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メルマガで他社ウェブサイトのコンテンツを利用する際の留意点

Q
 当社のメルマガで他社のウェブサイトのコンテンツ(動画やコンテンツ記事等)を、当該サイトにリンクを張る形で紹介したいと考えています。このようにサイトや動画へのリンクを張る際の留意点を教えてください。

A 
 原則として、他社のウェブサイトのリンクを張る行為は著作権侵害にあたらないため、他社や著作者の許諾を得ることなく、メルマガにリンクを張ることは可能です。ただし、当該サイトがリンクを張る際に条件を付している場合は、リンクを張る側である貴社が当該条件に従うとの同意ボタンを押す等した場合には債権的合意をしたとみなされ、リンクを張る行為が禁止されたり一定の条件に従わなければならなかったりする可能性がある点に注意が必要です。なお、SNS等でリンクを張った場合にはサムネイルが表示される場合もありますが、基本的にはメルマガでリンクを張る場合と同様に考えることができます。
また、動画にリンクを張る行為についても同様に他社の許諾を得る必要はありませんが、違法にアップロードされた動画であるサイトであると知りながら当該サイトのリンクを張った場合には著作権侵害の不法行為となる危険性があり、違法アップロードと知りながら張ったリンクを放置していると法的責任を負う可能性があります。そのため、一見して違法アップロードとわかる場合にはリンクを張ったりせず、違法アップロードが疑われる場合にはリンクを削除する等の対策を講じたりする必要があります。また、リンクを張った動画が適法だった場合も、当該動画で使用されている音楽著作物については別途JASRACから許諾契約の締結や損害賠償を求めるといった権利主張がなされるおそれがある点にも注意が必要です。

ウェブサイトにリンクを張る行為と著作権の関係

 他社のウェブサイトの動画や記事といったコンテンツは、著作物、すなわち、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1項1号)と言える場合が多いため、その創作者である著作者(同項2号)は著作権を有している場合があります(著作権法17条)。

具体的には、著作権者は著作物を自由に複製できる複製権(著作権法21条)やテレビ・インターネット等で自由に配信できる公衆送信権(著作権法23条1項)等を専有しています。

そのため、仮にメルマガで他社のウェブサイトのコンテンツのリンクを張る行為が複製や公衆送信にあたれば、著作者の許諾も得ないで著作物であるコンテンツを使用したとして著作権侵害の問題となります。

しかし、結論から言えば、単に他社のウェブサイトのコンテンツにリンクを張るだけでは複製にも公衆送信にも該当しません。

 メルマガでは他社のウェブサイトのURLを記載しておいて、それをクリックするとリンク先のウェブサイトが表示されるという方法が一般的かと思われますが、このような方法はコンテンツの内容それ自体をコピーしてメルマガに掲載するものではありません。

 また、上記の方式では、クリックして表示されたリンク先のウェブページのサーバからデジタルデータがユーザに直接送信されているにすぎないため、貴社のサーバに蓄積されているわけでもありません。
 従いまして、リンクを張るに過ぎない行為は複製や公衆送信にはあたらないので、著作者の許諾を得ることなく使用することが可能です。経済産業省の「電子商取引及び情報材取引等に関する準則」でも、リンクを張ったとしてもユーザーに対してデータを送信するのはあくまでリンク元であることから、一般的にリンクを張る行為自体は著作権の侵害にならないと考えられています。

なお、このことは、SNS等でリンクを張ってサムネイルが表示される場合にも同様に妥当します。

リンク先がサイトで条件を付している場合の留意点

 このように、他社のウェブサイトのコンテンツにリンクを張る行為は著作権侵害にあたらず、著作者の許諾なしに行えるというのが原則です。
 従いまして、リンク先のウェブサイト運営者が、ウェブサイトのURLに関するリンクを張る行為を禁止したりリンクを張る際に条件を付したりしても、リンクを張る当事者が拘束されることは原則としてありません。つまり、ご相談者の事例ですと、メルマガにおいて無条件でリンクを張ることができます。
 ただし、たとえば、リンク先のウェブサイトにリンクを張る際の条件等が記載され、当該条件に同意することを確認するボタンがあり、当該ボタンをクリックしていた場合は事情が異なります。この場合には、当該条件に従うことに同意したとみなされ、リンク先のウェブサイトを掲載している企業との間に契約と同様の債権的合意が成立したとなり、法的な拘束力が生じることになります。
 すなわち、当該条件に反してリンクを張る場合には合意に反したとして法的責任を問われる可能性が出てきます。
 したがって、そのような条件の同意を求めるボタンをクリックするなど合意したとみなされるような行為をしていないかに注意する必要があります。もし合意しているような場合であれば、元のウェブサイトに示された条件の範囲内でリンクを張るようにしてください。

他社のウェブサイトの動画にリンクを張る場合の留意点

 以上のことは、他社のウェブサイトに投稿されている動画にリンクを張る場合にも同様に妥当します。
 従いまして、メルマガにおいて単にリンクを張る行為を行うだけであれば、著作権者の許諾なしに行うことが可能です。

また、裁判例では、再生ボタンをクリックすることにより自分のウェブサイト上で動画を視聴できるいわゆる埋め込み型の方法によるリンクの場合でも、動画のデータを端末に送信する主体はあくまでリンク先の管理者であるとして、著作権侵害とはならないことを明確にしました。

 ただし、ウェブサイト上に動画を埋め込む場合には著作者の有する著作物に著作者名を自由に表示できるという氏名表示権(著作権法19条)や著作物を勝手に改変等されないという同一性保持権(著作権法20条)の侵害が問題となる可能性が出てくるので注意してください。

 具体的には、元の動画に記載されていた著作者名の表示が見えなくなる態様での埋め込みや動画の一部を改変した場合には著作権侵害と評価されますので、そのような態様での動画の埋め込みはしないようにしてください。

 さらには、動画のリンクを張る場合には次の点にとくに注意する必要があります。

 たとえば、貴社のメルマガでリンクを張って紹介した他社のウェブサイトの動画が違法にアップロードされたものである場合を考えてみましょう。

 たしかに、貴社自身が違法な動画をアップロードしたわけでもなければ、複製や公衆送信にあたる行為をしているわけでもありませんので、その限りにおいては著作権侵害を行ったとして法的責任を問われることはないようにも思えます。

 しかし、リンクを張ることによって著作権を侵害した動画が広く見られるように助長したとして著作権侵害の幇助行為として不法行為を理由とした損害賠償責任や刑事責任を負う可能性が出てきます。

 ただし、裁判例では、著作権者の許諾なしにアップロードされたことが内容や体裁上明らかでなく、違法アップロードと認識できた時点で直ちにリンクを削除したという場合には著作権侵害の幇助行為を理由とした不法行為にはあたらないとしているため(大阪地判平25・6・20判時2218・112)、違法アップロードだとの警告を受けたにもかかわらず放置したなどの悪質なケースでしか法的責任は問われないと思われます。

 裏を返せば、法的責任を回避するには違法アップロードと疑われる場合には対策を講じる必要があります。そのため、違法アップロードが疑われた場合にはリンクを張らず、事後的に判明した場合にはリンクを削除する等の措置をあらかじめ検討しておくとよいでしょう。

 なお、メルマガにリンクを張る行為では対象となりませんが、ウェブサイト等についてはリーチサイト規制が導入された点に注意する必要があります。リーチサイトとは著作物等が違法にアップロードされているウェブサイトのリンク情報等を提供するサイトのことを言い、悪質なリンク提供者やサイト運営者には損害賠償等の請求がされたり刑事罰が科されたりするようになりました。具体的には、著作権者の許諾を受けずに違法にアップロードされた動画であると知りながら、あえてリンクを張るなどして当該動画に誘導した場合が規制されます。
 詳しい規制内容等については、関真也・田村有加吏、「リーチサイトに関する規制の概要」 をご参照ください。

このように、リンク先の動画が違法にアップロードされていたものである場合には注意を要しますが、当該動画が適法にアップロードされた場合には何ら問題はないのでしょうか。

 ここでは、動画中の音楽著作物の取り扱いに注意が必要です。
 JASRACは、動画をアップロードしたサイトがJASRACと許諾契約を締結している場合であっても、個人が広告収入等を得ずに運営するサイトでない限り、原則として張り付け先のサイト運営者も別に許諾契約を締結する必要があるとしています。

従いまして、メルマガにリンクを張る際にもこの点に留意する必要があり、当該契約を締結せずにJASRACの管理する音楽著作物を使用した場合にはJASRACが損害賠償請求をしてくる可能性がある点に留意する必要があります。手続の詳細は、JASRACのウェブサイトのフローチャートでご確認ください。

まとめ

 本記事の内容をまとめますと、以下のようになります(下図参照)。
まず、貴社のメルマガで他社のウェブサイトのコンテンツのリンクを張ることは著作権者の許諾なく行うことができます。

もっとも、リンクを張る際の条件等が示されており、かつ、それに同意したという場合には、債権的合意があったものとして法的拘束力が生じるため、その条件に従って行う必要があります。

また、コンテンツの内容が動画の場合も基本的には同様ですが、一見して違法アップロードとわかる場合にはリンクを張ったりせず、違法アップロードが疑われる場合にはリンクを削除する等の対策を講じたりする必要があり、動画を埋め込む場合には著作者名が見えないようになっていないか、あるいは、動画を改変していないかに留意する必要があります。
加えて、動画内で使用されている音楽著作物に関してJASRACから許諾契約の締結や損害賠償を求められるといった権利主張の可能性がある点にも注意が必要です。

原則 他社ウェブサイトの許諾なしでリンクを張ることが可能
例外 リンクを張る際の条件がある場合 留意点:
①リンクを張る際の条件に同意することを求めるボタンをクリックするなど同意とみなされる行為をしていないかを確認する、
②当該行為をした場合には当該条件に従ってリンクを張っているかを確認する
動画の場合 留意点:
①一見して違法なアップロードだとわかる場合にはリンクを張らない、
②事後的に違法アップロードだとわかった場合にはリンクを削除する等の対応をする、
③違法アップロードでない場合でも音楽著作物についてJASRACから権利主張されるおそれがある点に注意する

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