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弁護士コラム
遺産共有を解消したい...!どうすればよい?
- 遺産分割のトラブル
- 投稿日:2022年09月06日 |
最終更新日:2024年02月20日
- Q
- 遺産の共有関係を解消したいのですが、どうすればよいのでしょうか?
- Answer
-
まずは相続人全員で協議をし、誰がどの遺産を相続するかを決める必要があります。
協議がまとまらなければ、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをすることになります。
本記事でわかりやすくご説明します。
目次
遺産の共有関係を解消したい場合は?相続に強い弁護士が動画で解説
遺産共有とは
ある人(被相続人)が遺言をのこさず亡くなると、被相続人の権利義務は、その相続人がそっくりそのまま承継(包括承継)します。
そして、相続人が複数人いるときは、被相続人の全ての権利義務を、全ての相続人で共有することになります。この状態を「遺産共有」といいます。
遺産共有の解消の方法
遺産分割協議
遺産共有を解消する方法は、遺産分割をすることです。
遺産分割をするには、全ての相続人が協議して、どの相続人がどの遺産を取得するかを合意しなければなりません。この合意は多数決ではなく全員一致でしなければなりませんので、1人でも反対する相続人がいれば遺産分割協議は成立しないことになります。
遺産分割調停の申立て
遺産分割協議が成立しないときは、遺産分割を希望する相続人は、家庭裁判所に対し、遺産分割調停の申立てをすることができます。
遺産分割調停の申立てをすると、1か月に1回の頻度で、家庭裁判所の庁舎内に設けられた調停室において調停期日が開かれます。
遺産分割調停の期日の流れ
調停期日は、家事調停委員が主宰します。家事調停委員は、男女ペアのことが多く、元公務員等の民間有識者が裁判所から委嘱されて就任します(調停委員の身分は非常勤の国家公務員であり、守秘義務も負います)。
裁判官(家事審判官)と2名の家事調停委員で、個別の事件ごとに調停委員会が構成され、2名の家事調停委員は互いに意見交換をしたり裁判官の指示を事前事後に仰いだりしながら(これを「評議」といいます)、調停期日を進行させていくことになります。
調停期日の日時が決まると、全ての相続人に対して裁判所から呼出状が郵送されます(初回の期日は申立人が出頭できる日時を調整してくれます。2回目以降の期日は、初回期日に出頭した相続人の意向を確認して決めます)。
裁判所から呼出状が届くと、大抵の人はそれに応じて出頭します。
遺産分割調停は調停室で行いますが、調停室の近くに申立人待合室と相手方待合室が用意されていますので、申立人(調停の申立てをした相続人)と相手方(調停の申立てをされた相続人)が待合室で遭遇して気まずい思いをすることはありません。
1回の調停期日は2時間程度です。
通常は、申立人が先に調停室に呼ばれて事情を聴かれ、その後に相手方が調停室に呼ばれて事情を聴かれることになります。家事調停委員は、当事者が事前に提出した書面(口頭で説明するのではなく、内容を十分に練り上げた書面を事前に提出しておくべきです)や口頭での説明に基づき、調停期日の進行の方法を考え、裁判官に報告してその指示を仰いだ上で、当事者双方を交互に調停室に呼び、次回期日の調整と宿題(次回期日までにやるべきこと)の指示をします。
なお、裁判官が調停期日に立会することは通常ありません(裁判官が期日立会するのは、争点整理の結果を期日調書に記載するとき、証拠調べをするとき、調停を成立させるときなどの限られた場合に限定されます)。
遺産分割調停はおおよそこのような感じで期日が進んでいきますが、調停を成立するためには、全ての相続人が納得する合意が形成できなければなりません。家事調停委員は、相続人の主張を確認し、裁判官とも評議しながらそれらが法律上認められるものかどうかを整理し、その整理に基づいて無理な主張をする相続人を説得して妥協を求めるなどし、全ての相続人による一応の合意形成を目指すことになります。しかし、期日を何回か開いても相続人相互間の主張の食い違いが激しく、合意形成に至る見込みがなさそうであれば、争点と証拠を整理し、裁判官が審判をするための準備を整えた上で調停を不成立にします。
調停が不成立になった場合
遺産分割調停が不成立になると、自動的に遺産分割審判に移行します。
民事事件で「裁判」と呼ばれているものが、家事事件では「審判」と呼ばれているものになります(当事者が互いに主張立証を尽くし、裁判官が判決をするという民事裁判と同じようなものであると考えていただいて構いません)。
遺産分割審判に移行すると、裁判官が最終的に審判をし、どの相続人がどの遺産を取得するかを命令することになります(審判の内容に不服がある相続人は、高等裁判所に抗告して高等裁判所の判断を求めることができます)。
まとめ
このように、遺産共有を解消する方法としては、
- 1遺産分割協議の成立
- 2遺産分割調停の成立
- 3遺産分割審判の確定
(①が成立しなければ②、②が成立しなければ③)があります。
遺産分割のトラブルは、弁護士にご相談を
なるべくスムーズに、トラブルを少なくして遺産分割を進めるには、専門的な知識を有し、客観的かつ冷静に判断できる弁護士に対応をご依頼するのがおすすめです。
遺産分割調停の申立てにおいても、弁護士が代理して解決を図ることが可能です。本記事でも触れましたが、調停では内容を十分に練った書面作成や、必要書類の取り寄せ等の準備が必要になりますから、慣れた方でないと手間がかかってしまうものになります。直法律事務所ではこのような作業も一括してサポートいたしますので、お悩みの際はお気軽にお問い合わせください。
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