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BtoC(B2C)型取引においてプラットフォーム取引契約と法的構造について


澤田直彦

監修弁護士:澤田直彦
弁護士法人 直法律事務所 代表弁護士

IPO弁護士として、ベンチャースタートアップ企業のIPO実績や社外役員経験等をもとに、永田町にて弁護士法人を設立・運営しています。
本記事では、
「BtoC(B2C)型取引においてプラットフォーム取引契約と法的構造」
について、詳しくご解説します。

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プラットフォーム取引契約の類型

プラットフォーム事業とは、取引の場を提供する事業のことです。例えば、以下のような類型があります。

・検索
検索が出来るサービス。
例えば、AI活用事例を検索できるe.g.、特許情報(特許庁への出願情報)を検索できるJ-platpat等があります。

・ショッピングモール
ショッピングの場を提供するサービス。
例えば、Amazonや楽天等があります。

・オークション
オークションの場を提供するサービス。
例えば、アスリートの使ったスポーツアイテムに特化したHATTRICK、美術品を中心とするオークションを運営するShinwa wise holdings等があります。

・フリーマーケット
フリーマーケットの場を提供するサービス。
例えば、ヤフオクやメルカリ等があります。

・アプリマーケット
スマートフォン向けアプリを販売するサービス。
例えば、スマレジ・アプリマーケット等があります。

・コンテンツ(映像、動画、音楽、電子書籍等)配信サービス
インターネット上で動画や音楽を配信するサービス。
例えば、Youtube等があります。

・決済サービス
オンライン上で決済する際に、手続の便宜化の為に使われるサービス。ECサイトの運営者等が利用します。決済を担うクレジットカード会社や銀行と一社一社ごとに契約を締結するのでは、手間が非常にかかるので、決済プラットフォームを導入することで、手続を一本化できたり、手数料を低く抑えることが出来たりします。
例えば、paypal、paidy等があります。

・SNS(Social networking service)
登録したユーザー間で情報の共有や交流が出来るサービス。似ている用語としてSMSがありますが、これはshort message serviceの略称であり、電話番号を宛先にして短いメッセージを送り合うことができるサービスをいいます。
例えば、Facebook等があります。

・ホテル宿泊予約サービス
ホテルの宿泊予約を円滑に実現させるサービス。
例えば、ブロックチェーン技術を活用したホテル予約プラットフォームとしてTrippki等があります。

・シェアリングサービス
個人等が保有する活用可能な資産を他の個人に利用可能とする場を提供するサービス。
例えば、Airbnb等があります。

これらの中で、フリーマーケットやショッピングモール等、いわゆる「ネット通販」「オンラインショップ」と呼ばれるものを、EC(e-commerce)と呼ぶことがあります。
ECとは、electric commerceの略称で、インターネット上の電子商取引のことです。例えば、さとふる・Amazon・楽天・メルカリ・zozotown・ベルーナ・自社サイト等がこれに当たります。

オンラインプラットフォームは、大きく、マッチング型と非マッチング型に分かれます。
非マッチング型とは、例えば、掲示板・SNSや動画サイト等、一般に、サービス手数料を必要とせず、利用者から取得した情報を利用して広告収入を得る事を特徴とします。Facebook等が具体例として挙げられます。
他方、マッチング型とは、例えば、ショッピングモールサイトやシェアリングサービス等、一般に、取引の場を提供し、個々の取引が成立した場合に決済等に関与する事で、サービス手数料を得る事を特徴とするものです。Amazon等が具体例として挙げられます。

BtoC型取引の分類・位置づけ(CtoC、BtoBとの違い)

そもそも、BtoC取引とは、Business to Consumerの略称であり、事業者が消費者向けに行う取引のことを言います。一般的なECサイトなど消費者向けに提供されているものはすべてBtoCであり、現在でも市場規模が堅調に拡大しています。

これと似た用語として、例えばCtoC取引がありますが、これは、Consumer to Consumer の略称であり、消費者個人間の取引を言います。現在、このCtoCは非常に巨大なマーケットを形成しつつあり、多方面で注目されています。経済産業省の「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によれば、ネットオークションにおけるCtoC市場規模は3,569億円とのことです。
メルカリ等におけるユーザー間の売買契約がその例です。

また、BtoB取引とは、Business to Businessの略称であり、事業者間取引を言います。商品やサービスを販売するのも、それを購入するのも企業ということになります。Alibaba等がその例です。

今回で問題となっているBtoC取引や、CtoC取引、BtoB取引は、ECであり、マッチング型に分類されます。

BtoC取引の法的構造

岡部さん図形

 上記の図のように、3つの契約があります。PFは基本的に場の提供者に過ぎないのであるから利用者間契約に基づく責任は基本的に負わないと考えられています。
経済産業省の出している「電子商取引及び情報財取引に関する準則」(以下、単に電子商取引準則という)(最終改定:令和2年8月)は、こうした考え方にのっとっています。

時系列としては、まず、PF(プラットフォーム事業者)とB(プラットフォーム利用企業)との間でプラットフォーム利用契約が締結され、
その後、PF(プラットフォーム事業者)とC(プラットフォーム利用ユーザー)との間でプラットフォーム利用契約が締結され、
BとCが互いにプラットフォーム上で出会い、売買契約等の利用者間契約を締結するということになります。

この考え方に立っても、一定の場合には、責任を負う事になります。
例えば、PF(プラットフォーム事業者)が自己の名を前面に出して取引をし、消費者(C)に実際の販売者と誤認させた場合や、PF(プラットフォーム事業者)が売買目的物の品質を保証している場合、警察等から特定の商品について取引中止命令を受けたのにもかかわらず、それに従わなかった結果、消費者に損害が生じた場合等がこれに当たります。

プラットフォームBtoC取引で特に注意するべき法律

デジタル・プラットフォームにおけるBtoC取引では、PF(プラットフォーム事業者)とB(プラットフォーム利用企業)は、とりわけ電子消費者契約法、特定商取引法、景品表示法、個人情報保護法、特定電子メール法の規定に留意する必要があります。

① 電子消費者契約法
電子消費者契約法とは、正式には「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」といい、
(1)電子消費者契約における錯誤無効制度の特例
(2)電子商取引における契約の成立時期の明確化(発信主義から到達主義に転換)を定めた法律です。
この法律では、BtoC(事業者・消費者間)の電子契約では、消費者が申込みを行う前に、消費者の申込 み内容などを確認する措置を事業者側が講じないと、要素の錯誤にあたる操作ミスによる消費者の申込みの意思表示は無効となります(民法に従うと、事業者から、操作ミスが「重大な過失」にあたるので契約は有効に成立している、と主張することが可能でした)。
また、電子契約は、承諾の通知が申込者に到達した時に成立することになります(民法では承諾の通知が発信された時に契約は成立していました。)。


② 特定商取引法
訪問販売、通信販売、連鎖販売取引等といった消費者トラブルを生じやすい特定の取引形態を対象として、消費者保護と健全な市場形成の観点から、特定商取引法を活用し、取引の適正化を図る法律です。
特定商取引法では、事業者の不適正な勧誘・取引を取り締まるための「行為規制」やトラブル防止・解決のための「民事ルール」(クーリング・オフ等)を定めています。
詳細は、特定商取引法ガイドに掲載されています()。


③ 景品表示法
正式には、不当景品類及び不当表示防止法といいます。
景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限することなどにより、消費者のみなさんがより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守っています。

【プラットフォーム事業者必見】景品表示法とデジタル・プラットフォーム


④ 個人情報保護法
正式には、「個人情報の保護に関する法律」といいます。
個人情報を取り扱うすべての事業者に 個人情報保護法が適用されます。
プラットフォームビジネスと個人情報保護法に関する詳細は、別の記事でご紹介していますので、そちらをご参照ください。

個人情報保護法とは?【プラットフォームと個人情報保護法1】
個人情報漏えい等が発生した場合の法的責任【プラットフォームと個人情報保護法2】
情報漏えいの予防と対応【プラットフォームと個人情報保護法3】

⑤ 特定電子メール法
広告宣伝のために送信される以下の電子メール(広告宣伝メール)が対象となり、オプトイン方式や、特定の事項の表示が義務づけられています。

・携帯して使用する通信端末機器(携帯電話、スマートフォン、タブレット端末など)同士でメッセージを電話番号により送受信するサービス(例えば、ショートメッセージサービス(SMS))も対象となります。
・他人の営業のために送信されるものも対象となります。
・海外から送信され、日本に着信する広告宣伝メールも対象となります。

※ 通信販売などの電子メ ール広告を個人に対して行う場合には、特定商取引法の適用があります。

直法律事務所では、プラットフォーム、クラウド、SaaSビジネスについて、ビジネスモデルが適法なのか(法規制に抵触しないか)迅速に審査の上、アドバイスいたします。
ご面談でのアドバイスは当事務所のクライアントからのご紹介の場合には無料となっておりますが、別途レポート(有料)をご希望の場合は面談時にお見積り致します。

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