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弁護士コラム

遺言の「特別方式」とは?危急時遺言・隔絶地遺言について弁護士が解説!

家族信託・遺言書作成
投稿日:2024年10月07日 | 
最終更新日:2024年10月07日

遺言には「特別方式」という特殊な状況下で行うための形式があります。

この特別方式には、一般的に「危急時遺言」と「隔絶地遺言」の2つがあり、それぞれさらに細かく分類されています。

これらは、通常の方式で遺言を作成することが困難または不可能な特別な状況において、簡易な手続きで遺言を認めるものです。

ただし、特別方式の遺言は、遺言者が普通の方式で遺言できる状況になってから6か月以上生存した場合、その効力を失います(民法第983条)。

以下で解説していきます。

危急時遺言

危急時遺言とは、遺言者が病気や事故などによって生命が危ぶまれる状況にある場合に、通常の遺言手続きが行えない状況で特別に認められる遺言形式の一つです。

これには、「死亡危急者遺言」と「船舶遭難者遺言」の2種類があります。

死亡危急者遺言

死亡危急者遺言とは、病気や事故などで死が差し迫った状況にある人が、遺言を残したい場合に用いる特別な方式です。

この方式では、次のような手続きが必要です。

人の立会い
死亡が差し迫った状況にある遺言者は、証人3人以上の立会いを得て遺言の意思を伝える必要があります。

口授と筆記
遺言者は、遺言の内容を口頭で伝え(口授)、それを受けた証人の1人が内容を筆記します。

③確認と署名押印
筆記した内容を証人が遺言者と他の証人に読み聞かせ、もしくは遺言者に見せた後、全員が内容の正確さを確認し、署名押印します。

死亡危急者遺言は、遺言者が死が差し迫っていると自覚している場合に行うことができますが、必ずしも医師による危篤の診断が必要ではありません。
遺言の成立には、遺言者が遺言の内容を口頭で正確に伝えられる能力が求められます。
この能力が欠如している場合、遺言は無効となります。

実際に、あらかじめ弁護士が作成した遺言書の草案を証人の1人が読み上げ、遺言者が各項目ごとに「はい」と答える形で作成された遺言が有効とされた事例もありますが、これは遺言の内容が遺言者の意思に沿ったものであると認められたためです。

船舶遭難者遺言

船舶が遭難し、その船内で死亡の危急にある場合に用いる遺言が船舶遭難者遺言です。

この方式は、死亡危急者遺言よりもさらに簡易な手続きが認められています。

①証人の立会い
遺言には2人以上の証人が必要です。

口頭による遺言
遺言は口頭で行い、証人は後に遺言内容を文書にまとめ、署名押印します。

この方式も、遺言者の意思が真意に基づくものであるかを確認するため、家庭裁判所の確認が必要です。
船舶遭難者遺言の規定は、航空機が遭難した場合にも適用されます。

隔絶地遺言

隔絶地遺言とは、遺言者が特定の場所に隔離されているため、通常の方法で遺言を残せない場合に認められるものです。

これには、「伝染病隔離者遺言」と「在船者遺言」の2種類があります。

伝染病隔離者遺言

伝染病によって隔離されている人が遺言を行う際に用いる方式です。

警察官1人と証人1人以上の立会いをもって、遺言書を作成することができます(民977条)。

この方式は、伝染病のために社会との接触が制限されている人だけでなく、刑務所に収容されている人や、災害により孤立した地域にいる人も対象となります。

在船者遺言

船舶に乗っている人が遺言を残す場合に認められる方式で、船長または事務員1人と証人2人以上の立会いを得て行います。

この方式は、航空機内にいる場合にも適用されます。

いずれの方式も、遺言書自体が自筆である必要はなく、遺言者、筆記者、立会人および証人が署名押印することが求められます。

警察官や船長が関与しているため、家庭裁判所の確認は必要ありませんが、遺言者の死亡後には検認が必要です。

特別方式による遺言の失効

特別方式の遺言は、簡易な手続きで遺言を作成できるため、特別な事情がある場合に限り認められます。

しかし、遺言者が普通の方式で遺言を作成できるようになった場合、特別方式による遺言はその効力を失います。

具体的には、普通の方式で遺言が可能になってから6か月以上生存した場合、特別方式による遺言は無効となります(民法第983条)。

例えば、危急時遺言が行われた後、遺言者が回復し、1年以上生存した場合、普通の方式による遺言が可能であれば、その時点から6か月が経過した時点で特別方式の遺言は無効となります。

このように、特別方式は一時的な措置として認められるものであり、遺言者の状況が改善された場合には通常の方式で遺言を作成する必要があります。

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