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弁護士コラム

連帯債務は相続しなければならない?相続人の負担割合は?

遺産分割のトラブル
投稿日:2022年07月21日 | 
最終更新日:2022年10月19日
Q
父は、叔父の借金2,000万円について、銀行に連帯保証していました。
その後父が亡くなり、母と私で遺産を半分ずつ相続したのですが、2,000万円の連帯保証の債務も負う必要があるのでしょうか?
その場合、母と私での負担割合も教えてください。
Answer
ご質問の内容の場合、お母さんとあなたで、1,000万円ずつの連帯保証債務を負担することになります。
以下で詳しく解説します。

連帯債務とは

連帯債務とは、数人の債務者が同一内容の給付(可分的給付)について、各自が独立して全部の給付をなすべき債務を負担し、そのうちの一人がこれを履行すれば、他のすべての債務者の債務も消滅するというものです(新民法(債権関係)436条以下(改正前民法432条以下))。

例えば、複数人が連帯して銀行から1,000万円を借入れたとします。

この1,000万円を完済するまでは、複数人の人物全員が1,000万円を返す義務を負い、銀行はこのうちの誰に対しても返済の請求ができるわけです。ただ、誰かが1,000万円を返済すると、その時点で他の債務者が負っていた返済義務も消滅します。

連帯債務では、上記のように各債務者が全部の給付義務を負いますが、債務者相互間では負担部分が定まっており、債務者の一人が自己の財産をもって共同の免責を得たときは、他の債務者に対して、その負担部分に応じて求償できます(新民法(債権関係)442条1項(改正前民法442条1項))。

相続における連帯債務

相続財産に金銭債務があるときは、相続の開始と同時に当然に分割され、それぞれの相続人が法定相続分に従って負担することになります。遺産分割の対象となるのは積極財産(プラスの財産)のみであり、相続人全員の合意があったとしても金銭債務を遺産分割の対象とすることはできません。

例えば、2,000万円の借金がある人(被相続人)が死亡し、相続人として、妻Aと子Bがいるときは、妻Aと子Bは1,000万円ずつの借金を相続することになります。

また、2,000万円の借金がある人(被相続人)が死亡し、相続人として、妻Aと子B、子Cがおり、妻Aと子Bが被相続人の遺産を半分ずつ相続したとき(子Cは、相続放棄をせず、遺産分割で何も相続しないものとしたとき)は、子Cは何も遺産を相続しなくても500万円(子Cの法定相続分は4分の1)の借金のみを相続することになります(残りの1,500万円の借金については、妻Aが1,000万円、子Bが500万円を相続します)。

この点について、連帯債務に関するものですが、最高裁判所昭和34年6月19日判決があります。

同判決は、連帯債務は可分債務とは性質が違うものの、「可分なること通常の金銭債務と同様である」から「連帯債務者の1人が死亡した場合においても、その相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継」するとし、連帯債務であったとしても法定相続分に応じて当然に分割して相続されるとの判断を示しています。

このような連帯債務に関する最高裁判決の考え方は、連帯保証債務についても妥当するものと考えられます。

以上のことから、被相続人が2,000万円の連帯保証をしていたときには、連帯保証債務は法定相続分に応じて当然に分割され、それぞれの相続人が相続することになります(相続人が妻と子の2人だけのときは、1,000万円ずつの連帯保証債務を相続することになります)。

なお、相続人のある者が多くの遺産を取得する代わりに多くの債務についても負担する旨を遺産分割協議で合意することはできます。しかし、この合意を相続債権者に対抗することはできないため、他の相続人は相続債権者から請求されたときは、遺産を多く取得した相続人に対して「代わって払ってほしい」と請求することはできますが、支払を拒絶されたときは相続債権者に法定相続分に相当する金額を支払わなければなりません。

すなわち、相続人間の内部合意を相続債権者に対して主張することはできませんが、後日、遺産を多く取得した相続人に対して、内部合意違反を理由として法的請求をすることはできます。

遺産分割でのお悩みは、弁護士に相談を

なるべくスムーズに争いを少なくして遺産分割を進めるには、客観的かつ冷静に判断できる弁護士に対応を相談するのがおすすめです。弁護士に遺産分割協議の代理を依頼すると、当事者同士で直接話し合う必要もなくなり、感情的な対立を防ぎやすくなります。調停や審判も有利に進められる可能性が高くなるので、困ったときには弁護士へ相談してみましょう。

ただし相続トラブルをソフト・ランディングさせるには、一定のスキルが必要です。弁護士の中でも相続関係に積極的に取り組んでいる専門家を選べばトラブルが生じにくくなるでしょう。

お困りの際、悩まれた際は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

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