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弁護士コラム
寄与分と遺留分の関係は?相続に強い弁護士が解説!
- 遺留分のトラブル
- 投稿日:2024年08月28日 |
最終更新日:2024年08月28日
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父が亡くなり、長男の私と次男の弟で遺産分割協議を行っています。私は、父の介護を長年していましたが、弟は全く関わっていませんでした。父の遺言には、私に遺産の80%程度を相続させると記載されていましたが、私は介護の寄与分を主張したいと考えています。一方で、弟から遺留分侵害額請求をすると言われました。
この場合、私の寄与分と弟の遺留分の関係はどうなるのでしょうか?
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実務上、遺留分侵害額請求事件において、寄与分を抗弁として主張することは許されないものと考えられています。
本記事では、寄与分と遺留分の関係について、解説していきます。
目次
寄与分とは
寄与分とは
「寄与分」(きよぶん)とは、相続において特定の相続人が被相続人(亡くなった人)の財産の維持や増加に特別な貢献をした場合、その貢献度に応じて相続分を増加させる制度のことを指します。具体的には、寄与分が認められる相続人は、他の相続人よりも多くの財産を相続することができます。
寄与分の具体例
・被相続人の事業を長期間無償で手伝い、その結果事業が繁栄した場合。
・被相続人の医療費を長年にわたって負担した場合。
・被相続人の財産を管理し、その価値を維持した場合。
寄与分があると考える相続人は、遺産分割協議の際に他の相続人と協議し、その寄与分を認める合意を得る必要があります。合意が得られない場合には、家庭裁判所に申し立てて寄与分を決定してもらうことも可能です。
寄与分の制度は、被相続人の財産に特別な貢献をした相続人の努力や貢献を正当に評価し、他の相続人との公平性を図ることを目的としています。
参考記事:「寄与分」って何?寄与分が認められる場合と、範囲について解説
遺留分・遺留分侵害額請求とは
遺留分とは
「遺留分」(いりゅうぶん)とは、相続において特定の相続人が最低限受け取る権利のある財産の割合を指します。
遺留分の対象となる相続人
① 被相続人の配偶者
② 子(代襲相続人も含む)
③ 直系尊属(被相続人の父母、祖父母)
※ 兄弟姉妹は、遺留分の権利を持ちません。
遺留分の割合
・ 直系尊属のみが相続人である場合:被相続人の財産の3分の1
・ それ以外の場合:被相続人の財産の2分の1
※ 例えば、被相続人に配偶者と子供がいる場合、遺留分の合計は財産の2分の1になります。この遺留分は、法定相続人全体で共有するため、各相続人の遺留分はそれぞれの法定相続分に応じた割合で計算されます。
遺留分侵害額請求とは
他の相続人や遺言によって多くの財産を受け取った者に対して、自分の遺留分に相当する金額の支払いを請求できる権利を遺留分侵害額請求権といいます。そして、被相続人が遺言で遺留分を侵害するような配分を行った場合、遺留分を持つ相続人は「遺留分侵害額請求」を行うことができます。
遺留分の制度は、被相続人の意思を尊重しつつ、相続人が最低限の財産を確保できるようにすることを目的としています。これにより、相続人の生活の安定を図り、家族内の公平を保つ役割を果たします。
参考記事:遺留分侵害額請求とは?算定方法についても弁護士がわかりやすく解説
今回のケースについて(寄与分と遺留分の関係)
あなたのケースでは、あなたは被相続人(亡くなった父)の療養看護等の労務の提供をしたとして、寄与分を主張することができます(民法904条の2)。
他方、弟は遺留分権利者(兄弟)であるため、自身の遺留分が侵害された場合には、遺留分侵害額請求権を有します(民法1028条、1044条)。遺留分侵害額請求の結果、あなたが相続によって得た財産のうち、遺留分相当額の支払いが必要になります。
本件では、弟からの遺留分侵害額請求に対して、あなたは寄与分を考慮した額とすることを請求できるかが問題となります。
この点については、遺留分侵害額請求は民事訴訟手続によって行使される権利であるのに対し、寄与分は遺産分割の前提問題であって、寄与分を定める処分事件の審判の申立ては、遺産分割の審判の申立てがある場合にのみすることができ、家庭裁判所の審判等の手続によって寄与分の有無と額が決定されるという制度的な相違があるため、遺留分侵害額請求事件において、寄与分を抗弁として主張することは許されないものと考えられています(東京高判平成3・7・30家月43巻10号29頁)
もっとも、遺産分割の際に、遺留分侵害額請求調停に際しては、遺産の評価や具体的な寄与の程度等を踏まえ、話し合いによって、遺留分相当の財産の分け方を決めることもあります。
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