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景品表示法に「違反」するとどうなる?罰則は?改正法への対策も解説!

Q
景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)に違反した場合、どうなるのでしょうか。また、企業としては、どのような管理上の措置をとったらよいのか、2024年に施行予定の改正法への対応も含めて、教えてください。

A
景品表示法に違反した場合や違反が疑われるような場合、次の一覧のような処理や処分がなされます。

・消費者庁、公正取引委員会または都道府県知事による調査
・消費者庁または都道府県知事による措置命令
(行為の差止、再発防止策の策定や実施に関する公示、その他必要事項)
・消費者庁による課徴金納付命令
・適格消費者団体による差止請求
・刑事罰
・事実上の影響(消費者の信頼低下・損害賠償請求を受ける可能性等)

このように、景品表示法に違反すると多くの不利益があります。
そのため、消費者に対して表示を行う企業は、景品表示法の規制内容を知り、管理体制を構築することが大切です。

そして、不当表示を未然に防止するため、事業者は、景品類の提供又は表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備やその他の必要な措置として、次の①~⑦に沿うような措置を講じる必要があります(景品表示法26条1項及び2項、事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針)。

① 景品表示法の考え方の周知・啓発
② 法令遵守の方針等の明確化
③ 表示等に関する情報の確認
④ 表示等に関する情報の共有
⑤ 表示等を管理するための担当者等を定めること
⑥ 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること
⑦ 不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応

以下では、2024年に施行が予定される改正法への対応も含め、具体的にわかりやすく説明していきます。


澤田直彦

監修弁護士:澤田直彦
弁護士法人 直法律事務所 
代表弁護士

IPO弁護士として、ベンチャースタートアップ企業のIPO実績や社外役員経験等をもとに、永田町にて弁護士法人を運営し、各種法律相談を承っております。

本記事では、
「景品表示法に「違反」するとどうなる?罰則は?改正法への対策も解説!」
について、詳しく解説します。

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違反行為に対する行政庁等の対応

景品表示法に違反した場合や違反が疑われるような場合、次のような手順で処理されていきます。

違反行為に対する行政庁等の対応手順

(消費者庁ホームページより引用https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/violation/

調査

違反行為が疑われる場合、消費者庁又は都道府県知事は、関連資料の収集事業者への事情聴取などの調査をします。
なお、消費者庁のみならず、都道府県でも景品表示法を運用しており、違反行為を迅速、効果的に規制できるよう、都道府県知事も景品表示法に基づく権限を有しています。
また、公正取引委員会は消費者庁長官から景品表示法違反被疑事件に係る調査権限を委託されており、公正取引委員会が調査を行うこともあります(公正取引委員会ホームページ・景品表示法)。

措置命令

調査により違反行為が認められると、事業者に弁明の機会を与えた上で、違反行為の差し止めや、違反の事実の周知徹底再発防止策の実施など、必要に応じた「措置命令」が出されます。
前述のとおり、都道府県知事も景品表示法に基づく権限を有しており、違反行為者に対して、措置命令を行うことがあります。

課徴金納付命令

課徴金対象違反行為(商品・サービスの取引について優良誤認表示または有利誤認表示)をした事業者に対しては、弁明の機会を与えた上で、課徴金納付命令が出されます。
課徴金額は、課徴金対象行為に関係する商品・サービスの売上額に3%を乗じた金額です。なお、2024年施行予定の改正景品表示法では、10年以内に再度の課徴金納付命令を受けた場合には1.5倍に加算されることになりました。
ただし、当該表示の根拠となる情報を確認するなど、正常な商慣習に照らし相当の注意を怠っていないと認められる場合や、課徴金額が150万円未満であれば、課徴金納付は命じられません。そのほか、自主的に違反事実を報告した場合など、課徴金額が減額される場合があります。

適格消費者団体による差止請求

適格消費者団体により差止請求(景品表示法30条)を受けることもあります。
なお、2024年施行予定の改正法では、一定の場合に、事業者に対し、当該事業者による表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の開示を要請することができるものとされました。事業者はこの適格消費者団体からの要請に応じる努力義務を負います。

※適格消費者団体とは、不特定かつ多数の消費者の利益を擁護するため、消費者契約法上の差止請求権を行使するために必要な適格性を有する消費者団体として内閣総理大臣の認定を受けた法人のことをいいます。

刑事罰

消費者庁からの措置命令等に違反した者には、2年以下の懲役または300万円以下の罰金(場合によっては両方)が科されます。この違反を、法人の代表者などが行った場合、法人に3億円以下の罰金が科されることもあります。
課徴金納付命令又は勧告の前提として行政から求められた報告や物件の提出をしなかった場合や虚偽の報告・虚偽の物件提出・虚偽の答弁をしたような場合も、1年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。このような行為を法人の代表者などが行った場合、300万円以下の罰金が科されることがあります。

景品表示法に違反した場合の事実上の影響

景品表示法に違反する表示をした場合、行政上や刑事上の処分を受ける他、次のようなデメリットがあると考えられますので、表示をする際には注意が必要です。

消費者の信頼低下

景品表示法に違反する表示や景品類の提供は、消費者の信頼を損なう要因となります。誤解や失望を招くことで、企業やブランドの評判に悪影響を及ぼす可能性があります。消費者は信頼できる企業や商品を選ぶ傾向があり、景品表示法の違反は企業の信頼性を低下させる結果となることがあります。

損害賠償請求・返金請求や訴訟

消費者が景品表示法に反する表示等によって損害を受けた場合、生じた損害についての損害賠償請求をすることがあります。
また、契約の無効や取消を主張して、代金の返金などを求めることが考えられます。そして、場合によっては訴訟に至ることもあります。

違反事例

消費者庁のウェブサイト「景品表示法関連報道発表資料2023年度」によれば、2024年1月から3月の3カ月の間にも、10件以上の措置命令や課徴金納付命令が出されています。
どのような場合に違反行為として措置命令や課徴金納付命令が出されるのかを知ることは、違反しないためにとても重要なことです。どのような場合が違反行為となるのか、具体例をみていきましょう。

口コミ人気No.1などの表示(措置命令)

A社は次のような表示をしていましたが、実際は次のとおりであり、本件商品及び本件サービスの内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであるとし、2024年3月7日に措置命令が行われました。

口コミ人気No.1などの表示(措置命令)

措置命令の概要は次のとおりです。

  • 景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知すること
  • 再発防止策を講じて、これを従業員に周知徹底すること
  • 今後、同様の表示を行わないこと

なお、2024年3月5日に別の会社に対して行われた措置命令も、「保証・アフターサポート満足度」等の表示が、実際の利用者か確認することなく、ウェブサイトの印象を問う調査により行われており、また、調査結果を正確かつ適正に引用したものではなかったこと、実際は1,800件ほどの契約件数だったのに「施工実績 12,000件突破」等の表示をしたことなどを理由としています。

また、2024年3月1日に行われた注文住宅の建築請負にかかるサービスの表示について行われた措置命令も、具体的な項目について「満足度No.1」等の表示が、実際の利用者か確認することなく、ウェブサイトの印象を問う調査により行われており、また、調査結果を正確かつ適正に引用したものではなかったことを理由としています。

このように最近の傾向としては、実際はウェブサイトの印象を問うだけの調査であったのに、実際に利用したことがある者に対する調査をして満足度などが高かったような表示に対して措置命令が行われることが多いようです。

ペット用サプリメントの広告表示(合計1016万円の課徴金納付命令)

本件は、商品を犬に摂取させると、犬の白濁した瞳が改善する効果が得られるかのような表示を自社ウェブサイトやアフィリエイトサイトでしていたため問題となりました。
そこで消費者庁は、期間を定めて裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めました。しかし、提出された資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものでした。
そのため、2023年6月14日に景品表示法に基づく措置命令、2024年3月26日に合計1016万円の課徴金納付命令が出されました。

本件は自社ウェブサイトで、目が白濁している犬のイラストや「若々しかった目の輝きもなくなったような・・・」という文言等の後、「私も試してみます!」とし、さらに目の周りにキラキラした光の加工を施した犬の画像と共に、「クリアで綺麗な 透き通った気分に!」等と、あたかも、本件商品を犬に摂取させることにより、犬の白濁した瞳が改善する効果が得られるかのように示す表示をしていました。
「白内障」という文言や「治る」という文言は表示されていなくても、あたかも効果があるような表示も問題とされる点、注意が必要です。

なお、この事案では2022年に2カ月半ほど行われた表示と2023年に1カ月ほど行われた表示について課徴金納付命令が出ています。最初の違反について、表示をした期間に6カ月間を追加した期間の売上額が課徴金の対象とされています。他方、次の違反については、表示した期間に2カ月弱を追加した期間の売上額が課徴金の対象となっています。
この課徴金の対象となる売上額については次のように定められています。

課徴金額は、課徴金対象行為(つまり違反する表示)に関係する商品・サービスの売上額に3%を乗じた金額です。
課徴金の対象とされる売上は、「課徴金対象期間」の取引に関するものです。
課徴金対象期間は、次の期間です。

原 則:違反する表示をした期間

例 外
・違反する表示をやめた日から6月を経過する日までの間
または
・違反する表示をやめた日から6月を経過する日の前に、事業者が内閣府令で定める措置をとったときはその日までの間
に、当該事業者が違反する表示に係る商品やサービスの取引をしたときは、違反する表示をやめてから最後にその取引をした日までの期間を加えた期間。(ただし、その期間が3年を超えるときは、当該期間の末日からさかのぼって3年間)

このように課徴金の対象期間は、違反する表示をした期間とは異なる期間になることがあるため、注意が必要です。

改正法(2024年施行予定)による変更点

「事業者の自主的な取組の促進」、「違反行為に対する抑止力の強化」、「円滑な法執行の実現に向けた整備」を目的にした景品表示法の改正案が2023年5月10日に成立し、同月17日に公布されました。施行日は、現時点では未定ですが、公布かの日から1年半を超えない範囲内の政令で定める日とされています。

具体的な改正のポイントは以下のとおりです。

確約手続きの導入(第26条~第33条)
改正前景品表示法では、違反の疑いがある場合には調査の上、違反行為が認められれば措置命令や課徴金納付命令、違反行為が認められないが違反のおそれがあれば行政指導が行われることになっていました。
ただ、違反行為が認められた場合には、事業者自身が積極的に是正措置を講じても、措置命令や課徴金納付命令を避けられず、是正措置等を講じる意欲を失わせてしまいます。
そこで、改正法では、優良誤認表示等の疑いのある時点で、内閣総理大臣は、疑いの理由となった行為の概要などを通知することができ、これを受けた事業者が是正措置計画を作成・申請して内閣総理大臣から認定を受けた場合、措置命令及び課徴金納付命令を受けないという規定が創設されました。

課徴金制度の見直し(第8条第4項、第5項及び第6項)
課徴金対象違反行為(商品・サービスの取引について優良誤認表示または有利誤認表示)をした事業者に対しては、弁明の機会を与えた上で、課徴金納付命令が出されます。その課徴金額は、課徴金対象行為に関係する商品・サービスの売上額に3%を乗じた金額とされていますが、正確な売上額の報告がされない場合には課徴金の計算の基礎となるべき事実を把握できず、課徴金納付命令に時間を要していました。そこで、課徴金の計算の基礎となるべき事実を把握することができない期間における売上額を、その事業者か、課徴金対象行為に関係する商品・サービスの供給をする又は供給を受ける他の事業者から入手した資料を用いて売上額等を合理的な方法により推計できるという規定が整備されました。
また、繰り返し違反行為を行う事業者に対する抑止力を強化するため、違反行為から遡り10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対し、課徴金の額を加算(1.5倍)し、課徴金の対象となる商品やサービスの売上の4.5%とするものとされました。

罰則規定の拡充(第48条)
悪質な優良誤認表示や有利誤認表示をする行為を抑止するため、優良誤認表示または有利誤認表示をした者を100万円以下の罰金に処することとされました。

適格消費者団体による開示要請(第35条)
適格消費者団体は、一定の場合に、事業者に対し、当該事業者による表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の開示を要請することができるものとされました。また、事業者はこの適格消費者団体からの要請に応じる努力義務を負うものとされています。

他にも、 次のような改正があります。

国際化の進展への対応
特定の消費者へ一定の返金により課徴金額から減額される措置における返金方法として第三者型前払式支払手段(いわゆる電子マネー等)の許容

このように、違反後に真摯に是正措置を図ろうとする事業者に対しては救済措置が設けられましたが、基本的には違反した事業者に対する処分内容や罰則が強化されています。そのため、事業者としては、違反行為をしないよう、対策を立てる必要があります。

企業がとるべき対策

景品表示法第 26 条第1項は、それぞれの事業者内部において、景品表示法第4条の規定に基づく告示に違反する景品類の提供及び景品表示法第5条に違反する表示(以下「不当表示等」という。)を未然に防止するために必要な措置を講じることを求めています。

不当表示等を未然に防止するために必要な措置は、事業者の規模や業態、取り扱う商品又は役務の内容、取引の態様等に応じて様々ですが、事業者の理解を助けることを目的に消費者庁が公表している「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」に沿うような次の①~⑦に例示されるような具体的な措置を講じる必要があります。

では①~⑦の措置を見ていきましょう。

① 景品表示法の考え方の周知・啓発
不当表示等を防止するため、表示等に関係している自社の役員及び従業員に対して、その職務に応じ、景品表示法の考え方についての周知・啓発を行う必要があります。
複数の企業等が関わって表示を作成する場合、景品表示法の考え方を関係者間で共有することが難しいため、不当表示等が生じやすくなります。そのため、企業等が他の事業者に表示等の作成を委託するような場合、その事業者に対しても、その業務に応じて周知・啓発を行うようにしましょう。

周知・啓発を行うに際して次の点を十分に理解させるよう心がける必要があります。

  • 一般消費者にとって、表示等が商品やサービスを購入するか否かの重要な判断要素であること
  • 商品やサービスを最もよく知る事業者が正しい表示を行うことで、一般消費者の利益を保護することになるばかりか、最終的にはその事業者や業界全体の利益となること

② 法令遵守の方針等の明確化
企業としては、不当表示等を防止するため、自社の景品表示法を含む法令遵守の方針や法令遵守のためにとるべき手順等を明確化する措置が必要です。
また、表示等の作成を受託した事業者に対しても同様の措置が必要です。
ただし、必ずしも一般的な法令遵守の方針等とは別に不当表示等の防止に特化した法令遵守方針を明確化することまでは必要ありません。

③ 表示等に関する情報の確認
企業は、次の点を確認する措置をとる必要があります。

(1)景品類を提供しようとする場合
→違法とならない景品類の価額の最高額・総額種類・提供の方法等

(参考)
顧客を誘引する手段として、取引に付随して物品や金銭など、経済上の利益を過大に提供することが禁止されています。ただし、値引きやアフターサービスは除きます。

一般懸賞(商品・サービスの利用者に対し、くじ・抽選等の偶然性、特定行為の優劣等によって景品類を提供する場合)

一般懸賞

共同懸賞(商品・サービスの利用者に対し、一定の地域や業界の事業者が共同して景品類を提供する場合)

共同懸賞

総付景品(懸賞によらず、商品・サービスを利用したり、来店したりする人にもれなく景品類を提供する場合)

総付景品

例えば、100円のA商品を買うとおまけがついてくるという場合、おまけの価格は200円以下である必要があります。

なお、次のようなものについては、景品規制の対象外です。

  • 商品の販売・使用及びサービスの提供に必要な物品
  • 見本及び宣伝用の物品
  • 自店・自他共通で使用できる割引券、開店披露や創業記念などで提供される記念品

消費者庁「事例でわかる景品表示法 不当景品類及び不当表示防止法ガイドブック」より


(2)商品やサービスの長所や要点を一般消費者に訴求するために、その内容等について積極的に表示を行う場合
※規制対象となる表示は、ポスターやチラシのみならず、商品の容器やパッケージ、ディスプレイや実演広告、セールストークも含みます。
→当該表示の根拠となる情報

この表示の根拠となる情報について「確認」がなされたかどうかは、表示等の内容、検証の容易性、当該事業者が払った注意の内容・方法等を、事業者の業態等に応じて、個別具体的に判断します。


小売業:商品を提供する段階における情報の確認のみで足りる
飲食業:提供する料理を企画する段階→材料調達の段階→加工(製造)段階→実際に提供する段階等の複数の段階における情報の確認を組み合わせて実施することが必要
アフィリエイトプログラムを利用した広告:アフィリエイター等が作成した表示等を確認する必要がある場合もある

「アフィリエイトプログラム」とは、比較サイトやブログ等のウェブサイト運営者等が、そのサイト等に他の者が供給する商品やサービスのバナー広告、商品画像やテキストのリンク等を掲載し、そのサイト等を閲覧した者がバナー広告等をクリックするなどして広告主のサイトにアクセスして広告主の商品やサービスを購入または購入の申込みをした場合等に、一定の条件に従って、アフィリエイターに対して、広告主から成功報酬が支払われるというものです。
アフィリエイターが、自身のアフィリエイトサイトに、事業者のウェブサイトのURLを添付するだけの場合のように、商品やサービスの内容や取引条件について詳細な表示を行わない場合は、通常、不当表示等が発生することはあまり考えられません。また、広告主とアフィリエイターの間で、表示に関する情報についてのやり取りが全くない場合、通常、広告主が表示内容の決定に関与したとされることはないと考えられます。

④ 表示等に関する情報の共有
事業者は、前記③で確認した情報について、不当表示等を防止するための必要に応じて、当該表示等に関係する各組織部門や表示作成を受託した事業者等で共有し確認できるようにする措置をとることが必要です。

⑤ 表示等を管理するための担当者等を定めること
企業は、次の事項を満たす、表示等を管理する担当者や担当部門(以下「表示等管理担当者」といいます。)をあらかじめ定めておくという措置をとることが必要です。

【表示等管理担当者を設ける際の必要事項】
ⅰ 表示等管理担当者が自社の表示等に関して監視・監督権限を有していること。
ⅱ 表示等の作成を他の事業者に委ねる場合は、表示等管理担当者が当該他の事業者が作成する表示等に関して指示・確認権限を有していること。
ⅲ 表示等管理担当者が複数存在する場合、それぞれの権限・所掌が明確であること。
ⅳ 表示等管理担当者となる者が、景品表示法に関する一定の知識の習得に努めていること。(例 景品表示法の研修を受ける)
ⅴ 表示等管理担当者を、社内や表示等作成の受託業者に周知する方法が確立していること。

⑥ 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること
企業は、前記③で確認した情報を、表示等の対象となる商品やサービスが一般消費者に供給される可能性があると合理的に考えられる期間中、事後的に確認することができるよう、資料を保管する等、必要な措置を採ることが必要です。表示等の作成を他の事業者に委ねる場合であっても同様です。

⑦ 不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応
企業は、特定の商品やサービスに景品表示法違反又はそのおそれがある事案が発生した場合、その事案に対処するため、次の措置を講じることが必要です。表示等の作成を他の事業者に委ねる場合であっても同様です。

ⅰ 当該事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
ⅱ 前記ⅰで確認した事実に応じて、迅速かつ適正に、不当表示等による一般消費者の誤認を排除すること。(なお、不当表示等があった事実を一般消費者に認知させるなどの措置が求められる場合もある。)
ⅲ 再発防止に向けた措置を講じること。



なお、自社の商品やサービスについて一般消費者に対する表示をしていない事業者(広告媒体事業者等)でも、例えば、その事業者が、他の事業者と共同して商品やサービスを一般消費者に供給していると認められる場合は、景品表示法の適用を受けるため、措置を講じる必要がある点も注意が必要です。

この指針で例示されているもの以外にも不当表示等を防止する措置は存在します。それぞれの業務内容や社内体制に応じて、必要かつ適切な措置を講じるようにしましょう。

さらに、2024年に施行予定の改正では、確約制度が導入されました。措置命令及び課徴金納付命令を回避できるよう、優良誤認表示等の疑われる行為の概要などについての通知を受けた際には、早急に是正措置計画を作成・申請できるよう体制を整えておくようにしましょう。

直法律事務所の解決事例

景品表示法違反の疑いに係る消費者庁との折衝事案

業種
小売業

企業規模
資本金1000万円、従業員10名程度

ご相談内容
消費者庁から、クライアント企業が販売する商品の広告表示について、消費者庁が調査を開始する旨のメールが届きました。
上記のメールには、所定の報告書様式を用いて、広告表示に関する根拠資料とともに、報告書を提出するよう案内が記載されていました。
そこで弊所は、上記消費者庁に対する調査対応を支援することとなりました。

解決までの流れ
我々は、まず、広告表示の内容を決めた経緯、そして広告表示の根拠となる調査を開始し、表示内容の検証と具体的な事実の確認を行いました。
その上で、消費者庁が景品表示法上のいかなる規制を検討しているか判断し、今後発生し得る行政処分を意識して、措置命令や課徴金納付命令が課されないような、リスクマネジメント対応を実施しました。

報告書を提出した後は、消費者庁に代理人弁護士として足を運び、担当調査官と面談の上、広告表示の根拠等を説明しました。
その結果、消費者庁からは、措置命令や課徴金納付命令を回避する結果となりました。

解決のポイント
商品・サービスの効果、性能の著しい優良性を示す表示は、一般消費者に対して強い訴求力を有し、顧客誘引効果が高いものであることから、そのような表示を行う事業者は、当該表示内容を裏付ける合理的な根拠をあらかじめ有していなければなりません。
本件のように、消費者庁から広告表示の真実性を裏付ける根拠を求められた場合には、次の2つの要件を満たす必要があり、常日頃から広告表示においては、これらの要件を意識して、広告の真実性を裏付け資料を保管しておくことが肝要です。

  1. 提出資料が客観的に実証された内容のものであること
  2. 表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること

景品表示法に関するご相談は、東京都千代田区直法律事務所の弁護士まで

直法律事務所では、多くの顧問契約先における企業法務経験をもとに広告規制への対応実績が豊富にあります。法規制を遵守しつつ、御社の長所のアピール強化ができるよう適切にサポートしていきます。 景品表示法・薬機法その他広告法務に関するご相談をご希望の事業者様におかれましては、当事務所まで、お気軽にお問い合わせください。


【サービス紹介】
景品表示法・薬機法その他広告法務

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