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弁護士コラム
配偶者居住権の消滅原因と評価方法は?制度の仕組みを解説
- 遺産分割のトラブル
- 投稿日:2026年08月13日 |
最終更新日:2026年08月13日

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先月に夫を亡くしましたが、自宅に住み続けたいと考えています。しかし、法定相続分どおりに自宅を相続すると、預貯金をほとんど相続できず、老後の生活資金が不足しそうです。
そこで「配偶者居住権」の活用を考えていますが、仕組みや自宅の評価方法を教えてください。また、将来老人ホームへ入所した場合、配偶者居住権は消滅してしまうのでしょうか。自宅を売却するなどして、入居費用のために現金化することはできるかどうか知りたいです。
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配偶者居住権は、残された配偶者が被相続人と生活していた自宅に、原則無償で終身住み続けられる権利です。
自宅の所有権より評価額が低いため、配偶者居住権を相続することで、その分、預貯金などを多く相続できるメリットがあります。
将来的に老人ホームへ入所しても、原則として死亡または期間満了まで権利は消滅しません。入所費用を捻出するために、第三者への賃貸や建物所有者による買い取りも可能です。ただし、第三者への売却などには制限があり、一定の事由に該当すると配偶者居住権が消滅します。
監修:弁護士法人直法律事務所 代表弁護士 澤田 直彦
2009年 弁護士登録
2018年 弁護士法人直法律事務所 開業
相続・不動産・企業法務を中心に取り扱い、相続に関する相談を年間100件以上対応。
遺産分割・遺留分・相続登記・生前対策など、幅広い相続問題の解決に取り組んでいます。
目次
配偶者居住権の仕組みとメリット
配偶者居住権とは、被相続人が所有していた自宅に、残された配偶者が住み続ける権利です。存続期間は終身または一定期間で、無償で建物全部を使用・収益できます。
配偶者居住権は、遺贈や遺産分割などにより設定できます。設定すると、居住建物の所有権を居住権(住む権利)とその他の権利(持つ権利)に分け、配偶者が居住権・他の相続人がその他の権利を取得します。
従来は、配偶者が自宅の所有権をそのまま相続する方法が一般的でした。しかし、不動産は高額であり遺産に占める割合が高いことが多く、自宅を取得すると預貯金などの他の遺産を十分に相続できず、生活資金に窮するリスクがありました。特に老人ホームなどへ入所を考えている場合には、その費用の工面が問題となります。
自宅を第三者に売却して借りる方法や、新しくアパートなどを借りる方法もありますが、いずれにしても賃料の支払いが負担となります。また、高齢の場合には新たな賃借物件を見つけることは難しく、必ずしも賃貸借契約や使用貸借契約を結べるとは限りません。
このような背景から、配偶者の生活を保護する目的で、平成30年の民法改正に伴い「配偶者居住権」が創設されました。この制度により、自宅に住み続けながら、より多くの預貯金などの他の遺産を取得できるようになりました。
自宅に住み続けながら生活資金を確保できる仕組み
配偶者居住権を活用すると、自宅に住み続けながら預貯金などの生活資金を確保しやすくなります。
配偶者居住権が設定された場合、自宅の所有権は「配偶者居住権」と「配偶者居住権付所有権(負担付き所有権)」に分けて考えるとわかりやすいでしょう。
配偶者居住権は、所有権と異なり、売却・賃貸・増改築などに制約があります。その分、所有権より評価額が低く、遺産総額に占める割合も低くなります。そのため、配偶者居住権を取得しても相続分に余剰が生じやすく、預貯金などの他の遺産を取得しやすくなります。
例えば、遺産総額5,000万円(自宅2,000万円・預貯金3,000万円)を相続するケースで考えてみましょう。
法定相続分どおりに計算すると、配偶者の相続分は全体の2分の1にあたる2,500万円です。自宅の所有権を2,000万円で取得すると、相続できる預貯金は500万円となります。一方、配偶者が居住権部分のみを取得し、その評価額を1,000万円と仮定すると、1,500万円の預貯金を相続することができます。
将来、配偶者が亡くなった場合には配偶者居住権が消滅し、子どもなどの他の相続人が取得している自宅は完全な所有権に戻ります。
権利が成立するための要件と対象者
配偶者居住権が成立するには、「相続開始時点(被相続人死亡時)に、配偶者が被相続人の単独所有あるいは被相続人と配偶者の共同所有の建物に居住していたこと」が要件となります。この要件を満たさなければ、遺言や当事者の合意があっても配偶者居住権は成立しません。
対象となる配偶者は、婚姻届を提出した法律上の配偶者(法律婚)に限られ、「相続開始時点で婚姻関係が継続している」必要があります。内縁関係にある人物(事実婚)は対象外です。
また、建物は「被相続人の単独所有または被相続人と配偶者の共同所有」でなければなりません。第三者との共有建物や賃借物件では、配偶者居住権は成立しません。
さらに、配偶者が「当該建物を生活の本拠として居住していたこと」も必要です。相続開始前から子どもの家に住んでいた場合など、長期間にわたり自宅を生活の本拠としていなかった場合には、配偶者居住権は成立しません。
配偶者居住権は、遺産分割・遺贈・死因贈与契約・家庭裁判所の審判のいずれかにより取得することができます。相続開始時に当然に取得できるわけではない点に注意が必要です。
配偶者居住権の存続期間
配偶者居住権の存続期間は、特に定めがなければ配偶者が死亡するまで(終身)です。
遺産分割協議・審判・遺言などで別段の定めがある場合には、その期間の満了時点に消滅します。期間は自由に決めることができますが、延長や更新はできません。
ただし、期間満了後に配偶者と建物所有者の間で、新たに建物の賃貸借契約や使用貸借契約を結ぶことは可能です。
配偶者短期居住権とは
配偶者短期居住権は、配偶者が相続開始の時に無償で居住していた被相続人所有の建物について、一定期間は引き続き無償で使用できる法定の権利です。
原則として、遺産分割によりその建物の帰属が確定した日または相続開始から6か月を経過する日のいずれか遅い日まで認められます。
通常の配偶者居住権とは、以下の点が異なります。
- 相続開始時に自動的に取得できる(遺言で定める必要がない)
- 存続期間が短期間
- 配偶者が使用できる範囲は相続開始前から無償で使用していた部分のみに限られる(ただし居住用部分に限らない)
- 第三者への対抗要件として登記を要しない
- 配偶者が相続放棄しても認められる
配偶者短期居住権は、遺産分割協議によって自宅を取得しない場合や、他の人に遺贈された場合などに、配偶者がすぐに退去する負担を軽減するために設けられた権利です。
なお、配偶者居住権を取得すると、両者は重複できないため、配偶者短期居住権は消滅します。
配偶者居住権の評価額を算出する方法
配偶者居住権は、賃借権に類似した財産権であり、遺産分割や相続税申告に備えて具体的な金額を算出する必要があります。
評価方法には建物賃料相当額を用いる計算式もありますが、専門家でなければ建物賃料相当額の把握が難しい場合が多いため、実務上は法務省が提案する簡易計算式が広く利用されています。
また、不動産の評価に争いがある場合や、簡易な評価方法の利用について同意が得られない場合には、不動産鑑定が用いられます。
具体的には、配偶者居住権者が享受する経済的利益の価値を求める「経済的利益還元法」や、配偶者居住権が消滅して土地・建物を使用収益できるようになった時点の価値を予測して現在価値に割り戻す「権利消滅時原価法」などにより鑑定評価されます。
遺産分割の調停や審判では、評価額について当事者間で合意が成立すればその金額によりますが、合意がなければ家庭裁判所が鑑定人として不動産鑑定士を選任し、その不動産鑑定士による評価額が採用されます。
簡易な評価方法の計算式と評価額の内訳
簡易な評価方法では、建物敷地の現在価額から配偶者居住権付所有権の価額を差し引いて、配偶者居住権の価額を算出します。
計算式は以下のとおりです。
| 配偶者居住権の価額 = 建物敷地の現在価額 - 配偶者居住権付所有権の価額 |
簡易な評価方法を用いるには、「建物・敷地の現在価額」「負担付建物所有権の価額」「負担付敷地所有権の価額」をそれぞれ評価する必要があります。
建物・敷地の現在価額
建物・敷地の現在価額は、固定資産税評価額に基づいて当事者間で合意するのが一般的です。
特に、建物は固定資産税評価額が相続税評価基準となっていることもあり、実務上多く利用されています。
配偶者居住権付所有権の価額
「負担付建物所有権の価額」と「負担付土地所有権等の価額」を合計して算出します。
負担付建物所有権の価額
建物の構造・用途ごとに設定されている「法定耐用年数」の他、「経過年数(築年数)」「存続年数(平均余命)」を計算式に入れて求めます。計算結果がマイナスの場合、価額は0円となります。
また、配偶者居住権の存続期間が終身の場合には、簡易生命表記載の平均余命の値を使用します。
| 負担付建物所有権の価額 = 固定資産税評価額 ×(法定耐用年数 -(経過年数 + 存続年数))÷(法定耐用年数 - 経過年数)× ライプニッツ係数 |
負担付土地所有権等の価額
配偶者居住権の存続期間中は、敷地を自由に使用収益できないため、配偶者居住権がない場合に所有者が得る土地の価格を現在価値に割り戻します。そのため、固定資産税評価額または時価額にライプニッツ係数を乗じます。
| 負担付土地所有権等の価額 = 敷地の固定資産税評価額または時価 × ライプニッツ係数 |
配偶者居住権は建物に対する権利ですが、必然的に敷地も利用するため、建物と敷地の両方に対して現在価額と配偶者居住権付所有権の価額を調べて合算することになります。
評価額が高くなるケース・低くなるケース
配偶者居住権の評価額は、主に配偶者年齢や存続期間に応じて変動します。
配偶者居住権の存続期間を終身に設定した場合や、配偶者の年齢が40代など比較的若い場合には、長期間住み続けることが予想されるため、評価額が高くなります。
評価額が高くなると、預貯金などの他の相続財産をわずかしか取得できなくなるデメリットがあります。さらに、自宅建物の経過年数が法定耐用年数を超えている場合には、計算上ゼロやマイナスとなり、建物の評価額(固定資産税評価額)の全額がそのまま配偶者居住権の評価額となるため注意が必要です。
一方、配偶者が高齢である場合や、近い将来子どもの自宅や老人ホームなどへ転居する予定で存続期間を短く設定した場合には、評価額が低くなり、他の財産を多く取得できる可能性が高まります。
相続税における配偶者居住権の扱い
配偶者居住権には財産的価値があるため、配偶者が取得した場合には相続税が課せられます。
ただし、配偶者には相続税額を軽減する「配偶者控除」があるため、取得財産の価額が1億6,000万円以下であるか、これを超えても配偶者の法定相続分までであれば相続税はかかりません。
相続人が配偶者しかいない場合には、法定相続分が100%となるため、取得財産が多額であっても相続税は0円となります。
また、配偶者が亡くなった二次相続では、配偶者居住権は配偶者の死亡によって消滅し、その価値が実質的にゼロになるため、相続も相続税も発生しません。配偶者居住権を一定期間に限定した場合も同様で、期間満了時に消滅し、課税関係は生じません。
配偶者居住権が消滅する主な原因と注意点
配偶者居住権は永久的な権利ではなく、期間満了や配偶者の死亡などの消滅事由に該当した場合や、当事者間で合意した場合には消滅します。
一方、施設への入所や転居だけでは消滅しません。また、建物の修繕・権利消滅後の原状回復・税金の扱いにも注意が必要です。
配偶者居住権が消滅する主な原因
配偶者居住権が消滅する主なケースは、以下のとおりです。
- 期間満了: 設定した存続期間が終わったとき
- 配偶者の死亡: 配偶者が亡くなったとき(権利は相続されません)
- 建物の全部滅失: 火災や地震などで建物が使用できなくなったとき
- 用法遵守義務違反: 建物を損傷させたり、無断で増改築や第三者に使用収益させたりして、所有者から消滅請求を受けたとき
- 合意解除・放棄: 所有者と合意により消滅させたときや、配偶者自身が権利を放棄したとき
- 混合:配偶者が居住建物を取得したとき
期間満了や死亡に伴う権利の当然消滅
配偶者居住権は一身専属的な権利(一代限りの権利)であり、配偶者が死亡すると消滅し、相続されません。
また、存続期間を定めている場合には、その期間が満了した時点で消滅します。
居住建物の所有者から消滅請求された場合
以下のような状況があり、建物所有者が相当の期間を定めて是正を催告したにもかかわらず、その期間内に是正されない場合には、所有者が配偶者居住権の消滅を請求できます。
- ・善良な管理者の注意をもって自宅を使用収益する義務(善管注意義務)に違反した場合
- ・無断で増改築を行った場合
- ・第三者(同居する家族やお手伝いさんは除く)に使用収益させた場合
ただし、このような善管注意義務違反などがあっても、直ちに消滅請求をできるわけではない点には注意が必要です。
配偶者居住権を放棄した場合
配偶者は、自らの意思で配偶者居住権を放棄することができます。放棄した場合には、配偶者居住権は消滅します。
また、建物所有者との合意によって消滅させることもできます。
居住建物が全部滅失した場合
火災や地震などによって建物が全壊(全部滅失)した場合には、建物を使用収益できなくなるため、配偶者居住権は消滅します。
配偶者が居住建物の所有権を取得した場合
配偶者が自宅の所有権を取得した場合には、混同により配偶者居住権は消滅します。
ただし、他の共有持分を有する人がいる場合には消滅しません。
配偶者居住権の存続・消滅に関する注意点
配偶者居住権は、施設への入所や転居だけでは消滅しません。
また、建物の老朽化に伴う修繕・建て替えや、権利が消滅した場合の原状回復、税金の扱いにも注意が必要です。
施設入所や転居をしても権利は消滅しない
施設への入所や転居だけでは消滅事由に該当せず、配偶者居住権は消滅しません。
転居しただけでは権利を放棄したとみなされることもないため、引き続き権利を主張することが可能です。
建物が老朽化した場合の建て替え・修繕の扱い
配偶者居住権を有する配偶者は、自宅の使用収益に必要な修繕をすることができます。配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしない場合には、所有者が修繕することもできます。
配偶者居住権が設定されている場合、配偶者は居住建物の通常の必要費を負担します。通常の修繕費には、建物の維持・保存に必要な軽微な修繕が含まれると考えられているため、これらの修繕費用は配偶者の負担となります。
一方、必要費以外の修繕費(リフォームなど)を配偶者が負担した場合には、建物所有者が負担することになるため、配偶者が支出した費用を所有者が償還しなければなりません。
建物の構造自体が変わるような建て替えや増改築は、必要な修繕の範囲を超えるため、所有者の承諾がなければ行うことができません。バリアフリー工事などは「修繕」と「増改築」のどちらに該当するか判断が難しい場合があり、事案ごとに個別に判断されます。
なお、配偶者は、居住建物の通常の必要費として、自宅の固定資産税も負担する必要があります。
配偶者居住権の消滅後は建物の返還・原状回復が必要
配偶者居住権が消滅すると、配偶者は建物を所有者に返還しなければなりません。これにより、建物所有者の所有権は、負担付き所有権から完全な所有権へと回復します。
また、配偶者は建物に付属させた物がある場合には撤去し、通常使用によるものを除いて損傷が生じている場合には、原状回復義務を負います。
配偶者居住権の消滅時にかかる税金
配偶者居住権の消滅原因によっては、税金が課される可能性があります。
存続期間の満了・配偶者の死亡・建物の全部滅失などによって配偶者居住権が消滅した場合には、配偶者や建物・敷地の所有者に税負担はありません。
一方、配偶者居住権の放棄・合意解除・消滅請求によって消滅した際、建物・敷地の所有者が対価を支払わなかったり、著しく低い対価しか支払わなかった場合には、配偶者居住権相当額の経済的利益が供与されたとして、建物・敷地の所有者に贈与税が課せられます。
また、配偶者居住権の消滅にあたり、配偶者が建物・敷地の所有者から対価を受けた場合には、配偶者に総合課税による譲渡所得税が課せられます。
このように、配偶者居住権の消滅時には税金が課せられる可能性があるため、弁護士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
配偶者居住権の譲渡禁止と現金化の手段
配偶者居住権は第三者に譲渡できませんが、所有者の承諾を得て自宅を賃貸したり、所有者との合意により権利を消滅させて対価を受け取ったりすることで、現金化できる場合があります。
配偶者居住権の譲渡が禁止されているのは、第三者への譲渡を認めると、配偶者の生活を保護するという制度趣旨に合致しなくなるためです。他のすべての相続人が承諾しても譲渡は認められず、流動性が低い権利であることに注意しましょう。
配偶者居住権によって「できないこと」と「できること」
「できないこと」
- 第三者への売却(譲渡): 権利を他人に売ってお金に換えることはできません
- 無断での増改築: 所有者の承諾なくリフォームなどはできません
- 無断での賃貸: 所有者の承諾なく他人に貸すことはできません
「できること」
- 第三者への賃貸: 所有者の承諾を得れば、自宅を貸して家賃収入を得ることができます(施設入所時などに有効)
- 所有者との合意による消滅: 所有者と合意ができれば、対価を受け取って権利を消滅させることができます
所有者との合意による現金化の可能性
賃貸が難しい場合やまとまったお金が必要な場合には、所有者との合意により建物所有者に配偶者居住権を消滅させ、対価を受け取る方法があります。
配偶者が居住権を放棄するなどして権利を消滅させ、その対価として所有者から金銭を受け取るという方法です。これは事実上の売却であり、所有者にとっても負担付き所有権から完全な所有権へ回復するメリットがあります。
ただし、法律上、所有者に買い取り義務はなく、あくまでも当事者間の合意が必要です。そのため、遺産分割の時点で、建物と敷地の所有者を配偶者との関係性が良い相続人にしておくとよいでしょう。
現金化が難しいケースと代替手段
配偶者の判断能力が低下している場合や、所有者が買い取りに応じない場合には、配偶者居住権の現金化が難しくなることがあります。
配偶者が認知症となり判断能力が低下した場合には、現金化の手続きが難航することが多いため、成年後見人に売却や権利消滅の手続きをしてもらいましょう。
また、所有者が買い取りに応じない場合も現金化は困難です。できれば、配偶者居住権を遺産分割の協議・調停・審判・死因贈与契約によって設定する際に、あらかじめ買取りの条件や買取り額の算定基準を定めておくことで、スムーズな現金化につながります。
遺産構成によっては、将来的なトラブルを避けるため、最初から配偶者居住権を設定せずに所有権を取得してリバースモーゲージを活用したり、法定相続分によらず協議によって自由に分割したりするなど、柔軟な対応を検討する必要もあります。
建物・敷地が第三者に譲渡された場合
建物・敷地が第三者に譲渡された場合、配偶者居住権を第三者に主張するためには、配偶者居住権の設定登記が必要です。登記がなければ、配偶者は第三者に配偶者居住権を主張できません。
配偶者居住権の設定登記は、配偶者と建物所有者が共同で申請します。建物所有者は、配偶者に対して配偶者居住権の設定登記を備えさせる義務を負っています。
よくある質問(Q&A)

配偶者居住権について、よくある疑問をQ&A形式で解説します。
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配偶者居住権の計算方法はどのようになりますか?
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配偶者居住権の価額は、「建物敷地の現在価額-配偶者居住権付所有権の価額(負担付建物所有権価額+負担付敷地所有権価額」で求めます。
現在価額は、一般的に建物・敷地ともに固定資産税評価額を用います。
負担付所有権の価額は、固定資産税評価額とライプニッツ係数などを用いて算出し、建物については法定耐用年数・経過年数・存続年数(平均余命)も考慮します。
計算結果がマイナスになる場合には0円となり、固定資産税評価額の全額が配偶者居住権の価額となります。
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施設に入所した場合、配偶者居住権はどうなりますか?
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介護施設などに入所しても、配偶者居住権は消滅しません。
転居は配偶者居住権の消滅事由に該当せず、転居した事実だけを理由に、当然に権利を放棄したことにはならないためです。
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配偶者居住権を他人に売ることはできますか?
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配偶者居住権を第三者に売却・譲渡することはできません。
ただし、所有者の承諾を得て第三者に建物を使用収益させ、賃料収入を得ることは可能です。また、所有者との合意により権利を消滅させ、その利益を受ける所有者から「買い取り」に近い形で金銭を受け取ることもできます。
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配偶者居住権は、住み慣れた自宅にそのまま住みつつ、生活資金もできるかぎり相続したい場合に活用されます。増改築や賃貸などをする場合には所有者の承諾が必要です。所有者としては、配偶者の余命が想定できないことから、不便を感じることも少なくありません。
相続税や登記、配偶者居住権を放棄した場合には贈与税の申告など、様々な手続も必要となります。また、配偶者居住権の価額評価は、遺産分割に大きな影響を与えますが、複雑であるためトラブルにならないように早い段階で弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
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