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弁護士コラム

自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言 それぞれ詳しく解説

家族信託・遺言書作成
投稿日:2022年07月22日 | 
最終更新日:2022年07月22日
Q
効力のある自筆証書遺言の条件とは?
無効になってしまう条件も含めて教えてください。
Answer
遺言とは、個人の最終意思が一定の方式のもとで表示されたものをいいます。
つまり、法律上、遺言者の死亡後に、既に権利主体でなくなった遺言者の一方的な意思表示のみで、その効果意思どおりの効力を発生させるものです。

「遺言は、私的自治の原則(意思自治の原則)を権利主体が死亡した後まで拡張するという意味を有し」、「自らの私的生活関係につき、権利主体が死後の状況についてまで自己決定できる」ことにその意義があります。

遺言は、相手方の受領を必要としない、相手方のない単独行為です。
そのため、自分だけの意思で行うことができます。
しかし、これを証明するために、書面で残すことが必要となります。遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言及び秘密証書遺言の3つの方式がありますので、以下で説明します。

自筆証書遺言

これは、民法968条に定められている、自筆証書によってした遺言に係る遺言書です。

意義

遺言者が、遺言書の全文、日付及び氏名を自分で書き、押印して作成する方式の遺言です。

誰にも知られずに簡単に遺言書を作成でき、費用もかかりません。反面、方式不備で無効とされる危険性が高く、偽造・変造される危険性も大きいです。

方式

遺言書全文の自書

自書が要件とされる理由

遺言者は、遺言書の全文、遺言の作成日及び遺言者氏名を自書し、押印しなければなりません。

自書とは、遺言者が自筆で書くことを意味します。

自書が要件とされるのは、筆跡により本人が書いたものであることを判定でき、それ自体で遺言が遺言者の真意になされたものであることを保障することができるからです(最一小判昭和62年10月8日(民集41巻7号1471頁))。

自書をめぐって問題となるもの

タイプ打ちのもの、コピーしたもの、ワープロによるもの、点字によるものは、自書には当たらず、無効となります。

カーボン複写の場合

カーボン複写の場合は、カーボン複写の方法によっても、遺言書に遺言者の筆跡は残り、筆跡鑑定によって真筆かどうかを判定することが可能であり、自筆遺言として有効とされています(最三小判平成5年10月19日(判時1477号52頁))。

自書によらない財産目録の添付

自筆証書遺言に相続財産等の目録を添付する場合には、その財産目録等については自書を要しません(民968条2項)。

パソコン等を用いて作成したり、代書、不動産(土地・建物)の登記事項証明書や郵貯金通帳のコピー等の資料を添付したりする方法で目録として使用することも許されます。

注意が必要なのは、自書によらない財産目録の全てのページに、署名押印が必要となるということです(民968条2項)。

これは、自書によらない財産目録を差し替えるなどして、遺言書を偽造変造することが容易になることを防止するためです。

自書能力

遺言者は遺言当時に自書能力を有しなければなりません。

自書能力とは、遺言者が文字を知り、かつ、これを筆記する能力をいいます。筆跡が異なれば無効です。

全く目の見えない者であっても、文字を知り、かつ自筆で書くことができる場合には、仮に筆記について他人の補助を要するときでも、自書能力を有するというべきであり、逆に、目の見える者であっても、文字を知らない場合には、自書能力を有さないというのが判例です(最一小判昭和62年10月8日(民集41巻7号1471頁))。

では、他人の添え手による補助を受けた自筆証書遺言の効力はどうなるでしょうか。

事例

80歳のAさんは、交通事故の後遺症のより、手が震えるようになり、手の震えと視力の急な低下のため、文字を書くのに不自由で、書いても歪んでしまい解読が困難だったり、次の字と重なったりする状況でした。このような状況のもと、Aは遺言書を作成しようとしましたが、手が震えて字が書けません。妻に後ろから自分の手の甲を握って支えてもらい、ともに手を動かし、証書を作成しました。遺言書には、書き直した字や、歪んだ字等が一部みられるが、一部達筆な字もあり、便箋3枚に概ね整った字で本文が30行にわたって書かれていました。遺言は、概ね妻に都合のいい内容でした。本件遺言書は有効でしょうか。

解説

Aの筆記能力を考慮すると、妻がAの手の震えを止めるため、背後からAの手の甲を上から握って支えをしただけでは、到底本件遺言書のような字を書くことはできません。

Aも手を動かしたにせよ、妻が積極的にAの手を誘導し、妻の整然と字を書こうとする意思に基づき本件遺言書が作成されたものであり、本件遺言書は「自筆」の要件を欠き無効となります最一小判昭和62年10月8日(民集41巻7号1471頁))。

したがって、他人の添え手による補助を受けた自筆証書遺言の効力はありません。

日付

日付は、遺言能力の存否判断や、複数の遺言書の先後を確定する上で重要であり、年月日まで客観的に特定できるように記載しなければなりません。

遺言書の日付として「80歳の誕生日」は有効ですが、「〇月吉日」は無効とされます(最一小判昭和54年5月31日(民集33巻4号445頁))。

氏名

戸籍上の氏名でなくても、通称・雅号・ペンネームでも問題ないとされています。

ここで、夫婦共同で作成できるか、という問題がでてきます。

例えば、「夫婦がお互いに相手方に全財産を相続させる」というような内容が考えられます。しかし、民法は「遺言は、二人以上の者が同一の証書でこれをすることができない。」(民法975条)と規定していますので、夫婦連名で書いた遺言書は、夫の遺言も妻の遺言も、いずれも無効となります。

これは、遺言の趣旨に立ち戻って、遺言は、遺言者の自由な意思の表明であるべきであるのに、連名ですると、相互に影響を受けて自由意思がゆがめられるおそれがあることなどが理由です。

押印

意義

押印は、全文の自書とあいまって遺言書作成の真正さを担保します。

わが国の慣行ないし法意識としては、重要な文書については、作成者が署名した上で押印することによって文書の作成が完結します(最一小判平成元年2月16日(民集43巻2号45頁))。

印章

自筆証書遺言に使用すべき印章には制限がありません(実印である必要はありません)。

認め印でも問題ありません。

指印であることの可否

押印は指印でもいいです(最一小判平成元年2月16日(民集43巻2号45頁))。

花押

判例では、花押を書くことは、民法968条第1項の押印の要件を充たさないと判示されています(最二小判平成28年6月3日(民集70巻5号1263頁、家判8号40頁))。

花押とは、判・書判(かきはん)・押字(おうじ)とも呼ばれる図案化された署名(サイン)のことをいいます。

押印の場所

押印は、遺言の本文が書かれた書面上にされていれば足り、必ずしも署名の下にされていなくてもよいとされています。遺言書本文が封筒に入れられ、その封筒の封じ目にされた押印を有効とした判例があります(最二小判平成6年6月24日(集民172号733頁、家月47巻3号60頁))。

一方で、遺言書には遺言者の署名押印を欠き、検認時に既に開封されていた封筒には遺言者の署名押印がある場合に、遺言書と封筒が一体のものとして作成されたものとは認められないとして、当該遺言書は、自筆証書遺言として遺言者の署名押印を欠いており無効とされた裁判例もあります(東京高判平成18年10月25日)。

この判例は、封筒に入れられた自筆証書遺言が見つかった場合には、開封するべきではないと判断できる、いい例だと考えられます。

様式

用紙が数葉にわたるときでも、全体として1通とみなせるときは、1枚に署名押印すればいいです。契印はなくてもいいです。

自筆証書遺言の加除訂正(民968条3項)

自筆証書遺言に加除・訂正を行うとき(財産目録中の記載の加除その他の変更を含む)には、

  1. 1遺言者がその場所を指示し、
  2. 2これを変更した旨を付記して、
  3. 3特にこれに署名し、
  4. 4変更場所に印を押さなければ

効力がありません。

自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度

こちらもご参照ください。

意義

遺言書保管法(法務局における遺言書の保管等に関する法律)により、法務局(遺言書保管所)において自筆証書遺言に係る遺言書を長期間、適正に保管し、その画像情報等の記録や、保管の申請の際に遺言書保管官が自筆証書遺言の方式に関する遺言書の外形的なチェック等を行う制度があります。

これにより、自筆証書遺言をした者が死亡した後に、遺言書の真正や遺言内容をめぐっての紛争が生じるリスク等が軽減されます。

遺言書は、原本に加え、画像データとしても長期間適正に管理されます(原本:遺言者死亡後50年間、画像データ:同150年間)。

そのため、遺言書の紛失・亡失のおそれがなく、相続人等の利害関係者による遺言書の破棄、隠匿、改ざん等を防ぐことができます。

遺言者が亡くなった後は、相続人等は遺言書の証明書の交付などを受けることができます。

制度利用の前提

自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度は、遺言者の相続人等が遺言者の遺言書が保管所に保管されていることを知っていることが前提となっています。

相続人等は、遺言者のメモ、日記等を検討するほか、友人等からも保管制度を利用しているか否かにつき事情を聴取し、保管制度を利用していることが判明したら、遺言書情報証明書の交付請求等をする必要があります。

関係遺言書保管通知制度(同法9条5項)

相続人のうちの一人が、遺言書保管所において遺言書の閲覧をしたり、遺言書情報証明書の交付を受けたりした場合、その他の相続人全員に対して、遺言書保管所に関係する遺言書が保管されている旨のお知らせが届くというものです。

遺言者死亡時の通知制度

遺言者があらかじめこの通知を希望している場合、関係遺言書保管通知制度を補うものとして、遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認した場合には、あらかじめ遺言者が指定した者(推定相続人、受遺者等から1名)に対して、遺言書が保管されている旨を通知する運用を開始されました。

検認の不要

相続開始後、家庭裁判所による検認が行われることが通常ですが、遺言書保管法により遺言書保管所に保管されている遺言書については、検認は不要です(遺言書保管法11条)。

遺言書保管所に保管される遺言書は、遺言書保管官が保管することになるから、保管開始後に偽造、変造等のおそれがなく、保管が確実であるからです。

閲覧、交付

データでも管理しているため、遺言書の原本が保管されている遺言書保管所にかかわらず、全国どこの法務局においても、データによる遺言書の閲覧や、遺言書情報証明書の交付が受けられます。

保管申請の手続

遺言者ご自身で遺言書を作成し、管轄の法務局に予約をして、直接本人が申請します。

申請の際には、申請書と添付書類の他、マイナンバーカード等の本人確認書類が必要です。

遺言者死亡時に、遺言書が法務局に保管されていることを通知する人を、相続人等のうちから1名指定することができます。

法務局では遺言書の外形的な審査を行いますが、遺言書の内容に関する質問、相談には応じてくれません。

手数料は、下記表のとおりです。

手続内容手数料
遺言書の保管の真正3,900円
遺言書の閲覧の請求1,400円(モニターでの閲覧)
1,700円(原本での閲覧)
遺言書情報証明書の交付請求1,400円
遺言書保管事実証明書の交付請求800円

※しかし、本制度は、保管された遺言書の有効性を保証するものではないことに注意しましょう。

公正証書遺言

公証制度とは

公証制度とは、国民の私的な法律紛争を未然に防ぎ、私的な法律関係の明確化、安定化を図ることを目的として、証書の作成等の方法により一定の事項を公証人に証明させる制度です。

公証人は、国家公務員法上の公務員ではありません。

しかし、公証人法により、判事、検事、法務事務官などを長く務めた法律実務の経験豊かな者の中から法務大臣が任免し、国の公務をつかさどるものであり、実質的意義における公務員に当たる(刑法の文書偽造罪等や国家賠償法の規定にいう「公務員」に当たる)と解されています。

公証人は、取り扱った事件について守秘義務を負っているほか、法務大臣の監督を受けることとされ、職務上の義務に違反した場合には懲戒処分を受けることがあります。

公証人は、法務省の地方支分部局である法務局又は地方法務局に所属し、法務大臣が指定する所属法務局の管轄区域内に公証役場を設置して事務を行います。

公証役場とは、公証人が執務する事務所のことです。

公証人は全国に約500名おり、公証役場は約300箇所あります。

公証人は、職務の執行につき、嘱託人又は請求をする者より、手数料、送達に要する料金、登記手数料、日当及び旅費を受けることとされています。その額は、公証人手数料令に定められています。公証人は、これ以外の報酬は、名目の如何を問わず、受け取ることは許されません。このように、公証人は国から給与や補助金など一切の金銭的給付を受けず、国が定めた手数料収入によって事務を運営しており、弁護士、司法書士、税理士などと同様に独立の事業者であることから、手数料制の公務員とも言われています。

公正証書遺言

前述の自筆証書遺言は、全文を自分で書いて作成するものなので、字の書ける者であればだれでも作れるのが原則です。費用も、証人も不要なので、手続が簡単です。また、書いたこと自体、その内容も秘密にできるというメリットがあります。しかし、一方で、法律の知識のない人が書くことになるため、内容の不備による無効や紛争の勃発があり得ます。紛失や盗難のおそれもあります。さらには、見つけられずに遺言を残した意味がない、ということもあるのです。

このような、自筆証書遺言の短所を補うための制度で、公正証書遺言というものがあります。

公正証書とは、私人(個人又は会社その他の法人)からの嘱託により、公証人がその権限に基づいて作成する文書をいいます。

一般に、公務員が作成した文書を公文書といい、私人が作成した私文書とは区別します。公文書は、公正な第三者である公務員がその権限に基づいて作成した文書ですから、文書の成立について真正である(その文書が作成名義人の意思に基づいて作成されたものである)との強い推定が働きます。これを形式的証明力ともいいます。

文書の成立が真正であるかどうかに争いがある場合、公文書であれば真正であるとの強い推定が働きますので、これを争う相手方の方でそれが虚偽であるとの疑いを容れる反証をしない限り、この推定は破れません。

公文書が私文書に比べて証明力が高いというのは、このような効果を指しています。

作成手続(民969条)

まず、遺言者が証人二人を連れて公証役場に行き(いなけば、公証役場にて有償で紹介してくれます)、証人立会いの下、遺言者が遺言の内容を公証人に伝え、公証人がこれを筆記して公正証書による遺言書を作成する方式の遺言です。

公証人は、公証人法に基づき、法務局又は地方法務局に所属して、公証人役場において関係人の嘱託により公正証書の作成や書類の認証等を行う公務員です。

遺言は、代理人によって作成できないものなので、遺言者本人が病気入院中であるとか自宅療養中であって公証役場に行くことができない場合は、公証人の方が病院や自宅に出張して作成することもできます。

公正証書遺言の場合、公証人が、「ここの表現はこうした方がいいでしょう」と法律的なアドバイスをしてくれることがあります。そして、公正証書用紙に記載して、遺言者と二人の証人に読み聞かせ(閲覧させ)、間違いないことを確かめさせたら、遺言者・証人の順番に署名と押印します。

  1. 1証人2人以上が立ち会う
  2. 2遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する(口頭で伝える)
  3. 3公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ又は閲覧させる
  4. 4遺言者及び証人が筆記の正確なことを確認して、署名、押印する
  5. 5公証人が方式に従って作成したことを付記(「この証書は、民法969条1号ないし4号の方式に従って作成されたものである」)し、署名、押印する

なお、平成11年の民法改正により、聴覚・言語機能障害者においても公正証書遺言ができるようになりました。口がきけない者が遺言者であるときは、口授に代えて、遺言者が公証人及び証人の前で遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述、又は自署します。

このように、公正証書遺言は、長年、裁判官や検察官をやった法律専門家である公証人が作成するものなので、内容が法律的に完全であって、後々もめごとになることがありません。

さらに、遺言公正証書の原本は、鉄筋コンクリートの書庫の中に遺言者が100歳になるまで保管しておきますから、紛失・盗難・火災のおそれがなく、内容を書き換えられる心配が全くないというメリットがあります。

遺言公正証書作成の手数料

遺言は法律行為(単独行為)ですから、公証人手数料令(平成5年政令第224号改正)(別表)により、受遺者もしくは相続人に帰属させる物件の価格に応じた手数料を納める必要があります。

その手数料は次の表を参照してください。病床に出張して作成した場合は、その5割増となります(同令32条)。

価格手数料額
100万円まで5,000円
200万円まで7,000円
500万円まで11,000円
1,000万円まで17,000円
3,000万円まで23,000円
5,000万円まで29,000円
1億円まで43,000円

1億円を超え、3億円以下は、5、000万円増えるごとに1万3000円が加算され、3億円を超え10億円以下は、5000万円増えるごとに1万1000円が加算され、10億円を超えるものは、5000万円増えるごとに8000円加算となります。

秘密証書遺言

意義

これは、前述の2つと比べてマイナーな(使われることが多くはない)遺言です。

遺言内容を秘密にしたままで、自筆以外(パソコンで作成した文章など)でも可能な遺言書です。ただし、自筆による署名は必要です。

つまり、これは、遺言者が遺言内容を誰にも知られたくないという場合にのみ使われます。

実際には、ほとんど使われていないと思われます。秘密証書遺言の場合は、内容を秘密にすることはできますが、自分が遺言書を作成してから、その作成した遺言書が秘密証書遺言であるということを公証人と証人に確認してもらう必要があります。

遺言の内容は誰にも知られたくなくて、さらに遺言の実行を確実なものにしておきたいときに選択されます。

作成方法

はじめに遺言者が行うこと

まずは、遺言者が自分で遺言書を作成します。

この遺言書とは自筆証書遺言と同様に使うペンや紙には、法律上、決まりはありません。

日付を特定して記載する点と署名押印をする点も同じであって、異なる点というと、秘密証書遺言は署名だけを自署(自分で書く)していれば、遺言書の本文はワープロで作成しても問題ないということです。自筆証書遺言の場合は、遺言書の本文と署名すべてを自署(自分で書く)する必要があります。

これは、公証人の前で確認をするので改ざんされる恐れがないからという理由からです。そして、遺言者が遺言書を封筒に入れ、誰にも見られることなく封印される流れになります。このときは遺言書に押印した印鑑と同じもので封筒に封印をしてください。ここまでが遺言者が行う作業です。

公証役場で行うこと

遺言者は遺言書の証人になってもらう人を2人以上用意します。なお、未成年者、遺言者の推定相続人と受遺者(遺贈を受ける人)、配偶者と直系親族、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇い人は証人になれません。

つまり、判断能力を認められない者、遺言の内容によっては損する者と得する者は証人となることはできません。

そのため、司法書士、弁護士などの専門家へ依頼することができます。

また、証人となってくれる人が見つからない場合や、いない場合は、有料で公証役場が紹介してくれることもあります。これは、公正証書遺言の場合も同じです。

その2人以上の証人を連れて公証役場へ向かいます。

公証役場では、公証人と証人の前で封筒の中身は自分の遺言書だということ、氏名と住所を告げます。その後、公証人が提出日と申述内容を封紙に記載し、遺言者、証人それぞれが署名押印します。署名押印が終わったら、秘密証書遺言の手続きは完了です。

このような手続きをすることで遺言の内容が誰にも知られずに遺言内容の秘密性は守られます。ただし、封印された遺言書は遺言者1人で作成され、公証人による文面のチェックも無いので、不備があったとしても訂正はされないのです。

そして、証人にも遺言内容は秘密ではありますが、遺言を残したという事実は知られてしまう事になります。

最後に公証役場で秘密証書遺言の手続きが終わってから自分で遺言書を保管することになります。

公証役場では保管されず、秘密証書遺言を作成したという記録が残ることになります。

また、自筆証書遺言と同じように実際に相続をする場合は、家庭裁判所での検認を受けなければいけません(このような点から、実務的には秘密証書遺言が利用されません)。

自筆証書遺言書、公正証書遺言書、法務局における自筆証書遺言書保管制度の違い

自筆証書遺言書公正証書遺言書法務局における
自筆証書遺言書保管制度
作成方法遺言者が、日付、氏名、財産の分割内容等全文を自筆し、押印して作成。
※財産目録は、パソコンで作成したものでも可
遺言者が、原則として、証人2人以上とともに公証人役場に出かけ、公証人に遺言内容を口述し、公証人が筆記して作成。遺言者が、日付、氏名、財産の分割内容等全文を自書し、押印して作成。
メリット・手軽に作成できる
・費用がかからない
・遺言の形式不備等により無効になるおそれがない
・原本は、公証人役場にて保管されるため、紛失・隠匿・偽造のおそれがない
・家庭裁判所による検認手続が不要である
・手軽に作成できる
・原本は、法務局にて保管されるため、紛失・隠匿・偽造のおそれがない
・家庭裁判所による検認手続が不要である
・遺言者の死亡後、法務局から相続人等に遺言書を保管している旨の通知がされる
・保管の手数料は1通3、900円
デメリット・文意不明、形式不備により無効となるおそれがある
・遺言の紛失・隠匿・偽造のおそれがある
・家庭裁判所の検認手続が必要である
・発見してもらえないおそれがある
・作成までに手間がかかる。
・証人を2人用意しなければならない。
・費用(注)がかかる。
(注)費用の目安として、1億円の遺産を3人の相続人に均等に与える場合は、約10万円の手数料が必要となる
・文意不明等により無効となるおそれがある。

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