澤田直彦
監修弁護士 : 澤田直彦
弁護士法人 直法律事務所
代表弁護士
IPO弁護士として、ベンチャースタートアップ企業のIPO実績や社外役員経験等をもとに、永田町にて弁護士法人を設立・運営しています。
本記事では、「優先株式とは?みなし清算や希釈化防止などスタートアップ資金調達の重要設計」について、詳しくご説明します。
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スタートアップの資金調達において、近年では優先株式を用いるケースが一般的になっています。しかし、仕組みが複雑であり、十分な理解を深めるのは容易ではありません。
また、優先株式は役員選任権などの会社のガバナンス面の権利も強く設定することもできるため、慎重な取り扱いが求められます。
本記事では、スタートアップ資金調達を目指す創業者の方向けに、優先株式とみなし清算の仕組みを解説します。M&AやIPOを見据えた事業を目指していきましょう。
優先株式とは? スタートアップ資金調達における役割

スタートアップ企業が資金調達のために投資を受ける場合、優先株式が活用されています。優先株式とは、会社法108条で列挙する9つの事項に関して、普通株式よりも有利に設定されている種類株式の1つです。
ベンチャーキャピタルなどの投資家は、リスクの高いスタートアップに多額の資金を拠出する場合、重要な条件に関して、創業者が保有する普通株式に優先する権利を付与された種類株式の取得を希望するのが通常です。様々な権利が付与された優先株式は、投資家にとっては普通株式より価値が高いものとなります。そのため、優先株式を発行するほうが、同じ株式数を普通株式で発行するより、高いバリュエーションがつきます。
このように、投資家の主な関心事である配当やM&A時の残余財産分配などを優先することで、株式の価値が高まれば、少ない株式数で目的とする資金額が調達できる可能性が高まります。
投資家と創業者の利害を調整する機能
創業者は持株比率の希釈化を防ぎつつ、企業価値(バリュエーション)を高く維持したいと考えるのが通常です。反対に投資家としては、投資した資産をしっかり保全(プロテクション)し、株価が下がったときやM&Aのときにも利益が得られるようにしたいと考えています。このような双方の意図を調整するために優先株式が活用されています。
スタートアップ企業の資金調達に際して用いられる優先株式は、普通株式よりも剰余金の配当が高く、M&A時の対価の分配について優先的に受けられるなど経済面で優先的な権利が付与されています。同時に、役員の選任や議決権について優先することも制限することも可能です。株式により投資家は投資リスクを軽減し、創業者は高いバリュエーションを正当化できるのです。
アメリカでは、ベンチャーキャピタルによるスタートアップへの投資が盛んになった初期段階から優先株式が活用されてきました。しかし、日本では平成中期まで、株式の内容に優劣をつけることが株式平等の原則に反するのではないかという懸念などがあり、優先株式が浸透せず、取り扱いが比較的簡便な普通株式による投資が一般的でした。
会社法が制定されてからは優先株式が普及し、現在の実務では、日本も多くのスタートアップの資金調達において、優先株式の活用が増えています。
普通株式の株価を低く抑える効果
優先株式は経済的な面で強いプロテクションが働きます。普通株式は、優先権がない分、1株あたりの評価額が低くなることが多いです。
ストックオプションでは、行使価格は原則として付与時点の普通株式の価格が基準となります。優先株式を発行することで相対的に評価が低くなった普通株式の価格を基準とするため、行使価格も低く設定できます。その分、株価が上昇した際には利益の幅が大きくなり、従業員は経済的な大きなメリットを感じやすくなりました。
優先株式を活用することでストックオプションの活用もしやすくなり、優秀な人材確保に寄与する側面があります。
日本の投資実務で定着している3つの基本設計

日本のスタートアップ投資において、優先株式は、基本的に次の3つの内容が設定されています。
この3つの内容は、優先株式を発行する企業の多くが採用しており、あわせて導入することが一般的となっています。
- 優先残余財産分配 : 会社清算時やM&A時に優先的に分配を受ける権利
- 取得請求権 (転換権) : 投資家が優先株式を普通株式に変える権利 (希釈化防止条項含む)
- 取得条項 (強制転換) : 会社が強制的に優先株式を普通株式に変える権利 (IPO時など)
投資回収を優先する 「優先残余財産分配」
優先残余財産分配とは、会社の清算時に優先株主が普通株主よりも先に資産や債権者へ支払い後の残余財産について分配を受けられるルールです。優先株主のなかでも、誰から順番に受け取れるかを定めることも可能です。
ただし、清算時の会社の多くは事業に失敗しており、債権者への支払いを終えた後となっているため、残余財産がほとんど残っておらず、実際にルールが使われることはあまりありません。
しかし、株主間契約などにおいて、M&Aの対価を、会社を清算したものとみなして優先株式の優先残余財産分配の定めに従って会社の分配を行うことを定める条項(みなし清算条項)を定めることで、優先株主はM&A時に普通株主に優先して対価を取得することができます。
このように、本来は残余財産の分配は会社清算時のルールですが、実務ではM&Aによるイグジットの際にルールを準用するために設計されており、投資家の確実な資本回収の見通しを立て、結果として投資判断を後押しするための重要な機能として設計されているのです。
希釈化を防ぐ 「取得請求権(転換権)」
取得請求権(転換権)とは、優先株主が会社に対して、保有する優先株式を普通株式へ転換するよう請求できる権利です。権利行使がなされると、優先株式は消滅し、一定数の普通株式が交付されます。
1株の優先株式に対して何株の普通株式を発行するかを転換比率といい、原則として1:1です。しかし、通常、株式分割やダウンラウンド時に、投資家に有利に調整する条項(希釈化防止条項)が付されています。
通常は優先株式を維持した方が有利であり、普通株式へ転換するメリットはありません。例外的に、企業価値が下がる「ダウンラウンド」が生じた場合では転換権の行使が有効となる場合があります。ダウンラウンド時には、投資時よりも1株あたりの株価が低い金額で株式が発行されます。このタイミングで投資家などの既存株主の株価や持株比率を調整し、優先株式からより多くの普通株式に転換できるようにすることで、希釈化を防止するように設計されています。
ただし、優先株式を保有する株主の議決権の過半数または3分の2以上が同意した場合には希釈化防止条項が発動しないという条件を定めることもあります。
IPO時に必要な 「取得条項(強制転換)」
基本的に会社は株主のものであり、取得請求権のように株主側が主導することが多いです。
しかし例外的に、会社側が優先株式を強制的に取得して、その対価として現金や普通株式を転換・交付させることが認められています。根拠は会社法108条1項6号にあり「一定の事由が生じたことを条件として、会社が当該株式を取得する」と定め、正当な権利として認められています。
日本では株主平等の原則が重視され、上場前に種類株式を転換しておくことが通例となっています。そこで、「株式上場」等を一定の取得事由として強制的に転換できるような条項を置いておくことが不可欠です。投資家としても通常は売買の難しい優先株式を手放し、資本を確実に回収できる貴重な機会とも捉えることができます。
M&Aでの資金回収を左右する 「みなし清算」 の仕組み

みなし清算とは、M&Aによる会社の売却や合併、支配権の移転などの事象が生じた場合に、会社が清算されたものとみなす仕組みのことをいいます。
この「みなし清算」については、全株主間で合意するなどしたうえで、M&Aの対価が分配される際に優先残余財産分配の規定を準用します。これにより、優先株主が投資額分を優先的に回収し、その残額を普通株主を含む全株主に対し、保有株式数に応じて分配されます。
M&Aを会社清算とみなして対価を分配する仕組み
みなし清算とは、M&Aにより会社が売却される場面を、あたかも会社が清算する場面と同じとみなすことです。このみなし清算は、全株主を当事者とした合意書(株主間契約)などで定めることで、本来は会社清算時のルールである優先残余財産分配の仕組みをM&Aの場面で準用できるようになります。
M&Aにより得た対価を、清算後に株主へ分配される残余財産とみなして扱うことができるため、優先株主が優先的に分配を受けられるようになるのです。
残余財産分配における倍率 ・ 参加型の設計
優先株式には、参加型と非参加型の2種類があります。ここでいう参加とは、優先株主が優先的に分配を受けた後に行われる普通株主の分配にも参加できるという意味です。優先株主は、優先配当と普通配当の二重取りが可能なのです。
また、投資額の何倍を優先回収するか、倍率の決定も重要です。参加型と非参加型のどちらを選び、また、倍率をどのように設計するかで、投資家としてリターンが大きく異なります。
日本のスタートアップ投資では、投資額の1倍を優先回収した後に、残りについても持株比率に応じて分配を受ける「1倍・参加型」が標準的です。取得コストは高いものの、積極的に回収を目指す日本に対し、アメリカでは「1倍・非参加型」が主流です。
M&Aの手法とみなし清算についての株主間契約の要否
みなし清算条項を、定款に置くこともできます。しかし、M&Aの手法によっては、定款で定めたみなし清算条項が機能しない可能性があります。
M&Aの手法には、合併や株式交換・株式譲渡・事業譲渡などがあります。みなし清算条項を定款に定めた場合、株式譲渡によるM&Aの場合、株主と会社の間の約束である定款に分配方法を定めても意味がないとする見解が有力です。また、事業譲渡や物的会社分割などの場合、対価が会社自体に帰属するため、これを投資家間で分配するためには株主間契約をする他ありません。
そのため、実務上は、株主間契約でみなし清算条項や解散請求権を定め、あらゆる手法に対応できるように網羅的に規定するのが通例です。
主なM&A手法ごとに、定款規定の有効性および株主間契約の要否がどのように整理されるかについては、下記の表でご確認ください。
| M&A手法 | 定款での規定 | 株主間契約での合意 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 合併・株式交換 | 有効 | 必ずしも必要ではない | 会社法上、対価の差別化が可能 |
| 株式譲渡 | 無効の可能性あり | 必要 | 相対取引のため定款が及びにくい |
| 事業譲渡 | 直接適用不可 | 必要 | 対価が会社に入るため、解散請求権等の併用が必要 |
ダウンラウンドに備える希釈化防止条項の種類

前回の資金調達時の株価よりも低い株価で株式を発行して資金調達するラウンドを、「ダウンラウンド」といいます。
ダウンラウンドが発生した場合、直前の資金調達時に比べて低い株価で必要な資金調達をするため、多数の株式を発行することになります。そのため、既存株主の持株比率が低下します。
しかし、新株発行には株主総会の特別決議が必要であり、また、従前の投資契約などで新株発行には既存株主の事前承諾が必要とされていることが多く、既存株主の事前承諾も必要となる場合があります。
したがって、既存株主にとって不利となってもダウンラウンドで新株発行するケースは、会社の資金調達の必要が高いものの他の資金調達方法が困難であり、既存株主がこれを承諾せざるを得ない場合が多いのです。
※ブリッジ・ファイナンスにより、次の新株発行による資金調達ラウンドまでの期間に限定して借入れをするなどの資金調達方法を選択するケースもあります。なお、この借り入れた資金を後のラウンドで株式に転換することや、後のラウンドで調達した資金で返済することが多いようです。
希釈化防止条項の基本構造
このダウンラウンドで重要なのは、「希釈化防止条項」です。
取得請求権を有する優先株式について、株主が取得請求権を行使した場合、会社が優先株式を取得する対価として普通株式の交付をするという設定にすることができ、この取得請求権を転換権と呼ぶことがあります。
通常、優先株式1株の対価は普通株式1株で、転換比率は1:1です。この転換比率は、以下の算式により算出されます。
転換比率 = 1株当たりの払込金額 / 転換価額(=会社による取得価額)
しかし、この転換価額を投資家に有利に調整する条項を「希釈化防止条項(アンチ・ダイリューション)」といいます。スタートアップが発行する株式には、ほとんどこの希釈化防止条項が設けられています。
優先株主にとっては、ダウンラウンドが生じても、転換時に多くの普通株式を取得できるよう調整されているので、ある程度は持ち株比率が希釈化するのを防止できます。他方、希釈化防止条項が発動されると、新規に出資する投資家が新規投資した後の持株比率が減少する恐れがあるため、投資の判断や条件に影響する可能性があります。
そのため、ダウンラウンドでの新株発行について、優先株主(既存投資家)から希釈防止条項を発動しない同意を得られるか否かが重要になってきます。
希釈化防止条項の主な調整方式
転換価額を調整する計算式は、投資家保護の強弱によって、複数のパターンがあります。主に「フルラチェット方式」と「加重平均方式(コンバージョン・プライス方式)」の2つに大別され、加重平均方式はさらに「ナローベース方式」と「ブロードベース方式」に分けられます。
どの計算式を採用するかで、新規又は既存投資家や創業者の立場における有利・不利が現れるため、以下の表を用いて解説していきます。
| 調整方式 | 創業株主・経営株主・エンジェル投資家など | 希釈化防止条項発動権のある既存投資家 | ダウンラウンド時の新規投資家 |
|---|---|---|---|
| フルラチェット方式 | 最も不利 | 最も有利 (大幅に補填される) |
最も不利 (大幅に希釈化する) |
| ナローベース方式 | 不利 | 有利 (適度に補填される) |
不利 |
| ブロードベース方式 | 有利 | 不利 | 有利 |
| 調整しない | 最も有利 | 最も不利 | 最も有利 |
優先株主である投資家に最も有利なフルラチェット方式
フルラチェット方式とは、ダウンラウンドが生じた際に、優先株式の転換価額を今回のダウンラウンド時の発行価額と同額まで一気に引き下げる計算式です。
転換時に交付される普通株式の数が大幅に増えます。既存投資家にとっては株価下落リスクが補填されるため、最も有利です。一方、創業者にとっては持株比率が希釈化され、新規投資家にとっても非常に厳しい条件となります。
バランスを重視した加重平均方式
加重平均方式は、ダウンラウンドが生じた際に、既存の発行済株式価額と新規の発行株式価額、それぞれ数量を加重平均して、転換価額を算出する計算式です。
フルラチェット方式が極端な結果を生み出す一方、こちらは創業者・投資家どちらもバランス良く保護されます。希釈化があったとしても合理的な範囲に収まりやすいことから、日本では穏当な調整方法として一般的に採用されています。
加重平均方式は、株式総数に新株予約権など今後株式になるもの(潜在株式)を含める場合はブロードベース方式、含めない場合にはナローベース方式で計算します。
シリコンバレーではブロードベース方式が主流となっており、日本でもこの方式が採用されています。
経営への関与を定めるガバナンス関連の権利

優先株式は優先的な配当や残余財産の分配など、経済的な権利というイメージが強いと思われます。
しかし、会社法では役員選任権や会社の意思決定権といったガバナンスに関する事項についても、優先的な取り扱いや特別な権利を設定することも認められています。
投資家にとって、このような権利も投資先のモニタリングを行い、経営をコントロールしたい場合には重要な権利です。しかし、あまりに強い権利を設定してしまうと、経営の機動性が損なわれるリスクが考えられます。
役員を選任 ・ 解任できる権利
その種類の株主だけで構成される種類株主総会において取締役や監査役などの役員を選任・解任できるという役員選任権のある種類株式を発行することもできます(会社法108条1項9号、347条、339条)。
例えば、取締役を3名選任する場合、1名を優先株主のみで選任し、残り2名を優先株主と普通株主の合同の株主総会で選任するといった優先株主に有利なルールが導入できるようになるのです。
ただし、日本におけるスタートアップ投資の実務においては、役員選任権を種類株式の内容として定款に定める例は少ないようです。定款に定めてしまうと変更手続きや今後の種類株主総会の開催が煩雑となり、重い負担となるため、あくまでも株主間契約において、役員を指名する権利を付与するに留まることが多くなっています。
重要事項を拒否できる権利
役員選任権と並んで、拒否権も重要な権利です。定款変更やM&Aなど重要事項について、通常の株主総会や取締役会の決議だけでは足りず、種類株主総会での決議もなければ、適法に実行することができなくなるのです。
優先株主が重要事項に対して拒否する権利を実質的に有しているのと同様と見ることができるため、一般的に拒否権と呼ばれています。拒否権の範囲は重要事項のみならず、日常的に行われる事業上の意思決定や、重要な契約締結や財産の売買なども含まれます。拒否権の対象範囲を広く設定しすぎないように、慎重な検討が必要です。
このような負担もあって、日本では優先株式に拒否権を設定しない傾向にあり、広く普及していません。
優先株式の設計でトラブルになりやすいポイント

優先株式の設計を誤ると、深刻なトラブルに発展しやすくなります。
特に問題となりやすい代表的なポイントは以下の3点です。
- ダウンラウンド時の想定外の希釈化
- 拒否権 ・ 役員選任権が経営を拘束する場合
- IPO直前で条件調整が必要になる場合
ダウンラウンド時の想定外の希釈化
資金調達の必要が高く、ブリッジファンドでの調達も困難な場合など、ダウンラウンドで新株発行せざるを得ない場合、既存株主の持株比率の希釈化が起きる可能性があります。
他方、希釈化防止条項がある場合、発動権のある既存株主の持株比率の希釈化はある程度防止できますが、新規投資家の持株比率が想定外に低下するトラブルが考えられます。特にフルラチェット方式を採用している場合、新規投資家の持株比率は著しく希釈化する可能性があります。そのため、フルラチェット方式の採用には慎重になる必要があります。
できる限りダウンラウンドを避けるべく、借入や社債による資金調達や、既存投資家から持分を維持した状態で追加出資を受ける方法、不採算事業からの撤退、事業売却などの予防策をとることを検討しましょう。
拒否権 ・ 役員選任権が経営を拘束する場合
優先株式の内容として、役員選任権や拒否権を付与することも可能です。
しかし、これらの権利の存在により、種類株主の開催など手続の手間が増え、柔軟性や機動性が重視されるスタートアップの会社運営に支障を来すことが多いです。日頃の経営判断にも拒否権を頻繁に行使できるようにしてしまうと、経営の意思決定を過度に拘束してしまいます。
これでは迅速な意思決定がなされず、会社としてまともに機能することができません。そのため、投資契約などにおいて事前承認権を付与することで株式の内容としない方法、拒否権が行使できる範囲や期間を限定する方法、権利消滅に関する条項を設ける方法などの対策が必要でしょう。
IPO直前で条件調整が必要になる場合
IPO直前で条件調整が必要になる場合があります。取得条項や転換条件、定款などについて変更や調整が必要になるなどです。
日本では株主平等の原則が重視され、上場前に種類株式を転換しておくことが通例となっています。
投資家との利害関係の調整やスケジュール管理につまずいて上場できなくなるケースも珍しくありません。そのため、優先株式を発行する際には、会社が株主の意思に関係なく、上場を条件として普通株式を交付する取得条項を不備なく定めておきましょう。
よくある質問 (Q&A)

優先株式の仕組みは非常に複雑であり、理解するまでに時間がかかります。
よく生じる疑問点で、初心者がつまずきやすいポイントについてQ&A形式で解説していきます。
みなし清算条項がないとどうなりますか?
みなし清算条項がない場合、M&Aによる利益があったとしても、会社が清算したとみなされません。
したがって、優先残余財産分配のルールが準用されず、M&Aの対価は普通株主と同順位で分配を受ける形となります。
事業譲渡のときにお金はどう分配されますか?
事業譲渡の対価は会社自身が受け取ります。会計上の資産に計上されるだけで、優先株主であっても自動的に分配されるわけではありません。
適法に分配を受けるためには、剰余金配当として受け取る方法や、みなし清算条項に株式譲渡を設定することで優先残余財産分配とみなして受け取る方法があります。
役員選任権は定款と契約のどちらで定めるべきですか?
どちらで定めることも可能ですが、契約として定めるケースが多くなっています。定款で定めた方が法的保護は強くなりますが、定款変更には株主総会の特別決議が必要になります。役員を解任したいときにも、原則として選任を行った種類株式総会決議によって解任しなければなりません。
手続きに対して手間がかかりやすいため、スムーズさを重視したいのであれば契約で定めるようにしましょう。
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スタートアップにおいて優先株式は必要不可欠な資金調達手段となっています。普通株式よりも大きな経済的利益が得られるほか、ガバナンス面でも非常に強い権限を発揮できるよう設定することも可能です。
特にM&Aやダウンラウンド時の転換比率などの条件についてご自身で判断するのは非常に困難です。弁護士などの専門家へ早期に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要となります。
直法律事務所においても、ご相談は随時受けつけておりますので、お困りの際はぜひお気軽にお問い合わせください。
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