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顧問とは?役割・契約形態、上場審査にむけたポイントを解説


澤田直彦

監修弁護士:澤田直彦
弁護士法人 直法律事務所 代表弁護士

IPO弁護士として、ベンチャースタートアップ企業のIPO実績や社外役員経験等をもとに、永田町にて弁護士法人を設立・運営しています。
本記事では、
「顧問とは?役割・契約形態、上場審査にむけたポイントを解説」
について、詳しくご解説します。

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顧問とは?

顧問とは、企業などから依頼を受けた上で、専門的な知識や経験に基づいて指導・アドバイスを行う役職をいいます。「アドバイザー」「ブレーン」と呼ばれる事もあります。
経営に関する意思決定を行う訳ではなく、実務は行わないことが通例です。此の点で、参与とは区別されます。

会社法上、顧問、理事、相談役といった名称の地位や機関は規定がなく、その法的位置付けは必ずしも明らかではありません。顧問は役員(取締役、監査役)ではない為、顧問として名前が登記される事もありません。

ただし、多くの企業では相談役や顧問について定款で定めを置いています。定款に明記しておけば、後に、株主から株主総会で顧問を置く必要性等について質問をされた時に、定款を示して適切に回答できると共に、ガバナンスの透明化を強調する事ができます。
また、後に、顧問が、求められていないのに、権威を振りかざして経営に口出しするというような事態も防ぐことが期待できます。

顧問の契約形態は、「嘱託契約書」、「業務委託契約書」や「顧問契約書」という名前の契約書を作成し、(準)委任契約という形態で行うことが一般的です。
但し、常勤の顧問で雇用契約の実態が認められる場合もあり得ます。雇用契約の場合は、社会保険への加入が認められますが、委任契約では加入できない、という違いがあります。

顧問を取り巻く状況

以前は、現役時代に活躍した人材が引退後に顧問に就任する事例が多く、名誉職的な性格が強い傾向がありました。日産など、不祥事が露呈し、顧問の報酬額を会社が把握できていなかった実態等が問題視され、ガバナンスの透明性を高める為、企業改革の一環として、顧問・相談役を廃止した会社もあります。

しかし、一方で、近年、特定領域で高度な専門性を持つ人材を顧問として迎え、その知識や経験、人脈ネットワークを生かし、アドバイスやサポートを受ける中小・ベンチャー企業が増えている事も確かです。

如何なる顧問が、当該会社にどのように、どれくらい、必要なのかを、まずはしっかり吟味することが重要です。

経産省が策定した『コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)』では、顧問について、「人数、役割、処遇などについて外部に情報発信する事は意義がある」と明記されました。
これに合わせて、東証でも『コーポレートガバナンスに関する報告書』の記載要領が改定され、顧問の処遇などに関する記載が追加されました。
すなわち、代表取締役社長やCEOを退任した後、引き続き顧問等の何らかの役職に就任している、又は何らか会社と関係する地位にある場合は、氏名、役職・地位、業務内容、勤務形態・条件(常勤or非常勤、報酬の有無・多寡など)を開示(任意開示)しなければならない、とされています。

なお、顧問や相談役等の不明確な地位を整理することも期待されています。
顧問や相談役制度を廃止する企業も増えており、各種の役職については、それぞれの機能を明確にし、経営体制の真の意味での再構築を考えることが望ましいとされています。

経済産業省が2016年秋に実施した調査によると、回答企業の約8割の企業に相談役制度があり、相談役制度を設けたことがある会社の約2割が見直しを検討しているが、政府は相談役の職務内容や就任の経緯等の開示を企業に求める方針であることが報道されました(日本経済新聞2017年2月1日付「政府、相談役の職務開示を企業に要請不適切な介入防ぐ」)。

なお、議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)も、2016年夏に相談役制度を導入する定款変更議案には「反対推奨」をする方針を発表しています。

先代社長を顧問とする事は、上場審査上、問題か?

先代社長だからといって、顧問とする事がおよそ許されないということはありません。
但し、上場審査の目的は、本来株主に還元されるはずの利益が不当に役員等に流れる事を防ぎ、会社の経営の健全性を確保する事です。
その為、その人が顧問としてふさわしいのかが慎重に審査されます。

そこで、以下の点について、調査・検討し、上場審査できちんと説明できるようにしておくことが肝要です。

  • その人のどの能力を評価しているのか
  • その能力は、今後の会社の業務上、どのような場面でどのように有用か
  • 業務内容や勤務形態(常勤or非常勤等)が具体的かつ明確か
  • 報酬と業務内容・勤務形態のバランスは適切か
  • 報酬はそれに対応する業務内容ごとに明確に定められているか
  • その人と会社の関係
  • その人に過去のトラブルがないか

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