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【今話題!】NFTとビジネス② ~NFTと資金決済法 / 賭博罪 との関係~

Q 
ブロックチェーンゲームにおけるNFT(アイテム)を前提としてお聞きします。
NFT(※)が資金決済法上の前払式支払手段や暗号資産に該当するのであれば、当社も資金決済法上の各種要件を満たすように計画を練らければなりません。
NFTが資金決済法上の前払式支払手段や暗号資産に該当するのか教えて下さい。
  
※NFT(Non-Fungible Token)とは、一般的に、ブロックチェーン上で発行および取引されるデジタルコンテンツとされています。
個性のあるデジタルデータであれば何でもNFTにすることが可能であることから、デジタルアート、ゲームアイテム、音楽、動画等、様々なものがトークン化(物理的な資産や仮想的な資産を、売買可能なデジタル単位に変換すること)され、高額な取引の対象にもなっています。

A 
ブロックチェーンゲームにおけるアイテムが従来のオンラインゲームアイテムと異なるのは、それがユーザー間で取引対象となるということです。
ご質問の例としては、ブロックチェーンゲームアイテムが、ゲーム内ではゲームアイテムとして利用されているとしても、取引市場において、支払手段として機能しているのかいないのかが問題となります。
取引対象となるというだけで、直ちに、資金決済法上の「前払式支払手段」や「暗号資産」に該当するための要件である「権利行使性の要件」を満たすわけではありません(例えば腕時計を売却できるとしても、腕時計が支払手段になるわけではないのと同様の理屈です)。

しかし、ブロックチェーンゲームにおけるアイテムの主たる用途が、ゲーム内で利用ができるキャラクターやヒーロー、武器、土地という用途にとどまらず、「取引市場での決済手段となっている」といったような場合には、権利行使性の要件を満たし、資金決済法に定める「前払式支払手段」や「暗号資産」に該当する可能性は出てくると考えられます。
その他、NFTを利用したゲームと賭博罪との関係性についても以下、ご説明します。


澤田直彦

監修弁護士:澤田直彦
弁護士法人 直法律事務所 
代表弁護士

IPO弁護士として、ベンチャースタートアップ企業のIPO実績や社外役員経験等をもとに、永田町にて弁護士法人を設立・運営しています。

本記事では、
「NFTとビジネス② ~NFTと資金決済法 / 賭博罪 との関係~」
について、詳しく解説します。

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資金決済法上の「前払い式支払手段」とは

資金決済法において、前払式支払手段(※)として該当するための要件は、以下の3要件となります(資金決済法3条1項)。

  1. 対価を得て発行されるものであること(対価発行性)
  2. 提示等により、商品又は役務の提供を受けられるものであること(権利行使性=支払手段としての機能があること)
  3. 上記受けられる商品又は役務が記録された標章・記号等であること(価値保存性)
※ 前払式支払手段とは、商品・サービスの代価の弁済等に使用されるものであって、発行者に対してあらかじめ対価を支払うことによって発行される支払手段を指します。
前払式支払手段の代表的なものとして、実店舗やオンライン上のショッピングサイト等で利用できる電子マネーがあげられます。

オンラインゲームのコインやアイテム

従来型のオンラインゲームで、アイテムの取引等に使われているコイン等は、

・課金して得られること、
・武器等のアイテムに変えられること、
・コインについて記録保存されること

から、資金決済法における前払式支払手段に該当する場合がほとんどです。

他方で、従来型オンライソゲームにおいては、ゲーム内のアイテムは対価発行性と価値保存性を満たしますが、一般的にはその取得をもって権利行使を終えたものと考えられ、さらに利用規約などにその旨を表示することで権利行使性を満たさないとして、前払式支払い手段ではないという整理がされています(※)

※ 従前、ゲームで利用できるアイテム等のデジタルデータが、資金決済法で定められる「前払式支払手段」に該当するか否かは、論点となっていました。
オンラインゲームにおいては、様々なアイテム等が発行されますが、そのアイテム等の一部には、当該アイテム等の取得をもって商品・サービスの提供を受けたのか(前述した権利行使性の要件を満たさないのか)、そのアイテム等は、まだ最終消費物ではなく、その後に商品・サーピスの対価の弁済等に使用できる、あるいは商品・サービスと引き換えができるものなのか(権利行使性の要件を満たすのか)、ということの判断が困難なものがあるからです。
この問題については、2016年の宝箱の鍵事件をきっかけに問題提起がなされ、オンラインゲームを提供する事業者と当局との間で議論が進み、2017年にノーアクションレター制度による回答がなされ、また、オンラインゲーム業界からガイドラインが公表されたことからも一定の解決がつきました。

NFTについて

例えば、ブロックチェーンゲーム内アイテムであるNFTが、移転先のゲームや、外部市場において、通貨性を持つものとして取り扱われることがあり得ます。

このような場合、アイテムを発行したゲーム事業者自身が、当該アイテムを通貨性を持つものとして取引を行えるように、取引市場となる機能を提供しているときは、自ら上記の権利行使性の要件を満たすように設計していることから、前述した「前払式支払手段」としての管理を求められることになると考えられます。

他方で、ゲーム事業者が上記のような設計をすることなく、1-1「オンラインゲームのコインやアイテム」でご説明したオンラインゲームのアイテムのような設計をしたにすぎない場合、NFTは「前払式支払手段」として取り扱う必要はないように思われます。

NFTが前払式支払手段に該当する場合

NFTが前払式支払手段に該当する場合には、 NFTの発行者が、前払式支払手段としての規制を受け、NFTの取引市場を開設する事業者には、特段の規制がかからないということになります。

前払式支払手段についての規制は、その発行を行う発行者に対して預かり資産の保護を中心とする行為規制を課すことに主眼があり、前払式支払手段発行者に対する規制が中心となるため、NFTを販売するユーザーや、取引を行う場を提供する事業者がいたとしても、例えば商品券が金券ショップで販売されているのと同じく、発行者以外の者は、金融規制の対象とはならないと考えられます。

資金決済法上の「暗号資産」に該当するか

暗号資産該当性

プロックチェーンゲーム内のNFTアイテムは、ブロックチェーンとして管理されているデータであるため、資金決済法上の「暗号資産」として管理する必要があるかどうかという問題があります。

従来、資金決済法上の「暗号資産」は、「仮想通貨」として整理されており、法律上もそのように定義されていましたが、2019年に成立した改正資金決済法により「暗号資産」という文言に変更になりました

「暗号資産」は、資金決済法上、1号暗号資産と2号暗号資産に分けられ、1号暗号資産は下記のような性質を持つものであると定義されています。

  • ①不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる
  • ②電子的に記録され移転できる
  • ③法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない

1号暗号資産は、主にビットコイン(BTC)、イーサリアム (ETH)等が当たることになります。
1号暗号資産は、資金決済法上の「前払式支払手段」と同様に、権利行使性の要件を満たす必要がありますので、前払式支払手段該当性と同様に支払手段としての機能があるかどうかを考える必要があります。

その結果、NFTは、一般的に法定通貨と交換できるわけでもなく、また、支払手段としての機能もないため、の要件を満たさず、1号暗号資産該当性はないでしょう。

これに対して2号暗号資産は、下記のように定義されています。

  • ①不特定のものを相手方として1号暗号資産と相互に交換ができる財産的な価値があること
  • ②電子情報処理によって移転できること

ゲーム内コンテンツを構成するNFTは、一般的に、「暗号資産」を対価として取引されることが多いです。このような取引においては、NFTは、暗号資産(ETH)と「相互に交換を行うことができる財産的価値」(資金決済法2条5項2号)に該当するようにも思われることから、NFTの2号暗号資産該当性が問題となります(仮に、NFTが2号暗号資産に該当する場合には、当該NFTを利用者間で取引できるプラットフォームを運営する行為が暗号資産交換業(暗号資産の取引所)に該当する可能性があります)。

【コラム】
暗号資産交換業とは、下記のいずれかに当たるものを指しています。

・ 暗号資産の売買または他の暗号資産との交換
・ 上記の行為の媒介、取次ぎまたは代理
・ 上記の行為に関して、利用者の金銭または暗号資産の管理をすること
・ 他人のために暗号資産の管理をすること


暗号資産を売買したり、交換したりする場所の提供や、それに伴う暗号資産等の管理を行うことなどが対象となっており、これらに当たる場合には、暗号資産交換業としての登録が必要となります。
この点について、金融庁は、パブリックコメントにおいて、2号暗号資産の要件である「不特定の者を相手方として前号(1号)に掲げるものと相互に交換を行うことができる」を判断するにあたり、「1号暗号資産を用いて購入又は売却できる商品・権利等にとどまらず、当該暗号資産と同等の経済的機能を有するか」を判断要素にあげています。(資金決済法 事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係16仮想通貨交換業者関係)に関するパブリックコメント暗号資産)I−1−1③)
そして、金融庁は、NFTの取扱いに関して、「ブロックチェーンに記録されたトレーディングカードやゲーム内アイテム等は、1号仮想通貨と相互に交換できる場合であっても、基本的には1号仮想通貨のような決済手段等の経済的機能を有していないと考えられますので、2号仮想通貨には該当しないと考えられます」と回答していることは注目するべきでしょう。

このように、ゲーム内コンテンツを構成するNFTは2号暗号資産に該当するかという問題について、金融庁の見解にもあるとおり、当該NFT(ゲーム内コンテンツ)がデジタルな商品として、暗号資産を対価として取引されているにとどまる場合は、当該NFTは2号暗号資産には該当しないと考えられます。

これに対して、ゲーム内コンテンツと称しつつ、当該NFTが1号暗号資産と同様に取引されている実態があるような場合は、1号暗号資産と同等の経済的機能を有しているとして、2号暗号資産に該当する可能性があるでしょう。

たとえば、NFTではあるものの、当該トークンの個性(質や内容)に着目して取引が行われておらず、同種類のトークンが同一の価値をもって取引されているような場合は、暗号資産に該当する可能性が高まるように思われます。

NFTが暗号資産に該当した場合

NFTが暗号資産に該当する場合には、それをウォレットで預かる事業者も、取引を行う場を提供する事業者も、暗号資産交換業の登録が必要となります。
暗号資産を取引市場で販売するユーザーは、自己が保有する暗号資産を販売するだけであれば金融規制の対象となりませんが、業として販売を行う場合には、暗号資産交換業の登録が必要となります。

BCGアイテムやNFTアイテムの取引市場は、現在のところ暗号資産交換業の登録を受けて営まれることは想定されていないように思われますが、暗号資産に該当する場合には、暗号資産交換所や取引所がこの担い手となるでしょう。

暗号資産交換業に関する主な規制

規制 概要
業規制 <発行者・媒介者>
暗号資産の売買等(管理行為を含む)を業として行うためには、「暗号資産交換業者」としての登録を要する(資金決済法2条7項8項、63条の2)
登録するためには、最低資本金要件(1,000万円)・純資産額要件(負の値でないこと)等を充足する必要あり
※暗号資産の発行を行う際に、発行者が、その販売を暗号資産交換業者に委託し、自らは全く行わない場合には、暗号資産交換業には該当しない
財産管理 ・暗号資産交換業者が利用者から金銭を預かる場合、自己の金銭と分別管理し、信託することを要する(資金決済法63条の11第1項)
・暗号資産交換業者が利用者から暗号資産を預かる場合、コールドウォレット(外部ネットワークと一度も接続していないウォレット)で管理する等の方法により、自己の暗号資産と分別管理することを要する(同条2項)
財産管理 取引時確認(本人確認)・暗号資産交換業者は、特定事業者として、特定取引を行うに際して本人特定事項等の確認を要する(犯罪による収益の移転防止に関する法律4条1項)

「前払い式支払手段」か「暗号資産」か

仮に、ブロックチェーンゲームのNFTアイテムが上記で説明したような支払手段としての性質を有すると、当該NFTアイテムが、特定の者に対してのみ使用ができる「前払式支払手段」なのか、又は、不特定の者に対しても使用ができる「暗号資産」なのかを検討する必要が出てくる、ということになります。

ブロックチェーンゲームのNFTアイテムは、ブロックチェーン技術を用いて作られていること、また、NFTアイテムが支払手段となるのは、主たる用途が不特定の者が参加する取引市場でその交換価値が承認されたような場合であると仮定すると、「不特定の者がこれを利用できる」との要件に該当し、すなわち、「前払式支払手段」よりも「暗号資産」の方に該当する可能性が高いのではないかと思われます。

この点について、金融庁のパブリックコメントによれば、「資金決済法上の仮想通貨の定義に含まれる「不特定」の要件については、実態に即して個別具体的に判断されるべきものと考えておりますが、不特定の者の間で移転可能な仕組みを有する場合、当該トークンが広く転々流通することが合理的に見込まれるため、同要件を充足する可能性が高いと考えられます。」 とされている点が参考になります。

NFTと賭博の関係

日本において賭博を行うことは刑法で禁止されており(刑法185条)

  1. 偶然の勝敗において、
  2. 「勝者が財産を得て、敗者が財産を失う」という関係が生じる

と、賭博罪が成立すると考えられています。

①の要件は、当事者において確実に予見できず、または自由に支配し得ない事情によって勝敗が決することを意味すると解されており、当事者の力量に基づいて技の優劣が争われる競技であっても、少しでも「運」の要素があれば充たされるといわれています。

また②の要件は、典型的には当事者が拠出した財産そのものが直接勝者に交付される場合に充たしますが、敗者の財産が第三者を介して間接的に勝者に交付されている場合も、勝者が財産を得て敗者は財産を失うという構造に変わりはないことから、「財物を賭けてその得喪を争う」ことに含まれると考えられています。

ブロックチェーンゲーム内のNFTアイテムと賭博罪との関係については、NFTガイドラインにおいて以下のとおり整理されていますので、ご参照ください。

4-2-2. NFTを利用したゲームについて

NFTは通常、財産的価値を有すると考えられるため、NFTを利用したゲーム(以下、NFTゲーム)では、サービス設計によっては賭博該当性に留意すべき場合があります。各会員企業にて弁護士等の専門家に照会する等して、適法性を確保したサービス設計となるようご留意ください。
特に留意を要するケースとして、パッケージ販売やガチャの手法を用いてNFTを販売する場合、こうした手法ではNFTの獲得に偶然性があるのが通常であることを考慮しますと、販売者と購入者との間や購入者と他の購入者との間で財産上の利益の得喪を争う関係(②・③)が認められるかを検討すべきこととなります。その判断のためには、サービス形態に応じた個別具体的な検討が必要ですが、例えば、販売者は自らが設定した販売価格に相当する対価の支払いを受けることとなりますので、購入者において、その販売価格に応じたNFTを獲得していると評価できる事情があれば、当該サービスは購入者が販売者との間で財産上の利益の得喪を争うものではないと整理しうると考えられます。

このように、例えば、NFTサービスにおいてガチャ(※)を行うことは、当該NFTサービスの仕組み次第では、賭博に該当する可能性があるため、ガチャの実装について慎重な検討を要します。
※ ガチャとは、ゲーム内通貨等を消費し、ランダムに貴重なアイテムを得られる仕組みです。

そのため、例えば、専らプログラムによって獲得するアイテムがランダムに決定され、当該獲得可能なアイテムが財産的価値を有し、かつゲーム内通貨等を消費して当該ゲーム内通貨等と価値の異なるアイテムを獲得するような場合、賭博罪が成立する可能性が高いと思われます。

NFTのパッケージを販売するサービスを日本において展開するにあたっては、弁護士等の専門家との間で賭博罪への該当性について十分な協議・検討が必要であり、また、所管する警察署その他の関係省庁に照会を行うことも大切でしょう。


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