澤田直彦
監修弁護士:澤田直彦
弁護士法人 直法律事務所
代表弁護士
IPO弁護士として、ベンチャースタートアップ企業のIPO実績や社外役員経験等をもとに、永田町にて弁護士法人を設立・運営しています。
本記事では、
「株主総会の省略と議事録の書き方・押印について【ひな形(雛形)付】~改正法「株主総会資料の電子提供制度」も~」
について、詳しくご説明します。
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株主総会とは
株主総会は、株式会社の重要な意思決定を行うための最高意思決定機関です。株主総会は、会社の株主が集まり、会社の運営や重要な方針に関する議案を審議し、決定します。株主総会は、通常、定期的に開催される「定時株主総会」と、必要に応じて開催される「臨時株主総会」に分けられます。
定時株主総会とは
定時株主総会とは、毎事業年度の終了後一定の時期に招集される株主総会のことをいいます(会社法296①)。
多くの会社では、事業年度を1年としているため、毎年1回、定時株主総会を開催することになります。開催時期については決まりがありませんが、定款で事業年度の末日を基準日に定める例がほとんどであるため、その効果の及ぶ基準日から3か月以内に開催されるのが通常です。基準日の効力は3ヶ月を超えられないため(会社法124条2項)、3月末日を基準日にすれば、6月中には株主総会を開かなければならず、計算書類の作成・監査、招集通知の作成・発送に必要な期間を考慮すると、どうしても株主総会の開催日は6月下旬に集中することになります。3月決算会社が6月下旬に定時株主総会を開催するのはこのためです。
定時株主総会では、各事業年度に係る事業報告の内容の報告(会社法438③)と各事業年度に係る計算書類の承認(会社法438②)がなされるほか、剰余金の配当(会社法454①)、取締役の選任(会社法329①)、監査役の選任(会社法329①)、代表取締役の選定(取締役会非設置会社の場合、会社法349③)等も目的事項(決議事項)とされることがあります。
臨時株主総会とは
臨時株主総会は、必要に応じて随時開催される株主総会です。
通常、会社の運営において緊急を要する事項や、定時株主総会では対応できない特別な議題が発生した場合に招集されます。臨時株主総会は、取締役会や株主の一定数の請求によって開催されることが多く、決議事項は定時株主総会と変わりありません。
なお、臨時株主総会について、議決権行使の基準日に関する定款の定めは設けられていないのが通常ですので、臨時株主総会を開催する場合、議決権を行使することができる株主を確定するための基準日を定めるときは、個別に基準日を定めることになります。もっとも、公開会社のように株主が日々変動する会社とは異なり、株主の変動が基本的に予定されていない非公開会社においては、臨時株主総会の議決権行使に関する基準日を定める必要は必ずしもありません。
株主総会で決議しなければならない事項とは
例えば、会社法で定められる株主総会で決議しなければならない事項は、取締役会を設置している会社でいうと、以下のような事項があります。
決議の種類 | 定足数 | 決議要件 |
---|---|---|
普通決議 (309条1項) | 定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主の出席 | 出席株主の議決権の過半数 |
特別決議 (309条2項) | 株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合は、その割合以上)を有する株主が出席 | 出席株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合)以上。(決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることも可能)。 ※頭数要件も可能 |
特殊決議(309条3項) | なし (事実上決議要件の数以上) | ①頭数:株主総会で議決権を行使できる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合以上) ②議決権:株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合)以上。 ※ 頭数と議決権の両方が必要 |
特殊決議 (309条4項) | なし (事実上決議要件の数以上) | ① 頭数:総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合以上) ②議決権:総株主の議決権の4分の3(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合)以上。 ※ 頭数と議決権の両方が必要 |
決議の種類 | 決議事項 |
---|---|
普通決議 | ●自己株式の取得(会156条1項) ●総会検査役の選任(会316条1項) ●業務財産検査役の選任(会316条2項) ●延期・続行決議(会317条) ●役員の選解任(会329条1項、341条) ●会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表者の選定(会353条) ●会計監査人の出席要求決議(会398条2項) ●計算書類の承認(会438条2項、441条4項) ●減少額が分配可能額より少ない場合の資本金の額の減少(会447条1項) ●準備金の額の減少(会448条1項) ●資本金の額の増加(会450条2項) ●準備金の額の増加(会451条2項) ●剰余金の処分(会452条) ●剰余金の配当(会454条1項) ●株主総会議長の選任 ●株主総会の議事運営に関する事項の決定 |
特別決議 | ●譲渡制限株式の買取(会140条2項) ●特定株主からの自己株式の取得(会156条1項、160条1項) ●全部取得条項付種類株式の取得(会171条1項) ●譲渡制限株主の相続人に対する売渡請求(会175条1項) ●株式の併合(会180条2項) ●募集株式・募集新株予約権の発行における募集事項の決定(会199条1項、238条2項) ●募集事項の決定の委任(会200条1項、239条1項) ●株主に株式・新株予約権の割当を受ける権利を与える場合の決定事項の決定(会202条3項4号、241条3項4号) ●累積投票取締役・監査役の解任(会339条1項、342条) ●役員の責任の一部免除(会425条1項) ●資本金の額の減少(会447条1項) ●現物配当(会454条4項) ●定款の変更(会466条) ●事業譲渡の承認(会467条) ●解散(会471条3項) ●解散した株式会社の継続(会473条) ●吸収合併契約・吸収分割契約・株式交換契約の承認(会783条1項、795条1項) ●新設合併契約・新設分割計画・株式移転計画の承認(会804条1項) |
特殊決議 | ●公開会社から非公開会社への変更(定款変更) ●人的属性に基づき株主の権利を取扱う定款の変更(会109条2項) |
このような株主総会決議事項について、招集手続等を省略できる場合はあるのでしょうか?
株主総会の開催の省略について(みなし決議とみなし報告)
みなし決議とは
みなし決議とは?
たとえば、上記のとおり役員の選任には株主総会決議が必要ですが、このように株主総会において決議を成立させるためには、
- ①取締役会(取締役会がない場合には取締役)において株主総会の招集決定
- ②株主に対する招集通知の発送
- ③株主総会の開催・決議
という手順を踏むのが原則です(会社法298条、299条、309条)。
しかし、319条1項は、以下の3つの要件を満たす時には、招集手続きや株主総会の開催を省略して、株主総会決議があったとみなすことができるとしています(いわゆる「みなし決議」)。
- ①取締役または株主による決議事項についての提案
- ②①につき株主の全員による書面または電磁的記録での同意
株主全員の同意がある場合には、わざわざ株主総会を開催しなくてもいいだろうというのが、その趣旨です。 みなし決議の対象には限定がないので、定時株主総会の開催を省略したい場合(319条5項)や特別決議事項(309条2項、定款の変更等)の決議の場合などにもこの制度を使うことが可能です。
一人会社や株主が少数で良好な関係にある会社では、株主全員の同意もとりやすく、有用な方法といえるでしょう。
以下では、具体的にどのような流れでみなし決議を行うのかを見ていきます。
①取締役または株主による決議事項の提案
〈取締役(取締役会)による提案 〉
会社法319条1項は取締役が株主総会の決議事項を提案できるとしているため、取締役会設置会社においても取締役会決議が不要のようにも思われます。
ただ、原則どおり株主総会を開催する場合には、取締役会決議が必要で(298条1項、4項)、これが欠ける場合には、招集手続の法令違反として株主総会決議の取消事由となります(831条1項1号・最高裁昭和46年3月18日判決・民集25巻2号183頁)。
みなし決議をあくまで、本来必要な株主総会の議事のみを省略するものであると解した場合、原則との均衡から、みなし決議における目的事項の提案は「重要な業務執行」(362条4項)にあたり、取締役会決議が必要でない場合には取消されうる可能性が出てきます。
そこで、取締役の提案によりみなし決議を行いたい場合には、取締役会決議を得て、その後代表取締役が株主に対して提案をするという手順を取った方が安全であると思われます。
なお、みなし決議によって、登記手続が必要な決議を行った場合(例:取締役選任決議)でも、登記申請に必要となるものは、株主総会議事録であり、取締役会議事録を添付する必要はありません(商業登記規則61条)。
〈株主による提案〉
決議事項を株主が提案することも可能です。この場合、①のように取締役会決議の要否が問題になることはないと考えられます。①のような取締役会決議に関わる煩雑な手続きを避けることが可能です。
②株主全員による同意
ここでいう株主とは、その議題につき、議決権を行使することができる株主のことです。
すべての株主からの同意書の送付により、株主総会の決議があったものとみなされます。そしてみなし株主総会決議は、議決権のある株主全員の同意の意思表示が会社に到達した日に成立します。
一般的に同意書は、会社側が提案書兼報告書に同封して返送してもらう形をとります。書面の郵送に限らず、メールでPDFの同意書を返送してもらうなどの電磁的記録によるものも可能です。
※この同意書は本店に10年間備え置き、請求に応じて閲覧謄写をさせる必要があります(同2項、3項)。ただし、登記申請の際に添付する必要はないと思われます(商業登記規則61条)。
みなし報告とは
取締役は原則として、定時株主総会で事業報告(または計算書類の内容の報告:会計監査人設置会社のケースなので、ベンチャー企業では滅多にないと思われます。)を行う必要があります(会社法438条3項、439条)。しかし、以下の要件を充足すれば、株主総会を経ていなくてもその報告がなされたとみなされるのが、みなし報告の制度です。
- ①取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知したこと(方法には特に指定はなく、事業報告の内容を通知するということです(会社法438条3項、439条))。
- ②株主全員の書面または電磁的記録での同意:郵送でもメールでも可能です。
この制度を利用すれば、報告のためにわざわざ定時株主総会を開催する必要がなくなります。
※なお、株主総会の開催・株主総会での報告を省略した場合でも、株主総会決議議事録の作成・備置きが必要になります。ただ、手続きが異なる関係上、議事録の記載事項が少し異なりますので、注意してください(2-3(2)参照)。
同意書 記載例 ※あくまで見本ですので、自社のビジネスに即してカスタマイズしてください。
(1)第〇期(自 令和〇年〇月〇日至 令和〇年〇月〇日)計算書類承認の件
……
(2)取締役1名選任の件
……
2 報告事項
第〇期(自 令和〇年〇月〇日至 令和〇年〇月〇日)事業報告の内容
東京都●●●●市
〇〇〇〇(印)
株主総会の議事録の作成について
議事録とは?作成すべきなのか?
株主総会決議議事録は、株主総会の議事について会社法上、法務省令の定めに従い作成することが義務付けられた書面です(会社法318条、会社法施行規則72条)。
株主総会決議により新たな法律関係が形成され、その法律関係には、多様な利害関係人が関与してきます。議事録は、その株主総会決議の内容やその成立過程を示す重要な証拠書類と言えます。
そこで、この議事録は、本店には株主総会後10年間、支店には写しを5年間備え置き、株主や会社債権者の請求があれば、基本的に閲覧・謄写させなければなりません。
前述のみなし決議(会社法319条)の場合には、議事録に加え、株主の同意書またはその電磁的記録も、本店に10年間備え置かなければなりません(ちなみに、他にも株主総会関係の書類として、議決権行使の代理委任状及び議決権行使書は本店に3ヶ月備え、同様に閲覧・謄写に供することになります(会社法318条、310条6項、311条3項、312条4項))。
これらの義務に反し、記載すべき事項を記載しなかったり、虚偽の記載をした場合や一定の期間備え置かなかった場合、正当な理由なく閲覧・謄写を拒否した場合には、100万円以下の過料の制裁を受ける可能性があります(976条4号・7号・8号) 。
そのため、まずは、議事録を会社法のルール通りにしっかりと作成する必要があります。
議事録の作成方法 - 形式面について
誰が作るか?(作成者)
誰が議事録を作成すべきかについて、会社法上は明らかではありません。
後述の通り、議事録には「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」(会社法施行規則72条3項6号)を記載しなければならないので、取締役が作成すべきとも思えます。
しかし、実際上は、従業員が作成している会社も少なくないでしょう。
取締役の氏名を記載事項とする趣旨は、議事録作成責任者を明らかにするためと考えられるため、従業員が作成した上で、代表取締役が確認の上、誤りがなければ自身の名前を記載するというような運用でもかまわないでしょう。
何で作るか?(形式 紙orデータ?)
株主総会の議事録は、書面(紙媒体)または電磁的記録(データ)により作成することとされており(会社法施行規則72条2項)、紙媒体かデータで作成するかについては、特に指定はありません。
なお、Word(ワード)やExcel(エクセル)データで作成した議事録に署名・押印をする必要がある場合には、電子署名をする必要があります。
作成期限は?
会社法上は、作成期限についての規定は特にありません。
ただ、株主総会の議事の経過や結果等を正確に記載する必要があること、「株主総会の日から」議事録を備え置くという会社法の文言(318条2項)から、株主総会の後なるべく早く作成することが望ましいです。
また、株主総会の決議により登記事項(例:取締役)を変更する場合には、2週間以内(会社法915条1項)に行わなければならず、その場合には株主総会議事録も必要となるため(商業登記法46条2項)、遅くとも2週間以内に作成すべきであると考えられます。
→登記申請が必要な場合、「株主リスト」 を添付することが求められます。
登記すべき事項につき株主総会の決議を要する場合、
①総決権数上位10名の株主または
②総決権割合が3分の2に達するまでの株主
のいずれか少ない方の株主について所定の事項を記載した書面を登記申請書に添付しなければなりません(商業登記規則61条)。
登記事項につき株主総会決議を省略する場合 (319条)も同様です 。
→登記申請関係書類については、こちらの法務局のページも参考になります。
押印は必要か?
会社法上は議事録作成者等の押印が必要とはされていません。
ただし、会社によっては定款で、代表取締役や出席取締役、作成者の署名捺印が求められている場合がありますので、確認しておきましょう。
また、議事録を使い登記申請を行う場合には注意しましょう。
たとえば、代表取締役を定めた株主総会の議事録の作成の場合、変更の登記の申請には、変更前の代表取締役が届出印を押印していない限り、議事録作成者として記名する取締役が個人印で押印して、その印鑑証明書も添付する必要があります(商業登記規則10条6項1号)。
なお、登記に使用しない場合であっても、議事録という書類の重要性に鑑みて、全員認印で押印するのではなく、代表取締役は会社代表印で押印するのが一般的です。
株主総会の議事録の記載事項とは【テンプレート付】
株主総会の議事録には、以下の事項を記載します(会社法318条1項、会社法施行規則72条3項。かっこでくくっているものに関しては、会社法上は要求はされませんが、実務慣行上一般に記載があるものです)。
通常の株主総会の場合
①株主総会が開催された日時及び場所
株主総会は、株主が一つの場所に集まって行うのが原則ですが、Web会議(オンライン)等、会議体として一体性を確保していれば、株主総会は開催されたと言えます。この場合、日時・場所に加え、遠隔地にいる株主等がどのような方法で出席したかを記載する必要があります(会社法施行規則72条3項1号かっこ書き)。
②(株主数、発行済株式総数、議決権を有する株主総数、総議決権数、出席株主数およびその有する議決権数 )
③ (開会時刻および閉会時刻)
④株主総会の議事の経過の要領及びその結果
「議事の経過」とは、株主総会の開会から閉会までの間、株主総会で行われた合議の経過・内容のことです。具体的には、報告事項に関する報告および質疑応答の内容・決議事項に関する議案や審議の内容、動議、採決方法などをいいます。議案に無関係な事項や会話の詳細を逐一記載する必要はない一方、取締役の説明義務(会社法314条)を果たしたかどうかに関わる質疑などは、明確に記載する必要があります。
「その結果」とは、株主総会に付議された議案についてなされた決議の内容のことです。具体的には、法定の要件(309条等)を充足して可決したか否かを示します。基本的に、賛成票数や反対票数、株主の氏名を記載する必要はありません。ただし、株主提案による議案が否決された場合には、株主提案権の行使を制限する事由となるので、議事録に賛成票数や反対票数を記載しておくといいでしょう(会社法304条ただし書)。また、事業譲渡や組織再編などを承認する決議を行った際は、反対の議決権行使をしたことが株主買取請求権の要件となっているので、誰が反対の議決権を行使したかも記載しておくといいでしょう。
(例)「3分の2以上の賛成をもって」可決された。
⑤会社法上定められた一定の内容について、株主総会において述べられた意見・発言の内容
記載すべき意見・発言は、会社法施行規則72条3項3号に列挙されています。具体的には、監査等委員である取締役等の選任等についての意見陳述(342条の2)、会計参与等の選任等についての意見陳述(345条)、取締役・監査役・会計参与等の報酬等に関する意見(361条、379条、387条)、会計参与の計算書類についての意見(377条)監査役の調査結果報告・監査報告・会計監査人の意見(384条、389条、398条、399条の5)等がこれにあたります。
⑥株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称
⑦議長の氏名(ある場合)
株主総会の議長は、定款などで定めていればその定めに従って、特に定めがなければ株主総会において株主又は取締役の中から選ばれることとなります。
⑧議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
議事録作成の責任の所在を明らかにする趣旨なので、実際の作成者に関わらず、代表取締役の氏名を記載することも多いと思われます。また、代表取締役以外の取締役の氏名でもかまいません。
議事録例(通常の株主総会) テンプレート
〇〇〇〇株式会社 第〇期定時株主総会議事録
当社第〇期定時総会を以下のとおり開催した。
「※別案:招集手続を省略した場合
当社第〇期定時株主総会を以下のとおり開催した。なお、株主全具の同慈により、会社法第300条本文の定めに基づき、本総会は招集手続を経ることなく開催した。」
1 開催日時 令和〇年〇月〇日(〇)午前10時
2 開催場所 東京都〇〇区〇〇 当社本社第会議室
3 出席取締役および監査役
(1) 出席取締役(3名中3名)
〇〇〇、〇〇〇〇、〇〇〇〇
(2)出席監査役(3名中2名)
〇〇〇〇、〇〇〇〇
4 株主総会の議長 代表取締役社長 〇〇〇〇〇
5 出席株主および議決権の状況
(1)議決権を行使することができる株主数 〇名
(2)議決権を行使することができる株主の議決権の総数 〇個
(3)本日の出席株主 〇名
(4)本日の出席株主の議決権数 〇個
6 議事の経過の要領およびその結果
(1)定刻、代表取締役社長〇〇〇〇は、定款第O条の定めに基づき議長となる旨を告げて議長席につき、開会を宣した。また議長は、監査役〇〇〇〇は……のため本総会を欠席したと述べた。
その後、議長は、管理部長に出席株主数およびその議決権数を報告させ、本総会の各議案を決議できる法令および定款に定める定足数を満たしている旨を告げた。
(2) 報告事項
第〇期(自 令和〇年〇月〇日 至 令和〇年〇月〇日 ) 事業報告の内容および監査役監査結果報告の件
議長は、監査役〇〇〇〇〇に監査結果を報告させた。監査役〇〇〇は、招集通知に添付の監査報告書に記載のとおり、第〇期事業報告および付属明細書は法令・定款に従い、会社の状況を正しく示しているものと認める。取締役の職務の遂行に関する不正の行為または法令・定款に違反する重大な事実は認められない。本総会に提出されている議案および書類に関して法令・定款に違反する事項および不当な事項はない旨を報告した。
次に 議長は、第〇期の事業報告は招集通知に添付の事業報告のとおりである旨を述べ、その概要について報告した。
続いて議長は報告事項に関する質問を出席株主に求めた。株主〇〇〇〇氏から、……との質問があり、議長から……と回答した。
以上で質問が終了したので、決議事項の審議に入った。
(3)決議事項
第1号議案 第〇期(自 令和〇年〇月〇日 至 令和〇年〇月〇日 ) 計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および個別注記表)承認の件
議長は、本議案の内容は招集通知O頁および添付の計算書類のとおりであること、取締役会は計算書類が法令および定款に従い会社の財産および損益の状況を正しく表示しているものとして判断していることを説明した。
議長が質問を求めたところ、株主〇〇氏から、……との質問があり、議長が……と回答した。
そのほかに質問はなかったため、議長がその賛否を議場に諮ったところ、出席株主の議決権の過半数の賛成をもってこれを承認可決した。
第 2 号議案 定款一部変更の件
議長は、招集通知〇頁に記載の本議案の内容および変更の理由を説明した。
議長が質問を求めたところ、出席株主からの質問はなかった。
議長がその賛否を議場に諮ったところ、出席株主の議決権の 3 分の 2 以上の賛成をもってこれを承認可決した 。
第 3 号議案 取締役 3 名選任の件について
議長は 本定時株主総会の終結の時をもって取締役全貝は任期満了となるため、〇〇〇、〇〇〇〇 および〇〇〇〇 の 3 名を取締役として選任したい旨を説明した。
議長が質問を求めたところ、出席株主からの質問はなかった。
議長がその賛否を議場に諮ったところ、出席株主の議決権の過半数の賛成をもってこれを承認可決した。
被選任者は、全員その場で就任を承諾した。
(4)閉会
以上をもって本総会の議事をすべて終了したため、議長は午前〇時〇分閉会を宣した。
以上、議事の経過の要領およびその結果を明確にするため、本議事録を作成する。
令和〇年〇月〇日
〇〇〇〇株式会社
本件議事録の作成に係る職務を行った取締役
代表取締役 〇〇〇〇〇 (印)
添付書類:第O期定時株主総会招集通知、提供書面、株主総会参考書類
特殊な場合の議事録:みなし決議(会社法319条)・みなし報告(320条)
〈みなし決議(319条)の議事録〉
この場合、株主総会の開催が省略されているため、一般的な株主総会決議議事録の内容と同じものを作成することはできません。
しかし、みなし決議と通常の決議の効果は変わらないことから、利害関係人の利益の保護のためにも証拠書類としての議事録の作成が必要です。そこで、会社法施行規則72条4項1号は、以下の事項を記載して、議事録を作成することを義務付けています。
①株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
②①の事項の提案をした者の氏名又は名称
③株主総会の決議があったものとみなされた日
株主全員の同意書面等が到達した日に株主総会の決議があったものとみなされます。
④議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
あくまで作成責任者である取締役の氏名を記載すればよいと思われます。
議事録例(特殊な場合) テンプレート
1 株主総会の決議があったものとみなされた事項の提案者
代表取締役 〇〇〇〇〇
2 株主総会の決議があったとみなされた事項の内容
(1) 第〇期(自令和〇年〇月〇日至令和〇年〇月〇日)計算書類承認の件
……
(2) 取締役1名選任の件
……
3 株主総会への報告があったものとみなされた事項の内容
第〇期(自 令和〇年〇月〇日 至 令和〇年〇月〇日)事業報告の内容
4 株主総会の決議および株主総会への報告があったものとみなされた日
令和〇年〇月〇日
以上の通り、会社法第319条第1項および第320条に基づき、株主総会の決議および株主総会への報告があったものとみなされたので、この議事録を作成し、議事録作成者が記名押印する。
株式会社〇〇〇〇
議事録作成者 〇〇〇〇
代表取締役 〇〇〇〇〇(〇印)
〈みなし報告(会社法320条)の議事録〉
みなし決議と同様、報告については一般の議事録と同内容では作成できないため、以下のような事項を記載します(会社法施行規則72条4項2号)。
①株主総会への報告があったものとみなされた事項の内容
②株主総会への報告があったものとみなされた日
株主全員の同意が到達した日をもって、報告があったとみなされます。
③議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
作成責任者である取締役の名前を記載します。
さらに
株主総会を実際に開催する場合には、議事録の作成以前に
- 招集決定
- 招集通知発送
- 株主総会
の流れを踏むことになります。
この場合にも、招集手続を一部省いたりすることもできます。
コラム:令和元年改正 株主総会資料の電子提供制度とは?
株主総会資料の電子提供制度とは、定款で定めていれば、株主総会資料を自社のホームページなどのウェブサイトに掲載したうえで、株主に対し、そのサイトのアドレス等の通知をもって、株主総会資料を提供したとみなすことができる制度です(会社法325条の2以下)。
この制度は、令和元年改正によって創設されました(施行日は2022年9月1日、また2023年3月開催の株主総会から利用が開始されます)。
★改正のポイント★
- 従来は書面で株主に送付することが原則であった株主総会資料について、定款の定めにより、原則と例外を逆転し、電子提供を原則とすることを認める制度が新設されます。
- 電子提供制度を利用する場合は、株主総会の日の3週間前の日までに株主総会資料を自社ホームページ等のウェブサイトにアップロードし、株主総会の日の2週間前の日までに当該ウェブサイトのアドレス等を記載した書面(アクセス通知)を株主に発送します。
- 株主総会資料の書面(紙)での受領を希望する株主は、株主総会の基準日までに、発行会社に対して予め請求をしておく必要があります。
- 上場会社については、電子提供制度の利用が義務付けられます。
株主総会資料の電子提供制度とは
会社法上は、本制度の導入前から
また、
②定款の定めによって、株主総会資料の一部をインターネットのウェブサイトに掲載し、書面による提供を省略できるという、「Web開示の制度」も存在します。
ただ、①については、インターネット等で資料を提供することは可能であっても個別の承諾を得なければならないため、株主数が特に多い上場会社においてはほとんど採用されていないのが実情でした。
また、②の方法で電子提供することができる事項(Web開示事項)は、株主総会資料の一部に限られます。
今回の電子提供制度は、①と異なり、定款の定めによって導入することができ(325条の2)、また②とも異なり、株主総会資料全部が電子提供の対象となります(325条の3第1項)。
招集通知の発送と、電子提供の期間
電子提供措置をとる旨を定款に定めた会社は、株主総会の日の2週間前の日までに自社のウェブサイトのURL等を記載した書面(アクセス通知)を株主に発送する必要があります。これが招集通知です。
また、株主総会の日の3週間前の日または株主総会招集通知を発した日のいずれか早い日から、株主総会の日の後3か月を経過する日までの間、電子提供措置事項について、自社のウェブサイトにアップロードすること等の方法により、株主が情報の提供を受けることができる状態に置かなければなりません(会社法325条の2、325条の3)。
電子提供措置をとる場合に提供しなければならない情報(電子提供措置事項)は、以下の7つです。
・株主総会の日時と場所
・株主総会の目的
・株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができるとするときはその旨
・株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができるとするときはその旨
・上記に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
② 株主総会参考書類と議決権行使書面
(書面投票を採用する場合)
③ 株主総会参考書類
(電子投票を採用する場合)
④ 株主提案の議案の要領
(要件を満たす株主から請求があった場合)
⑤ 計算書類と事業報告
(取締役会設置会社における定時株主総会の招集の場合)
⑥ 連結計算書類
(会計監査人設置会社である取締役会設置会社における定時株主総会の招集の場合)
⑦ 電子提供措置事項を修正した旨及び修正前の事項
(電子提供措置事項を修正した場合)
書面での交付請求について
株主の中には、高齢者を中心としてインターネットの利用が困難な株主もいます。
そこで改正法においては、電子提供措置をとる旨の定款の定めがある株式会社の株主が、当該株式会社に対して、電子提供措置事項を記載した書面の交付を請求することができることとしています。
電子提供措置をとる旨の定めがある株式会社の全ての株主がこの請求をできますが、株主総会の招集通知を電磁的方法により発することについて個別の承諾をした株主は懸念がないことから、書面交付請求の請求権者から除外されます。
書面交付請求を行っている株主に対して、取締役は電子提供措置事項を記載した書面を交付する必要があります。
※法務省の資料 P3~4「4 書面交付請求」もご参照ください。
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