columns
弁護士コラム
火災保険は使ったら保険料が高くなる?利用の流れや注意点を解説
「弁護士コラム」では、生命保険・火災/地震保険に関連するさまざまな情報をUPしておりますが、直法律事務所では、「保険金の不払い」(火災保険に関しては、「火災」を原因とする事故)に限りお問い合わせをお受けしています。何卒ご了承ください。
- Q
-
この度、火災保険を使って、台風で被害を受けた屋根を修理することになりました。
この場合、私が契約している火災保険契約は失効するのでしょうか。
また、失効しないとしても保険料が上がってしまうのではないか、心配です。
-
火災保険は、一度使ったからといって失効するわけではありません。
ただし、火災により住宅が全焼した場合には、被保険利益も失われることになるので火災保険は失効します。今回のような、台風で家屋の屋根のみが被害を受けた場合に保険金を請求した場合には、火災保険が失効することはありません。
火災保険の請求の回数に制限はありません。ただし、複数回の申請ができるケースとできないケースがあるので、注意が必要です。
また、火災保険を一度使ったからといって、保険料が上がるというわけではありません。
火災保険を利用するには、保険会社の指定する手続を行う必要があるので、以下で詳しく見ていきましょう。
なお、火災保険がおりないという場合もあるので、注意する必要があります。
火災保険は、一度使うとどうなるか
一度使うとどうなるか
火災保険は、一度使うと失効してしまうのでしょうか。
答えは、NOです。
火災保険の申請回数は、無制限となっています。
そのため、損害が認められれば、複数回の保険金を受け取ることができるのです。
ただし、火災で自宅が全焼した場合には、火災保険は失効してしまいます。
保険契約は、被保険者が保険の対象に対して被保険利益を有することが前提となっています。
※ 被保険利益とは、ある物に偶然の事故が発生することにより、ある人が損害を被るおそれがある場合に、その「ある人とある物との間にある利害関係」のことを指します。
保険の対象が全焼して完全に失われてしまった場合には、そもそも保険の対象物がなくなってしまうということですので、「ある人とある物との間にある利害関係」、すなわち被保険利益も失われ、保険契約は存在意義を失うのです。
一方、火災で自宅が一部燃えたにとどまる場合は、火災保険は失効せずそのまま存続するということになります。
複数回の申請ができるケースとできないケース
では、複数回の申請ができるケースとできないケースとは、どのようなものでしょうか。
2度目の火災保険申請ができる場合とは、重複申請に当たらない場合を指します。
一度目と異なる箇所が損害を受けた場合
申請箇所が異なるため、重複申請には当たりません。
そのため、2度目の申請を行うことができます。
1度目の申請箇所と同じ箇所が、ふたたび被害を受けた場合
同じ箇所が被害を受けた場合でも、1度目の申請による保険金で修理を終えており、再び被害を受けたという場合には重複申請とはならず、2度目の申請を行うことができます。
ただし、1度目の申請による保険金で修理をせずに放置して、同一箇所の損害が進んだという場合には、重複申請となります。
そのため、2度目の申請を行うことはできません。
保険金を用途以外のことに使うこと自体は問題とはならないのですが、このようなリスクが生じることがあるので、注意すべきでしょう。
火災保険は、一度使うと保険料が高くなるのか
では、火災保険は、一度使った場合には保険料が高くなるのでしょうか。
答えは、NOです。
何度利用しても、保険料は上がりません。
また、火災や自然災害で火災保険を使った場合でも、翌年や更新時に保険料が上がるというわけではありません。
ただし、地震や水害などの自然災害が多発して保険会社の支払いが多くなると、更新時に保険料が値上がりしていることはあるので、注意が必要です。
火災保険を利用する場合
利用の流れ
火災保険を利用する場合、どのような流れになるのでしょうか。
5つの流れで見てみましょう。
保険会社に連絡をしましょう
損害を確認したら、まずは保険会社や加入した代理店に連絡をしましょう。
連絡先は、保険証書や契約のしおりに記載があります。
最近は、事故受付のためのWEBサイトが用意されている場合もあるので、その場合はインターネットで手続きをしましょう。
保険会社からの回答・案内を受けます
加入している火災保険の契約内容の確認がされ、補償の内容や今後の申請の進め方の説明がされます。
後日、保険会社のほうから、保険金の請求に必要な書類が送付されます。
必要書類を保険会社に送付しましょう
必要書類としては、
・保険金請求書 名前や住所、振込先の口座などの基本情報を記入する書類。 ・事故内容報告書 損害の状態や原因などの記入を行います。保険会社に状況を説明する書類。 ・修理の見積書 修理の内容や費用の書かれた書類。 |
が挙げられます。
場合によっては、損害箇所の写真の提出が求められることもあるので、事前に用意しておくとスムーズでしょう。
また、住民票・印鑑証明書・建物登記簿謄本の提出が求められることもあります。
その他、保険会社により必要な書類は異なります。
ご契約をされている保険会社からの説明にしたがって、準備を進めていきましょう。
事故の原因・損害等について保険会社が確認した後、保険金支払額が決まります
保険会社は、提出された資料に基づき、事故の状況や損害の状況について、確認を行います。
この調査が終了した後に、保険金の支払額の通知がされます。
保険金の支払いを確認しましょう
保険金額が確定すると、契約者の了解を得た上で入金がされます。
入金後は支払い金額の明細などが届くので、契約通りに支払われているのかを確認しておきましょう。
ここまで書いた流れは、一例となります。
保険会社・商品・契約の方法によっても異なりますので、詳しくはご契約をされている保険会社または代理店に確認する必要があります。
注意点〜火災保険がおりない場合
火災保険を利用する場合、禁止行為はあるのでしょうか。
火災保険は、ルールに従わないと、保険金がおりないので注意が必要です。
補償対象でも、火災保険がおりない場合
補償対象なのに、火災保険がおりない主な理由として、以下の3つがあります。
・故意、重大な過失、法令違反による損害
・損害の原因が3年以上前の災害によるもの
・免責金額に満たない損害
以下で、詳しく見ていきましょう。
故意、重大な過失、法令違反による損害
契約者の故意、重大な過失、法令違反によって発生した損害は、補償されません。
例えば、保険金請求のためにわざと窓ガラスを割ったという場合は、「故意」にあたるので請求はできません。
「重大な過失」とは、注意すれば防げたのに、「注意が欠如」していて回避できなかった場合を指します。
例えば、寝タバコによる火事は、「重大な過失」による損害なので、補償がされません。
損害の原因が3年以上前の災害によるもの
火災保険では、直近の3年間について、損害が補償されます。
なぜなら、保険金債権は、3年の消滅時効が定められているからです(保険法95条1項)。
この消滅時効の起算点は、民法の一般原則に従い「権利を行使し得る時」(民法166条1項)です。
保険金請求をしなかった場合の「権利を行使し得る時」は、その災害による被害が発生したとき(保険事故発生時)となります。
そのため、被害が発生してから3年以上経過してしまうと、保険金債権の時効が成立して補償ができなくなってしまいます。
ですので、被害が発生したら、速やかに保険金の申請を行いましょう。
免責金額に満たない損害
火災保険の免責金額とは、「自己負担しなければならない金額」のことを指します。
被害の査定額が免責金額を超えない場合は、保険金を受け取ることはできません。
例えば、免責金額が30万円の場合、損害額が30万円以上でない場合には、保年金を受け取ることはできません。
補償対象外で、火災保険がおりない場合
また、補償対象外の場合は、どのような損害でも火災保険では保証されません。
補償対象外でおりない主な理由として、以下の3つがあります。
・経年劣化による損害
・施工不良による損害
・該当する自然災害の補償に入っていない
以下で、詳しく見ていきましょう。
経年劣化による損害
建物の経年劣化による被害は補償されません。
例えば、経年劣化により天井が歪んだことが原因で大雨による水漏れ被害が発生した場合は、被害の原因は経年劣化にあるので、補償の対象外となります。
施工不良による損害
手抜き工事等の施工不良により、建物にひびが入るなどの被害が発生することもあります。
自然災害による被害ではなく、このような施工不良が原因の損害については、火災保険の補償の対象外となります。
該当する自然災害の補償に入っていない
そもそも、自分の加入している火災保険において、該当する自然災害の補償がなされない場合もあります。
例えば、風災補償に入っていない場合には、台風での風による屋根の被害の補償はされません。
また、地震保険に入っていない場合には、地震による家屋のひび割れの被害の補償はされません。
自分の加入している火災保険は、どのような自然災害についての損害が補償の対象になっているのか、よく把握しておきましょう。
保険金の不払いに
お悩みの方へ
保険会社への対応に疑問を感じた時は、交渉のプロである弁護士にお任せください。
ご相談内容に応じて、代理請求・示談交渉、そんぽADRセンターへの申立て、訴訟提起をいたします。
時効で権利が消滅することもあるので、ご連絡はお早めに。
ご相談はお気軽に
当事務所では、「保険金の不払い」に限りご相談をお受けしております。
- 弁護士への相談 0円
Column
おすすめコラム
キーワードから探す
- 弁護士への相談 0円
- 弁護士へのご相談 初回30分は0円