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【口コミサイト運営事業者必見!】口コミサイト運営上の注意点

Q
 当社は、口コミサイトを構築し、運営しようと考えています。この場合に気を付けるべ注意点があれば、教えて下さい。

A
 口コミサイトを運営する上では、口コミの内容が他人の権利を侵害する内容である場合や、投稿内容が景品表示法に違反する場合の運営者の責任について注意する必要があります。


澤田直彦

監修弁護士:澤田直彦
弁護士法人 直法律事務所 代表弁護士

IPO弁護士として、ベンチャースタートアップ企業のIPO実績や社外役員経験等をもとに、永田町にて弁護士法人を設立・運営しています。
本記事では、
「【口コミサイト運営事業者必見!】口コミサイト運営上の注意点」
について、詳しくご解説します。

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口コミサイトとは

まず、これから解説する「口コミサイト」とはどのようなサイトを指すのか、口コミサイトの概要から説明していきます。

「口コミサイト」とは、「人物、企業、商品・サービス等に関する評判や噂といった、いわゆる『口コミ』情報を掲載するインターネット上のサイト」を指します(消費者庁「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」より)。
具体的には、下記のようなものです。

① 口コミ情報の交換を主な目的とするサイト

② 旅行情報、グルメ情報、商品情報等を掲載するサイトが、サービスの一環として、旅館、飲食店、商品等に関する口コミ情報を交換するサービスを提供する場合

③ ブログ等、個人(有名、無名を問わない。)が情報を提供するウェブサイトにおいて、ブログ運営者のおすすめ商品等に関する情報提供が行われる場合(例えば「おすすめ人気美容化粧品・コスメ比較」といった記事)

以下では、このような口コミサイトの運営における法的注意点を解説していきます。

口コミサイト運営上の注意点

口コミサイトを運営するにあたって、特に気を付けるべき口コミサイト利用者の行動(書き込み)に対する注意点ですが、

① 投稿された口コミが他人の権利を侵害する内容である場合

② 投稿内容が景品表示法に違反する場合

となります。

権利侵害

口コミの内容によっては、それが他人の権利を侵害する場合があります。 他人の権利を侵害する事例を挙げると、以下のようなものがあります。

  • 名誉ないし信用の毀損
     例)飲食店への嫌がらせ目的で投稿された、「注文した料理に虫が入っていたのに交換してくれなかった。」などの口コミ

  • プライバシーの侵害
     例)「〇〇(店名)のオーナーには前科がある。」などの、他人には知られたくない経歴を暴露するような口コミ

  • 著作権侵害
     例)新聞や雑誌、書籍などに記載してあった文章を自分の口コミとして投稿する場合


このような他人の権利を侵害する口コミについて、口コミサイトの運営者としては情報交換の場を提供したにすぎず、自らが直接に権利侵害行為を行ったわけではありません。そのため、他人の権利を侵害する口コミがなされたことに関して直ちに責任を負うことにはなりません。

もっとも、口コミサイトの運営者が、他人の権利を侵害する口コミをすることに積極的に関与した場合や、他人の権利を侵害する口コミの存在を認識しつつもこれを放置した場合には、当該権利侵害行為の責任を負う可能性があります。

口コミサイトの運営者が、他人の権利を侵害する口コミをすることに積極的に関与した場合には、運営者自身が当該権利侵害行為の主体であるため、その責任を負うのは当然です。
一方で、運営者が、他人の権利を侵害する口コミの存在を認識しつつもこれを放置した場合については、運営者は当該権利侵害行為の主体ではありませんが、他人の権利を侵害する情報をインターネット上で閲覧可能にし、その情報の拡散に寄与したとも考えられることから、その点で権利侵害行為の責任を負う可能性があります。
経済産業省も「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(平成14年3月策定、令和元年12月改訂)において、「口コミサイトで第三者から見ても明らかに虚偽であることが分かる誹謗中傷を書き込まれた飲食店から、削除要請があったにもかかわらず、サイト運営者がこれを長期間放置した場合」には、サイト運営者が損害賠償責任を負う可能性があることを示しています。

実際にあった事案としては、ショッピングモールサイトに関する事件ですが、ショッピングモールサイトの出店者によって出店ウェブページに展示された商品が第三者の商標権を侵害している場合に、一定の要件を満たすときには、サイト運営者が商標権侵害の責任を負うことを、一般論として認めたものがあります(結論としては責任を否定)。

〇知的財産高裁平成24年2月14日判決(判時2161号86頁)
【事案の概要】
Y(被告)が運営するインターネットショッピングモールにおいて、個別の出店者が、他人の商標と類似する各標章を付した各商品を、出店ページに展示したため、当該商標の権利者であるX(原告)が、当該各商品の展示・販売はXの商標権を侵害するとして、Yに対し、その差止めと損害賠償を請求した。
なお、Yは、Xからの出訴等を契機に、その8日以内には、本件商標権侵害品の展示をサイトから削除している。

【結論】
控訴棄却(第1審では請求棄却)

【理由】
Yのサイトのように、ウェブページの運営者が、単に出店者によるウェブページの開設のための環境等を整備するにとどまらず、運営システムの提供・出店者からの出店申込みの許否・出店者へのサービスの一時停止や出店停止等の管理・支配を行い、出店者からの基本出店料やシステム利用料の受領等の利益を受けている者であって、その者が出店者による商標権侵害があることを知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったときは、その後の合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされない限り、上記期間経過後から商標権者はウェブページの運営者に対し、商標権侵害を理由に、出店者に対するのと同様の差止請求と損害賠償請求をすることができると解するのが相当である。
本件でYは、Xからの出訴等を契機として、その8日以内に本件商標権侵害品の展示をサイトから削除しているため、合理的期間内における是正が認められる。

また、口コミサイトの運営者が損害賠償を請求された裁判例としては、以下のようなものがあります。いずれも請求は棄却されていますが、口コミサイトを運営するにあたっては、「このような訴訟を提起されることもある」ということに注意しておく必要があるでしょう。

裁判例 請求内容 結論 理由
東京地裁
平成24年12月12日判決
旅館の経営者が、批判的な口コミについて、これがサイトの規約違反に当たるものとして削除を求めたにもかかわらず、
削除がなされなかったため、名誉毀損に基づく損害賠償請求をした。
請求棄却 ・本件口コミは「公共の利害にかかわるもの」であり、かつ、「専ら公益を図る目的でされたもの」でもあるため、違法性が阻却される。
大阪地裁
平成27年2月
23日判決
いわゆる「隠れ家」的な飲食店の経営者が、グルメサイトに投稿された口コミの削除を求めたにもかかわらず、
削除がなされなかったため、人格権(営業権・自己情報コントロール権)に基づく店舗情報の削除、損害賠償を請求した。
請求棄却 ・自己情報コントロール権は、不法行為等を認めるために保護されるべき権利・利益としては認められない。
・本件において、サイト側が自身の方針に従い、削除要請に応じないことは、違法に営業権を侵害したと評価される程度に悪質ではない。
札幌高裁平成27年6月23日 飲食店の経営者が、批判的な口コミの削除を求めたにもかかわらず、削除がなされなかったため、
サイトで自己の店舗の名称が使用されていることに対し、不正競争防止法に基づく名称の削除、損害賠償を請求した。
請求棄却 ・本件では、原告に名称権は認められない。
・仮に名称権が認められるとしても、名誉や信用をいたずらに毀損するような場合はともかく、社会的に相当性を有する口コミ(※)については、
これによって営業上の損失が生じても甘受すべきである。

※裁判例を見ると、店舗等の名誉や信用をいたずらに毀損するものではなく、一消費者としての意見や評価としてなされたものであるならば、「社会的に相当」な口コミと判断しているように思われます。(本件では、「料理が出てくるまで40分くらい待たされた」旨の口コミが問題となっていました。)

なお、他人の権利を侵害するような口コミに対しては、被害者から削除請求や、投稿者に関する情報開示請求がなされることもあります。
これらの点に関する解説は別の記事にありますので、そちらをご覧ください。

電子掲示板管理者の法的責任(プロバイダ責任制限法)3つの義務を解説

景品表示法違反(やらせ記事・評価の問題)

口コミサイトでは、商品やサービスに関する評判やうわさといった口コミが投稿されますが、この口コミが景品表示法(「不当景品類及び不当表示防止法」)の規制対象となる場合があります。

口コミサイトに掲載される情報は、一般的には、口コミの対象となる商品やサービスを実際に購入したり利用したりしている消費者などによって書き込まれており、これを前提とすれば、景品表示法上の問題が生じることはありません。
しかし、商品やサービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、自ら口コミ情報を掲載し、又は第三者に依頼して掲載させることがあります。その「口コミ」情報が、当該事業者の商品やサービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表示法上の不当表示(同法5条)として問題となります。

問題となる具体的な事例として、消費者庁が「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(平成23年10月28日策定、平成24年5月9日一部改訂)で、以下のような例を挙げています。

 グルメサイトの口コミ情報コーナーにおいて、飲食店を経営する事業者が、自らの飲食店で提供している料理について、実際には地鶏を使用していないにもかかわらず、「このお店は△□地鶏を使っているとか。さすが△□地鶏、とても美味でした。オススメです!!」と、自らの飲食店についての「口コミ」情報として、料理にあたかも地鶏を使用しているかのように表示すること。


広告主が、(ブログ事業者を通じて)ブロガーに広告主が供給する商品・サービスを宣伝するブログ記事を執筆するように依頼し、依頼を受けたブロガーをして、十分な根拠がないにもかかわらず、「△□、ついにゲットしました~。しみ、そばかすを予防して、ぷるぷるお肌になっちゃいます!気になる方はコチラ」と表示させること。

なお、実際には★1程度の評価なのに、★5とつける「やらせ評価」が問題となることがありますが、このような「やらせ評価」自体が不当表示に該当するかは微妙なところです。
景品表示法は、2条4項で「表示」を「顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であつて、内閣総理大臣が指定するもの」と定義しています。ここでは、★をつけるだけの行為が「商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う」表示といえるのかが問題になると考えられます。
この点については、条文上、「・・・その他これらの取引に関する事項」と規定されていることから、商品・役務の内容や取引条件そのものだけではなく、取引に関係のある事項についてのすべての表示が2条4項の「表示」に含まれるといえます。そのため、商品やサービスの購入を検討する際に参考にされる★も、取引に関係のある事項についての表示として2条4項の「表示」に該当し、不当表示の規制対象となる可能性があります。

このような景品表示法違反についても、権利侵害の口コミの場合と同様に、口コミサイトの運営者としては情報交換の場を提供したにすぎず、自らが直接に景品表示法に違反しているわけではありません。
もっとも、景品表示法上の不当表示に当たる口コミに積極的に関与した場合には、サイト運営者も「事業者」(2条1項)として処罰の対象となる可能性もあります。

ブロガー(ブログの作者)にブログサービスを提供している事業者(ブログ事業者)の一部には、商品やサービスの広告宣伝を依頼する事業者(広告主)に対して、ブロガーによる記事執筆を手段とした商品やサービスのプロモーションサービスを提供し収益をあげるビジネスをしている事業者もいます。ここでは、ブログ事業者は、広告主との契約に基づき、ブロガーに対して当該商品やサービスを提供し、ブロガーは提供された商品やサービスを使用した感想等を含む紹介記事をブログに掲載します。それら紹介記事には、紹介された商品やサービスを販売するインターネットサイトへのリンクが設けられていることが多いです。(※)
このようなビジネスにおいて、ブログ事業者が広告主と共に商品やサービスのプロモーションを企画し、企画の成功のために両者が一体となって、ブロガーに、商品やサービスの内容等について実際のものよりも著しく優良又は有利であると消費者に誤認されるような内容の紹介記事の作成を依頼した場合には、ブログ事業者も不当表示の主体として処罰の対象となる可能性があります。

※ブロブ等のウェブサイトの運営者が、自己のサイトに他者の商品やサービスのバナー広告(商品・サービスの画像や広告文などが表示されているもので、リンクが張られている広告)等を掲載し、サイト閲覧者が広告等をクリックしたり、掲載された広告を通じて広告主のサイトにアクセスし、そこで商品やサービスを購入した場合など、一定の条件に従って、成功報酬が支払われる広告手法を「アフィリエイトプログラム」といいます。このような広告は「成功報酬型広告」とも呼ばれます。

【プラットフォーム事業者必見】景品表示法とデジタル・プラットフォーム

利用規約の作成・提示

これまで説明してきた、権利侵害の口コミや景品表示法違反の口コミに関するトラブルを未然に防止するための手段の1つとして、口コミ投稿の際の「利用規約」(ガイドライン)を作成し、利用者に提示しておくことが重要です。現在開設されている口コミサイトのほとんどに、利用規約ないしはガイドラインが存在します。
利用規約はサイトによって細かいところは異なりますが、一般的には、禁止事項や投稿の削除の可能性、免責条項などが規定されていることが多いです。
禁止事項としては、名誉や信用を毀損するような誹謗中傷、プライバシー侵害となるもの、著作権等の知的財産権侵害となるもの、店舗や商品の関係者によるもの、などがあります。
このような利用規約を作成し、それを利用者に順守してもらって、トラブルを生じさせないことが大切です。

作り方やポイントがわからない場合には【法務担当者が一人でできる!】利用規約作成マニュアル【ひな形付】をご覧ください。

直法律事務所では利用規約のひな形のダウンロードも可能ですので、ぜひ参考としてご活用ください。
※あくまで”ひな形”なので、個々の案件毎に、とくに盛り込みたい条項や不明点がある場合は、当事務所にご相談ください。

本件の結論

口コミサイトを運営するにあたっては、口コミの内容が他人の権利を侵害するものである場合に、それを知ってて放置すると、運営者も損害賠償責任を問われる可能性があることに注意が必要です。また、自分も口コミに積極的に関与する場合には、景品表示法違反の口コミを掲載しないように注意することも必要です。
そして、口コミに関するトラブルを未然に防止するために、利用規約を作成し、利用者にはこれを順守してもらうことも大切です。


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