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弁護士コラム

相続分の譲渡とは?

遺産分割のトラブル
投稿日:2023年06月19日 | 
最終更新日:2024年02月09日
Q
相続分の譲受人は、遺産分割の当事者になれますか?
また、相続分を譲渡した人に関しては、遺産分割の当事者としての資格はどうなるのでしょうか?
Answer
相続分の譲受人は、遺産分割手続の当事者になります。
これに対し、相続分の譲渡人は、遺産分割手続の当事者として残りたければ残ることもできますが、残ったとしても譲渡人にとってメリットがないため、通常は手続から脱退することになります。
本記事でわかりやすくご説明します。

相続分の譲渡

相続分の譲渡について、最高裁判所平成30年10月19日判決は、「共同相続人間で相続分の譲渡がされたときは、積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分が譲受人に移転し、相続分の譲渡に伴って個々の相続財産についての共有持分の移転も生ずるものと解される。 そして、相続分の譲渡を受けた共同相続人は、従前から有していた相続分と上記譲渡に係る相続分とを合計した相続分を有する者として遺産分割手続等に加わり、当該遺産分割手続等において、他の共同相続人に対し、従前から有していた相続分と上記譲渡に係る相続分との合計に相当する価額の相続財産の分配を求めることができることとなる。」との判断を示しています。

つまり、相続分の譲渡とは「積極財産(プラスの財産)と消極財産(債務など、マイナスの財産)とを包括した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分」の移転であり、相続分の譲渡を受けた譲受人は、遺産分割手続に参加して譲り受けた相続分の割合に応じた相続財産の分配を求めることができるようになります。

相続分の譲渡とは、いわば相続人たる地位の全部又は一部の移転であると言ってもよいでしょう(相続人から第三者に対して相続分の全部譲渡がなされると、相続人たる地位が譲渡人から譲受人に交替したといえます)。

そして、相続人は、相続開始から遺産分割終了までの間であれば、相続分の全部又は一部を譲渡することができます。譲渡する相手は、他の相続人である必要はなく、全くの第三者でも構いません。

ただし、譲受人が第三者のときは、他の相続人は、取戻権行使時における相続分の評価額と譲渡の際に要した費用を償還すれば、第三者が取得した相続分を譲り受けることができます(民法905条1項。これは「相続分の取戻権」と呼ばれています)。しかし、相続分の取戻権は、相続分の譲渡があった時から1か月以内に行使しなければなりません(民法905条2項)。この1か月は除斥期間であり、他の相続人が相続分の譲渡の事実を知った時からでも、譲渡の事実の通知を受けた時からでもなく、相続分の譲渡があった時から1か月で取戻権は消滅することになります。

相続分の譲渡の効果

相続分を譲渡された第三者は相続人と同じ地位に付きますので、他の相続人と同等の立場で(最高裁判所平成30年10月19日判決が言うところの「相続分を有する者」として)遺産分割手続に参加することができます。

これに対し、相続分を全部譲渡した相続人は、通常は調停手続から脱退します。しかし、当事者としてそのまま残ることもでき、その場合には、調停調書に記載された相続分の譲渡の確認条項には、相続分の譲渡者を法的に拘束する効果(これを「既判力」と言います)が発生することになります。

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相続分の全部譲渡がなされると、相続人たる地位が交替したことになるため、相続分の譲受人が遺産分割手続の当事者になります

これに対し、相続分の譲渡人は遺産分割手続の当事者から脱退することもできますし、そのまま当事者として残存することもできますが、当事者として残存しても譲渡人にはメリットがないため、通常は手続から脱退することになります。

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