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弁護士コラム
不動産の名義変更を相続で行うには?遺産分割や譲渡の手続きを解説
- 遺産分割のトラブル
- 投稿日:2026年06月12日 |
最終更新日:2026年06月12日

- Q
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父が亡くなり、母、弟とともに相続人になりました。亡父の不動産に母と私が同居しており、私が母を介護しています。その関係で、母が私に相続分の譲渡をすることになりました。
その後、弟と遺産分割協議をし、私が不動産を相続するという話しにまとまったのですが、弟が印鑑をもってこなかったので、後日、署名押印することになりました。しかし、弟は署名押印や印鑑証明書の提出を渋り、手続きが止まっています。
このような状況下で、不動産の名義変更はどのように進めるべきでしょうか?法的な対処法も知りたいです。
- Answer
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まず、相続分譲渡があった場合、相続分を譲り受けた者は、当該相続部について譲渡人が有していた一切の権利義務を有することになります。そのため、譲受人は遺産分割協議に関与することができます。
ご質問の場合、母の相続分2分の1を娘が譲り受けるので、娘自身の4分の1の相続分と併せて、4分の3の相続分があることになります。相続分の譲渡を受けたことは、譲渡人が相続分譲渡証明書を作成し、印鑑証明書を添付することで証明できます。
遺産分割協議が成立し、相続財産である不動産を単独で取得することになった相続人は、遺産分割協議書や印鑑証明書と相続分譲渡証明書(印鑑証明書付)を添付して所有権移転登記の申請が可能です。
しかし、遺産分割協議が口頭で成立したにもかかわらず、相続人の一人が署名押印や印鑑証明書の提出を拒む場合、遺産分割協議書がないため、現実には所有権移転登記の申請ができません。
署名押印や書類提出を拒む相続人との話し合いでの解決が困難であれば、状況に応じ、裁判所で「所有権確認訴訟」や「持分全部移転登記手続請求訴訟」などを起こし、勝訴判決を得ることで、署名押印等を拒む相続人の協力なしに単独で登記申請ができます。
この記事では、相続人が非協力的な場合の具体的な法的対処法や、相続分の譲渡を受けた際の名義変更手順について、登記の専門的な観点から詳しく解説していきます。
目次
遺産分割協議による不動産の名義変更手続
遺産分割協議がまとまり、誰が不動産を引き継ぐかが決まったら、法務局で所有権移転登記を行い、不動産の名義を相続人に変更します。
この登記手続は「相続登記」と呼ばれています。相続による権利の承継は、相続分を超える部分について、登記等の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗(当事者間で成立した権利を第三者に対して主張・行使すること)できません。
相続登記を進めるうえで確認しなければならないのが、現在の登記状態です。亡くなった人の名義のままになっているか、それとも事前に「共同相続登記」がされ、法定相続分に応じて相続人全員の共有名義となっているかによって、申請方法が異なります。
登記状態を確認したうえで、遺産分割協議書などの必要書類を準備し、法務局へ申請することで権利の移転が完了します。
各ケースでの申請内容は、以下のとおりです。
| 現在の登記状態 | 申請する登記の種類 | 登記原因 | 申請人 | 備考 |
| 共同相続登記なし (被相続人名義のまま) | 所有権移転登記 | 相続 (日付:被相続人の死亡日) | 単独申請 (取得者のみ) | 中間の共有状態を経由せず、直接取得者に名義変更可能 |
| 共同相続登記あり (相続人共有名義) | 持分全部移転登記 | 遺産分割 (日付:協議成立日) | 共同申請 (権利者:取得者) (義務者:他の相続人) | 他の相続人の協力(実印・印鑑証明等)が必要 |
共同相続登記が未了の場合の申請方法
亡くなった人の名義のままで、共同相続登記がなされていない場合、遺産分割協議で不動産を取得した人が「単独」で「所有権移転登記」の手続きを行うことができます。相続人間の共有名義とする登記を経由せず、亡くなった人から直接取得者への名義変更することが可能です。
登記の原因は「相続」となります。これは、遺産分割の効力が被相続人の死亡時にさかのぼり、取得者は相続開始時からその不動産を単独で承継したと扱われるためです。
申請の際は、申請書に以下の書類を添付して法務局に提出します。
- 登記原因証明情報
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等 ※相続人確定のため
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 印鑑登録証明書 ※作成後3か月以内のものでなくても良い
- 住所証明情報
- 取得者の住民票の写しまたは戸籍の附票の写し
- 固定資産評価証明書 ※登録免許税計算のため
共同相続登記が完了している場合の申請方法
すでに相続人の誰かが法定相続分での共同相続登記をしており、登記簿上は相続人全員の共有状態になっている場合は、「持分全部移転登記」を行います。これは、共有状態を解消して持ち分を失う他の相続人の持分をまとめて取得者へ移転する手続きです。
登記の原因は「遺産分割」となります。また、取得する人を登記権利者、他の相続人を登記義務者として「共同申請」しなければなりません。
不動産を相続した人は単独で申請できず、他の相続人から実印の押印や印鑑証明書を提供してもらう必要があるため、協力が得られないと手続きが進みません。
申請時の必要書類は、以下のとおりです。
- 登記原因証明情報
- 遺産分割協議書
- 印鑑登録証明書 ※作成後3か月以内の登記義務者のものに限る
- 登記識別情報
- 権利証 ※共同相続登記の際に、登記義務者へ通知されたもの
- 住所証明情報
- 取得者の住民票の写しまたは戸籍の附票の写し
- 固定資産評価証明書 ※登録免許税計算のため
共同相続登記を代表者が単独で行い、他の相続人(義務者)には登記識別情報が通知されていない場合は「事前通知制度」などを利用して本人確認を行います。
名義変更に必要な書類一覧と取得方法
遺産分割協議を経て不動産を相続する場合、法務局での名義変更手続(相続登記)には多くの書類が必要です。
亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本等や、相続人との関係を証明する書類などをもれなく集めなければなりません。書類に不備があると手続きがスムーズに進まないため、早めに準備を始めることが大切です。
遺産分割協議をした場合の相続登記に必要な主な書類と取得場所は、以下のとおりです。
| 作成する人・対象者 | 入手先や取得先 | 補足・注意点 | |
| 登記申請書 | 申請人(不動産を取得する相続人) | 申請人にて作成 | 法務局(窓口・Web)に申請書様式や記載例あり |
| 被相続人の戸籍謄本等 | 被相続人 | 本籍地の市区町村役場 | 生殖可能年齢から死亡まで連続した戸籍(除籍・改製原戸籍を含む) |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 法定相続人 | 各相続人の本籍地の市区町村役場 | 被相続人死亡日以後に発行されたもの |
| 住民票の写しまたは戸籍の附票の写し | 不動産を取得する相続人 | 住所地の市区町村役場 (戸籍の附票の写しは本籍地の市区町村役場) | 登記名義人の住所確認用 |
| 印鑑証明書 | 相続人全員 | 各相続人の住所地の市区町村役場 | 遺産分割協議書に押印した実印の証明 |
| 遺産分割協議書 | 相続人全員 | 相続人にて作成 | 全員の実印押印が必要 |
| 固定資産評価証明書または課税明細書 | 法定相続人 | 不動産所在地の市区町村役場 | 登録免許税の算定に使用 |
| 相続関係説明図 | 申請人 | 申請人にて作成 | 戸籍原本の還付を希望する場合に添付 |
| 委任状 ※代理人を立てる場合 | 申請人 | 申請人にて作成 | 代理申請時のみ必要 |
登記の費用相場と登録免許税の計算例
名義変更の手続きには「登録免許税」や「司法書士への報酬」といった費用がかかります。
登録免許税は、法務局で登記手続をする際に納める国税です。税額は、不動産の固定資産税評価額(各自治体が算出する不動産価格)に税率をかけて計算します。
相続登記の場合、登録免許税の計算方法は以下のとおりです。
| 不動産の課税価格×0.4% ※課税価格は固定資産評価証明書に記載された「本年度の価格(または評価額)」の1,000円未満を切り捨てたもの |
例えば、評価額が3,000万円の不動産を相続した場合、登録免許税は「3,000万円×0.4%=12万円」です。
所有権移転登記の場合は「不動産全体の評価額」に税率をかけますが、持分全部移転登記の場合は「移転する持分の価格(評価額×移転持分)」に税率をかけて計算します。
また、相続登記の手続きを司法書士に依頼する場合は、別途5万〜15万円程度の報酬が必要です。手続きを自分で行えば司法書士への報酬は節約できますが、手間や時間がかかります。
なお、不動産の価額が100万円以下の場合、平成30年11月15日から令和9年(2027年)3月31日までの間は、当該土地の相続(相続⼈に対する遺贈も含みます。)による所有権の移転の登記について、登録免許税は課されません。
遺産分割がまとまらない場合の名義変更の選択肢
遺産分割協議が難航し、誰が不動産を取得するかが決まらないことがあります。
しかし、2024年4月1日から相続登記が義務化されたため、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければなりません。正当な理由なく相続登記を怠ると、10万円以下の過料を科される可能性があります。
そのため、協議がまとまるまで法定相続分による共同相続登記を行う方法や、より簡易な相続人申告登記を利用する方法が考えられます。
協議が進まない場合の初期対応
遺産分割協議が停滞しているときこそ、一度立ち止まって情報を整理することが大切です。
「誰が相続人なのか」「対象となる不動産はどれか」「不動産の価値や税金はいくらか」といった客観的な事実が曖昧なままでは、議論が空転してしまいやすくなります。
また、話し合いが長引いている間も不動産は時間とともに劣化していきます。空き家になって管理がおろそかになると、近隣トラブルの原因になったり、資産価値が下がったりするおそれがあります。
そのため、協議が滞っている間も、以下の対応を早めに進めておくことが望ましいです。
- ・戸籍謄本や登記事項証明書、固定資産税納税通知書などを取得して情報を確定させる
- ・建物の劣化を防ぐための最低限の維持管理を行う
- ・管理にかかった費用や対応履歴をすべて記録として残す
これらの準備をしておくことで、協議が再開した際や調停などの法的手続きに移行した際にも、スムーズに主張を行うことが可能になります。
相続分譲渡を利用した調整方法(協議離脱/取得集中)
話し合いが長期化し、精神的な負担を感じて「もう遺産争いから抜け出したい」と考える相続人も少なくありません。
そのような場合に検討できるのが「相続分譲渡」という方法です。相続分譲渡とは、自分が持っている「遺産を相続する権利」を他の相続人や第三者に譲り渡す手続きのことです。
自分の相続分を他の相続人に譲渡すれば、譲渡した人は遺産分割協議の当事者から外れることができます。「自分はもう関わりたくない」「自分の取り分は不要だ」などと考える人にとって、相続分譲渡は協議から離脱するための現実的な選択肢となります。
また、相続分の譲渡は権利関係を整理するために活用されることもあります。例えば、長男が不動産を継ぐことに他の兄弟が同意している場合、その兄弟が長男に対して自分の相続分を譲渡することが可能です。相続分を特定の相続人に集中させることで、不動産の権利関係を整理しやすくなります。
なお、遺産分割に関わらない方法として「相続放棄」という方法も考えられます。相続放棄の場合、熟慮期間内に家庭裁判所に申述する必要があります。また、相続放棄をした者の意思で特定の誰かの相続分を増やすことはできません。相続分の譲渡の場合は、譲り受けた者が相続分を取得するため、権利の一本化に資するものです。
また、相続分譲渡は、遺産分割協議が成立する前であれば可能であり、家庭裁判所の手続きも必要ありません。
一部が第三者に譲渡された場合の共有関係の解消(民法258条)
遺産について、遺産分割がされておらず相続人の共有状態となっている場合、遺産分割協議をするべきであり、共有物分割請求をすることはできません。
しかし、遺産分割協議がまとまらないうちに、一部の相続人が遺産の共有持分を第三者に譲渡してしまった場合、相続財産に属する共有の持分と他の共有持分が併存することになります。
これを解消するために、民法258条に基づく「共有物分割請求訴訟」をすることができます。これは、裁判所の手続きを通じて、共有状態にある不動産を強制的に分割する方法です。共有者同士での話し合いが困難な場合に、裁判所が介入して解決策を提示します。
共有物分割には、主に以下の3つの解決方法があります。
- ・現物分割:土地を分筆するなど不動産を物理的に分ける方法
- ・代償分割:1人が不動産を取得し、他の共有者に代償金を支払う方法
- ・換価分割:競売などで不動産を売却し、現金を分ける方法
共有物分割の判決により、共同相続人に分与された財産は遺産分割の対象となります。遺産相続の場面では、まずは「遺産分割」での解決が優先されますが、第三者と共有状態となった場合には、この民法258条による共有物分割が必要となります。
相続分の譲渡を活用した不動産の名義変更
相続人が自身の相続分を他の相続人や第三者に譲渡すると、遺産分割協議から離脱できます。
また、相続分を譲り受けた人は「相続人としての立場」をすべて引き継ぐため、遺産分割協議に参加する権利も持つことになります。
相続分を譲渡した場合の不動産の名義を変える方法は「誰に譲ったか(他の相続人か、第三者か)」や「現在の登記の状態」によって異なります。
相続分譲渡による権利移転と登記の流れ
共同相続人の一人が他の相続人に相続分を譲渡した場合、譲渡人以外の相続人で遺産分割協議を行い、誰が不動産を取得するかを決めます。
まだ「共同相続登記」がされていない場合であれば、亡くなった方(被相続人)から不動産を取得する人へ、直接名義を変更することが可能です。これは、遺産分割の効力が被相続人の死亡時にさかのぼり、取得者は相続開始時からその不動産を単独で承継したものと扱われるためです。申請時の登記原因は「相続」となります。
名義変更の手続きには、通常の必要書類に加えて「相続分譲渡証明書(譲渡人の印鑑登録証明書付き)」が必要です。なお、ここで添付する印鑑証明書には、有効期限の制限はありません。
第三者に相続分譲渡した場合の共有関係と登記
相続人ではない第三者に相続分を譲渡した場合の登記方法についてみていきましょう。
共同相続人全員から第三者が相続分の譲渡を受けた場合
被相続人名義となっている不動産を直接第三者名義にすることはできません。
そのため、以下の手続きが必要となります。
- ① 共同相続人全員を登記名義人とする共同相続登記を行う
- ② 相続分の譲渡による第三者への共有者全員持分全部移転の登記を行う
共同相続人の1人から第三者が相続分の譲渡を受けた場合
この場合も、まずは共同相続人全員を登記名義人とする共同相続登記を行います。
その後、譲渡人から譲受人に対する相続分の譲渡を原因とする持分全部移転登記を申請します。
なお、登記原因は「相続分の売買」や「相続分の贈与」とするのが望ましいとの考え方もありますが、「相続分の譲渡」とするのが一般的です。
第三者が遺産分割協議に参加し、不動産を取得する場合
共同相続人の1人が第三者に相続分を譲渡し、第三者(譲受人)と譲渡人以外の共同相続人との間で遺産分割協議を行った結果、第三者が不動産を取得することになった場合、当該第三者は相続人ではないため、直接相続を原因とする所有権移転登記をすることはできません。
そのため、以下の手続きが必要となります。
- ① 「相続」を原因として、本来の相続人全員で共同相続登記を行う
- ② 第三者を登記権利者として、「遺産分割」を原因とする共有者全員持分全部移転登記を行う
相続分の譲渡契約書の作成ポイント
相続分の譲渡は口頭でも成立します。
しかし、後々のトラブルを防ぎ、登記などの手続きをスムーズに進めるためには、譲渡の事実を証明する書面を作成しておくことが大切です。この書類は「相続分譲渡証明書(契約書)」と呼ばれます。
相続分譲渡証明書には、主に以下の事項を記載します。
- ▸ 被相続人の氏名、最後の住所、死亡年月日などの基本情報
- ▸ 相続分の全部または一部を譲渡する旨の記述(一部の場合は、その割合)
- ▸ 相続分譲渡契約が成立した日付
- ▸ 譲渡人と譲受人の住所、署名および実印の押印
- ▸ 譲渡が無償か有償かの区別、有償の場合は対価の金額 など
また、譲渡人と譲受人の実印を押し、それぞれの印鑑証明書を添付します。
相続分譲渡を使うメリット・デメリット(名義変更の観点)
相続分の譲渡をした場合、譲渡人には遺産分割等の手続きから離脱できるという利点がありますが、譲渡する相手やタイミングによっては、費用や手間が増える可能性もあります。
他の共同相続人に相続分を譲渡し、その後、遺産分割協議で相続人の一人が不動産を単独で取得する場合、共同相続人全員による相続登記を経ることなく、取得者への相続登記をすることができます。
亡くなった方から不動産を取得する方へ直接名義変更ができるため、申請手続の手間や登録免許税などの費用は通常の遺産分割の場合と変わりません。
一方、相続人以外の第三者に相続分を譲渡する場合は、まず共同相続登記をする必要があります。そのため、費用が二重にかかる点に注意が必要です。
遺産分割協議書の署名押印トラブルと対処法
遺産分割協議で話し合いがまとまったとしても、一部の相続人が遺産分割協議書への署名や押印を拒むことがあります。また、署名はしても印鑑証明書の提出を拒むケースも珍しくありません。
このような場合、不動産の名義変更に必要な書類が揃わず、そのままでは所有権移転登記ができません。話し合いによる解決が難しいときは、裁判所の手続きを利用して単独で登記申請を行う方法を検討することになります。
署名押印を拒否された場合
遺産分割協議書への署名や押印を拒否された場合は、所有権確認訴訟や持分全部移転登記手続請求訴訟などの法的手続により解決を図ります。
まだ共同相続登記がされていない場合は、署名や押印を拒否している相続人を相手に「所有権確認訴訟」を起こします。裁判で勝訴した場合、判決正本(確定証明書付)を相続を証する情報として、戸籍謄本等や遺産分割協議書等とともに法務局に提出すれば、協力しない相続人の署名や押印がなくても、単独で所有権移転登記の申請することができます。
一方で、すでに共同相続登記がされている場合は、「持分全部移転登記手続請求訴訟」を提起します。この場合も、勝訴判決を得たあとに判決正本(確定証明書付)を添付することで、単独で登記申請をすることができます。
印鑑証明書の交付を拒まれた場合
遺産分割協議書への署名や押印はあるものの、印鑑証明書の提出を拒まれるケースもあります。
共同相続登記がまだ行われていない場合、印鑑証明書の提出を拒む相続人を相手として「遺産分割協議書真否確認の訴え」を提起します。これは、作成された協議書が本人の意思で作成されたものであることを裁判所に認めてもらう手続きです。
訴えを提起して勝訴判決を得れば、判決正本(確定証明書付)は、交付を拒否する者の印鑑証明書と代わる書類として利用できます。判決正本(確定証明書付)を遺産分割協議書や他の相続人の印鑑証明書などとあわせて提出することで、不動産を相続した人が単独で登記申請をすることができます。
すでに共同相続登記が完了している場合は、協力を拒む相続人を被告として「持分全部移転登記手続請求訴訟」を起こし、勝訴した場合は判決正本(確定証明書付)を用いて持分全部移転登記をします。
非協力的な相続人がいる場合
相続人が協力的でない場合、いきなり訴訟を起こす前に合意に至らない理由を整理することが大切です。
まずは相手の言い分を聞き、何が争点になっているかを明確にしましょう。分け方への不満や遺産の評価額に対する疑問などが原因となっていることも少なくありません。
感情的な対立が深く、当事者だけでは冷静な話し合いが難しい場合、他の親族や弁護士などの第三者を交えることで解決の糸口が見つかることもあります。
当事者同士や第三者を交えた話し合いによる解決が難しい場合は、裁判所の手続きへ移行することを検討します。
家庭裁判所の調停を利用する場合の流れ
遺産分割協議がまとまったと思っていても、実際には成立していなかった場合は、協議を続ける必要があります。
相続人同士の話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てるのも1つの方法です。遺産分割調停は、裁判官や調停委員といった第三者が間に入り、話し合いによる解決を目指す手続きです。
調停では、調停委員が双方から事情や希望を聴き取ります。そのうえで、解決案の提示や助言を行い、全員が納得できる合意を目指します。もし調停でも話がまとまらない場合は、自動的に審判へ移行し、裁判官が遺産の分け方を決定します。
調停や審判で内容が確定すれば、その結果を記載した書類を用いることで相続人の協力なしに不動産の名義変更を進められます。
よくある質問(Q&A)

不動産の相続手続きを進める中で、話し合いの時期や書類の不備などで疑問を感じる場面は少なくありません。
この章では、不動産の名義変更に関するよくある質問に回答いたします。
- Q
- 自分の持分だけを先に登記できますか?
- Answer
-
相続人の1人が自分の法定相続分のみを単独で登記することはできません。
これは、一部のみを登記すると、亡くなった人と相続人が不動産を共有しているかのような矛盾した状態が登記簿上に公示されてしまうためです。
相続登記の義務化への対応が目的であれば、相続人申告登記をすれば過料を回避できます。相続人申告登記をしても名義は被相続人のままですが、非課税で単独申請が可能なため、遺産分割協議が進展しない場合などに活用するとよいでしょう。
- Q
- 遺産分割協議書に実印を押してくれない場合、不動産の登記はどうすればいいですか?
- Answer
-
遺産分割協議がまとまっても、相続人の一部が押印を拒否する場合、次のような対応が考えられます。
■全相続人による共同相続登記がない場合
「所有権確認訴訟」を提起して勝訴判決を得る必要があります。勝訴判決を得れば、その判決正本(確定証明書付)を「相続を証する情報」の一つとして利用できます。
■共同相続登記がされている場合
「持分全部移転登記手続請求訴訟」を提起し、勝訴判決を得た後、その判決正本(確定証明書付)を申請書に添付して登記申請します。
- Q
- 相続人2人のうち1人が相続分を他方に譲渡した場合、登記はどうなりますか?
- Answer
-
相続人が2人で、そのうち1人が他方の相続人に相続分を譲渡した場合、まだ共同相続登記を行っていない段階であれば、共同相続登記を経ることなく、1人の相続人に対する相続を原因とする所有権移転登記が可能です。
一方で、共同相続登記が完了している場合は、被相続人から不動産を取得する相続人への直接の所有権移転登記はできません。そのため、相続をしない相続人の持分を、不動産を取得する相続人へ移転する持分全部移転登記が必要になります。
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遺産分割協議を経て不動産の名義変更を行う場合、すでに「共同相続登記」がされているかどうかで、申請手順や必要書類が変わります。
共同相続登記をしていない場合、遺産分割協議により不動産を取得した者が単独で相続登記することができますが、共同相続登記をしている場合に遺産分割を原因とする登記をするためには、他の相続人を登記義務者とする共同申請が必要です。
もし、遺産分割協議書に署名や押印することを拒否する、または、印鑑証明書の提出を拒否する相続人がいる場合、話し合いなどで解決できなければ、訴訟により解決をはかる必要があります。
ご自身での判断が難しいケースも多いため、早めに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
直法律事務所では、遺産分割後の相続登記から協力が得られない相続人への対応まで相続問題に精通した弁護士が丁寧にサポートいたします。お悩みの方は、まずは一度ご相談ください。
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