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弁護士コラム

非上場株式の相続買取請求とは?株価算定の方法と交渉のポイントを解説

相続税・事業承継対策
投稿日:2026年01月30日 | 
最終更新日:2026年01月30日

Q
父の経営していた会社の株式を相続しましたが、自分は経営に関与していません。会社に株式の買い取りをお願いしたところ、「相続税申告書に記載された評価額で買い取る」と言われました。

しかし、その金額が本当に妥当なのか判断できません。会社の将来性や資産の実態が反映されていないように感じるのですが、どうすれば適正な価格を知ることができるのでしょうか?
Answer
相続税申告で使われる「相続税評価額」は、国税庁の通達に基づいて計算される税務上の評価額であり、実際の取引で用いられる私法上の時価とは異なります。

会社の業績や将来の利益、不動産などの含み益を考慮すると、税務上の評価額よりも実際の価値が高いケースも少なくありません。


この記事では、会社が提示した価格が妥当かを判断するために、どのように株価を算定するのか、また会社にどの資料を開示してもらえばよいのかを詳しく解説します。適正な評価方法と交渉のポイントを知ることで、納得のいく価格で売却するための準備が整います。

監修:弁護士法人直法律事務所 代表弁護士 澤田 直彦

相続によって取得した非上場株式を換価したくても、買い手を見つけることが困難なことが多く、また、買い手が見つかっても、株式に譲渡制限がある場合、会社が譲渡を認めてくれない場合もあります。

その場合、会社に買取請求し、買い取ってもらえるよう交渉しなければならないケースが多くなります。ただし、会社が提示する株式の評価額が妥当かどうかは、一見して判断できないでしょう。
 
本記事では、相続で株式を取得したものの会社経営に関わっていない方や、これから買取交渉を進めたい方に向けて、適正な株価を見極めるための考え方や対応策を、わかりやすく解説します。

目次

非上場株式の買取請求とは?会社法・定款上の位置づけ

非上場会社の株式は、上場株式のように市場で自由に売買することができません。多くの中小企業では、株式の譲渡に会社の承認が必要な「譲渡制限株式」となっており、株主が自由に第三者へ売却できない仕組みになっています。

このため、相続などで株式を取得したものの経営に関わる意思がない場合、会社または他の株主に株式の買い取りを求めて交渉する(買取請求を行う)のが一般的です。

また、買い手が見つかった場合でも譲渡制限株式の場合は会社の承認が必要です。

ここでは、譲渡制限株式の譲渡や会社が株式の譲渡を承認しない場合の対処法、株式の買取請求と売渡請求の違いなどについて解説していきます。

会社法で定められる譲渡制限株式の仕組み

会社法では、非上場会社の株式について「譲渡制限株式」という制度が設けられています。これは、会社の支配権を守るために、株式を第三者へ譲渡する際には取締役会など会社の承認が必要とする仕組みです。承認を得ずに勝手に譲渡しても、譲渡の効力は会社に対して生じません。

会社が譲渡の承認を拒否した場合には、会社または会社の指定する買取人に株式の買取を請求(買取請求)することが可能です(会社法140条)。この点、詳しくは後述します。

中小企業では、経営権の安定を保つために、全ての株式に譲渡制限を設けているところが多数です。したがって、相続などで株主になった場合でも、自由に株式を売却できず、会社や既存株主との協議が不可欠になります。

譲渡制限の定めが定款にある場合の法的効力と限界

会社が譲渡制限を定款で定めているにも関わらず、会社の承認を得ることなく株式を譲渡した場合、譲渡の効力が認められるのでしょうか。

まず、買主との関係では、株券発行会社ではない場合、株式を譲渡する合意があれば譲渡は有効です。株券発行会社の場合、株式を譲渡する合意に加えて株券の交付があれば、譲渡は有効になります。

次に、会社との関係では、会社が譲渡を承認していない以上、株式の譲渡の効力は生じません。ただ、株主が一人だけの会社(一人会社)の株主が保有している株式を譲渡する場合や、全株主が同意しているような場合は譲渡が有効とされます。

そして、会社以外の第三者との関係では、会社の承認がない以上、第三者との関係においても譲渡の効力は生じないと考えられています。

このように、譲渡制限株式の譲渡は、会社の承認がない限り、原則として会社や第三者に効力が生じません。

ただし、会社が譲渡を承認しない場合でも、譲渡承認請求のあった日から2週間以内に会社が譲渡の承認又は拒否する旨の通知を請求者にしなかった場合など一定の場合には承認したものとみなされます。

会社側の「買取請求」と株主側の「売渡請求」の違い

株式に関して、会社法上、株主が会社に株式の買い取りを求める「買取請求」と、会社が株主に株式の売渡しを求める「売渡請求」という制度があります。

株主の買取請求は、株式譲渡が承認されない場合に行うものです。会社に譲渡承認を拒否された株主は、会社に対して買取請求ができます(会社法第140条)。

他方、会社の売渡請求は、相続で譲渡制限株式を承継した人に対して会社が行うものです。会社は定款に規定を設けている場合に限り、株式の売渡請求ができます(会社法第174条)。定款にこの規定があることで、会社は望まない相続人を株主に残さず、株主構成の安定を図ることが可能になります。会社による売渡請求があった場合には、株主(相続人)は原則として拒否できません。

なお、相続人に対する売渡請求ができるのは、相続があったことを知った日から1年以内です(会社法第176条1項但書)。

このように、定款の内容によって会社側の対応が大きく異なるため、相続が発生した際には、まず定款に売渡請求条項があるかを確認しておくことが重要です。

相続した非上場株式の買取価格はどう決まる?

相続した非上場株式を会社や役員に買い取ってもらう場合、その買取価格の妥当性が大きな関心事になります。

会社が、国税庁が定める基準に従って算出された評価額を提示したとしても、株式の売買の取引価格として妥当であるとは限りません。株式の評価には、税務上の評価(相続税評価額など)と、実際の売買などに用いられる私法上の評価(時価)があり、両者は目的も算定方法も異なるからです。

ここでは、買取価格を判断するうえでの基礎知識を整理します。

税務上の評価額と私法上の評価額の違いを理解する

相続税評価額は、国税庁の財産評価基本通達に基づき、課税の公平性を保つために一律の基準で計算されます。この評価は、あくまで税務上の目的に沿ったものであり、会社の将来の収益性や成長性などは十分に反映されません。

一方で、私法上の時価とは、実際の売買や遺産分割などにおいて、当事者の利益調整を目的として算出される価格です。将来の利益、保有資産の含み益、事業の成長性などを考慮するため、税務評価より高く算定されることも少なくありません。

そのため、相続税評価額=実際の価値とは言えず、両者を混同しないことが重要です。

会社からの「相続税評価額での買取」提案の妥当性

会社から「相続税評価額で買い取ります」と提案されるケースは多く見られます。しかし、この金額が妥当かどうかは、株式の実際の価値(私法上の時価)と比較して判断する必要があります。

もし会社の業績が好調で利益を積み上げている、あるいは保有不動産に大きな含み益がある場合、相続税評価額は実勢よりも低く算出されている可能性があります。そのため、公認会計士などの専門家に依頼して株式の時価を鑑定してもらい、私法上の評価額と相続税評価額を比較することが望ましいでしょう。

専門家に依頼が難しい場合でも、会社の貸借対照表から簿価純資産法による簡易的な株価算定を行い、おおまかな目安を把握することは可能です。ただし、この方法も将来の収益力を反映しないため、あくまで参考値として捉える必要があります。

このように、会社が提示する相続税評価額は、必ずしも実際の価値を示すものではありません。提示額の根拠を確認し、客観的資料に基づいて自ら妥当性を検証することが、納得のいく買取交渉につながります。

相続した非上場株式を会社に売却できないケース

相続によって取得した非上場株式は、必ずしも会社に売却できるとは限りません。会社が株式買取を拒否するケースもあるからです。

ここでは、会社が買い取りを拒むことができる条件や、株主(相続人)が取り得る対応について解説します。

会社による株式買取の可否と定款による制限(譲渡承認・売渡請求)

相続によって取得した非上場株式であっても、会社にはその株式を買い取る義務は原則としてありません。したがって、相続人が「株式を買い取ってほしい」と申し出ても、会社はこれを拒否することができます。つまり、会社は自由に株式を買い取るかどうかを判断できる立場にあります。

ただし、定款で株式の譲渡制限が定められている会社で、株式の譲渡を会社が承認しない場合、株主は、会社に対して買取請求を行うことができるようになります。そして、会社は株式の買い取りを拒否できません。

なお、定款に相続人等に対する売渡請求(会社法174条)が定められている場合には、会社側から相続人に対して株式を売り渡すよう求めることが可能です。

つまり、以下の3つのルールを押さえておく必要があります。

  • 会社には原則として買い取り義務はない(任意で買い取るかどうかを判断できる)
  • 定款で株式譲渡制限が定められている場合、会社が譲渡を承認しないときには、会社に買取義務が発生する
  • 定款に相続人に対する株式売渡請求が定められている場合、会社側から売渡請求することは可能

会社が拒否しても株主ができる法的対応(買取請求・価格決定申立)

株主が、会社に対して株式の買取交渉をしても応じない場合、譲渡制限付株式の株主であれば、一定の法的手段があります。

まず、株主は株式の譲渡先(売却先)を見つける必要があります。そして、会社に対して、譲渡承認請求を行います。その結果、会社が譲渡の承認を拒否した場合には、会社または会社の指定する買取人に株式の買取を請求(買取請求)することが可能です(会社法140条)。

会社又は指定買取人に株式を買い取ってもらう際、株主は、会社又は指定買取人と買取価格について協議する必要があります。会社又は指定買取人が提示した価格に納得できないなど協議が調わない場合、株主、会社又は指定買取人は、買い取りの通知があった日から20日以内に、裁判所に価格決定の申立てを行い、公正な価格を定めてもらうことができます。

なお、会社側が相続人に対して売渡請求した場合にも、会社との間で価格について協議がととのわない場合には、株主は裁判所に価格決定の申立てができます。裁判所に価格決定の申立てができるのは、会社が相続人等に対して売渡請求をした日から20日以内です。協議によって価格が決まらず、価格決定の申立てもされない場合は、売渡請求は無効となります。

実務上の「交渉停止・拒否」の対処法

実際の交渉では、会社が「今は買い取れない」「株価を算定中」などと理由をつけて、交渉を長引かせるケースも少なくありません。このような場合は、まず書面で正式に買取希望を伝え、その回答や提示内容を記録に残しておくことが大切です。

また、会社が資料の開示を拒む場合には、株主として会社法に基づき、計算書類及び事業報告の閲覧・謄本等交付請求権(会社法442条3項)を行使することができます。総株主の議決権の100分の3以上の議決権又は発行済株式の100分の3以上の株式を持つ株主であれば、法定の拒否事由に該当しない限り会社に対して会計帳簿等の閲覧謄写を求めることもできます。

これにより、株価算定に必要な財務資料を入手し、専門家とともに妥当な価格を検証できます。会社が誠実に対応しない場合でも、法的手段と記録の確保を組み合わせることで、交渉を有利に進めることが可能です。

株式買取価格の算定に用いられる主要な評価方法

非上場株式の価値は、市場価格が存在しないため、客観的な算定方法に基づいて評価する必要があります。

私法上の時価を求める代表的なアプローチには、「インカム・アプローチ」「コスト・アプローチ」「マーケット・アプローチ」の3種類があります。

内容・特徴代表例
インカム・アプローチ将来予測される利益やキャッシュ・フローに着目して企業価値を評価する方法です。
継続企業であることを前提としており、会社の将来の収益獲得能力や固有の価値を反映させやすいとされています。
・DCF法
・収益還元法
・配当還元法
コスト・アプローチ会社の貸借対照表上の純資産に着目して企業価値を算出する方法です。
客観性に優れていますが、将来の収益力を反映することが難しく、継続企業であることに疑義がある会社等の評価で採用される傾向にあります。
・簿価純資産法
・修正簿価純資産法
・時価純資産法
マーケット・アプローチ類似する上場会社や取引事例といった市場データと比較して、相対的な企業価値を評価する方法です。
市場参加者の価値判断を反映できますが、類似する会社がない場合は評価が困難です。近時の裁判例ではほぼ採用されていません。
・類似上場会社法
・取引事例法

非上場株式の評価には複数の手法があり、どの方法を採用するかで結果は大きく変わります。そのため、会社が提示した評価額を検証する際には、どのアプローチを用いて算出されたか、その前提条件を確認することが欠かせません。

ここでは、近時の裁判例でほぼ採用されていないマーケット・アプローチを除く2つの方式について、その特徴と評価の考え方を簡潔に整理します。

インカム・アプローチ(収益性に着目する方法)

インカム・アプローチは、会社が将来生み出すと見込まれる利益やキャッシュ・フローに基づいて株式価値を評価する方法です。企業の収益力や将来性を反映しやすく、継続企業を前提とした評価に適している点が特徴です。

代表的な手法としては以下のようなものがあります。

  • DCF法
    将来のフリー・キャッシュ・フローを予測し、一定の割引率で現在価値に換算して企業価値を求める方法です。
    会社の成長性を反映できる一方、事業計画や割引率の設定次第で結果が変わるため、評価者の主観が入りやすい点には注意が必要です。

  • 収益還元法
    将来の純利益を一定の資本還元率で割り引き、株式の現在価値を評価する算定方法です。
    DCF法より簡便ですが、将来利益の予測に不確実性が伴います。

  • 配当還元法
    将来受け取る配当を基準に株価を求める方法で、少数株主間の取引などに用いられます。
    ただし、配当を行わない会社では適用が難しく、株価が低く出やすい傾向があります。

コスト・アプローチ(純資産に着目する方法)

コスト・アプローチは、会社の貸借対照表上の純資産額に基づいて株価を算定する方法です。会社が保有する資産の価値に注目し、客観性が高い点が特徴です。

主な算定方法は、以下のとおりです。

  • 簿価純資産法
    貸借対照表上の数値をそのまま用いて株価を求める方法です。
    算定が簡単で明確ですが、含み益や含み損が反映されないため、実態と乖離することがあります。

  • 時価純資産法(修正簿価純資産法)
    貸借対照表上の資産・負債を時価に引き直して純資産を算定する方法です。 
    より実態に近い評価が可能ですが、すべての資産を時価評価するのは現実的ではないため、不動産や有価証券など主要資産に限定して評価するのが一般的で、このような算定方法は修正簿価純資産法といわれます。

コスト・アプローチは清算予定の会社や収益予測が困難な企業に適していますが、将来の収益力は反映されにくいという限界もあります。

複数の算定方法を組み合わせる折衷法

非上場株式の評価では、1つの方法だけでは実態を反映しきれないことがあります。そのため、複数の算定方法を組み合わせて平均化する折衷法が用いられることがあります。

例えば、広島地裁平成21年4月22日決定(金判1320号49頁)では、譲渡制限株式の価格決定において、支配株主である買主の立場からはDCF法、少数株主である売主の立場からは配当還元法を採用し、それぞれの結果を50%ずつの割合で折衷して価格を決定しました。

このように、折衷法は双方の立場を考慮して公平な価格を導くために用いられますが、採用する方法や割合は事案ごとに判断されます。

評価額の調整要因(ディスカウント)の考え方

算定した株価から、一定の要因を理由に減額(ディスカウント)が行われる場合があります。

代表的なものが以下の2つです。

  • 非流動性ディスカウント
    非流動性ディスカウントは、非上場株式は市場で換金しにくいため、その分を減額する考え方です。
    最高裁令和5年5月24日決定(判タ1514号33頁)では、譲渡制限株式についてこのディスカウントを認める判断が示されています。

  • マイノリティ・ディスカウント
    マイノリティ・ディスカウントは、少数株主の株式は経営支配権を持たないため価値が低いとする考え方です。
    ただし、裁判例上はほとんど認められておらず、主張する場合には慎重な検討が必要です。

DCF法による株価算定と会社との交渉準備

非上場株式の評価方法の中でも、将来の収益力を反映できるDCF法は、近年の裁判実務でも重視される手法です。

会社の事業計画をもとに算定するため、企業の本来価値をより的確に表すことができる一方で、前提となるデータや計算過程に会社側の主観が入りやすいという特徴もあります。

したがって、DCF法による評価を行う際には、資料収集と内容の検証が不可欠です。

DCF法による評価に必要な資料の収集

DCF法では、将来のフリー・キャッシュ・フロー(FCF)を推計し、それを割引率で現在価値に換算します。その算定のためには、会社の現状と将来の見通しを把握できる資料が必要です。

一般的に求められる主な資料は、以下のとおりです。

  • 会社の登記事項証明書・株主名簿
  • 過去3〜5年分の決算書(貸借対照表・損益計算書など)と勘定科目内訳明細書
  • 事業計画書
  • 会計帳簿(総勘定元帳・固定資産台帳など)

これらの資料は、会社の財務状況や今後のFCF予測を立てるために不可欠です。専門家(公認会計士など)に鑑定を依頼する場合には、事前に必要資料を確認して効率的に準備するとよいでしょう。

会社に資料開示を強制する方法

会社が任意で資料を開示してくれない場合でも、株主には法的に資料を請求できる権利があります。

すべての株主は、会社に対して計算書類や事業報告等の閲覧・謄本交付を請求できます(会社法442条3項)。

また、総株主の議決権の100分の3以上の議決権又は発行済株式の3%以上を保有している株主は、法定の拒絶事由に該当しない限り、請求理由を明らかにして会計帳簿や契約書など資料の閲覧・謄写請求が可能です(会社法433条1項)。

これらの権利は、会社が情報を開示しない場合に有効な手段であり、非公開会社であっても、株式の適正な価格を算定する目的であれば拒否されにくいとされています。

会社から提示された評価の妥当性を検証するポイント

DCF法による評価書が提示された場合、どの前提で算定されているかを確認することが重要です。

特に注意すべきなのは、以下の2点です。

  • 将来のFCF(フリー・キャッシュ・フロー)の推定が妥当か
    会社の事業計画が、意図的に保守的に作成されていないか、過去の実績や業界動向と比べて不自然に低い利益予測になっていないかを確認します。

  • 割引率の設定が適正か
    割引率が高く設定されるほど株価は低く算出されるため、会社側に有利な数値が使われていないかを検証します。
    この点も、評価者の裁量が入りやすく、専門家の意見を取り入れることが有効です。

こうした確認を行うことで、会社側の算定結果に対して根拠をもって交渉できるようになります。

事業計画がない場合のDCF法での評価方法

会社が事業計画を作成していない場合でも、DCF法による評価が不可能になるわけではありません。

過去3〜5年分の財務実績データを基礎にして、過去の傾向から将来のFCFを推定することができます。実際に、裁判例でもこのような方法でDCF法を適用した事例があります(東京地裁平成26年9月26日決定など)。

つまり、事業計画がなくても、過去の実績データをもとに一定の将来予測を立てることが可能です。評価の客観性を保つためにも、専門家の関与と十分な資料収集が欠かせません。

よくある質問(Q&A)

ここでは、相続した非上場株式の買取交渉において、特に多く寄せられる疑問をQ&A形式で解説します。

会社から提示された価格の妥当性を判断する際や、今後の交渉方針を決めるうえでの参考にしてください。

Q
会社の提示する相続税評価額は妥当な買取価格ですか?
Answer
必ずしも妥当とは限りません。相続税評価額は、国税庁の財産評価基本通達に基づいて算出される税務上の評価額であり、実際の取引で用いられる私法上の時価とは異なります。

会社の業績が好調で将来性がある場合や、不動産などの含み益を多く抱えている場合には、実際の取引における株式の価値が税務上の評価よりも高くなるケースもあります。

したがって、相続税評価額だけで買取価格の妥当性を判断せず、会社の財務資料や専門家による鑑定をもとに比較検討することが重要です。
Q
会社の将来性(収益)を反映した価格で買い取ってもらう方法はありますか?
Answer
DCF法などの収益力を重視する評価方法で交渉する方法があります。

DCF法は、将来の利益やキャッシュ・フローを現在価値に換算して評価する方法で、会社の成長性を反映させやすい特徴があります。

この評価を行うには、会社の事業計画書・過去の貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書などの資料が必要です。会社が資料の開示に消極的な場合でも、株主としての権利(会社法433条・442条)に基づき、計算書類等の閲覧・謄本請求や会計帳簿等の閲覧・謄写を請求することができます。

こうした資料を基に専門家に評価を依頼すれば、会社の将来性を反映した適正な価格での交渉が可能になります。
Q
株価算定のための資料を会社が開示してくれない場合はどうすればいいですか?
Answer
株主には法的に開示を請求する権利があります。

会社が任意で資料を開示しない場合でも、株主は会社に対して計算書類(貸借対照表・損益計算書・事業報告など)の閲覧・謄本交付を請求できます(会社法442条)。

さらに、総株主の議決権の100分の3以上の議決権又は発行済株式の3%以上を保有している株主は、法定の拒絶事由に該当しない限り会社に対し請求の理由を明らかにして会計帳簿や契約書などの閲覧・謄写請求権を行使することも可能です(会社法433条)。

裁判例でも、株式の適正な価格を把握する目的で行う閲覧請求は、正当な目的として認められています。開示を拒まれた場合には、専門家と相談のうえで法的手続きを検討しましょう。

東京都千代田区の相続に強い弁護士なら直法律事務所

相続によって非上場株式を取得した場合、会社との関係性や定款の内容によっては、スムーズに売却できないことも少なくありません。また、会社が相続税評価額での買い取りを提示された場合、必ずしも相続税評価額が適正価格とは限りません。正当な価値を知るためには、会社法や企業評価の専門知識が必要になります。

非上場株式の買取交渉では、会社の譲渡制限や定款の規定の確認、税務上の評価額と私法上の時価の比較、DCF法などによる株価算定と妥当性の検証といった専門的な検討が欠かせません。こうした複雑な問題に直面したときは、会社法や相続・事業承継に精通した弁護士へ早めに相談することが大切です。

直法律事務所では、非上場株式の買取請求、価格決定申立て、資料開示請求など、法的・実務的な観点から総合的なサポートを行っています。相続した株式の扱いに悩んでいる方や、会社との交渉で不安を感じている方は、まずは一度ご相談ください。

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