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弁護士コラム
保険金の支払時期の目安は?遅延損害金は請求できるのか?
「弁護士コラム」では、生命保険・火災/地震保険に関連するさまざまな情報をUPしておりますが、直法律事務所では、「保険金の不払い」(火災保険に関しては、「火災」を原因とする事故)に限りお問い合わせをお受けしています。何卒ご了承ください。
- Q
- 保険会社に火災保険金の請求書類を提出してから、1ヶ月が経過しましたが、何の連絡もありません。遅延損害金も併せて請求することができるのか知りたいです。
-
保険会社の約款により請求完了時(必要書類提出時)からその日を含め30日以内に保険金を支払うことが原則になっています。
もっとも、保険事故によっては、事故の調査や専門機関への照会等に時間がかかる場合もあり、そのような場合には保険金の支払いが30日を超えると約款に定められている場合があります。
よって、約款による延期の理由なく30日を超えて支払がない場合には遅延損害金も併せて請求できます。
支払時期の目安
保険契約者・被保険者※が保険会社から渡された保険金請求書等の全ての必要書類を提出した時が請求完了時であり、この請求完了時が起算点となります。
そして、この請求完了時から30日以内に保険金を支払うと約款に規定している保険会社が多いです。
もっとも、事故調査のために保険会社は、警察署や消防署、鑑定人などの調査結果を照会する必要があり、それらに時間を要する場合には30日を超えてから保険金を支払うと約款に定めている場合があります。
保険事故によっては180日程度、かかる場合もあり得ます。延期する場合には、保険会社からその旨通知がされます。
そして、これらの期間(約款により延長できる期間を含む)を理由なく過ぎた場合には保険会社は遅延損害金を支払わなければなりません。(遅延損害金は法定利率(年利3%)を用いて計算する可能性があります。)
保険契約者とは、保険契約を締結した人で、保険料を支払う人を指します(保険法2条3号参照)。被保険者は、保険金を受け取る人を指します(保険法2条4号イ参照)。必ずしも両者は同じではありませんが、同一人であることが一般的です。また、両者は個人に限定されず、法人でもなることが可能です。 |
支払時期の合意による延長
約款とは別に保険会社と保険契約者・被保険者との間で支払期限の延期についての合意をすることがあります。
保険法施行前のものですが(保険法の施行は2010(平成22)年4月1日)、保険会社が被保険者に対して調査の協力依頼書を送付し、被保険者がこれに応じて協力したことで支払時期(履行期)の延期の合意が成立したとした判例(最一小判平20・2・28判時2000号130頁)があります。
この判例では、履行期が延長されたことで保険金請求権の消滅時効の起算点(開始時)も延期される旨も述べています。
素早く支払ってもらうためには
保険金を素早く支払ってもらうためには、保険金請求書や修理見積書、損傷状況の写真等の保険会社から提出を要求される必要書類を素早く送付しましょう(写真の撮り方については「保険会社の査定業務」の記事をご参照ください。)。
また、保険会社から損害調査の協力を依頼されることもあり、正当な理由なくこの調査を妨げ、又はこれに応じなかった場合には、保険金支払が遅れるだけではなく、遅延損害金も支払われなくなる可能性もあります(保険法21条3項参照)ので、注意してください。
まとめ
以上のように、保険金は原則として30日以内に支払われますが、保険事故によっては30日を超えることが保険会社の約款に規定されている場合があります。
よって、これらの期間(約款により延長できる期間を含む)を理由なく超えた場合には保険金だけではなく、遅延損害金も併せて請求できます。ただし、約款だけではなく個別の合意によっても延期がされうる点にご留意ください。
また、保険会社の調査に協力しないことで、保険金の支払の遅れや遅延損害金の不払いが生じる可能性がある点にもご留意ください。
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