澤田直彦
監修弁護士:澤田直彦
弁護士法人 直法律事務所
代表弁護士
IPO弁護士として、ベンチャースタートアップ企業のIPO実績や社外役員経験等をもとに、永田町にて弁護士法人を運営し、各種法律相談を承っております。
本記事では、
「法律とメタバース③【知的財産権の観点から解説!】」
と題して、詳しく解説します。
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利用者が創作したコンテンツ=UGCの著作権
利用者の手によって制作・作成されたコンテンツ=UGC(User Generated Contents)の著作権は、原則として、当該コンテンツを作成した利用者に帰属します。
一方、メタバースを運営する事業者は、メタバースを運営していくにあたり、UGCを次のように利用することが考えられます。
- 事業者自身による、運営に必要な範囲での複製・公衆送信・二次的著作物の作成等
- 他の利用者による、複製・公衆送信・二次的著作物の作成等
そこで、利用規約で、UGCの権利が各利用者に帰属することを確認しつつ、利用者の権利保護とメタバース事業の円滑の運営とのバランスをとるために、①②のようなUGCの利用について、利用者の許諾を得ることや著作者人格権の不行使等を規定することを検討しておくべきでしょう。
また、UGCが第三者の権利を侵害しているような場合、事業者や他の利用者が当該UGCを利用することで第三者の権利の侵害が拡大していく恐れがあります。そこで、UGCによる第三者の権利侵害等があった場合のリスクを限定的にするため、次のような表明保証等を利用規約に入れておくことも大切です。
- UGCを創作した利用者が第三者の権利侵害をしていないこと
- UGCの権利を保有していること又は権利処理を行っていること
仮想オブジェクトの権利関係
建物の再現
Yはメタバース上の市民会館を再現した景観の利用を止めることができますか?
ただ、ランドマーク等、著作物性が認められる建築物であれば、保護を受けられる可能性があります。
≪解説≫
まず、現実世界の建築物が意匠登録されている場合、意匠権による保護が可能か問題となります。
しかし、意匠登録された実用品のデザインを、メタバース上に再現して利用する場合、意匠登録された実用品の用途・機能に従った使用ではないことから、意匠権は及ばず、意匠登録をした者は、他者が仮想空間に再現した建築物の利用することを止めることはできないと考えられます。
次に、著作権による保護はどうでしょうか。
著作権の対象となる著作物は、「文学、芸術、美術又は音楽の範囲に属する」必要がありますが、建築物の多くは実用的要素が強いとされ、著作物であると認められる建築物はわずかです。そのため、事業者は、建築物の屋外の景観を模した景観を作ることができるのが原則です。
ただ、ランドマーク等、著作物であると認められる建築物もわずかながら存在します。このような建築物の場合、著作権があるのでメタバース上で自由に再現することはできないようにも思われます。しかし、著作権法により、「建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合」(同法46条2号)や「屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合などの場合」(同条3号)を除き、利用することができるとされています。メタバース上で建築物を再現しても、建築により複製したことにはならないので、著作物である建築物であっても、基本的にはメタバース上で自由に再現することが可能です。ただし、「太陽の塔」のように、建築の著作物であると同時に美術の著作物であるような場合、「専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合」(同条4号)も著作権者の利用許諾が必要です。
とはいえ、著作物である以上、著作者人格権も存在します。このような建築物の場合、再現の方法や表現が、著作物の内容を曲解させる場合や、著作者の人格を貶める場合、著作者人格権の一つである同一性保持権を侵害する可能性もあります。
なお、建物や施設の内部についてはこの限りではありませんので、注意しましょう。
著作権法第46条(公開の美術の著作物等の利用)
美術の著作物でその原作品が前条第2項(※)に規定する屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。
- 彫刻を増製し、又はその増製物の譲渡により公衆に提供する場合
- 建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合
- 前条第2項に規定する屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合
- 専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合
※美術の著作物の原作品を街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置する場合
ポスター・看板等の写り込み
この場合、著作権者の許諾は必要でしょうか?
しかし、全体の景観に写り込んだ一部として付随的にポスターを利用しているにすぎない場合、著作権者に与える不利益が小さく、著作権を侵害しないものとされています(著作権法第30条の2)。つまり、「写り込み」としての利用であれば、著作権者の許諾が不要です。
そこで、メタバース上の景観としてポスターを利用する場合も「写り込み」として著作権者の許諾を不要とできるのか問題となります。
「写り込み」として認められるためには、写り込む著作物が「軽微」な構成部分である必要がありますが、メタバースの場合、写り込んだ著作物に接近することにより拡大表示させることも可能です。これについて、再現された街全体との関係では「軽微」であり「写り込み」と評価できるとも考えられますが、許容されない可能性もあります。
そこで、事業者としては、できるかぎり著作権者の許諾を取得するか、別の景観等に置き換えるのがよいでしょう。
実用品を模した仮想アイテム
ア メタバース内の仮想アイテムの模倣
これを止めさせることはできますか?
さらに、著作権の侵害の有無を検討すると、少なくとも、現実世界のハンドバッグの実用性や機能性から離れて美的鑑賞の対象となるデザインであればXに著作権が認められ、Yによる利用・販売を差し止めることが可能と考えられます。
この点、メタバース空間は現実世界における実用性や機能性に縛られないため、美的鑑賞の対象となるデザインであると認められやすくなる可能性があると考えられます。
なお、メタバース上の仮想アイテムは意匠権の保護はないと考えられます。
≪解説≫
①意匠法による保護
まず、仮想アイテムのデザインを意匠登録して保護を受けることが可能か問題となります。
令和2年4月から、機器の操作や機能のために用いる画像はその機器自体に表示されていなくても意匠法により保護されることになりましたが、仮想アイテム等のデザインは、機器の操作性等の向上とは無関係であり、機器の操作や機能のために用いる画像ではないため、意匠法により保護されないと考えられます。
②商標法による保護。
次に、商標法による保護が受けられないか検討してみましょう。
自社の会社自体や商品・サービス等のマークやロゴ、象徴となる人形などは、商標登録することで、第三者が無断で利用するのを防止し、無断利用をされた場合には商標権の侵害を理由として利用の差し止めや損害賠償請求が可能となります。
商標権の侵害が認められるためには、マーク自体が類似しているだけではなく、そのマークを付した商品やサービスの内容が類似している必要がありますが、本問のようにメタバース上の仮想アイテムを模倣してメタバース上の仮想アイテムとして利用する場合、商品・サービスの内容の類似が認められると考えられます。
このような場合、商標権の侵害を理由として利用の差し止めや損害賠償請求が可能となります。
③不正競争防止法による保護
X自身や、仮想アイテムに付したロゴやマークが日本で有名であるような場合、第三者による無断使用は、不正競争防止法により、周知表示の混同惹起行為(同法第2条第1項第1号)または著名表示の冒用行為(同法第2条第1項第2号)として差止を検討する余地もあります。例えば、利用者がマークを見たときに、当該マークを使用している事業者又は提携している事業者などが提供しているアイテムであると誤信する可能性がある場合には、周知表示の混同惹起行為と認められる可能性があります。
ただ、周知表示は 著名で知名度が高い商品表示等に限って保護されるものです。
そのため、独自のマークなどを展開する場合には商標登録を検討しておくべきでしょう。
④著作権による保護
次に、著作権法による保護を検討しましょう。
メタバース上に公開されたデジタルアートや音楽などは、現実世界におけるアートや音楽などと同じく、ありふれた表現や抽象的なアイディアではなく、創作性のある表現であれば、著作物として著作権の保護の対象となります(著作権法2条1項1号)。
では、アバターが身に着ける洋服やハンドバッグ、アバターの生活空間に設置する家具などの実用品の仮想アイテムにも、著作権等の保護が認められるのでしょうか。
裁判例では、実用品のデザインの著作物性は、実用性や機能性から離れて美的鑑賞の対象となるか否かで判断されることが多いです。この要件を満たす仮想アイテムをメタバース上で再現した場合には著作権保護の対象となり得ます。
また、最初からメタバース上で公開し利用等する前提でデザインされた仮想アイテムなどは、メタバース空間は本来の実用性や機能性に縛られないデザインが可能であり、創造性が認められやすいため、著作権の保護の対象となる場合も多くなると考えらえます。ただ、メタバース空間を前提とする仮想アイテムであるからといって安易に著作物性を認めてしまうと、仮想アイテムを作成することで、意匠登録をせずに、現実世界で同じデザインの実用品の製造・販売を著作権に基づいて禁止することができてしまうことになりかねないという問題もあり、現実世界の実用品と同程度の創作性が認められない限り、著作物性を認めないとすべきとする見解もあります。
そこで、仮想アイテムの作成・公開にあたり、著作物として保護を受けたい場合には、デザインをできる限り創作的なものとする工夫を検討しましょう。
イ 現実世界のアイテムの模倣
これをXはYの販売を止めさせることはできますか?
また、仮にXがⓧマークを商標登録していたとしても、仮想アイテムとしての利用を指定商品として設定していない場合、現実のバッグと仮想アイテムのバッグでは用途が全く異なるため、Yによる仮想ハンドバッグの販売を商標権侵害とすることは困難です。そのため、Xは、商標登録に際して、仮想空間での利用も含めた指定商品・役務を設定することを検討しておくべきでしょう。
次に、Xやⓧマークの知名度が高ければ、不正競争防止法の周知表示の混同惹起行為(同法第2条第1項第1号)または著名表示の冒用行為(同法第2条第1項第2号)として差止を検討する余地もあります。
≪解説≫
①意匠法による保護
現実世界の実用品のデザインは、意匠法によって保護されることが多いです。「意匠」とは、物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいい、物品の「部分」のデザインも「意匠」に含まれます(特許庁ホームページ「意匠制度の概要」より)。また、前述のとおり、令和2年4月から、機器の操作や機能のために用いる画像はその機器自体に表示されていなくても意匠法により保護されることになりました。
実用品のデザインを意匠登録した場合、意匠権者以外の者は、勝手に、同一又は類似のデザインの物品の製造や、意匠登録された実用品の用途・機能に従った使用等をすることはできません。
では、意匠登録された実用品のデザインを勝手に模倣して仮想アイテムを作成した場合は意匠法によって保護されるのでしょうか。
この点、意匠登録された実用品のデザインを、メタバース上などで仮想アイテムとして再現して利用する場合、意匠登録された実用品の用途・機能に従った使用ではないことから、意匠権は及ばず、意匠登録をした者は、他者が当該仮想アイテムを利用することを止めることはできないと考えられます。
②商標権
自社の会社自体や商品・サービス等のマークやロゴ、象徴となる人形などは、商標登録することで、第三者が無断で利用するのを防止し、無断利用をされた場合には商標権の侵害を理由として利用の差し止めや損害賠償請求が可能となります。
では、現実世界で商標登録した自社の商品用のマークを、第三者が無断でメタバース上の仮想アイテムに付して販売した場合、商標登録した会社は第三者に対してマークの使用の差し止めや損害賠償請求ができるのでしょうか。
この点、商標法上、商標権侵害があると言えるためには、第三者が用いたマークが登録したマークと同じ又は似ているというだけでは足りず、第三者がマークを付した商品やサービスの内容が商標登録された商品やサービスと同じである又は似ている必要があります。つまり、「商標」の類似だけではなく、「商品」の類似が必要なのです。「商品」が類似しているか否かは、商標登録の際に指定した商品の用途や当該商品を購入等する者が共通しているか否か、その商標を使ったときに同じ営業主が提供している商品と誤認されるか否かなどをもとに判断されます。
通常、現実世界で利用する予定の商標を登録する場合、現実社会で利用されることだけを前提として指定商品やサービスを設定していることが多いです。
では、仮に指定商品「かばん類」として登録していた場合、メタバース上の仮想アイテムであるバッグが類似した商品と言えるのでしょうか。
この点、明確な指針等はありませんが、現実のバッグと仮想アイテムのバッグでは用途が全く異なります。また、仮想アイテムのバッグも販売しているが、現実世界でバッグを販売している事業者であると誤認するのが通常とまで言えない場合も多いと考えられます。そのため、類似性が認められるのはなかなか困難です。
そこで、商標権を登録する場合には、第三者によって無断で仮想アイテム等として利用されないよう、仮想空間で使用するアイテムとして商品・役務を指定することも検討しましょう。
③ 不正競争防止法
当該マークが日本で有名であるような場合、第三者による無断使用は、不正競争防止法により、周知表示の混同惹起行為(同法第2条第1項第1号)または著名表示の冒用行為(同法第2条第1項第2号)として差止を検討する余地もあります。例えば、メタバースで利用者がマークを見たときに、現実世界で当該マークを使用している事業者又は提携している事業者などが提供しているアイテムであると誤信する可能性がある場合には、周知表示の混同惹起行為と認められる可能性があります。
ただ、やはり周知表示の混同惹起行為と言えるかについては、現実世界と仮想空間で商品やサービス内容が異なることから混同を生じていると言えるのか、問題があります。また、前述のとおり、周知表示は著名で知名度が高い商品表示等に限って保護されるものです。
そのため、前述のように商標登録に際して、仮想空間での利用も含めた指定商品・役務を設定することを検討しておくべきでしょう。
(FASHIONSNAP「エルメスがNFTの商標権をめぐる裁判で勝訴 芸術作品ではないと判断」2023年2月9日
Yahoo!ニュースより、最終閲覧2023年4月19日)
著作物利用の活性化
どのような方法があるのでしょうか?また、注意点はありますか?
そこで、事業者としては、あらかじめ利用規約で、著作物の複製や公衆送信等に関する許諾を得ておくということが考えらえます。
また、著作権者がCCライセンス(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス=著作物の利活用に際して守ってほしい条件を意思表示するためのツール)等を用いて、他の利用者に対する利用許諾が容易にできるシステムを構築することが考えられます。
また、事業者や著作物を利用する利用者がトラブルに巻き込まれにくくなるよう、デジタルアートや仮想アイテムを作成し、アップロードする際、利用規約で第三者の権利侵害をしていない旨の表明保証を盛り込んだうえで、利用者に対して権利侵害をしないよう注意喚起しておくことが望ましいです。
CCライセンスの種類
作品を利用(再配布やリミックス作品の公開、実演等)するための条件は以下の表の4種類です。これらの条件を組み合わせることで、6種類のCCライセンスができます。権利者は、自分の作品をどのように流通させたいかを考え、必要に応じて適切な組み合わせのライセンスを選ぶことになります。
出典:クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)(活動母体:特定非営利活動法人コモンスフィア)ホームページ「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」
アバターの法的問題
著作権
アバターの作成方法は、事業者が用意したパーツを組み合わせるだけの場合や、完全にオリジナルで作成する場合など、種々考えられます。そのアバターに著作権が認められるか否か、そして誰に著作権が認められるかについては、作成方法や表現内容により、ケースバイケースといえます。事業者がパーツを用意した場合には、これらのパーツが著作物に該当し、組み合わせてできたアバターは二次的著作物となる場合もあり、その場合は事業者が著作権を主張できることになります。他方、創作性のあるアバターは、その創作者に著作権があるということも考えられます。そのため、事業者としては、アバターの創作者に著作権があることを前提として措置を講じていく必要があります。
また、アバターをメタバース上で利用する場合、他の利用者のデバイス上にも同じアバターが登場します。これは、事業者側で、アバターのモデルデータを複製して同一の仮想世界にアクセスした利用者のデバイスに送信するという過程を経ています。そのため、アップロード等されたアバターについて、公衆送信や複製、再頒布を許諾する旨を利用規約等に盛り込んでおく必要があります。
さらに、利用者が、勝手に、他者に権利がある有名キャラクターやアート、商標等をアバターとして制作、アップロードして、利用するおそれもあります。事業者側としては、利用者に対して、権利侵害をしないよう注意喚起するとともに、次のような点を利用規約で規定するようにしましょう。
- アップロードするアバターが第三者の権利を侵害していない旨の利用者の表明保証
- 違法な投稿は投稿者による事前の同意なく削除又は差し替えを可能とすること
アバターのダンスや歌唱等(パフォーマンス)の権利関係
アバターを介したダンスや歌唱等のパフォーマンスについて、著作隣接権の中の実演家の権利により保護されるか否か問題となります。
著作権法における「実演」は、通常、人間が肉体を駆使して著作物を表現する行為を想定しています(著作権法2条1項3号)。
そのため、アバターを介して人間が音声を発生する場合については、アニメで声優が声を演じる場合と同様であり、「実演」に該当すると考えられます。
しかし、利用者の動きをモーションキャプチャーなどで反映してアバターがダンスや演技をした場合、利用者の動きを「実演」とみるか、アバターの動きを「実演」とみるべきか問題となります。
利用者の動きを「実演」とする場合、アバターの動きは「実演」ではないため、第三者に録画されて拡散されても、実演家の権利で保護されません。他方、アバターの動きを「実演」とする場合には、勝手に第三者に録画されて拡散された場合には、実演家の権利で保護されることになります。
このように、現時点では権利関係が明瞭ではありません。しかし、アバターを通じたパフォーマンスも保護されるべきであると考えらえますので、事業者としては利用規約等でアバターを通じたパフォーマンスを保護する規定を置くのが望ましいです。
また、もう一点、メタバース上での実演などについて注意が必要な点があります。現実の空間であれば、ボランティア団体の無料コンサートなどのように非営利・無料であれば、公衆に聞かせる目的で第三者が著作権を有する楽曲を演奏しても著作権侵害にはなりません(著作権法38条1項)。しかし、メタバース上で第三者の著作物である楽曲を公衆に聴かせる目的で演奏した場合、非営利かつ無料であっても、著作権侵害となってしまいます。著作権法38条1項は著作権者の許諾を不要とする例外規定ですが、上演、演奏、上映又は口述が対象です。メタバース上での演奏は公衆送信されることになりますが、公衆送信はこの例外規定の対象外なのです。メタバース事業者が、このような著作権侵害を放置していたような場合には、法的責任を追及される可能性もありますので、注意が必要です。
アバターの行動制約
前述のとおり創作性のあるアバターは著作物となる可能性があり、創作者に著作権があります。他の事業者に作成委託した3Dモデルをアバターとして利用者に提供するような場合、創作者の著作者人格権を保護するため、利用規約などで、メタバース上でのアバターの行動制限(例えば、誹謗中傷や迷惑行為の禁止など)をする必要がある場合もあります。
参考文献
- バーチャルシティコンソーシアム「バーチャルシティガイドラインver 1.5.0」(published 2022.11.08)
- AMTメタバース法務研究会「メタバースと法(第3回)メタバースと知的財産権」NBL1228号(2022年)68-75頁
- 酒井麻千子「メタバース上でのコンテンツ流通と知的財産法」法学セミナー817号(2023年)47-52頁
- 岡本健太郎「メタバースにおける現実の再現とその権利問題」アド・スタディーズ81巻(2022年)
- 上野達弘「メタバースをめぐる知的財産法上の課題」Nextcom52巻(2022年)
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