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弁護士コラム
賃料増額請求の弁護士費用|相場と抑える方法を徹底解説
- 賃貸借トラブル
- 投稿日:2025年06月20日 |
最終更新日:2026年07月24日

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居住用アパートを2棟所有し、賃貸しています。最近、周辺相場と比べて家賃が安く、建物の老朽化や修繕費の増加もあり、賃料の値上げを検討しています。しかし、入居者との交渉が思うように進みません。
弁護士への依頼も検討していますが、賃料増額請求の弁護士費用はどのくらいかかるのでしょうか?費用を抑える方法や、依頼するメリット・デメリットも知りたいです。
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賃料増額請求を弁護士に依頼する際の費用に一律の基準はありませんが、多くの法律事務所では旧日弁連報酬基準を参考にしています。
例えば、月額5万円の賃料増額を求める場合、着手金30万円・報酬金60万円が一つの目安です。ただし、事案や依頼先によって異なるため、事前の確認が必要です。また、鑑定費用・調停や裁判の費用・日当などがかかる場合もあります。
一方で、弁護士に依頼することで、専門的な交渉により賃料増額が実現する可能性は高まり、交渉にかかる時間や労力を大幅に軽減することができます。また、増額分は契約が続く限り継続して得られるため、長期的に見れば弁護士費用を上回るメリットが期待できます。
監修:弁護士法人直法律事務所 代表弁護士 澤田 直彦
2009年 弁護士登録
2018年 弁護士法人直法律事務所 開業
不動産・相続・企業法務を中心に取り扱い、不動産に関する相談を年間100件以上対応。
賃貸借・不動産売買・立ち退き交渉・建築紛争・共有不動産など、幅広い不動産問題の解決に取り組んでいます。
目次
解説動画 : 不動産オーナー必見!賃料増額請求にかかる弁護士費用
賃料増額請求にかかる弁護士費用
賃料増額請求では、弁護士費用以外にも不動産鑑定にかかる費用や調停・裁判にかかる費用が発生することがあります。費用の詳細は、依頼する弁護士や事案によって異なります。
この章では、それぞれの費用の種類や相場、また計算方法について解説します。
弁護士費用
賃料増額請求における弁護士費用には、令和7年現在、一律の基準はありません。平成16年4月1日以降、弁護士報酬は弁護士と依頼者間で自由に定められるようになったためです。
もっとも、多くの法律事務所では、かつて日本弁護士連合会が定めていた報酬基準(以下「旧日弁連報酬基準」といいます。)を参考に費用を設定しています。そのため、弁護士費用の相場を知りたい場合は、旧日弁連報酬基準が一つの目安になります。
弁護士費用の種類と相場
賃料増額請求を弁護士に依頼する場合、主な費用は「法律相談料」「着手金」「報酬金」「実費」の4種類です。
旧日弁連報酬基準では、それぞれの目安は以下のとおりとなっています。
| 費用の種類 | 定義 | 日弁連の報酬基準(≒相場) |
|---|---|---|
| 法律相談料 | 依頼者が弁護士に相談する際にかかる費用 | 初回:法律相談料 30 分ごとに 5000 円から 1 万円の範囲内の一定額 一般法律相談:30 分ごとに 5000 円以上 2 万 5000 円以下 ※初回無料で相談できる事務所もあり |
| 着手金 | 弁護士に依頼する際、最初に支払う費用 (基本的に一括払いとなり、結果にかかわらず発生する) | 〔訴訟事件の場合〕 事件の経済的な利益の額(賃料増減額請求の場合は賃料増額分の 7 年分の額)が 300万円以下…経済的利益の8% 300万円超3000万円以下…5%+9万円 3000万円超3億円以下…3%+69万円 3億円超…2%+369万円 ※最低額は10万円 |
| 報酬金 | 結果の成功の程度に応じて支払う成功報酬 (全面敗訴の場合は発生しない) | 〔訴訟事件の場合〕 事件の経済的な利益の額(賃料増減額請求の場合は賃料増額分の 7 年分の額)が 300万円以下…経済的利益の16% 300万円超3000万円以下…10%+18万円 3000万円超3億円以下…6%+138万円 3億円超…4%+738万円 |
| 実費 | 事件処理のために要する諸費用 (具体的には交通費・宿泊費や郵便費用が含まれる) | 1万~数万円程度 |
なお、実際の費用は依頼する弁護士によって異なるため、事前に見積もりを確認するようにしましょう。
また、案件によっては日当が別途発生することがあります。日当とは、裁判所への出廷や遠方への出張など、事件処理のために弁護士が時間的拘束を受ける場合に支払われる費用です。なお、宿泊費や交通費は別途必要となります。
実費については、別記事「弁護士業務における「実費」について【直法律事務所】」にて詳しく解説しておりますので、ぜひご参照ください。
弁護士費用の計算方法
着手金や報酬金は、「経済的利益」を基準に計算されるのが一般的です。
賃料増額請求では、旧日弁連報酬基準により、「増額分の7年分」を経済的利益として算定します。ここでいう経済的利益とは、交渉・調停・訴訟などを通じて最終的に獲得または減額できる権利利益の合計額をいいます。
例えば、賃借人に対して月額5万円分の賃料増額を求める場合の着手金の目安は、以下のように計算します。
| 経済的利益:月額5万円×12か月×7年=420万円 着手金:420万円×5%+9万円=30万円 |
その後、調停や訴訟で月額5万円の増額で和解した場合の報酬金の目安は、以下のように計算します。
| 経済的利益:月額5万円×12か月×7年=420万円 報酬金:420万円×10%+18万円=60万円 |
弁護士に依頼できる内容
賃料増額請求では、交渉段階から調停・訴訟まで、状況に応じて弁護士へ依頼することが可能です。
一般的な手続きの流れは、次のとおりです。
- 1. 賃貸人と賃借人間で交渉する
- 2. 合意に至らなければ、内容証明郵便で賃料増額請求を通知する
- 3. 通知後に協議を行う
- 4. 協議がまとまらなければ、調停や訴訟へ進む
内容証明郵便による賃料増額請求の通知、交渉の代理、調停・訴訟への対応など、状況に応じて一連の手続きをサポートできます。
また、調停や訴訟になると、裁判所への出廷・主張書面の作成・証拠収集など、多くの時間と労力が必要になります。そのため、紛争が長期化する可能性がある場合は、早い段階から弁護士へ相談・依頼することを検討するとよいでしょう。
不動産鑑定費用
賃料増額請求では、増額の根拠を示すために不動産鑑定を利用することがあります。裁判だけでなく、交渉や調停の段階でも重要な資料となるため、事案によっては活用を検討するとよいでしょう。
私的鑑定と公的鑑定
不動産鑑定には、当事者が依頼する「私的鑑定(当事者鑑定)」と、裁判所が選任した不動産鑑定による「公的鑑定(裁判所鑑定)」があります。
賃料増額請求訴訟で判決に至るケースでは、公的鑑定が行われることが多く、裁判所はその内容を重視して相当賃料額を判断します。公的鑑定の費用は、申立人が一旦予納しますが、最終的には判決で当事者双方の負担とされることが一般的です。
一方、私的鑑定は、交渉や調停を有利に進めるための資料として活用できるほか、公的鑑定が不利な内容だった場合に反論資料としても利用できます。ただし、費用もかかるため、費用対効果を考慮して利用する必要があります。
特に、請求する増額分と従前の賃料との差が大きい案件では、私的鑑定を活用するとよいでしょう。
簡易鑑定との違い
不動産鑑定の代わりに、「不動産調査報告(簡易鑑定)」を利用することも考えられます。
不動産鑑定は、不動産鑑定評価基準に基づいて作成されるため証拠能力が高く、賃料の増額幅が大きいなど重要性の高い案件に適しています。
一方、不動産調査報告は証拠能力では劣るものの、費用を抑えられるため、事案によっては適した選択肢となります。
費用相場
費用の詳細は不動産鑑定士によって異なりますが、不動産鑑定は50万円程度から高額な事案では数百万円、不動産調査報告(簡易鑑定)は10~15万円程度が一般的な相場です。
もっとも、あくまで相場であるため、依頼する際には事前に見積もりを確認するようにしましょう。
調停・裁判費用
賃料増額請求を調停や裁判で進める場合は、申立手数料・訴え提起手数料・郵便切手代などの費用が必要です。
調停では「申立手数料」・裁判では「訴え提起手数料」を、それぞれ収入印紙で納付します。その金額は、請求額に応じて算定される「調停事項の価額」または「訴額」を基準に決まります。
各手数料の計算方法
賃料増減額請求における「調停事項の価額」または「訴額」は、以下の式で計算します。
| 1か月あたりの増額分 ×(増額請求が借主に届いた日から調停申立てまたは訴え提起までの期間+12か月 ) |
ただし、この金額よりも目的物の価額の2分の1の方が低いことを原告が疎明した場合は、目的物の価額の2分の1を「調停事項の価額」または「訴額」とします。
例えば、月額5万円の増額を請求し、請求から6か月後に調停を申し立てた場合は、「5万円×18か月=90万円」となります。ここでいう「期間」は、月数のことをいいます。
目的物の価額は、市町村で発行される固定資産評価証明書の評価額によって判定されます。そのため、建物の評価額が180万円以上であれば、「調停事項の価額」または「訴額」は90万円となります。
このように算出した「調停事項の価額」または「訴額」を手数料額早見表に当てはめることで、申立手数料や訴え提起手数料を算出できます。例えば、調停事項の価額が90万円の場合は、調停の申立手数料は4,500円分、訴え提起手数料は9,000円です。
なお、調停不成立から2週間以内に訴訟を提起した場合には、調停申立ての際に納付した手数料を訴訟費用に充当できるため差額のみを追加で納付します。
弁護士費用を抑える方法
弁護士費用や関連費用は、手続きの進め方や準備する資料を工夫することで抑えられる場合があります。
主な方法は以下のとおりです。
- 当事者間の交渉で合意を目指す
- 宅建業者が作成した資料や簡易鑑定を活用する
調停や裁判まで進むと、弁護士費用だけでなく、印紙代・切手代・鑑定費用なども必要になります。一方、当事者間の話し合いで解決できれば、これらの費用は不要です。そのため、調停前の段階から弁護士に相談し、交渉への同席や助言を受けながら解決を目指すことも有効です。
また、裁判所が行う公的の費用は原則として避けられませんが、自ら提出する証拠については、不動産鑑定ではなく、宅建業者が作成した資料や簡易鑑定を利用することもできます。
もっとも、賃借人が増額に納得しない場合は、より証拠力の高い不動産鑑定が必要となることもあります。
弁護士に依頼するメリット・デメリット
賃料増額請求では、弁護士に依頼することで交渉や手続きを有利に進められる一方、費用負担などのデメリットもあります。
この章では、弁護士に依頼するメリット・デメリットと、依頼を検討すべきケースを解説します。
メリット
弁護士に依頼すると交渉から調停・裁判まで一貫したサポートを受けられ、望ましい結果を得られる可能性が高まります。
主なメリットは以下のとおりです。
- 調停・裁判で自身が望む結果が得られる可能性が高まる
- 交渉から裁判まで一連の手続きをすべて任せられる
- 将来的な賃料収入の増加につながることがある
弁護士は、専門的な知識や資料をもとに説得力のある交渉を行うため、賃借人が増額に応じる可能性が高まります。また、証拠資料の準備や賃借人との交渉などを任せられるため、時間や労力を大幅に軽減できます。内容証明郵便の送付段階から相談すれば、交渉・調停・裁判まで一貫したサポートを受けることが可能です。
さらに、賃料改定の効果は長期間継続するため、弁護士費用を支払っても結果的に利益が上回るケースも少なくありません。例えば、月額5万円の増額に成功すれば、1年間で60万円、5年間で300万円の増収となります。
デメリット
一方で、弁護士費用がかかることや、交渉が難航する可能性がある点には注意が必要です。
主なデメリットは以下のとおりです。
- 弁護士費用の負担が生じる
- 相手との関係が悪化するおそれがある
弁護士へ依頼すると、着手金や報酬金のほか、裁判所への出廷や遠方への出張がある場合は日当が発生することがあります。賃料の増額幅が小さいケースでは、増額による利益を弁護士費用が上回る可能性もあります。
また、弁護士が交渉に入ることで、賃借人が態度を硬化させる可能性もあります。そのため、状況によっては、弁護士から助言を受けながら賃貸人自身が交渉を進める方が適している場合もあります。
依頼する際には、自身の意向を十分に伝えたうえで、交渉方針を共有することが重要です。
弁護士への依頼を検討すべきタイミング
賃料の増額幅が大きい場合や、交渉が難航している場合は、早めに弁護士への依頼を検討するとよいでしょう。
以下のようなケースでは、弁護士への依頼をおすすめします。
- 賃借人が全く交渉に応じない、または従前の賃料を供託してきた
- 相場より大幅に低い賃料で貸している
- 契約条件が複雑である
- 法人契約やサブリースなど専門的な判断が必要である
- 調停や訴訟を検討している
弁護士費用はかかりますが、長期的な賃料収入の増加によって費用を上回る利益が得られるケースも少なくありません。また、交渉段階から弁護士が関与することで、資料に基づいた客観的な説明が可能となり、賃借人の理解を得やすくなることもあります。
費用や依頼範囲に不安がある場合は、事前に見積もりを取り、料金体系を確認したうえで依頼を検討するとよいでしょう。
東京都千代田区の不動産に強い弁護士なら直法律事務所
賃料増額請求が当事者間の交渉で解決できず、調停や裁判に発展すると、弁護士費用に加えて鑑定費用や手続費用などの負担が生じます。また、長期化すればするほど、精神的な負担も大きくなります。
一方で、弁護士が早い段階から交渉に関与することで、資料に基づく客観的な説明が可能となり、交渉による解決や、将来的な賃料収入の改善につながることもあります。特に、賃料の高い物件や契約内容が複雑な物件では、早期に弁護士へ相談することをおすすめします。
直法律事務所では、賃料増額請求に関する交渉や調停・訴訟対応まで、賃貸不動産に関する案件について豊富な経験を有する弁護士が丁寧にサポートいたします。賃料増額請求についてお悩みの方は、まずは一度ご相談ください。
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