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弁護士コラム
火災保険における保険会社の査定とは?
- その他
- 投稿日:2022年02月28日 |
最終更新日:2023年07月03日
「弁護士コラム」では、生命保険・火災/地震保険に関連するさまざまな情報をUPしておりますが、直法律事務所では、「保険金の不払い」(火災保険に関しては、「火災」を原因とする事故)に限りお問い合わせをお受けしています。何卒ご了承ください。
- Q
- この度、台風被害で 修理することとなった窓ガラスについて、火災保険を利用することになりました。保険会社の査定はどのようにされるのか、教えてください。
-
保険会社は、損害が発生した物・時期・場所・原因・損害状況・損害範囲・修復に必要な範囲や方法を確認し、提出された保険金請求書や修理見積等の必要書類を参照した上で支払う保険金の額を決定します。
具体的な手続きの流れは以下をご参照ください。
事故の連絡
まず、保険契約者・被保険者※1が保険会社に事故が発生したことを連絡します(代理店やインターネット経由で行える場合もあります。)。
保険会社の約款により、保険事故があった際には、保険契約者・被保険者は遅滞なく連絡すべきことが定められている場合があります。
この時、
- 契約者名
- 保険証券番号
- 事故発生の日時・場所
- 事故発生原因
- 事故の状況や損害の程度
- 修理見込額
- 契約者の連絡先
- 修理業者(担当者と連絡先)
- 他の保険契約の有無
- 届出官公署名・担当官名(ex消防署、警察署)
- 隣家などを類焼させた場合は相手方のお名前、事故原因が第三者である場合は求償※2の可否
などを保険会社から聞かれる可能性がありますので、可能な限り答えられる準備をした方が円滑でしょう。
仮に保険証券がなく番号がわからなくても契約者名と住所などから保険会社は契約内容を確認することができるでしょう。
安全面や衛生面、防犯面からみて現場の片付けや修理を早期に行う必要がある場合もあると思いますが、念のため、それらを行う前に保険会社にその旨連絡をし、確認を取っておいた方が良いでしょう。
事故発生時から査定までの間に現場が変化することで保険会社が被害の状況を正確に確認できなくなり、トラブルとなる可能性があるためです。
また、このトラブルを避けるためには、事故が発生したら素早く現場(被害状況)を写真で撮影しておくことも重要です。
撮り方としては、現場、被害品を対象に遠近及び様々な角度からできるだけ多くの写真を撮っておいた方が良いでしょう。
※1 保険契約者とは、保険契約を締結した人で、保険料を支払う人を指します(保険法2条3号参照)。被保険者は、保険金を受け取る人を指します(保険法2条4号イ参照)。必ずしも両者は同じではありませんが、同一人であることが一般的です。また、両者は個人に限定されず、法人でもなることが可能です。 ※2 求償とは、第三者により損害が発生した場合、被保険者はこの第三者に対して損害賠償請求権を行使することができますが、被保険者は保険会社から損害額を補填してもらえるため、損害額を肩代わりした保険会社がこの損害賠償請求権を被保険者に代わり第三者に対して行使することをいいます。 |
打ち合わせ
次に、保険契約者・被保険者は保険会社から加入している保険契約の内容や助言を受けます。
また、損害の確認方法(ex現場確認なのか、写真送付で済むのか等)や現場確認の日程の調整が行われます。
また、必要書類の案内も行われます。
必要書類の提出
次に、保険金請求書や保険契約者・被保険者が手配した修理業者から受け取る修理見積書等の必要書類を提出します。
提出期日は、約款により事故発生から30日以内としている保険会社もありますのでご注意ください。
査定
次に、保険会社は、査定(損害調査や損害査定ともいいます。)を行います。
建物に事故が発生し、その損害が大きい場合や詳細が不明の場合には、鑑定人(損害保険登録鑑定人)等が現場で損害の確認を行ったり、保険会社が修理業者に確認を行ったりします。
建物の損害が大きくない場合は、保険契約者・被保険者が手配した修理業者による修理見積や損害状況の写真に基づいて損害額を認定することもあります。
家財に事故が発生した場合は、損害状況から修理の可否を確認し、修理が可能な場合には保険契約者・被保険者が修理見積を取得し保険会社に提出します。
この時も、必要に応じて、鑑定人による損害確認や修理業者への確認を行う場合もあります。
修理が不可能であれば、同等家財の再調達価格※3を損害額とする保険会社もあります。
※3 再調達価格とは、保険対象と同一の質、用途、規模、型、能力のものを再取得するのに要する額をいいます。 |
具体的な算定方法については「被害物品の評価方法」の記事をご参照ください。
保険金支払額の決定
必要書類の提出及び査定後、保険会社は算定した保険金支払額を保険契約者・被保険者に提示します。
この時、保険契約者・被保険者に不明点があれば確認しつつ、保険金支払額の合意を行い、保険契約者・被保険者の指定する口座へ支払います。
支払時期については、保険契約者・被保険者が必要書類を提出した時から30日以内に支払うとする保険会社が多いですが、調査に時間がかかる場合は、調査終了後遅滞なく保険金を支払うこととしている保険会社もあります。
査定に不満な場合
査定の結果(保険金支払額)に納得できない場合もあるかもしれません。
その場合はまず、弁護士に相談・依頼する等して、保険会社にその旨を伝えて交渉しましょう。
それでも納得いかない場合は損害保険協会のそんぽADRセンターに相談することが考えられます。
相談は来訪・出張・文書により行います(新型コロナウイルス感染症が拡大していることから、感染拡大防止のため、2022年1月12日時点では、来訪相談・出張相談を中止しております。)。
基本的に無料で相談できます。
詳しくは「裁判外紛争解決方法」の記事をご参照ください。
まとめ
以上の流れにより査定は行われます。
事故の連絡から、保険会社による現場の確認までに状況が変化する可能性がありますので、できるだけ多くの現場写真を撮っておきましょう。撮り方は、上記同様、様々な角度、距離から撮っておきましょう。
また、必要書類の提出期限にも注意しましょう。
そして、査定結果(保険金支払額)に納得がいかない場合には、保険会社との協議やそんぽADRセンターの利用も検討に入れてみてください。
交渉、そんぽADRセンターの利用の際には、当事務所にご相談ください。
保険金の不払いに
お悩みの方へ
保険会社への対応に疑問を感じた時は、交渉のプロである弁護士にお任せください。
ご相談内容に応じて、代理請求・示談交渉、そんぽADRセンターへの申立て、訴訟提起をいたします。
時効で権利が消滅することもあるので、ご連絡はお早めに。
ご相談はお気軽に
当事務所では、「保険金の不払い」に限りご相談をお受けしております。
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