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関係会社との関係を解消・継続する場合の注意点 関係会社の整備2

Q
当社は上場準備を行っており、関係会社の整備に着手しようと考えております。
具体的に、関係会社の整備はどのような時期に行えばよいのでしょうか。
また、関係会社との関係を解消する場合・継続する場合に、注意すべきことも教えていただきたいです。

A
関係会社の整備にあたっては、関係会社との関係を、「今後も続けるのか、解消するのか」を決定することとなります。
一般に、申請予定事業年度(N期)の直前々期(N-2期、つまり申請予定事業年度の2期前)は審査に耐えうる体制の整備を行う期間で、直前期(N-1期)は整備された体制を運用し実績をあげる期間といわれています。
したがって、関係会社を含めた業務フローや内部管理体制、システム等の前提としてのグループの形は、上場準備の早い段階で固めておく必要があります。
その上で、関係会社との関係を解消する場合には、どのような手段で解消するのかを検討することが重要です。
また、関係会社との関係を継続する場合には、関係会社の管理を徹底することとなります。

はじめに

上場準備において、関係会社との関係を整備することが必要となります。
まずは、申請予定会社が関係会社との関係があるかについて、関係会社の範囲から検討すべきとのお話をしました。

※関係会社とは、親会社、子会社、関連会社、その他の関係会社をいいます(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則8条8号)。
詳細は、関係会社とは?上場審査におけるチェックポイントも解説 関係会社の整備1をご覧ください。

次に、関係会社との関係を、「今後も続けるのか、解消するのか」を決定することとなります。
具体的に、どのような整備をすべきかについて、検討をしてみましょう。

関係会社の整備の時期

関係会社の整備は、できるだけ早い段階から検討をはじめ、準備することが重要です。
一般に、申請予定事業年度(N期)の直前々期(N-2期、つまり申請予定事業年度の2期前)は審査に耐えうる体制の整備を行う期間で、直前期(N-1期)は整備された体制を運用し実績をあげる期間といわれています。

したがって、関係会社を含めた業務フローや内部管理体制、システム等の前提としてのグループの形は、それらの整備を行う前に固めておく必要があります。

特に、関係会社との関係を解消する場合、申請会社の財務状況や資本政策に直接的に影響を与える要素が大きく、申請会社グループの外部の第三者の状況にも影響するため、解消に非常に時間がかかることが多いので注意が必要です。

そのため、関係会社との関係を解消する場合は、申請予定事業年度(N期)の直前々期(N-2期)の期首までには完了しておくとよいでしょう。

また、関係会社との関係や取引を継続する場合であっても、同様の趣旨から、申請予定事業年度の直前々期(N-2期)の期首までに整備を完了しておくことが望ましいとされています。

関係を解消する場合

取るべき方法

子会社や関連会社との関係自体を解消する場合、どのような方法をとればよいでしょうか。

代表的な方法としては、
●株式の譲渡により申請会社グループの外部に売却する方法
●吸収合併により申請会社の内部に取り込む方法、
●子会社の清算により存在自体を消滅させる方法等
があります。

注意点

解消にあたり相当の資金が必要になる場合があります
関係会社の株式をグループ外に売却することで関係を解消するような場合、売却先の資金が不足していると、その実行は困難となります。特に、株式の買い手が個人の場合は資金面から実行が困難な場合も多くみられます。
したがって、資金面での手当てができる方法を選択する必要があるので、確認が必要です。

株式の売却にあたっては、売却価格について合理的に説明が可能な状態にしておく必要があります
外部の第三者に対する売却ではなく、役員や創業者一族に買い取ってもらうケースにおいては、恣意的な価格決定の余地を排除しなければなりません。
そのため、売却価格の決定過程も明確にし、外部の専門家による株価の評価を実施する必要があります。

資本政策との関連も考慮する必要があります
関係の解消にあたり、吸収合併を行い申請会社の株式を対価として交付する場合には、株主が増加することになります。したがって、申請会社の資本政策への影響が生じることも考えられるので注意が必要です。

関係を継続する場合

関係会社の管理について

関係会社との関係を継続する場合には、上場審査において、関係会社に関する事項の確認が行われます。
審査の内容についての詳細は、「関係会社とは?上場審査におけるチェックポイントも解説 関係会社の整備1」 3.上場審査での視点をご覧ください。

そして、申請会社は、関係会社の経営成績・財政状態の状況や経営上の異常事項、申請会社の経営方針とのズレ等をタイムリーに把握し、適切な指導・改善ができるような管理体制を確立することが必要となります。

なぜなら、関係会社の業績および財政状態が悪化した場合、申請会社としては、債権放棄や債務弁済の肩代わり、またはその救済のための追加出資を行うなど不測の損失等が発生するおそれが生じるからです。

そのため、関係会社の経営成績や財政状態を常に把握し適切な対応が取れる仕組みが必要となります。

具体的な方法は、以下の通りです。

関係会社を管理する部署を明確にしましょう
管理部署としては、各機能別に、経理面は経理部、営業面は営業部というように分散化する方法と特定の部署(たとえば、経営企画室)にて一元的に管理する方法があります。
特定の部署で管理する場合にも、専門的事項については各部署のサポートを受けていく必要があります。
なお、組織上、関係会社管理部署を独立した部署とするか、または経営企画室や経理部等の既存部門に設置するかは、申請会社における関係会社管理の重要性の度合いにより判断すべきです。

関係会社管理規程の作成をしましょう
関係会社管理にあたっては、関係会社管理規程を作成する必要があります。
関係会社管理規程には、関係会社の範囲、管理責任者の権限と責任の範囲、申請会社の承認事項および申請会社への報告事項等が定められることとなります。
そして、報告事項については、月次ごとにタイムリーに報告書を入手し、適切にフォローできる体制を確立する必要があります。

内部統制報告について

上場後、最初に到来する決算日における内部統制報告書の提出が求められます。
そのため、上場審査上も、財務諸表の信頼性を確保するため、関連会社の内部統制の構築と評価制度への対応状況について問われます。

●内部統制の評価は、連結財務諸表を構成する有価証券報告書提出会社および当該会社の子会社および関連会社を対象として実施されます。( 連結子会社のみならず、持分法適用となる関連会社であっても評価範囲を決定する際の対象に含まれることに注意が必要です。)

全社的統制、決算・財務報告に係る業務プロセス、それ以外の業務プロセス等、それぞれの整備・運用の範囲については、連結財務諸表をベースとして、各拠点の重要性にかんがみて判断することになります。
重要な拠点として選定された拠点については、売上高、売掛金、棚卸資産の3勘定に至るプロセスが必須項目となります。

そのほか、業種の特徴や企業組織の特徴等を踏まえて、虚偽記載のリスクが大きいと考えられる取引についても評価範囲に含まれることがあります。
●内部統制報告制度における整備・運用のためには、文書化により可視化しておく必要があります
文書化の方法にあたっては特に決まりはありません。
一般的には、
・全社的統制や決算・財務報告プロセスであれば、チェックリスト形式の質問書
・業務処理統制であれば、①業務記述書、②フローチャート、③リスクコントロールマトリクスのいわゆる「3点セット」により、とりまとめることが多いです。

経営者は、全社的な内部統制の結果を踏まえて、業務プロセスに係る内部統制の評価の範囲、方法等を決定することになります。


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