権等管理事業者の役員であった者でその取消しの日から五年を経過しないもの
 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
 この法律、著作権法若しくはプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律(昭和六十一年法律第六十五号)の規定若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項の規定を除く。)に違反し、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者

管理委託契約約款や使用料規程の作成・届け出

上述の登録に加え、著作権等管理事業者は、管理委託契約約款および使用料規程を定め、文化庁長官に届け出る必要があります。

まず、管理委託契約約款については次の事項を定めて文化庁長官に届け出なければなりません(著作権等管理事業法11条)。なお、具体的な表現例については、文化庁のウェブサイトに掲載されておりますので、そちらをご参照ください。
また、使用料規程に関しては次の事項を定めて文化庁長官に届け出ることになります(著作権等管理事業法13条)。

①管理委託契約の種別(第二条第一項第二号の委任契約であるときは、取次ぎ又は代理の別を含む。)

②契約期間

③収受した著作物等の使用料の分配の方法

④著作権等管理事業者の報酬

⑤その他文部科学省令で定める事項

こちらの表現例についても具体例が文化庁のウェブサイトに掲載されておりますので、そちらをご参照ください。

なお、使用料規程は、利用者に対する周知・準備期間を与えるとの趣旨から、文化庁長官が届け出を受理した日から30日間は実施できませんので注意してください(著作権等管理事業法14条1項)。また、この期間は最大で3か月まで延長される可能性があります(同条2項)。

❶文部科学省令で定める基準に従い定める利用区分(著作物等の種類及び利用方法の別による区分をいう。第二十三条において同じ。)ごとの著作権物等の使用料の額

❷実施の日

❸その他文部科学省令で定める事項

利用許諾の拒否の制限と監督

次に、著作権等管理事業者は、委託者に対して、取り扱っている著作物等に関する情報や利用方法に関する情報の提供に努めるとともに(著作権等管理事業法17条)、正当な理由がない限り、取り扱っている著作物等の利用の許諾を拒むことはできないとされています(著作権等管理事業法16条)。 後者は、著作権等管理事業者が恣意的に許諾できるとなると利用者側に多大な不都合が生じるのを防ぐことを理由とするものですので、利用許諾を拒否するにあたっては恣意的だと判断されないような正当な理由があるか否かを判断する必要があります。

たとえば、大阪高判平20・9・17(裁判所ウェブサイト)は、過去の管理著作物の無許諾利用に係る使用料相当額を清算することを利用許諾の条件とする著作権等管理事業者の取り扱いにつき、著作権等管理事業法16条の趣旨に反しないとしています。

従いまして、利用許諾を拒否する正当な理由としては、たとえば、当該利用を希望する者が過去、利用料を支払っていないこと等が考えられます。

また、著作権等管理事業者は、著作権等管理事業法上の監督を受けることになります。具体的には、文化庁長官から報告・立入検査を求められたり必要な業務改善命令を受けたりすることがあります(著作権等管理事業法19条、20条)。さらに、次の場合には登録の取消しや6か月以内の業務停止命令が発せられることもあるので注意してください(著作権等管理事業法21条1項)。

①この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。

②不正の手段により第三条の登録を受けたとき。

③第六条第一項第一号、第二号、第四号又は第五号のいずれかに該当することとなったとき

なお、「著作権等管理事業者が登録を受けてから一年以内に著作権等管理事業を開始せず、又は引き続き一年以上著作権等管理事業を行っていないと認めるとき」も文化庁長官は登録を取り消すことができるとされている点にもご留意ください。

まとめ

以上をまとめますと、著作権管理ビジネスを行う場合は、原則として著作権管理等事業者にあたることとなるため、著作権管理事業法上の登録をしたうえで、著作権管理事業法法に従って事業を行う必要があります。

具体的には、管理委託契約約款や使用料規程の作成・届け出をしなければならず、利用許諾の制限や各種監督にも服することになります。

関連情報につきましては、下記の文化庁のウェブサイトをご参照ください。

 【著作権管理事業の概要】

 【登録の要否に関するフローチャート】

 【登録の要否に関するQ&A】

 【管理委託契約約款の表現例】

 【使用料規程の表現例】

【協議・裁定制度と指定著作権等管理事業者】


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