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弁護士コラム

立ち退き交渉の弁護士費用はいくら?賃料増額との比較やオーナーの選択肢を解説

賃貸借トラブル
投稿日:2025年07月25日 | 
最終更新日:2026年08月18日

Q
経営しているアパートの老朽化が進み、建て替えを検討しています。昔から住んでいる方も多く、賃料は周辺の物件に比べてかなり安い状況です。これまで何度か賃料増額を打診しましたが、うまくいっていません。

このような場合、賃料増額請求と立ち退き交渉のどちらを進めるべきでしょうか?弁護士に依頼した際の費用やメリット、また費用を抑える方法があれば教えてください。
Answer
賃料増額請求と立ち退き交渉のどちらを進めるべきかは、建物の状態や賃貸借契約、賃借人の状況などによって異なります。

賃貸人から更新拒絶や解約をする場合は正当事由が必要となり、建物の老朽化などが考慮されます。また、正当事由を補完するために立退料が必要となることもあります。

一方、賃借人の債務不履行などを理由とする契約解除では立退料は不要ですが、背信性がなければ解除は認められません。

交渉で解決できなければ調停や裁判に進む可能性があります。立ち退き交渉の弁護士費用は依頼する手続きによって異なるため、見通しを踏まえて検討することが大切です。

監修:弁護士法人直法律事務所 代表弁護士 澤田 直彦
 
2009年 弁護士登録
2018年 弁護士法人直法律事務所 開業
 
不動産・相続・企業法務を中心に取り扱い、不動産に関する相談を年間100件以上対応。
賃貸借・不動産売買・立ち退き交渉・建築紛争・共有不動産など、幅広い不動産問題の解決に取り組んでいます。

賃料増額請求と立ち退き交渉の違いとは?

賃料増額請求と立ち退き交渉の大きな違いは、賃貸借契約を継続するか、終了して退去を求めるかという点です。

「賃料増額請求」とは、経済的事情の変動などにより現在の賃料が不相当となった場合に、賃貸人が賃借人に対して賃料の増額を求める請求です。法律上、賃料増減額請求の意思表示が相手方に到達した日から、客観的に相当な額の賃料の増額したものとみなされます。

一方、「立ち退き交渉」とは、建物の建て替えや取り壊しなどを理由に、賃貸人が契約の更新拒絶や解約の申入れを行い、賃借人に退去を求めることです。借地借家法では、賃借人を保護するため、賃貸人から期間満了や解約申入れによって賃貸借契約を終了させるには、正当事由が必要とされています。

つまり、賃料増額請求は賃料の額を変更するものであり、退去を求めるものではありません。これに対し、立ち退き交渉は賃借人の退去を前提としている点が異なります。

賃料増額請求と立ち退き交渉で弁護士に依頼するメリットと有効なケース

弁護士に依頼するメリット

賃料増額請求や立ち退き交渉を弁護士に依頼する主なメリットは、状況に応じた法的戦略を立てながら、交渉や手続きの負担を軽減できることです。

具体的には、以下のようなメリットがあります。

  • 増額・退去いずれの方向でも法的戦略を立てられる
  • 内容証明などの書面作成や交渉を任せられる
  • 法的根拠に基づいた説得力のある主張ができる

賃料増額請求と立ち退き交渉のどちらで進めるべきかは、個々の状況によって異なります。弁護士に依頼すると、状況を見極めたうえで適切な法的戦略を立てることができます。

また、法的根拠に基づいて交渉することで、賃借人の納得を得やすくなり、態度が軟化する可能性もあります。内容証明郵便の作成や賃借人とのやり取りも任せられるため、賃貸人の時間的・事務的な負担も軽減できます。

弁護士への依頼が有効なケース

自ら交渉すると不利になりやすい場合や、交渉・手続きに対応することが難しい場合は、弁護士への依頼が有効です。

具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

  • 法律知識が不足している場合
  • 手続きや交渉にかける時間がない場合
  • 相手方と交渉が困難な場合
  • 立ち退き理由の正当性が低い場合
  • 相手側に弁護士がついている場合
  • 高齢や病気などの特別な事情がある場合

これらのケースでは、賃貸人が自ら交渉すると不利になり、望まない結果に終わる可能性があります。上記以外でも、自ら交渉して成果を得ることが難しい場合は、弁護士への依頼を検討するとよいでしょう。

賃料増額請求と立ち退き交渉にかかる弁護士費用の目安

2026年現在、賃料増額請求や立ち退き交渉の弁護士費用についての一律の基準はありません。2004年4月1日以降、弁護士と依頼者との間で報酬を自由に定められるようになったため、実際の費用は依頼する弁護士によって異なります。

ただし、多くの法律事務所では、かつて日本弁護士連合会が定めていた報酬基準(以下「旧日弁連報酬基準」といいます。)を参考にして料金を設定しています。そのため、旧日弁連報酬基準を確認することで、おおよその費用の目安を把握することができます。

弁護士費用の内訳と相場

賃料増額請求や立ち退き交渉を弁護士に依頼する場合、主に「法律相談料」「着手金」「報酬金」「実費」がかかります。

費用の種類内容費用の目安
法律相談料弁護士への相談時にかかる費用30 分5,000 円~1万円程度
着手金弁護士に依頼する際に支払う費用事件の内容や経済的利益に応じて決定
報酬金成功の程度に応じて支払う費用得られた経済的利益などに応じて決定
実費郵便代・交通費・裁判費用など事件の内容によって異なる

実際の費用は法律事務所や事件の内容によって異なるため、依頼前に費用体系を確認し、見積りを取ることが大切です。

また、裁判所への出廷や遠方への出張などが必要な場合は、別途日当が発生することもあります。

立ち退き訴訟に発展した場合の費用

立ち退き交渉がまとまらず訴訟に発展した場合は、弁護士の着手金・報酬金のほか、裁判所に納める印紙代や郵便代などの費用がかかります。

旧日弁連報酬基準では、着手金や報酬金は「経済的利益」を基準に算出します。建物明渡請求の場合、建物の時価の2分の1(賃借権の時価が建物の時価を超える場合は賃借権の時価相当額)に、敷地の時価の3分の1を加えた額が経済的利益となります。

例えば、建物の時価が1,000万円、敷地の時価が3,000万円の場合、経済的利益は1,500万円です。旧日弁連報酬基準に当てはめると、着手金は84万円、報酬金は168万円となります。

なお、立ち退きにあたって立退料を支払う場合は、数百万円にのぼるケースもあります。そのため、依頼前に見積りを取り、弁護士費用や立退料を含めた総額を確認しておきましょう。

詳しくは、別記事「賃料増額請求の弁護士費用|相場と抑える方法を徹底解説」にて解説しておりますので、是非ご参照ください。

立ち退き交渉における弁護士の交渉ポイント

立ち退き交渉では、賃借人の債務不履行の有無や立退料、物件の状況などを踏まえて交渉方針を検討します。

この章では、賃貸人側と賃借人側に分けて、弁護士が重視するポイントを解説します。

賃貸人側の弁護士が考慮するポイント

賃貸人側の弁護士が考慮する主なポイントは、以下の3つです。

  • 契約解除の可否と立退料への影響
  • 立退料を減額できる要素
  • 交渉決裂時の対応

賃借人の長期間の賃料滞納などの債務不履行がある、契約解除が認められる場合は、賃貸人にとって交渉を進めやすくなります。

債務不履行がない場合でも、立ち退きを求める正当な理由を具体的に示すことで、交渉を進めやすくなります。例えば、単に建物が古いことを理由とするのではなく、耐震性の問題など、建物の具体的な問題点を示すことが重要です。

また、賃貸人側の事情だけで一方的に退去を求めるのではなく、代替物件を探すなど、賃借人の事情にも配慮して交渉する必要があります。

交渉がまとまらない場合は、訴訟などの法的手続きに進む可能性があります。そのため、訴訟にかかる費用や時間も考慮しながら、双方が合意できる条件を検討することが大切です。

賃借人側の弁護士が考慮するポイント

賃借人側の弁護士が考慮する主なポイントは、以下の3つです。

  • 賃借人の債務不履行の有無
  • 賃貸人の経済力と立退料の支払い能力
  • 立ち退き対象不動産の立地や将来性

賃料の未払いなどの債務不履行があり、賃貸借契約の解除が認められる場合、正当事由は必要なく、立退料も原則として問題になりません。

一方、短期間の賃料不払いなど軽度の債務不履行では、解除が認められない可能性があります。その場合、債務不履行の事実が正当事由を基礎づける一要素となり、立退料の減額に影響することがあります。ただし、契約を解除できる場合でも、交渉段階で早期に退去すれば、訴訟の長期化を避けられるため、一定の費用が支払われる可能性があります。

また、駅から近いなど条件がよく、明け渡し後の利用価値が高い不動産では、賃貸人が高めの立退料を支払ってでも早期の退去を求める可能性があります。一方、高額な立退料を請求しても、賃貸人に十分な支払能力がなければ支払いは期待できません。ただし、明け渡し後に大きな利益が見込まれる場合は、立退料を含めた資金調達が可能なケースもあるため、状況を見極める必要があります。

賃料増額請求と立ち退き交渉の具体的な流れ

賃料増額請求と立ち退き交渉では、手続きの流れが異なります。賃料増額請求は協議から調停・訴訟へ進むのに対し、立ち退き交渉では契約を終了させる理由に応じた手続きが必要です。

賃料増額請求の流れ

賃料増額請求は、主に以下の流れで進めます。

  • 1.当事者間で話し合う
  • 2.まとまらない場合は、配達証明付き内容証明郵便で賃料増額請求を通知する
  • 3.賃借人が増額に応じなければ、改めて協議する
  • 4.協議がまとまらない場合は、簡易裁判所に調停を申し立てる
  • 5.調停が成立しない場合は、訴訟へ移行する

立ち退き交渉の流れ

立ち退きを求める場合は、契約を終了させる理由によって手続きが異なりますが、代表的な3つのケースは以下のとおりです。

債務不履行による契約解除の場合

  • 1.原則として、滞納賃料などの支払いを催告する
  • 2.賃貸借契約の解除を通知する
  • 3.交渉または訴訟へ進む

契約期間満了による更新拒絶の場合

  • 1.期間満了日の1年前から6か月前までに更新拒絶を通知することで、期間満了日に契約終了
  • 2.正当事由を通知する
  • 3.賃借人と交渉する
  • 4.合意できれば退去手続きへ、合意できなければ訴訟へ進む

正当事由では、賃貸人が土地・建物を使用する必要性や建物の現況、立退料の申出などが考慮されます。

解約申入れの場合

  • 1.内容証明郵便などで賃貸借契約の解約を申し入れる
  • 2.正当事由を通知する
  • 3.賃借人と交渉する
  • 4.合意できれば退去手続きへ、合意できなければ訴訟へ進む

解約申入れの場合、申入れから6か月経過後に契約が終了します。

立ち退きについて合意した場合は、後のトラブルを防ぐため、以下の条件をすり合わせて書面にまとめておきましょう。

  • ・立退料の金額・支払い条件
  • ・原状回復の条件
  • ・明渡し期限
  • ・その他、必要と認めた事項

賃料増額請求と立ち退き交渉に強い弁護士の選び方

賃料増額請求や立ち退き交渉を依頼する弁護士を選ぶ際には、賃貸トラブルの実績・弁護士費用・対応の丁寧さなどを比較することが重要です。

主なポイントは以下のとおりです。

  • 賃貸トラブル・債権回収の実績と経験
  • 料金体系や支払方法の明確さ
  • 相性や信頼関係
  • 対応の迅速さや説明の丁寧さ

弁護士によって注力分野や経験は異なります。Webサイトなどを確認し、賃貸トラブルや債権回収の実績・解決事例があるか確認しましょう。

また、着手金や報酬金などの料金体系が明確であることも重要です。依頼前に見積りを取り、具体的な弁護士費用や支払条件を確認しておきましょう。

賃料増額請求や立ち退き交渉では、弁護士との相性や信頼関係も重要です。対応の迅速さや説明の丁寧さも踏まえ、安心して任せられる弁護士を選びましょう。

賃料増額請求と立ち退き交渉の弁護士費用を抑えるコツ

賃料増額請求や立ち退き交渉の弁護士費用を抑えるには、無料相談や分割払いを活用するほか、早めに相談して必要な資料を準備することがポイントです。

初回相談無料の事務所を利用する

初回相談を無料としている法律事務所を利用すれば、相談料を抑えることができます。

通常は30分5,000円~1万円程度の相談料がかかる場合がありますが、初回無料の事務所であれば、その費用がかかりません。限られた相談時間を有効に使うため、相談内容・質問事項・必要な資料を事前に整理しておきましょう。

分割払いに対応している事務所を選ぶ

着手金などを一括で支払うことが難しい場合は、分割払いに対応している法律事務所を選ぶことで、一時的な負担を抑えることができます。

ただし、分割払いの可否や条件は事務所によって異なるため、分割回数の上限や金利の有無などを事前に確認するようにしましょう。

早めに相談して必要な資料を準備する

弁護士との打ち合わせや交渉をスムーズに進めるには、問題が生じそうな段階から早めに相談し、必要な資料や情報を整理しておくことが重要です。

相談前には、主に以下の点を整理しておきましょう。

  • ・希望する解決内容
  • ・相手方とのやり取りをまとめた時系列
  • ・関係する資料や証拠
  • ・自分にとって不利な事情を含む事実関係

また、賃料増額請求や立ち退き交渉では、必要に応じて以下の資料を用意しておくとスムーズです。事前に必要な資料を弁護士へ確認しておくと、より効率的に相談を進めることができます。

  • ・賃貸借契約書(更新や再契約をしている場合は、当初のものからすべて)
  • ・建物や敷地の不動産登記内容がわかるもの(履歴事項証明書など)
  • ・固定資産税評価証明書(納税通知書でも可)
  • ・(あれば)近隣相場の調査資料
  • ・(あれば)宅建業者の査定書
  • ・(あれば)不動産鑑定士の鑑定評価書
  • ・(あれば)修繕の履歴が分かる請求書・見積所・設計書など

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「家賃を上げたい」と考えていても、賃借人との交渉方法は個々の状況によって異なります。賃料増額請求を進めるのか、立ち退き交渉を選ぶのかは、状況に応じた戦略的な判断が必要です。

賃料増額請求を進めた後、立ち退き交渉へ切り替えることも考えられますが、自身に状況にどの方法が適しているかを判断するためにも、具体的な対応を始める前に弁護士へ相談するとよいでしょう。

賃料増額請求や立ち退き交渉には専門的な知識や経験が求められます。弁護士によって経験や注力分野も異なるため、依頼する際は賃貸不動産に関する実績などを確認することが重要です。弁護士に依頼せず交渉することも可能ですが、適切な判断や対応が難しい場合もあります。トラブルを防ぎ、適切な解決を目指すためにも、早い段階で弁護士への相談を検討しましょう。

直法律事務所では、賃料増額請求に関する交渉や調停・訴訟対応まで、賃貸不動産に関する案件について豊富な経験を有する弁護士が丁寧にサポートいたします。賃料増額請求についてお悩みの方は、まずは一度ご相談ください。

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