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弁護士コラム
節税目的の養子縁組は有効なのか?
- 相続税・事業承継対策
- 投稿日:2023年06月01日 |
最終更新日:2024年02月09日
- Q
- 節税目的の養子縁組の数には、制限があるのでしょうか?
- Answer
-
節税目的の養子縁組は、税務署長によって否認されるリスクがあります。
これに対し、節税目的でない養子については、被相続人に実子がいれば1人まで、被相続人に実子がいなければ2人まで、相続税法の基礎控除や非課税限度額の恩恵を受けることができる相続人の人数にカウントすることができます。
本コラムでわかりやすくご説明します。
養子とは
養子制度は、自然血縁による親子関係がない者の間に法的に親子関係を創設する制度です。
養子には、
- 普通養子(実親との親族関係が残ったまま)
- 特別養子(実親との親族関係を消滅させたもの)
の2種類のものがあります。
民法における養子
民法は法定相続制を採用し、被相続人(亡くなった人)の親族のうち、誰が被相続人の財産を相続するかについて条文で画一的に定めています。民法が規定する相続人のことを「法定相続人」と呼びますが、法定相続人の範囲は、被相続人の直系卑属(子、孫、ひ孫等)、直系尊属(両親や祖父母等)、兄弟姉妹(それらの子を含みます)及び配偶者に限られます。
このうち、配偶者は、血族相続人と並んで常に同順位の相続人となります(民法890条)。
これに対し、血族相続人には優先順位が付けられており、先順位の血族相続人が誰もいないときに初めて次順位の血族相続人が相続人となります(民法889条)。血族相続人の順位は、第1位が子とその代襲相続人(民法887条)、第2位が直系尊属、第3位が兄弟姉妹とその代襲相続人です(民法889条)。
ここで「子」の属性、すなわち、実子・養子、性別、長幼、既婚・未婚、嫡出子・非嫡出子、親権や監護権の有無、国籍・戸籍・氏等の異同といった事情は子の相続権に一切の影響を及ぼさず、複数の子がいるときには全員が同順位の相続人になります。
相続税法における養子
実子と養子について、民法は区別していませんが、相続税法は区別しています。
相続税法15条1項は、相続税の基礎控除額の計算方法を定めたものです。同条項によれば、相続税の基礎控除額は、「3000万円+(600万円×相続人の人数)」によって計算されます。
しかし、相続税の基礎控除額を計算するに際し、養子を無制限に「相続人の数」に含めてしまうと、相続税の負担を容易に潜脱できてしまいます。
そこで、相続税法15条2項は、相続税の基礎控除額を計算する際の「相続人の数」にカウントできる養子の人数を制限しました。具体的には、被相続人に実子がいるときは養子1人まで、被相続人に実子がいないときは養子2人までを「相続人の数」にカウントすることができます。
ただし、特別養子や配偶者の実子を養子にしたものは、単なる養子というよりは実子に近い身分関係があるといえるため、相続税法15条3項は、これらの養子を実子とみなしています。
また、生命保険金(相続税法12条1項5号)や死亡退職金(相続税法12条1項6号)の非課税限度額についても、「500万円×相続人の人数」によって計算されます。ただし、同条項には「500万円に当該被相続人の第15条第2項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額」と記載されていることから、上記の養子の人数制限が同様に及ぶことになります。
養子の数の否認
相続税法63条は、上記の養子の人数制限内の人数であったとしても、「相続人の数に算入することが、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合」には、税務署長は養子を相続人に含めることを否認して相続税の計算をすることができるものと規定しています(相続税基本通達63-2は、このような養子を「不当減少養子」と呼んでいます)。
したがって、節税目的の養子は、税務署長によって「不当減少養子」と認定されるリスクがあります。
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節税目的だけによる養子縁組は、税務署長に否認されるリスクがあるため、やるべきではありません。
養子は、民法上は実子と同列に扱われますが、相続税法上は基礎控除や非課税限度額を計算する際にカウントできる養子の人数には1人(被相続人に実子がいるとき)ないし2人(被相続人に実子がいないとき)という制限が設けられています。
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