澤田直彦
監修弁護士:澤田直彦
弁護士法人 直法律事務所
代表弁護士
IPO弁護士として、ベンチャースタートアップ企業のIPO実績や社外役員経験等をもとに、永田町にて弁護士法人を設立・運営しています。
本記事では、「2025年改訂版『電子商取引及び情報財取引等に関する準則』ネットビジネス企業が押さえるべき法務対応」について、詳しくご説明します。
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はじめに
2025年2月、経済産業省は「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(以下、「本準則」といいます)の改訂版を公表しました。これは、電子商取引(EC)やSaaS、デジタルコンテンツ流通、プラットフォームビジネスといったインターネットビジネスを行うすべての企業にとって、今後の事業運営や契約管理に深く関わる重要なガイドラインです。
本準則は、民法や消費者契約法などの法体系に基づき、電子取引における典型的な法的課題について、どのように法律が解釈・適用されるべきかを示すものであり、行政指導や裁判実務においても参照される実務上の指針とされています。
今回の改訂は、以下の背景を踏まえて実施されました。
• 2022年以降に施行された法改正 (民法、独占禁止法、消費者契約法など) への対応
• デジタルプラットフォーム取引における事業者間トラブルの増加
• ブロックチェーン ・ NFTなど新しい技術を活用した価値移転手段の普及
• 消費者・事業者間での定型的な契約書 ・ 利用規約の濫用への懸念
そのため、本準則の改訂ポイントは、従来のBtoC取引だけでなく、BtoB取引やマーケットプレイス運営、SaaSの利用規約運用にまで広く波及する可能性があります。
特に以下の3点は、すべてのネット事業者が押さえておくべき改訂点です。
- 定型約款 (利用規約等) の該当性と有効な変更ルール
- Q&Aやヘルプページの法的性質と契約への組入れ方
- デジタルプラットフォーム事業者による出店停止 ・ アカウント削除等の法的リスク
この記事では、上記の改訂点について、企業が直面しうるリスクや、法務部門がとるべき具体的対応策を実務目線で解説していきます。
定型約款に関する改訂ポイント
定型約款の該当性の判断基準
「定型約款」とは、契約に用いるためにあらかじめ一方の当事者によって準備された条項の集合体であり、不特定多数の相手方と反復継続的に取引を行うために利用されるものです。
民法では、2017年改正によってこの概念が明文化され、第548条の2以下において定型約款の該当性や変更手続きのルールが定められています。
特に第548条の2第1項においては、以下の2つの条件のいずれかを満たす場合に、定型約款が契約内容として効力を持つとされています。
1. 相手方が定型約款を契約内容とする旨に同意した場合
2. 提示者があらかじめ契約内容とする旨を表示していた場合 (例 : ウェブ上の利用規約)
ECサイトやSaaSサービスなど、オンラインで提供されるサービスの多くは、実質的に「定型取引」として反復的・画一的な契約を締結しているため、そこに用いられる利用規約等は、原則として定型約款に該当することになります。
利用規約 ・ Q&A ・ FAQが契約に組み込まれる条件
2025年2月の改訂では、「Q&A」や「よくある質問」、「ヘルプページ」などが定型約款に該当するかについての実務的な整理が追加されました。
準則によれば、次の2点を満たす場合には、これらの文書も契約内容として効力を持つ可能性があります。
1. 利用規約内で「これらの文書を引用 ・ 組み込む」旨が明確に記載されていること
2. 商品 ・ サービスの価格 、返品 ・ キャンセル条件など、契約上の重要事項が具体的に記載されており、利用者が確認可能な形でサイト上に掲載されている
こと
逆に、利用規約中に「当社が別途定めるルール」などと曖昧に記載している場合や、リンクが不明確な場合には、当該Q&A等は契約内容とみなされない可能性があるため、文言の見直しが必要です。
さらに今回の改訂では、「禁反言(エストッペル)」の観点も強調されており、事業者がサイト上に表示した取引条件に基づくユーザーの主張を一方的に否定することは許されない旨が明記されています。これは、Q&Aが定型約款に該当しない場合でも、事業者側がその内容に拘束される可能性があることを意味します。
定型約款の変更ルール
合意不要で変更できる条件 (民法第548条の4)
定型約款は、一定の条件を満たせば、個別の合意を取り直すことなく内容を変更することが可能です。
具体的には、以下のいずれかの場合に該当すれば、変更後の内容も契約として有効になります(民法第548条の4第1項)。
1. 変更が相手方の一般の利益に適合する場合
2. 契約の目的に反せず、かつ「変更の必要性」「内容の相当性」「変更条項の有無 ・ 内容」などに照らして合理的である場合
実務上は、2 に該当するかの判断が重要となり、特に「事業者に一方的に有利な変更」「内容の不透明な変更」は無効とされるリスクが高くなります。
サービス料金値上げは有効?合理性の判断基準
今回の準則改訂では、料金引き上げを伴う利用規約変更は、合理性を欠くおそれが高いと明示されました。
たとえば、「月額利用料を一方的に値上げする」場合、次のような対応がなければ無効と判断される可能性があります。
▸ 利用者が料金改定を理由に契約を解除できる制度 (違約金なし)
▸ 具体的な変更事由や改定内容を規約中に明記していること
また、変更が契約期間中に適用されるか、次回更新時から適用されるかによっても、有効性の判断が異なる点に注意が必要です。
「みなし同意条項」の限界と実務での注意点
「本規約の変更後に本サービスを利用した場合、変更に同意したものとみなします」といった、いわゆる「みなし同意条項」は、多くのウェブサービスで採用されています。
しかし、準則ではこのような条項について、「実質的に利用者の同意が得られたとはいえない」として、定型約款の変更要件を満たさない限り無効であると解されています。
そのため、事業者が本当に定型約款を変更したい場合は、以下の対応が推奨されます。
▸ 改定の背景や具体的な変更内容の説明
▸ 改定後のキャンセルオプションや変更拒否の手段の提示
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弁護士実務上、しっかりとクライアント企業様に対して、上記対応の必要性を案内する必要があると考えています。
デジタルプラットフォームの規制と注意点
インターネットショッピングモール、アプリストア、クラウド型サービスなどのデジタルプラットフォームを運営する事業者(プラットフォーマー)は、出店者・ユーザーと日常的に契約関係を結んでおり、その大半は「利用規約」等の定型約款に基づく契約です。
本章では、出店停止・アカウント削除といった運営上の制裁措置に関して、法的に有効とされるために押さえるべきポイントを解説します。
出店停止処分とその有効性
出店者との関係性 : 定型約款としての利用規約
デジタルプラットフォームにおいて、プラットフォーマーと出店者(あるいはアプリ提供者等)の関係は、通常、「出店者向け利用規約」によって規律されています。
このような契約は不特定多数の事業者との反復的取引を前提としているため、典型的な「定型約款」に該当し、民法第548条の2以下が適用されます。
つまり、規約の内容が合理性を欠いたり、相手方の利益を一方的に害するような条項が含まれている場合には、条項自体の効力が否定される可能性があるのです。
キャッチオール規定のリスクと裁判例の限定解釈
出店停止事由を定める際に、「その他当社が不適切と判断した場合」「前各号に準ずる場合」などとする、いわゆるキャッチオール条項(包括的条項)を利用規約に記載する例は多く見られます。
しかし、2025年改訂の準則では、このような包括的な事由に基づき、出店停止等の重大な措置を講じる場合には、以下のような注意点が指摘されています。
• キャッチオール条項は、具体的な列挙事由と並べて記載されている場合でも、「限定解釈」されるべきである
たとえば、東京地裁の裁判例では、出店者のユーザー資格が「サイトの信用を毀損する行為」に基づいて取り消された事案において、「その他の場合」条項は、当該ユーザーの継続的利用を合理的に許容できないと判断される場合に限定されるとし、過度に広く解釈されることを防いでいます。
処分の合理性と説明義務 ・ 弁明機会の確保
準則ではさらに、次のような点が示されています。
• 出店者にとって、プラットフォーム上の販売停止は重大な営業損失を意味するため、その処分には高度な正当性と透明性 が求められる
したがって、処分の前提事実、適用条項、判断理由の開示と反論機会の付与を行うことが、後日の無効主張を回避するうえで不可欠といえるでしょう。
約定解除権の濫用とされないための対策
出店停止 ・ アカウント停止の実務対応策
出店停止や利用停止の措置は、プラットフォームの健全性やブランド維持に不可欠ですが、法的に有効と認められるにはいくつかの条件を整える必要があります。
主な実務的対応としては以下の通りです。
▸ 処分前に、メール等で違反事実と対応期限を提示する
▸ 停止措置を講じる場合には、理由の説明と異議申立の機会を付与する
▸ 処分の範囲 (出店停止 ・ 一部制限など) を過度に広げすぎない
「その他の場合」条項の書き方と制限
「その他当社が不適切と判断する場合」という条文は非常に便利に見えますが、法的には無制限に使えるものではありません。
準則や判例の流れを踏まえると、このような包括条項は次のように書き換えることが推奨されます。
また、包括的な条項に頼るのではなく、できる限り想定されうる違反行為を具体的に列挙しておくことが、契約有効性の担保につながります。
民法第1条第2項との関係と無効リスク
民法第1条第2項(信義誠実の原則)は、契約当事者間の信頼関係に基づく公正な取引を求める基本原則です。
プラットフォーム事業者が、契約条項を盾に恣意的・不透明な判断で一方的な処分を行うことは、たとえ定型約款であっても、この原則に反して無効とされるおそれがあります。
特に、以下のような状況では、処分が違法・無効と認定されるリスクがあります。
• 出店停止の理由が不明確で説明責任を果たしていない
• 処分後に理由を開示せず、異議申立手続も設けていない
• 競合排除や一方的な価格交渉目的と疑われるような処分
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以下の点について対応してください。
• 利用規約の文言の明確化 : キャッチオール条項を見直し、具体的な処分理由を列挙する
• 透明な手続きの確保 : 弁明の機会 ・ 処分理由の説明 ・ 異議申立制度を設ける
• 契約の合理性を確保 : 民法 ・ 準則 ・ 裁判例に整合的な設計を行う
ブロックチェーン ・ NFTに関する記載
2025年2月の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂では、新たに「NFT(Non-Fungible Token)」に関する法的論点が明記されました。
NFTは、ブロックチェーン技術を活用して、唯一無二のデジタルデータの所有権や取引履歴を可視化・証明できる仕組みであり、アート、音楽、ゲームアイテム、会員権、証明書など、さまざまなデジタル資産の流通に活用されています。
これまでNFT取引の法的評価は未整備な面も多く、企業やクリエイター、プラットフォーム事業者の間で「契約関係」「権利帰属」「詐欺的販売」などに関する不透明さが指摘されてきました。
本改訂は、NFT取引の実務に一定の法的指針を与えるものであり、Web3事業者にとっては重要な一歩といえるでしょう。
NFTに関する法的論点(準則での新設)
今回の準則改訂では、NFTに関して以下のような点が明示されています。
NFTと「所有権」は別概念
NFTは、ブロックチェーン上のトークンとして「唯一性」が担保されている点に特徴がありますが、トークン自体に「デジタルコンテンツの所有権」や「著作権」が自動的に付随するわけではありません。
たとえば、NFTを購入したとしても、その画像・音楽などのコンテンツについて、以下の前提を忘れてはなりません。
• 複製権や公衆送信権が買い手に移転しているとは限らない
• 利用可能範囲は、発行者の定める利用規約によって制限されている可能性がある
このように、NFTは「何の権利を証明しているのか」を個別に契約や表示で明確化する必要があることが、改めて強調されています。
詐欺的販売 ・ 無権利販売への注意喚起
NFT市場では、第三者の著作物を無断でNFT化し販売する「無権利販売」や、将来の特典を約束しながら実態のないプロジェクトが資金を集める「詐欺的販売」も発生しています。
準則ではこの点についても、販売者が表示している利用可能範囲や権利内容、特典の有無などについて、「誤認を招く表現」がある場合には、不法行為責任や景品表示法違反となる可能性がある旨が示されています。
技術革新と法の対応の方向性
NFTやブロックチェーンは、Web3、メタバース、DAO(分散型自律組織)といった新たなインターネット経済圏を支えるインフラとして注目されています。
しかし、こうした技術に対する法制度の整備は、従来の民法や著作権法と整合させる点で、なお発展途上です。今後の法の対応としては、以下の方向性が注目されます。
利用規約 ・ 表示義務の強化
NFT発行時の規約整備、ユーザーへの分かりやすい情報提供(利用可能範囲、権利帰属、特典有無など)は、準則上の定型約款論とも連動し、今後さらに整備が求められます。
コンテンツ権利とNFTの分離明示
NFTとコンテンツの著作権・使用許諾は「別契約」として設計されるべきであり、法的にも「所有」と「利用許諾」の峻別が必要です。
消費者保護法制 ・ 金融規制との交錯
NFTが投資的要素や将来利益をうたう場合、金融商品取引法や資金決済法、景品表示法の観点からの規制対象となり得ることにも注意が必要です。
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NFTを巡る法的論点は、今後も裁判例や各省庁のガイドライン等により進化していくと考えられます。
今回の準則改訂は、「契約書の工夫」「利用規約の整備」「表示内容の正確性」が、NFTビジネスを行ううえでの基本インフラであることを示したといえます。
NFTやブロックチェーンを活用した新規事業を計画している企業にとっては、「法務と技術を橋渡しできる体制」の整備が成功のカギとなるでしょう。
企業が取るべき対応と法務部門の役割
2025年2月の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の改訂は、単なる解釈指針にとどまらず、企業にとって実際の契約実務やサービス運営の再点検を迫る内容となっています。とくにデジタルサービスやプラットフォームを展開する企業では、法務部門が積極的に関与すべきテーマが多く含まれています。
本章では、企業が取るべき実務的な対応と、それを推進すべき法務責任者の役割について解説します。
利用規約 ・ Q&A ・ FAQの全面見直しの必要性
改訂準則では、利用規約だけでなく、Q&AやFAQなどの周辺文書も契約内容として評価されうることが明記されました。
そのため、次のような点については、早急に文書の構成と文言の精査が必要です。
• Q&Aやヘルプページに取引条件 (キャンセルポリシー、利用制限、補償範囲など) が含まれていないか
• 利用規約内に 「当社が別途定めるルールも本規約に含まれる」 などの曖昧な文言がないか
• 情報が分散し、ユーザーに誤認を与えるような構成になっていないか
つまり、契約内容がウェブ上で点在・混在している状態では、紛争時に企業側の主張が否定されるリスクが高まるということです。一元的かつ明確に取引条件を規定し、「どの文書が契約の一部か」を明示することが、今後のリスクヘッジの基本方針となります。
変更手続きとユーザー通知の実務ルール
「定型約款の変更」について、準則では法的に有効な変更とみなされるための条件が整理されました。
以下の対応がなければ、規約変更は無効となる可能性があることに注意が必要です。
【規約変更の実務チェックリスト】
✓ 変更理由や変更内容を利用者に対して分かりやすく通知しているか (例 : メール、アプリ内通知、ポップアップなど)
✓ 利用者が変更に「異議を述べる機会」や「契約解除の選択肢」を有しているか
✓ 料金改定やサービス内容の制限といった不利益変更に合理性があるか
特に注意すべきは、「サービスの利用をもって変更に同意したものとみなす」といったみなし同意条項は、変更の有効性を担保しないという点です。
実質的な「周知」「同意」のプロセスをいかに設計するかが問われる時代に入ったといえるでしょう。
ガバナンス強化の一環としての法的整備
定型約款の管理や、プラットフォーム上の契約関係の構築は、もはや単なる契約実務の範疇ではありません。
特にデジタルサービス企業にとって、利用規約の設計は企業の社会的信頼性やユーザー保護の体制構築に直結するものであり、コーポレートガバナンスの一環と位置づける必要があります。
• 消費者庁や経産省など行政当局からの調査 ・ 是正要求リスク
• 上場準備や資金調達時におけるリーガルデューデリジェンスでの指摘項目
• ユーザーや取引先からの信頼確保 ・ コンプライアンス評価
こうした視点から、社内規定と外部向け文書の整合性、責任の所在、変更フローの明確化などを含む「約款ガバナンス体制」を整備することが、中長期的な競争力にも直結します。
法務部門がリードすべき契約管理と体制構築
本改訂を機に、法務部門は次のようなテーマを組織横断的に主導すべき立場にあります。
• 全社の利用規約 ・ 規程類の棚卸と再整備
• 契約変更フローにおけるマーケティング ・ 開発部門との連携
• 新規サービス立ち上げ時の法的リスクレビュー体制の構築
• 内部通報 、個人情報保護 、知財戦略と統合した企業法務ガバナンスの設計
特に、契約のデジタル化・自動化を進めるうえでも、法務部門の関与はもはや後追いではなく、戦略的に先導すべき領域となっています。
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• 利用規約や周辺文書の見直しは、単なる法的整合性ではなく、企業価値 ・ 信頼性の土台
• 定型約款の変更は、形式よりも「実質的な周知 ・ 同意」が重要
• CLO/GCは、単なるリスク管理ではなく、ガバナンスの構築者としての自覚が求められる
まとめと実務チェックリスト
2025年2月に改訂された「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」は、単なるガイドラインを超えて、契約運用、利用規約、コンテンツの表示方法、取引管理の在り方を根本から見直すきっかけとなるものです。
とくに、SaaS・EC・プラットフォーム・NFT関連ビジネスを展開する企業にとっては、リスクと信頼性の両面から重大な意味を持ちます。
ここでは、実務の視点で重要な論点を再整理し、企業の法務部門で活用できるようにまとめています。
議論すべき論点整理
企業クライアントが直面する可能性のある法的リスクに備え、次のような論点を検討すべきです。
- 利用規約とQ&A ・ ヘルプ等との整合性は取れているか?
- 規約改定の通知方法 ・ 同意取得手続きは実務上妥当か?
- 出店者やユーザーに対するアカウント停止措置の法的有効性は?
- 包括条項 (キャッチオール) への依存を避け、具体的事由を列挙しているか?
- NFTやWeb3領域での契約スキーム ・ 権利帰属の整理ができているか?
これらを事前に確認することで、クライアントからの相談やトラブル発生時にも迅速に対応できます。
インターネットビジネス企業へのアドバイス10選
実際のクライアントに対して行うアドバイスの際は、次のような観点をチェックリスト的に共有すると効果的です。
- Q&Aやヘルプの内容も契約条項とみなされる可能性があることを理解する
- 利用規約内で 「引用文書」 は明確に特定し、リンクを分かりやすく掲載する
- 「いつでも変更可能」 条項は、実際には法的効果が限定的であると認識する
- 不利益変更 (料金改定など) には、合理的な理由と具体的な手続きが必要
- 出店停止やアカウント停止は、理由の開示と弁明機会の付与が不可欠
- 包括的な条項 (例 :「その他当社が不適切と判断する場合 ) に過度に依存しない
- NFT取引では 「何の権利が移転するのか」 を明記しなければならない
- 利用者表示やキャンペーン内容には、誤認防止の観点から慎重を期す
- 契約改定時は、事前通知 ・ 説明 ・ オプトアウト手続きなどの整備が必要
- 社内の法務 ・ 開発 ・ マーケティングで契約ガバナンス体制を構築する
これらは単なる法的知識ではなく、「企業の信頼性」と「持続的成長」に直結する要素です。
利用規約更新時に確認すべきチェックリスト
最後に、利用規約を改訂・更新する際に必ず確認すべき実務チェックリストを提示します。
法務部門の運用フローにそのまま組み込める構成です。
チェック内容 | |
---|---|
利用規約の中で引用される外部文書 (Q&A ・ ヘルプ ・ ガイドライン等) が明確に特定されているか | ☐ |
定型約款変更条項があり、その内容が具体的 (変更理由 ・ 範囲 ・ 通知方法) か | ☐ |
不利益変更 (料金値上げ 、制限強化など) に合理的な根拠があるか | ☐ |
利用者に対する事前通知 ・ 告知期間を設けているか (例 : ○日前) | ☐ |
通知方法は複数 (メール ・ アプリ通知 ・ WEB表示) で周知されているか | ☐ |
利用者が異議申立てや契約解除できるオプションが用意されているか | ☐ |
キャッチオール条項を見直し、必要な場合は限定解釈が可能な表現か | ☐ |
NFTなど特殊商品に関して、購入者が取得する権利内容が明記されているか | ☐ |
改定内容に応じて社内関係部署 (法務 ・ 開発 ・ カスタマーサポート等) との連携が行われているか | ☐ |
前回の規約改定からの経過期間と変更履歴が社内で管理されているか | ☐ |
プラットフォームビジネスに関するご相談は、東京都千代田区直法律事務所の弁護士まで
今回の準則改訂は、単に形式的な法改正への追随ではなく、「利用者との信頼関係をどう築くか」への根本的な問いかけとも言えます。
法務部門や弁護士が果たすべき役割は、契約条項のチェックにとどまらず、企業の価値と持続可能性を支えるパートナーとしての関与へと進化していくべき段階に来ています。
直法律事務所においても、ご相談は随時受けつけておりますので、お困りの際はぜひお気軽にお問い合わせください。
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