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【法務担当者必見!】セクハラ相談対応マニュアル

Q.当社は、先日、従業員からセクシュアル・ハラスメントを受けて悩んでいると相談を受けました。セクシャル・ハラスメントは法律上、どのように規制されているか、また、会社としてどのような対応をしていけばいいのか教えてください。

A.セクシャル・ハラスメントは、主に男女雇用機会均等法(以下、「均等法」とします。)によって規制され、同法によって定義されています。

事業主には、均等法によりセクハラ防止のための措置が義務づけられるほか、民事上・均等法上の責任が生じ、多方面からの法規制がなされています。
また、近年、均等法が改正され、規制強化がなされた点も重要です。
なお、加害者は、セクシュアル・ハラスメントを行うと、被害者に対し民事上・刑事上・雇用契約上の責任を負うことがあります。

さらに、会社(使用者)としても、セクシュアル・ハラスメントの相談を受けたら、相談者や行為者とされる方から慎重に事実聴取をする必要がありますので、詳しく、解説していきます。

「セクハラ」が認識・規制された経緯

セクシャル・ハラスメント(以下、「セクハラ」と略称します。)とは、わが国では「性的嫌がらせ」と訳され(人事院の定義では、「相手方の意に反する性的言動」と定義されます)、主に女性労働者が、職場において女性ゆえに受ける性的な嫌がらせと理解されてきました。

女性が男性の補助的仕事しかさせられないことの多いわが国では、女性は職場の花といわれ、性的な存在としてみられてきたため、性的誘いかけを受けて拒否したら解雇された、性的なうわさを立てられて泣く泣く退職したなど、さまざまな嫌がらせを受けてきました。

そのセクハラが働く女性への人権侵害として注目されるようになったのは、わが国では1989年頃からのことです。

セクハラという言葉が使われるようになってからの裁判では、例えば、上司が性的うわさを立て、女性が会社に抗議したところ、女性の方が退職せざるをえなくなったケースで、上司と会社に不法行為責任を認め、慰謝料150万円の支払を命じたものがあります(福岡事件・福岡地判平成4年4月16日)。
しかし、法律上明確な規定がなかったため、概念が曖昧などの批判がされてきました。

そこで、多くの女性の要求に応えて、1997年6月の均等法改正の際に、使用者にセクハラ防止をするための雇用管理上の配慮をする義務を同法に規定しました。

そして、2006年の均等法改正により、女性労働者だけではなく男性労働者に対するセクハラについても対象とされることになり、セクハラ防止のための使用者の措置義務も規定されました(同法11条)。

セクハラとは

均等法上の定義

均等法では、セクハラを以下のように定めています(均等法第11条)。

(Ⅰ)職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件につき不利益を受けること(対価型)
(Ⅱ)性的言動により労働者の就業環境が害されること (環境型)

具体例

上記のとおり、セクハラは対価型と環境型に大別されます。そして、環境型はさらに視覚型・発言型・身体接触型に分類することができます。

対価型の事例

・事務所内において事業主が女性労働者に対して性交渉を要求したが、拒否されたため、その女性労働者を解雇した。
・出張中の車中において上司が女性労働者の腰、胸等に触ったが、抵抗されたため、その女性労働者について不利益な配置転換をした。

環境型の事例

視覚型
・女性職員が抗議しているにもかかわらず、パソコンのスクリーンセーバーにヌード画像を使用している。
・中学教諭が女子トイレにビデオカメラの入ったダンボールを設置し免職処分。
発言型
・会社内で顔を合わせると必ず性的な冗談を言ったり、容姿、身体に関することについて聞く男性労働者がいる。
・女性の同僚からいつも、「○○君、あっちに行って。臭いから」等と言われ、精神的に辛い。
・学校の先生が授業中にいやらしい話をするので、聞いていて苦痛だ。
・PTA会長がPTA役員の一人に「胸大きいねー」などと冗談を言った。抗議すると、冷たくされた。
身体接触型
・大学の助教授が卒論の指導の際にキスをしたり身体に触ったりのセクハラ行為をする。
・新幹線運転士が社内販売員を乗務室に入れ運転席に座らせて身体をさわる。
・野球部の監督が女子マネージャーの身体を触るなどのセクハラ行為。

対価型と環境型の違い

上記のように、「対価型」セクハラは、性的言動をされた後にこれを拒絶した結果、不利益を受けるという点に着目した概念であり、被害者の就業環境が害されるという意味では「環境型」セクハラの一類型といえます。

セクハラとLGBT

均等法は、元々行為者の性別を限定していなかったことから、男性から女性、女性から男性へのセクハラも対象とされていましたが、2007年の均等法の改正によって、同性に対するセクハラも対象とされるようになり、2014年7月1日施行のセクハラ指針では「同性に対するものも含まれる」と明記され、さらには、2017年1月1日施行のセクハラ指針では「被害者の性的指向又は性自認にかかわらず」と明記され、LGBTに対するセクハラも規制対象とされることが明らかとなりました。

事業主の義務

厚生労働大臣の指針では、職場におけるセクハラを防止するために、事業主が雇用管理上講ずべき措置として以下の10項目を定めています。
そして事業主は、これらを必ず実施しなければならないとしています。

①方針の明確化

事業主は、職場におけるセクハラに関する方針を明確化して、労働者に対してその方針の周知・啓発をすることについて、社内報、パンフレット、社内ホームページで方針を記載し、配布するなどしなければなりません。
社員教育の一環として、セクハラ防止の研修会を行って、社員のセクハラに対する認識度をはかり、具体的にセクハラにあたる行為を示しながら、労働者個々の注意喚起することも必要です。

②行為者への処分の決定・周知・啓発

セクハラ行為を行った者(加害者)に対しては、厳正に対処する旨の方針などについて就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に規定したうえで、管理監督者を含む労働者に周知・啓発することが必要です。
どのようなセクハラ行為が行われたときに、どのような懲戒処分を科すかについては、それぞれの企業で定めることができます。

③相談窓口の設置

会社は、セクハラの被害者が相談できるような相談窓口を設置しなければなりません。
この相談窓口は形式的なものではなく、実質的な対応ができる窓口である必要があります。そのため、労働者が相談窓口を利用しやすい体制を整備しておくこと、労働者に周知されていることが必要です。

④相談に対する適切な対応

セクハラ被害の相談があった場合には、相談窓口の担当者がその内容や状況に応じて適切に対応できる体制を整えておく必要があります。
相談窓口は、被害者からも行為者からも信頼される中立の立場である必要があります。そのためには「これはセクハラに当たらないのではないか」などの予断を持たず、広く相談に対応することが大切です。 なお、相談窓口の担当者が相談を受けた場合、スムーズに対応できるよう、あらかじ留意点(二次セクシュアルハラスメントを防止することも含む)を記載したマニュアルを作成しておくといいでしょう。

⑤事実関係の確認

セクハラ被害の相談があった場合には、事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認することが必要です。
セクハラの被害者は、1人でその悩みを抱え込み悩み抜いたうえで、相談している場合もあります。また、セクハラの行為者と訴えられている方も「自分は処分を受けるのだろうか」と不安に思っていることも十分に考えられます。
ですから事実関係を把握する際には、そのような被害者・行為者とされる方双方の気持ちに配慮して、当事者の言い分、希望を十分に聴くことが大切です。

⑥被害者に対する適正な配慮

事実関係を確認した結果、職場におけるセクハラ行為が行われたことが事実であった場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うことが必要です。
ただし「どのように解決してほしいのか」と解決方法を急ぐのは避けましょう。
解決方法は、被害者と一緒に考えたり被害者に提案して検討してもらうなど、その心理状況に配慮して、誠実に対応することが大切です。
(適正な配慮を行っていると認められる例) ・事案の内容や状況に応じて、被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助、被害者と行為者を引き離すための配置転換、行為者の謝罪、被害者の労働条件上の不利益の回復を図る等。

⑦行為者に対する適正な措置

事実関係を確認した結果、職場におけるセクハラ行為が行われたことが事実であった場合には、就業規則その他の労働契約などにおける職場におけるセクシュアルハラスメントに関する規定等に基づいて、懲戒などの措置を講ずることを検討します。

⑧再発防止策の策定・実施

セクハラ被害の事実を確認した場合には、会社は迅速に再発防止措置を検討する必要があります。
具体的には、セクハラの行為があった場合にはその者を厳正に対処する方針を持っていることを、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に改めて掲載する方法などが考えられます。
また、さらに個人の注意喚起を促すためにセミナー等の実施も行いましょう。

⑨プライバシーの保護措置

セクハラの調査に当たっては、その秘密が守られる体制をとることが非常に重要です。
相談窓口に寄せられた相談内容が、噂で流れるようなことがあれば、相談窓口は誰からも信用されなくなってしまいますし、そうなれば相談窓口の機能が停止してしまいます。なかには「会社の窓口は相談できる雰囲気じゃない」という意見もあります。
会社としては、そのような労働者の声も踏まえて、労働者が安心して相談できるような窓口を設置する必要があります。

⑩不利益な取扱いの防止

セクハラ被害について相談したり、事実確認を行う際に協力した労働者を不利益な取扱いを行ってはなりませんし、不利益な取り扱いを行わないことを、労働者に周知・啓発することが必要です。

法改正による規制強化

2019年5月、国内では初のパワハラ防止法が国会で成立しましたが、同時に新たにセクハラ規制の強化策を盛り込んだ法改正が行われました。

セクハラに関しては、前述のように男女雇用機会均等法に企業に雇用管理上必要な防止義務を義務づける規定があります。今回の法改正によって新たに盛り込まれたセクハラ規制は、以下の4点です。

①セクハラ等の防止に関する国・事業者・労働者の責務が明確化されます。
セクハラ等は行ってはならないものであり、事業主・労働者の責務として、他の労働者に対する言動に注意を払うよう努めるものとされています。 これまでは企業に防止義務を課していましたが「他の労働者に対する言動に注意を払うことなどを関係者の責務」とし、関係者とは上司、部下、同僚や取引先の社員も含み、企業以外の関係者もセクハラをしないことを責務とする規定を盛り込みました。

②事業主にセクハラ等に関して相談した労働者に対して事業主が不利益な取扱いを行うことが禁止されます。
仮に不利益な取り扱いをした場合、措置義務違反として都道府県労働局から助言、指導、勧告を受け、それでも従わない場合は企業名が公表されることになります。

③事業主は、自社の労働者が他社の労働者にセクハラを行い、他社が実施する雇用管理上の措置(事実確認等)への協力を求められた場合にこれに応じるよう努めることとされます。
あわせて、自社の労働者が他社の労働者等からセクハラを受けた場合も、相談に応じる等の措置も義務の対象となることを指針で明確化します。 このように企業間をまたぐセクハラにも解決の道が開かれましたが、努力義務なので加害者企業は事実確認を拒否することもできます。

④調停の出頭・意見聴取の対象者が拡大されます。
実際にはセクハラ事実で意見が分かれることもあります。そのため、セクハラ等の調停制度について、紛争調整委員会が必要を認めた場合には、関係当事者の同意の有無に関わらず、職場の同僚等も参考人として出頭の求めや意見聴取が行えるようになります。

加害者の責任

加害者は、民事上の責任として「不法行為」(民法709条)に基づく損害賠償請求をされたり、刑事罰に科せられるほか、雇用契約上の責任、社会的信用、社会的地位、円満な家庭生活などを失うことになります。

民事上の責任

不法行為責任とは、故意または過失によって、他人の権利を侵害し、他人に損害を与えたことにより生じる損害賠償責任です。

セクハラは被害者の尊厳、名誉、プライバシーなどを傷つけます。被害者の人格権を侵害したものとして、不法行為に基づく損害賠償責任を問われることになります。多くの裁判例において慰謝料請求がなされているものは、この不法行為に基づく損害賠償責任を根拠としています。

損害額の相場は?

「損害」としては、精神的損害に対する慰謝料が主となりますが、ケースによっては、セクハラによって退職せざるを得なくなった場合の、逸失利益(働き続ければ得られたであろう給与など)も、賠償責任に含まれることがあります。

慰謝料についていえば、行為態様として、セクハラが身体接触を伴い、特に強姦や強姦未遂、強制わいせつに該当するような悪質性の高い事案については、100万円以上の高額な慰謝料が認められる傾向にあります。

労働事件における慰謝料額の相場については「労働事件における慰謝料(東京弁護士会労働法制特別委員会編著)」に多数の判例をとともに掲載されていますので、参考にされるとよいでしょう。

刑事上の責任

セクハラは、その態様が身体接触を伴う場合には、意に反する性的な言動として、強制わいせつ罪や強姦罪に問われる場合もあります。その言動によっては、傷害罪や暴行罪が成立する場合もあります。

また、身体接触がない場合でも、名誉毀損罪侮辱罪が成立する場合もありますし、その他、迷惑防止条例や軽犯罪が問題となる場合もあります。軽い気持ちでおこなった言動によって、犯罪者となってしまうケースもあるということを、しっかりと自覚しておかなければなりません。

雇用契約上の責任

その他、加害者は、通常は、所属する組織の就業規則に定められた懲戒事由に該当することになりますので、懲戒処分を受けることになります。

懲戒処分は、セクハラ行為の態様、程度、加害者の当該会社における地位、事前警告の有無等から、処分の合理性・相当性を考慮して決定されます。

また、セクハラを原因として、加害者が配置転換等を受けることがあります。特に、セクハラの加害者と被害者が同じ職場に就労を続けることは、被害者にとって耐えがたいと判断されるような場合、事業主は、これを解消するため、加害者を他の職場に配置転換することが必要となるのが一般的です(上述しました厚生労働省のセクハラ指針でも、「事案の内容に応じ、配置転換等の雇用管理上の措置をとること」が指摘されています)。 したがいまして、セクハラに起因する配置転換の結果、加害者には住居の移転を伴う必要が生ずる等の不利益が発生するおそれもあります。

さらにセクハラをしたという事実は、家族にとっても許容できない場合も少なくなく、最悪のケースでは離婚に至る場合もあります。

使用者の責任

民事上の責任

セクハラは従業員個人の問題ではありません。セクハラを放置すれば、企業にとっても、大きな責任が生じることになります。

不法行為責任
民法では、従業員が「職務の執行につき」第三者に損害を与えた場合、使用者である企業は使用者責任(民法715条)として、加害者である社員と共に損害賠償責任を負うことになります。
職場で行なったセクハラである場合、「職務の執行につき」第三者に損害を与えたと判断される場合が少なくないでしょう。

債務不履行責任 企業は、従業員に対し、雇用契約に基づく付随義務として、従業員の労働環境を調整し、快適な環境を提供する義務があります。
したがって、セクハラを認知したにもかかわらず、放置した場合には、この義務を怠ったものとして、債務不履行責任を負うことがあります。

均等法上の責任

企業名の公表
均等法の2007年改定によって、新たに企業にセクハラ防止に関する措置義務が科されたため、何ら対策を講じず、是正指導にも応じない場合には、企業名が公表されることになりました(同法30条)。

過料
厚生労働大臣が、事業主である企業に対し報告を求めたにもかかわらず、報告を行わない場合や、虚偽の報告をした場合には、20万円以下の過料に処せられることになります(同法33条)。

セクハラ事案における会社側の対処方法

セクハラ調査は、被害者と加害者双方の就業場所での処遇も絡むことから、相談があったのち、1~2か月程度を目安として、使用者がセクハラの調査を行うことが通例です。

その結果、セクハラの事実が確認できた場合には、加害者に対する懲戒処分や配置転換、被害者に対する謝罪、その他、被害者の労働条件上の不利益の回復等の措置を講ずることとなります。

もっとも、加害者と被害者双方の主張に食い違いがあり、第三者の証言やメール等の客観的証拠に照らしても、セクハラの事実が確認できなかった場合には、当事者双方に社外の紛争処理手続(労働審判、紛争調整委員会のあっせん、裁判など)の利用による公正な判断を勧めるべき場合もあります。

相談、調査に際して気を付けるべきポイント

相談者からの事実・要望確認

相談者からは、対象事実や経緯等を相談者の心情に配慮しながら、詳細に確認していくことが必要です。 具体的には、 ・セクハラ行為の態様(身体的接触の有無・内容、発言内容、抵抗状況等)、 ・セクハラ行為の期間、回数 ・加害者・被害者の地位、関係、年齢等 を時系列に従って、具体的に確認する必要があります。

また、相談者から相談を受けるにあたっては、セクハラ被害の態様や相談者の意向を踏まえ、場合によっては、本人が話しやすいように1対1で聞き取りを行ったり、聞き取り担当者を女性にするといった配慮も必要となります。

相談者から相談を受けるにあたっては、相談者からどのような事実があったのかを正確に把握することが重要であるのは当然ですが、それに加えて、相談者が何を求めているのか(加害者に謝罪させることか、加害者を配置転換させることか、加害者を懲戒処分することか等)を明確にし、いつまでにどのような措置を講じるべきか、どの程度の時間的な余裕があるかといった点を早期に判断することが特に重要となります。

この点が不十分になると、調査方法や加害者に対する処分内容について、相談者が会社の対応に不満を感じることにより、相談者との間でトラブルとなるリスクが高くなります。 また、逆に調査を開始する段階で加害者に対する処分等について、安易な約束をすることのないよう、注意しましょう。

そして、聞き取りの内容は、正確に文書化し、記録として保管します。

客観的証拠の確認

セクハラの事実を確認できるような写真やメール、防犯カメラの映像といった客観的証拠がないかを確認する必要があります。

これらの証拠が存在していた場合には、相談者の話す事実が真実であるのか否かが判断しやすくなります。

第三者に対する事情聴取

セクハラ被害を訴えた相談者と加害者とされる従業員の供述が食い違った場合、第三者からも事実関係の聞き取りを行う等の措置を講ずる必要があります(厚生労働省のセクハラ指針3(3)イ①)。

なお、相談者の意向によっては、広く関係者から聞き取り聴取を行うことが適切ではない場合もありますので注意が必要です。

行為者に対する事情聴取

事実関係を調査する上では、行為者に対する事情聴取が不可欠となります。

行為者に対して事情聴取する際の注意点としては、加害者という決めつけや悪者扱いをするような態度は慎むということです。

事実確認ができた後

事実調査を尽くした結果、相談者の主張するセクハラの事実を確認できなかった場合、または、事実は存在したが違法なセクハラとして評価できないと判断された場合には、調査結果について、相談者に対して報告する必要があります。このとき、相談者から不信感を持たれないように、慎重に対応する必要があります。

相談結果について不信感をもたれないようにするために、外部弁護士の意見を取り入れ、判断の客観性を担保することもよくあります。

他方で、違法なセクハラの事実が確認できた後は、会社としては、
①被害者と行為者の関係改善に向けた援助、
②被害者と行為者を離すための配置転換、
③行為者の謝罪、
④被害者の労働条件の不利益の回復等の措置を講ずること、
⑤行為者に対しては、指導、懲戒処分等の措置をとること
が考えられます。
ただし、懲戒処分の内容を検討するにあたっては、当該懲戒処分が、加害者が行ったセクハラに対する処分として相当なのかという点については慎重な検討が必要となります。

まとめ

セクハラは、人と人とのトラブルですので、どんなに会社側が啓発活動を行っていても、発生件数ゼロを確約することは非常に困難です。そのため、セクハラ被害にあってしまった際に、会社がどう対応してくれるかがとても重要となります。
また、セクハラを行った者だけでなく、使用者側たる企業にも責任が生じることから、セクハラを野放しにしておくことは、その企業にとって致命傷にもなり得ます。
法によって義務づけられた措置を理解し、企業として適切に行っていくことが重要になるでしょう。

〈ポイント〉

  • セクハラは対価型と環境型に大別され、環境型はさらに視覚型・発言型・身体接触型に分類され、多くの形態がセクハラに該当し得る。
  • 事業主には、雇用管理上講ずべき措置として10項目が定められている。
  • 2019年の法改正によりセクハラ規制が強化され、他社が実施する雇用管理上の措置への協力を求められた場合にこれに応じる努力義務などが定められた。
  • セクハラを行った加害者だけでなく、企業にも民事上・均等法上の責任が生じ得る。
  • セクハラに関する相談を受けた会社としては、慎重かつ迅速な調査と調査後の対応が求められる。