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火災保険の現地調査とは?現地調査の目的や流れ・注意すべき点を徹底紹介

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投稿日:2022年06月24日 | 
最終更新日:2023年07月03日

「弁護士コラム」では、生命保険・火災/地震保険に関連するさまざまな情報をUPしておりますが、直法律事務所では、「保険金の不払い」(火災保険に関しては、「火災」を原因とする事故)に限りお問い合わせをお受けしています。何卒ご了承ください。

Q
保険事故があった場合、損害保険会社が各種の調査をすると聞きました。
調査の目的や方法等について、詳しく教えてください。
Answer
火災保険の現地調査は、「被害を受けた現場を調査すること」をいいます。
被害の原因や責任の有無を判断し、保険金(見舞金を含む)支払いの判断を行う目的で、調査が実施されます。

火災保険の現地調査の具体的な方法には、以下の3種類があります。

①屋根に登っての現地調査
②カメラを利用した現地調査
③ドローンを利用した現地調査
(①、③でもカメラを利用することが多いです。)

各調査方法の詳細については、本コラムをご参照ください。

火災保険の現地調査とは?

火災保険の現地調査は、弁護士や火災保険申請サポート会社による保険金請求に要する調査と、保険会社の鑑定人による調査の2種類に分かれます。

順番に紹介していきます。

火災保険の現地調査は2種類ある

火災保険の種類には、主に以下の2種類があります。

  1. 1弁護士や火災保険申請サポート会社による調査
  2. 2損害保険会社による調査

それぞれ詳しく解説します。

①   弁護士や火災保険申請サポート会社による調査

火災保険の現地調査の1つ目が、「弁護士や火災保険申請サポート会社の調査」です。

弁護士や火災保険申請サポート会社の具体的な調査内容は、以下の2つとなります。

1:建物の被害箇所をチェック

2:保険会社に申請する「被害報告書」や「見積書の作成」

まずは建物の被害箇所を細かく調査します。そして、以下のような被害箇所を見つけ、被害報告書を作成します。

【敷地内の被害例】

  • 大雨や台風でテレビのアンテナが曲がる
  • 大雪で雨樋(あまどい)が曲がる
  • 外壁のキズやへこみ
  • 屋根の瓦が壊れている
  • サイクルポートの破損

【室内の被害例】

  • テレビの液晶が割れた
  • お掃除ロボットの落下による床の損傷
  • ノートパソコンの損傷

上記のような損傷箇所が多いと、保険会社から保険金を受け取れる可能性があります。ただし、わざと壊したり、経年劣化で損傷したりした箇所は、保険金支払い対象とならないので、注意しましょう。

②損害保険会社による調査

火災保険の現地調査の2つ目は、保険会社による調査です。

なお損害保険会社が行う調査は、大きく分けて「保険契約の効力や内容に関する調査」と「保険金算出のための確認調査」の2があります。

これらの調査により、火災保険会社の依頼する鑑定人が自宅の被害状況をチェックし、火災保険申請サポート会社の被害報告書や見積額が正しいかどうかを判定します。

ただし、正しいと思われる被害報告書が作成されていた場合や被害額が少額の場合は、保険会社による調査は行われないこともあります。

火災保険の現地調査の主な方法

火災保険の現地調査には、以下の3種類があります。

  1. 1屋根に登っての現地調査
  2. 2カメラを利用した現地調査
  3. 3ドローンを利用した現地調査

(①、③においてもカメラ撮影がなされることは多いです)

①屋根に登っての現地調査

火災保険の調査方法の1つ目が、「屋根に登って行う現地調査」です。

屋根にはしごを掛けて、漆喰(しっくい)の劣化やクラック(ひび割れ)、チョーキング(白い粉)などをチェックします。

実際に、保険事故があったのか、保険金申請の理由とされている保険事故によるものなのか、損傷部位を詳しく調べられます。

②カメラを利用した現地調査

火災保険の調査方法の2つ目が、「カメラを利用した現地調査」です。

例えば、外壁塗装会社のホームページでは「7m以上伸びる棒状カメラを利用し、住宅の屋根のチェックをする」と説明されています。

③ドローンを利用した現地調査

火災保険の調査方法の3つ目は、「ドローンを利用した現地調査」です。

「屋根に登らないのはダメな業者」という意見もありますが、登ることで屋根の建材が壊れてしまうこともあります。ドローンを利用することで、建物を壊す心配なく、安全に屋根の状況をチェックできます。

さらに、ドローンで撮影した写真はデバイスで共有できるため、依頼主も被害箇所のチェックがしやすいでしょう。

火災保険の現地調査はなぜ実施されるのか

火災保険を申請したい方の中には、「現地調査をする理由を知りたい」と考える方もいるでしょう。火災保険の現地調査をする理由は、主に以下の4つです。

  1. 1被害報告書や見積書ではわからない、被害の大きさや箇所をチェックするため
  2. 2被害報告書や見積書の作成者がブラックリスト入りした火災保険申請サポート会社だから
  3. 3被害報告書や見積書に間違いがあるから
  4. 4火災保険の申請額が高いため

単純に被害報告書や見積書だけでは建物の被害状況が分からない場合もあれば、被保険者が利用した(書類の作成者となる)火災保険申請サポート会社がブラックリスト入りしている場合もあります。

その他にも、火災保険の申請金額が大きいと、火災保険の現地調査が行われやすくなります。

上記の条件に該当しなくても、鑑定士が来る場合もあります。

火災保険の現地調査の流れ

火災保険の現地調査の流れは、以下の5つのステップです。

  1. 1鑑定人の訪問
  2. 2現地調査内容の説明
  3. 3屋根・外壁の現地調査
  4. 4室内・内装の現地調査
  5. 5現地調査結果の説明

①鑑定人の訪問

火災保険の現地調査を依頼すると、保険会社または火災保険申請サポート会社が依頼した鑑定人が家に訪問します。

ちなみに、特に準備物はありませんので、現地調査の立ち合いに1時間ほど時間を空けておきましょう。

②現地調査内容の説明

火災保険の現地調査を行う前に、鑑定人による説明があります。

具体的な説明項目は、以下のような内容であることが多いです。

  • 火災保険の補償について
  • 自宅で気になる場所について
  • これまでのリフォームや塗装工事の有無、時期、内容
  • 保険事故の発生日、発生内容、発生に気づいた状況等
  • 現地調査の時間について

最後に火災保険の保険証券をチェックし、現地調査を始めます。

③屋根・外壁の現地調査

火災保険の現地調査では、まず屋根や外壁のチェックをします。

屋根・外壁の主な現地調査内容は、以下の3つです。

  • 外壁のタイルがはがれていないか
  • 屋根の瓦に亀裂・ひび割れがないか
  • 大雨や大雪によって屋根や雨樋がゆがんでいないか

上記の項目をチェックして「自然災害によるもの」「経年劣化や故意によるものではないか」を判定します。

④室内・内装の現地調査

屋根や外壁の調査をしたら、室内や内装をチェックします。

申請内容にもよりますが、室内・内装の現地調査では、主に以下のような内容をチェックします。

  • 雨漏りをしていないか
  • トイレや床にできたシミはないか
  • 階段の壁紙にクラック(ひび割れ)がないか

トイレや床にできたシミや雨漏りでも、火災保険で補償される場合があります。

⑤現地調査結果の説明

最後に、火災保険の現地調査結果の説明を受けます。

自然災害による被害であること、あるいは不測かつ突発的な事故による被害であることが確認できれば、火災保険金の支払いが受けられると伝えられることが多いです。

また、現地調査したときの写真も確認できるので、保険金申請者も被害状況をチェックすることができます。

以上が火災保険の現地調査の流れです。

なお、保険会社がお金を払って依頼する鑑定人ですので、実務上、結論あり気(保険金を支払わない)で、理由が不明確なまま、「経年劣化」等を理由に保険金不払いを伝えられることが非常に多いです。

このような場合には、当事務所までご連絡ください。

保険会社により鑑定人が派遣されやすいケース

保険会社から鑑定人が派遣されやすいケースは、以下の5つです。

  1. 1高額な保険金を請求した場合
  2. 2提出書類の作成者がブラックリスト入りした火災保険申請サポート会社である場合
  3. 3提出書類の信ぴょう性がない
  4. 4保険会社による独断
  5. 5地震保険金の請求の場合

まとめると、保険会社によって鑑定人が派遣されやすいのは、提出書類の内容や火災保険申請サポート会社の信憑性が低い場合や、請求した保険金額が高い場合等です。

逆にいえば、上記の条件に当てはまらなければ、保険会社と郵送だけのやりとりで保険金を支払ってもらえることが多いでしょう。

火災保険の現地調査で注意しておくべきこと

現地調査の注意点は、以下の4つになります。

  1. 1経年劣化による損害・被害は対象外
  2. 2鑑定人の調査ミス
  3. 3被害箇所を緊急で直さないといけない!という営業には注意
  4. 4不明点や反論がある場合には鑑定人に質問する

①経年劣化による損害・被害は対象外

まず基本的な事項として、経年劣化・自然損耗による損害は、火災保険の対象外であることを認識しておきましょう。 とはいっても、一般の方々が「これは経年劣化で、これは自然災害によるもの」と見分けることは困難です。

したがって、経年劣化か否かを正しく判断するために、鑑定人による現地調査が必要とされることが多いです。

②鑑定人の調査ミス

保険会社がお金を支払って委託する鑑定人が損害箇所を見落としたり、損傷個所の原因を誤って判断したりする場合、火災保険金の支払いが受けられないことがあります。

小さな損傷だと見落とされることも多いので、保険金申請者の皆様が自ら発見した損傷個所を鑑定人がしっかりと調査しているか確認し、適宜鑑定人に伝えるようにしましょう。

③被害箇所を緊急で直さないといけない!という営業には注意

「すぐに被害箇所を直したほうがいい」という営業には注意してください。

このような営業マンは、高い手数料を請求したり、時にわざと屋根を壊したりすることで

利益を得ようとする悪徳業者である可能性があります。自然災害によるものと見せかけて被害報告書を作成し、高い手数料を得るという手口です。

これらの不正な請求は詐欺に該当するため、日本損害保険協会でも注意喚起をしています。住宅の修理などに関するトラブルにご注意|日本損害保険協会

また、支給された給付金の使い道は依頼主が決めることができるので、業者の言うことを簡単に鵜呑みにしないようにしましょう。

悪徳業者の疑いがある場合は、弁護士などの専門機関に相談すると良いでしょう。

④不明点は鑑定人に質問する

保険会社の鑑定人が、専門用語で説明する場合や、調査すべき箇所を見逃している場合があります。また、意図的に保険金を支払わないとの結論あり気で意味が不明な保険金不払いの理由を述べることが実務上、極めて多いです。

そのような場合には、遠慮せず鑑定人に質問するのが賢明です。曖昧なまま保険会社の審査をすすめると、火災保険の見舞金が減ってしまう可能性もあるためです。

損をしないために、納得できるまで鑑定人に質問や反論しましょう。

まとめ

これまで記載した内容について、以下の3つをまとめました。

  1. 1火災保険の現地調査は「弁護士や火災保険申請サポート会社によるもの」と「保険会社の鑑定人によるもの」の2種類
  2. 2火災保険会社が現地調査をする理由には、保険金申請書と併せて提出される見積書や被害報告書の作成者がブラックリスト入りしている保険金サポート業者の場合や、提出書類の内容が不透明な場合も含まれる
  3. 3火災保険の現地調査は、内容説明や建物内、建物外の調査込みで1〜2時間程度

火災保険の現地調査をすることで、保険金の補償対象となるかどうか、また見舞金額等が決まるので重要です。

そのため、わざと家を壊して被害箇所をつくり、手数料を巻きあげる悪徳業者も存在するので注意してください。現地調査の仕組みを理解して、被害状況にあった見舞金を含む火災保険金を正しく受け取りましょう。

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