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弁護士コラム

「相続税の延納」とは?要件・手続き方法まで解説

相続税・事業承継対策
投稿日:2022年07月28日 | 
最終更新日:2022年07月28日
Q
相続税の延納とはどのようなものでしょうか?
Answer
相続税の延納とは、相続税を一定の場合に、最高で20年間、年賦延納により納付できる制度です。
本記事で、わかりやすくご説明していきます。

相続税の延納とは

相続税の延納とは、相続税を一定の場合に、最高で20年間、年賦延納により納付できる制度です。

具体的には、

  1. 1相続税額が10万円を超え、
  2. 2金銭で納付することを困難とする事由がある場合において、
  3. 3納税者の申請により、
  4. 4その納付を困難とする金額を限度として、
  5. 5担保を提供することにより、
  6. 6年賦で

納付することが認められます。

ただし、延納制度を利用できるのは、いわば相続税「本体」に限られ、延納期間中は利子税の納付が必要となるため、注意が必要です。

言い換えれば、相続税の利子税、延滞税及び加算税、連帯納付義務者の連帯納付の金額には延納制度の適用がありません。延納制度を利用できない税については、遅れることなく確実に支払いましょう。

少し詳しく

延納制度の趣旨

そもそも、どうして延納制度があるのでしょうか。

それは、相続税の性質から、一気に相続税の全額を納付することが困難な場合があるため、その困難を緩和する必要性が認められるからです。

確かに、相続税をはじめとする国税は、一気に全額を納付することが原則です。

しかし、次のような場合に、延納制度を利用したくなるような困難がある場合といえるでしょう。

まず、相続税は、相続又は遺贈によって取得した財産に対して課税されます。したがって、場合によっては相続税が多額に上ることがあり得ます

そして、そのような多額の相続税を一気に全額を納付することが、家計の都合上、単純に困難である場合が考えられます。また、そのような多額の相続税を、一気に全額を納付することにより、一時的に事業資本の減少を余儀なくされ、事業を遂行する上で困難が生じる場合もあるでしょう。

そこで、一気に相続税の全額を納付することが困難な場合の緩和措置として、延納制度があるのです。

要件

相続税の延納制度を利用するためには、次の要件を充たすことが必要です。

① 相続税額が10万円を超えること。

② 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。

⑤ 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること。

ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。

③ 延納申請に係る相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。

(ここでの各要件の頭の付番は、「Ⅰ 相続税の延納とは」での付番と対応しています。)

(相続税法第三十八条第一項)
 税務署長は、…納付すべき相続税額が十万円を超え、かつ、納税義務者について納期限までに、又は納付すべき日に金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額として政令で定める額を限度として、…の年賦延納の許可をすることができる。…

(相続税法第三十八条第四項)
 税務署長は、…延納の許可をする場合には、その延納税額に相当する担保を徴さなければならない。…

No.4211 相続税の延納|国税庁

なお、延納制度を利用できる金額にも限度があるため、個別に検討する必要があります。

期間・額

延納期間

延納期間は原則として5年以内です。もっとも、特例等により、延納期間は、個別具体的な事情によって幅があり得ます。

なお、延納税額が50万円未満のときは、その延納期間が制限されます。

特例について、詳しくは、以下に記載の「(5)特例」も併せてご覧ください。

年賦延納

年賦延納とは、定められた延納期間の各年にそれぞれ相続税を納付する仕組みです。

年賦延納をする場合の各年の年割額は、延納税額を延納期間の年数で割り残をした金額となります。

延納税額に対する利子税

延納許可を受けると、相続税額に対し、年6%の割合で利子税が課税されます。

利子税は、各年の分納税額を納付する際、あわせて納付する必要があります。

手続

延納制度を利用するための手続は、a.申請、b.担保提供の二つがあります。

a. 申請

まず、延納制度を利用しようとする人は、相続税の延納の許可を得る必要があります。

この許可を得るためには、納税地の所轄税務署長に、一定の事項を記載した書類を提出しなければなりません。提出期限は、延納を求めようとする相続税の納期限、又は納付すべき日までです。

書類に記載すべき事項は、具体的には、次のとおりです。

  • 金銭で納付することを困難とする金額
  • 金銭で納付することを困難とする理由
  • 延納を求めようとする税額
  • 延納期間、分納税額及びその納期限その他の財務省令で定める事項

次に、申請した延納について、許可あるいは却下の回答がなされます。この回答は、原則的に、申請から3ヶ月以内にされることになっています。

(相続税法第三十九条第二項)
 …申請書の提出期限の翌日から起算して三月以内に当該申請に係る税額の全部又は一部について…延納の許可をし、又は当該申請の却下をする。

b. 担保提供

さらに、延納制度を利用しようとする人は、担保を提供する必要があります。

延納制度を利用すると、一度に納める税額を低額に抑え、延納することになります。

逆に言えば、一気に全額を納付する場合よりも少ない額しか国税が納められない状況が生じます。そこで、一気に全額を納付する場合との差が一時的に生じたとしても、相続税全額の納付が確実に行われるようにするため、担保の提供が必要とされるのです。

担保を提供する期限は、その延納を求めようとする相続税の納期限、又は納付すべき日までに、その延納税額に相当する担保を提供する必要があります。

(相続税法第三十九条第一項)
 前条(註・第三十八条のこと)第一項の規定による延納の許可を申請しようとする者は、…金銭で納付することを困難とする金額及びその困難とする理由延納を求めようとする税額及び期間、…その他の財務省令で定める事項を記載した申請書に…「担保提供関係書類」…を添付し、…これを納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

延納の担保として提供できる財産の種類は、主に次に掲げるものに限られます。

  • 国債および地方債
  • 社債その他の有価証券(※税務署長が確実と認めるもの)
  • 土地
  • 建物、立木などで、保険に附したもの

なお、相続または遺贈により取得した財産に限らず、相続人の固有の財産や共同相続人または第三者が所有している財産であっても担保として提供することができます。

担保として提供できる財産について、詳しくは、国税庁のページでもご確認いただけます。

特例

課税財産の内容・性質に関連して、延納制度には一定の特例が設けられています。

きわめて細かいため、おおまかなイメージを掴んだうえで、専門家と相談したうえで所轄税務署で確認するなど、確実に特例の適否を検討しましょう。

a. 不動産等の割合が多い場合

相続税額の計算の基礎となった財産の価格の合計額のうち、不動産等の割合が一定を超える場合、原則として20年以内の延納が認められる、という特例が定められています。

以下の表もご参照ください。

例えば、不動産等の割合が75%以上の場合には、その不動産等の価格に対応する部分の相続税額について、20年の延納が認められることになります。

(表の上の段・②をご参照ください。)

不動産等の割合が75%以上の場合②不動産等に係る延納相続税額
(③を除く)
20年3.6%0.4%
③森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額20年1.2%0.1%
不動産等の割合が50%以上75%未満の場合④動産等に係る延納相続税額10年5.4%0.7%
⑤不動産等に係る延納相続税額
(⑥を除く)
15年3.6%0.4%
⑥森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額20年1.2%0.1%
不動産等の割合が50%未満の場合⑦一般の延納相続税額
(⑧、⑨および⑩を除く)
5年6.0%0.8%
⑧立木の割合が30%を超える場合の立木に係る延納相続税額
(⑩を除く)
5年4.8%0.6%
⑨特別緑地保全地区等内の土地に係る延納相続税額5年4.2%0.5%
⑩森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額5年1.2%0.1%

出典:No.4211 相続税の延納|国税庁 (nta.go.jp)

b. 計画伐採を行う場合

相続税額の計算の基礎となった財産の価格の合計額のうち、立木の価格の割合が20%以上である場合、原則として20年以内の延納が認められる、という特例が定められています。

(表の上段・③、中段・⑥及び下段・⑩をご参照ください。)

c. 特別緑地保全地区等の土地である場合

延納の許可を受けた場合、課税の対象となる相続財産のなかに、以下の土地があるときは、利子税が年4.2%の割合に変化するという特例が定められています。

(表の下段・⑨をご参照ください。)

d. 利子税が一定未満の場合

租税特別措置法により、相続税法の一定の規定について、利子税の割合が変化するという特例が定められています。

具体的には、一定の分納期間に適用される利子税の割合に対し、対象となる延納特例基準割合が、年7.3%の割合のうちに占める割合を掛け算をして計算した割合へと変化します。

この特例の適用は、各分納期間の延納特例基準割合が年7.3%の割合に満たない場合に限定されます。この特例の適否は複雑なので、所轄税務署で確認しましょう。

(租税特別措置法第九十三条第三項)
次の各号に掲げる規定に規定する利子税の割合は、…各分納期間の延納特例基準割合が年七・三パーセントの割合に満たない場合には、当該分納期間においては、当該利子税の割合に当該延納特例基準割合が年七・三パーセントの割合のうちに占める割合を乗じて計算した割合とする

※延納特例基準割合とは、各分納期間の開始の日の属する年の利子税特例基準割合のことをいいます。(租税特別措置法第九十三条第四項第二号をご参照ください。)

まとめ

相続税の延納とは、

相続税額が10万円を超え、

金銭で納付することを困難とする事由がある場合に、

最高で20年間の年賦延納により納付することを認める制度です。

その手続としては、納税者の申請と、担保提供の二つが必要です。

延納が認められる限度は、その納付を困難とする金額です。

納付の方法は、年賦による納付となります。

細かな定めが多くあるため、本記事でおおまかなイメージを掴んだうえで、

専門家と相談しながら確実に延納制度を利用しましょう。

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