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弁護士コラム

香典、弔慰金は相続財産なのか?弁護士が分かりやすく解説!

遺産分割のトラブル
投稿日:2022年11月25日 | 
最終更新日:2024年02月20日
Q
香典、弔慰金は相続財産にあたるのでしょうか?
Answer
香典・弔慰金は、相続財産にはあたりません。
香典や弔慰金は、被相続人の死後に、喪主または遺族に対する贈与の趣旨で交付された金銭になりますので、相続財産とはなりません。

香典や弔慰金は、葬式の費用を負担する人、つまり喪主が取得すべきものになりますが、喪主が葬式費用を自身の固有財産ではなく相続財産から支出したときは、葬式費用の負担者をめぐってトラブルが発生することになります。

本記事でわかりやすく解説します。

香典・弔慰金は相続財産にあたる?相続に強い弁護士が動画で解説

香典や弔慰金の法的性質

香典や弔慰金は、被相続人の死後に、喪主ないし遺族に対する贈与の趣旨で交付された金銭になりますので、相続財産(被相続人の遺産)ではありません

この点について、相続税基本通達21-3-9は、「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする。」と規定しており、香典が贈与税のかからない贈与金であることを前提としています。

なお、相続税基本通達3-20は、「雇用主等から受ける弔慰金等のうち、当該被相続人の死亡当時における賞与以外の普通給与の半年分に相当する金額」「を超える部分の金額があるときは、その超える部分に相当する金額は退職手当金等に該当するものとして取り扱うものとする」と規定していますので、被相続人の普通給与の半年分を超えない金額であれば、死亡退職金ではなく弔慰金の趣旨で交付されたものとして扱ってよいと思われます。

香典や弔慰金は喪主のもの

香典や弔慰金は、通常は被相続人の葬式の際、葬式費用の一部に充当する趣旨で交付されるものです。そうすると、香典や弔慰金は葬式の主宰者(葬式費用を負担する人)が取得すべきものになります。

民法は309条で葬式費用について言及しています。

民法309条1項は、「葬式の費用の先取特権は、債務者のためにされた葬式の費用のうち相当な額について存在する。」と規定するところ、民法を起草したボアソナードは「債務者」とは死者自身を意味するという註釈をのこしています。

この点について、民法の条文解釈の最高の権威書である「新版注釈民法(27)」は、「近時は葬儀の商業化が進み、誰かが喪主を名乗って葬儀業者と契約し、葬儀が行われ、その費用が請求されるのが一般的であろう」「会葬者などが香華料として提供する金品の名宛人は明示されていなくても喪主であると考えることができるし、この全部または一部が葬式費用の支払いに充てられるのが通常である」と述べ、喪主が葬式費用を負担し、香典等を取得できるとしています。

喪主が葬式費用を遺産から支出したとき

以上のことから、喪主(葬儀業者と契約して葬儀を主宰する人)が葬式費用を負担する代わりに、会葬者が持参した香典や弔慰金を取得することができますので、香典や弔慰金が相続財産(被相続人の遺産)として扱われることはありません。

とはいえ、本来であれば喪主が喪主自身の固有財産から葬式費用を支払うべきところ、遺産から支出したときはどうなるのでしょうか

この点について、民法906条の2は、遺産分割前に特定の相続人が遺産を処分したときには、その相続人を除く他の相続人全員が合意することで、その処分をなかったものとすることができると規定しています。つまり、遺産から葬式費用を支払った喪主が相続する財産から葬式費用相当額を減額し、香典や弔慰金は葬儀費用を負担することになった喪主が取得するものとして処理することになるものと思われます。

なお、他の相続人全員の合意を得られなかったときは、遺産分割手続の中で処理することができず、民事訴訟での解決を目指すことになります。

具体的には、他の相続人が原告となり、遺産から葬式費用を支払った喪主を被告として損害賠償請求訴訟を提起することになりますが、上述の「新版注釈民法(27)」は「非常識に過大な支出でない限り、他の相続人が損害賠償の訴えを提起しても勝訴の可能性はないに違いない」としています。

相続財産のトラブルは弁護士に相談を

このように、香典や弔慰金は相続財産ではなく、葬式費用を負担した喪主が取得すべきものです。ただし、喪主が葬式費用を自身の固有財産ではなく相続財産から支出したときは、葬式費用の負担者をめぐって面倒な法律問題が発生することになります。

相続財産をめぐってトラブルが起きた、等お困りの際は、お早めに当事務所までお問い合わせください。

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