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地震保険の免責事由とは?免責金額の2つの設定方法や注意点もご紹介

給付金の種類、補償内容 地震保険
投稿日:2022年03月04日 | 
最終更新日:2023年07月03日

「弁護士コラム」では、生命保険・火災/地震保険に関連するさまざまな情報をUPしておりますが、直法律事務所では、「保険金の不払い」(火災保険に関しては、「火災」を原因とする事故)に限りお問い合わせをお受けしています。何卒ご了承ください。

Q
地震保険金が支払われないケースがあると聞きました。
どのような場合か教えてください。
Answer
地震保険では次のようなケースに当てはまる場合、保険金が支払われません。
・保険の契約者本人や被保険者などに重大な過失や法令違反などがある場合
・保険の対象となるものの紛失や盗難があった場合
・戦争、革命、暴動などによって損害が生じた場合
・核燃料物質などによる事故で損害が生じた場合
・地震が発生した翌日から10日後以降に損害が生じた場合

地震保険の補償内容

地震保険の補償内容とは

地震保険の補償内容は、居住用の建物と居住用建物に収容されている家財⼀式です。

ただし以下のものは対象外となります。

  • 工場・事務所専用の建物など住居として使用されない建物
  • 1個または1組の価額が30万円を超える貴金属
  • 骨とう
  • 通貨
  • 有価証券(小切手・株券・商品券など)、預貯金証書、切手、印紙、自動車等

上記の補償内容で、火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で地震保険の保険金額を決定することができます。
ただし建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度となっています。

地震保険の対象となる損害の例

一般的に地震保険の対象となる損害例は、以下のとおりです。

・地震の揺れによって外壁や基礎にクラックが生じた
・地震の揺れによって建物が倒壊した
・地震の揺れによって食器が壊れた
・地震の揺れによって家具や家電がなどが倒れ破損した
・地震の揺れによってストーブが倒れて火災となった
・地震の揺れによって液状化現象が起こり建物が傾いた
・地震や火山の噴火によって津波が起こり建物が流された
・噴火による溶岩流や噴石、火山灰、爆風によって倒壊・埋没した
・噴火による火砕流によって建物が燃えた
・地震や噴火による土砂崩れによって建物が流出・埋没した

ただし、以上のようなケースであっても損害の程度が軽ければ保険金は支払われません。

地震保険においては損害の程度に応じて「全壊」「大半壊」「小半壊」「一部損」の4つに区分され、一部損にも満たないと判された場合は保険金は支払われないことになっているのです。

地震保険の対象とならない損害の例

以下のような損害の場合、地震保険の対象とならないため注意が必要です。

・地震発生の翌日から10日経過後に生じた損害(地震との因果関係が不明確であるため)
・地震後に避難生活中などに紛失・盗難によって生じた損害
・門、塀、垣に生じた損害(建物の中心構造部分ではなく、その部分のみに生じた場合)
・自動車や、125ccを超える総排気量のバイク(家財には含まれないため)
・一部損に満たない損害と判定された場合

「免責」とは?

地震保険の対象となる損害や補償内容について解説してきましたが、このような損害が発生した場合に常に保険金が支払われるかというとそうではありません。

保険には「免責」と呼ばれる保険会社の責任を一部免除するものがあります。そこで、以下では免責について詳しく解説します。

損害が発生しても保険会社が保険金の支払い義務を負わないこと

免責とは、地震保険の対象になる損害が発生した場合でも保険会社が保険金の支払い義務を負わないことを意味します。

そのため、免責になるケースや金額が大きければ大きいほど保険をかける側にとっては不利となります。逆に免責となるケースが限定されていたり、非常に小さい金額の場合のみ免責とされる方が、保険をかける側にとって有利と言えます。

ただし、後述するように免責金額は保険料の金額にも影響するため、バランスを考えることも重要です。

免責事由(免責事項)とは

免責事由(免責事項)とは、契約により保険金の支払義務を負っている保険会社が、保険金や給付金を支払うことができない事由のことです。

地震保険においては以下のような場合があります。

・保険の契約者本人や被保険者などに重大な過失や法令違反などがある場合
・保険の対象となるものの紛失や盗難があった場合
・戦争、革命、暴動などによって損害が生じた場合
・核燃料物質などによる事故で損害が生じた場合
・地震が発生した翌日から10日後以降に損害が生じた場合

以上のような事由から地震保険の対象となっている建物や家財に損害が発生しても地震保険の保険金は支払われません。

免責金額(自己負担金額)とは

保険金が支払われる事故や災害が発生した場合において、免責金額として設定された金額については保険会社から保険金が支払われず、契約者などが自己負担する金額のことです。

たとえば、台風などで屋根が壊れて修理費用7万円かかった場合において、風災補償に入っていれば修理費用7万円を保険金として請求することができます。

一方で同じ保険に加入している場合でも、免責金額を3万円で設定している人であれば、3万円は自己負担しなければならないため、実際に支払われる保険金額は7万円-3万円(免責金額)=4万円となります。通常契約締結時に免責金額を決定します。

このように免責金額が設定されている場合には、保険をかける側にとっては保険金が支払われないケースが生じるため不利とも考えられますが、他方で免責金額は保険料の金額に影響する仕組みが取られているケースが多くなっています。

そのため、免責金額を設定すると自己負担額が増える代わりに、保険料を低く抑えることができます。

地震保険の免責事由の具体的な内容

①法令違反・故意または重大な過失

法令違反・故意または重大な過失によって損害が発生した場合は保険金は支払われません。

たとえば保険金を得る目的として自宅に放火したような場合です。こうした場合に保険金を請求する行為は保険金の支払いを受けられないだけでなく、場合によっては詐欺罪に問われる可能性もあります。絶対に保険金申請はしないようにしましょう。

②経年劣化による損害の場合

建物が古くなったことによって発生した損害についても補償対象外となります。たとえば建物が古くなって隙間から雨水が侵入したという場合です。
ただその損害が自然災害によるものか経年劣化によるものかの判断については微妙なものがありますので、あらかじめ保険会社に相談するのが無難です。

③戦争・内乱・核燃料物質などによる場合

戦争・内乱・核燃料物質などによって生じる損害については、損害の程度・範囲や頻度なども予測することが困難であり、保険金の支払いを義務付けてしまえば、保険会社の運営を危うくするために免責事由とされているのです。

なお保険会社が請求を認めれば保険金が支払われることもあります。

④地震・噴火またはこれらによる津波による場合

地震・噴火またはこれらによる津波による損害は、発生率・損害の規模等の予測が困難であるため補償の対象外とされているのです。

ただし地震による損害については地震保険が用意されています。地震保険については必ず火災保険とセットで契約することが義務付けられており、保険会社は火災保険の30~50%の間で設定します。

つまり地震保険の保険金額の上限は「再建築価額の50%」までとなり、全壊しても新しい家を建て直すほどの金額はもらえません。

これは地震保険が「被災者の生活を安定させること」を目的とする保険であるからで、民間保険会社が負う一定額以上の地震保険については、国が再保険する仕組みになっています。

地震保険の免責金額に関する注意点

免責金額の設定の仕方には免責方式・フランチャイズ方式の2種類がありますが、保険会社や保険商品によってかなりの違いがあり、免責方式・フランチャイズ方式のいずれかを選択できる場合もあれば、どちらかしか用意されていない場合もあります。

また免責方式では、すべての補償を一括して免責金額を設定してしまう場合もあれば、補償ごとに免責金額を設定していく場合もあります。

免責金額にも自己負担額0円から3千円、5千円、1万円、5万円、20万円などいくつかのパターンがあり、保険会社によってその設定金額も異なっています。

たとえば「風災・ひょう災・雪災」だけ免責金額を別に設定することができたり、免責金額をゼロと設定したとしても、「破損・汚損」だけは自動的に5千円~1万円程度の自己負担額が発生するという保険会社も多くあります。

免責方式

免責方式は、設定した免責金額を超えた分だけ保険が支払われるという方式です。エクセス方式や非フランチャイズ方式と呼ばれる場合もあります。

免責方式の場合、免責金額を5万円とした場合、保険金額は以下のようになります。

・損害額が5万円までであれば保険金額はゼロ
・損害額10万円であれば保険金額5万円が支払われる

フランチャイズ方式

フランチャイズ方式は、設定した免責金額を超えた場合に保険金が全額支払われるという方式です。

フランチャイズ方式は、免責金額を下回る損害については保険金が一切支払われない反面、免責金額を超える損害を全てカバーできるという点に特徴があります。

フランチャイズ方式の場合、免責金額を5万円とした場合、保険金額は以下のようになります。

・損害額が5万円までであれば保険金額はゼロ
・損害額が10万円であれば保険金額は10万円全額支払われる

このようにフランチャイズ方式は、小さな損害を填補するために付保する保険よりは、大きな損害が発生しやすい場合に備えた保険に向いた免責方式といえます。

フランチャイズ方式の保険を選択する際には、その保険でカバーしようとしている損害がどういったものが発生するのかを考えた上で、可能な限り低い免責金額を設定すると良いでしょう。

免責金額を設定する際の注意点

免責金額は「すべての補償で3万円」というように一律に設定する方がシンプルでわかりやすいのですが、補償ごとに細かく設定していく方が、自分の住まいの災害リスクに合わせることができるので無駄が省けます。

ただし各補償に対してそれぞれいくらで設定されているのかを把握しておかなければ、実際に損害が発生したときに思ったより保険金が受け取れなかったということにもなりかねません。

また補償内容ごとに設定する際には、自分の住まいが、どの災害に対してどれぐらい被災リスクがあるのかを把握しておく必要があります。

たとえば、台風被害に遭いにくい地域に住んでいる場合は免責金額を高めに設定しても良いですが、台風被害に遭いやすい地域に住んでいるのなら免責金額は設定しない方が良いでしょう。

まとめ

免責事由とは損害が発生しても保険金が支払われないケースのことで、犯罪行為や故意または重過失によって生起した損害、経年劣化による損害などが該当します。

その他保険会社や商品によって細かく異なりますので、重要事項説明書、約款、契約書などで確認しておくことが大切です。

免責金額とは損害発生時の自己負担額のことで、任意に設定することができます。免責金額を高めに設定すると損害発生時の自己負担額は大きくなりますが、保険料が安くなるというメリットがあります。

被災するリスクが低い災害だけに別途設定したり、金額を細かくきざむことができる商品もあります。保険料を安く抑えるために、むやみに高く免責金額を設定してしまうと、いざという時に必要な保険金が受け取れなくなる可能性がありますので注意が必要です。

ご自身がかけられる保険でカバーしようとしている損害の内容をしっかりと考えた上で、月々の保険料の支払いと、いざという時の補償のバランスを考えた上で免責金額を決めるようにしましょう。

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