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弁護士コラム
火災保険で床の傷は補償できる?使えない5つのケースと請求の流れをご紹介
「弁護士コラム」では、生命保険・火災/地震保険に関連するさまざまな情報をUPしておりますが、直法律事務所では、「保険金の不払い」(火災保険に関しては、「火災」を原因とする事故)に限りお問い合わせをお受けしています。何卒ご了承ください。
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模様替え中、重いものをうっかり落として床に大きな傷がついてしまいました。
火災保険で補償されますか?
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火災保険で補償される場合もあります。ただし、火災保険で床の傷が補償されるためには、「不測かつ突発的な事故」または「破損・汚損」という特約が補償項目に含まれている場合があります。
「不測かつ突発的な事故」とは、予測不可能な事故(繰り返し同様の事故が発生する場合を除く)で、事故の原因や事故日がはっきりしている事故のことをいいます。
そして故意でないことが必要です。重いものをうっかり落としてしまった場合や、子供が遊んでいる際に窓ガラスを割ってしまった場合などです。
保険が適用されるためには、破損・汚損したものが保険の対象の範囲内であるかが問題となります。
火災保険の種類には、「建物」を補償するものと「家財」を補償するものの2種類があります。
床の場合は前者の「建物」に含まれるため、対象の範囲内であるといえます。
目次
床・フローリング修理の基本情報
模様替えをしようとした時、引越しの時など、床やフローリングを傷つけてしまうケースは日常に潜んでいます。
冒頭で述べた通り、フローリングの傷は火災保険で補償される場合があります。
「火災保険」という文字を見ると、火災が起きたときのみ適用されるというイメージがあるのではないでしょうか。
しかし、家に生じた損害であれば地震や火山の噴火を除けば保険が適用されます。
ここからは、床やフローリング修理の費用相場や損害ケース、火災保険が適用されない場合もご紹介していきます。
床・フローリング修理にかかる費用相場
床やフローリングの修理したい、と思っても実際どれくらい費用が必要なのか気になる方もいらっしゃるでしょう。
ここでは修理費用の相場をご紹介します。
一般的な費用相場は2万~5万円と言われています。
業者によっては、1日パックのような「時間制」の修理をしてくれる場合もあるためそういったサービスも注目です。
基本的に業者は1平方メートルを1単位として費用を設定していることが多いです。
なので、まずは業者に見積もりをお願いするとよいでしょう。
1平方メートル当たりの修理にかかる費用相場は1万円前後です。
ぜひ一度ご自身の予算と照らし合わせてご検討ください。
火災保険が適用されない場合もありますので、そちらも頭にいれてお見積りをお願いしましょう。
火災保険が使えない場合については、後にご説明いたします。
床・フローリング修理にかかる日数の目安
フローリングの修理には2種類のパターンがあるため、どちらを選ぶかで2倍もかかる日数が変わってきます。
1つ目の「張替え工法」とは、全ての床を1度剥がしてしまい総入れ替えする方法です。
全て張り替えるので、もう一つの「重ね貼り工法」と比べて高額になることが多いです。
また、床を1度全て剥がすため床のきしみの原因や、シロアリの状況が分かります。
2つ目の「重ね貼り工法」とは、新しいフローリングを元々の床の上から重ねて貼る方法です。
「張替え方法」と比べて一部のみの修理なので値段は安くなりますが床材の選択肢は少ないです。
また、きしみ等問題があった場合、原因が解消されたわけではないので修繕しきれない部分がでてきます。
上記より、6帖の居室を工事する際は「張替え工法」では2~3日、「重ね貼り工法」では1~2日ほどかかります。
両方のメリットデメリットをよく吟味することをおすすめいたします。
床・フローリングの損害ケース
ここでは、火災保険を申請したフローリングの傷の事例をご紹介します。
家具などを移動するときに、角をフローリングにぶつけてしまうことがあります。
その際、重量のあるものだとフローリングをえぐるような傷がついてしまうのです。
フローリングについてしまった傷は突起のようになってしまい、足を怪我してしまう恐れがでてきてしまいます。
また、重たいものをフローリングに落としてしまったとき、その衝撃で浮き上がってしまうこともあります。
このケースでもフローリングの一部が盛り上がってしまい、怪我をする危険もでてきます。
室内で喫煙する方も多いのではないでしょうか。
うっかりタバコをフローリングに落としてしまうと痕がついてしまいます。
タバコの他にも何かで火を使った際にフローリングが焼けてしまったケースも火災保険には適用されます。
フローリングの修理ができる火災保険の特約とは
フローリングに傷をつけてしまったり、へこませてしまったりしたときには、火災保険の特約を利用して修理することが可能です。
火災保険を通してフローリングを修理しようとする場合、補償項目に注意が必要です。
補償項目に「不測かつ突発的な事故」または「破損・汚損」という特約があるかどうか確認してください。
この補償項目は、基本項目として火災保険には付いていません。
保険を契約する際に付帯させなければ利用できません。
「不測かつ突発的な事故」と「破損・汚損」の違いは呼び名くらいで、内容はほぼ同じものになっています。
保険証券にはどちらかの名前で記載されていますので、ご自身の火災保険証券にてこの2つが補償項目かご確認ください。
「不測かつ突発的な事故」とは、故意的ではなく、偶然うっかり起こしてしまった事故によって壊してしまったり、傷をつけてしまったりした場合に補償を受けることができます。
火災保険とは、災害による損害を補償してくれる保険です。
しかし、「不測かつ突発的な事故」は、災害が発生したときだけではなく、災害が発生していなくても補償を受けることができるのです。
では、どのような場面で補償されるのでしょうか。
例えば以下のような、外壁や屋内の壁、家財に至るまで偶然かつ突発的な事故への適用が可能です。
- 模様替えをしているときに、誤って壁紙に傷をつけてしまった
- 子どもが遊んでいるとき、おもちゃをぶつけてしまいパソコンの液晶画面が割れた
- 来客時に車を駐車するとき、車をぶつけてしまい外壁に傷がついた
火災保険が使えない5つのケース
床などに傷ができた際、保険が適用されない場合もあります。
以下では、床に傷をつけた際、火災保険が適用されない5つのケースについて解説していきます。
火災保険が適用されないケース1 傷が経年劣化による場合
火災保険はあくまで「不測かつ突発的な事故」による「破損」・「汚損」を対象としているため、経年劣化による破損・汚損などの損害は対象外となります。
先にも説明したように、破損の原因、日時などのタイミングがはっきりしている必要があります。
長い間住んでいたことによって徐々についた傷や汚れは、火災保険の対象になりませんのでご注意ください。
ただし、経年劣化だと思っていたが、実は原因が自然災害によるものだったという場合もあります。
台風などの自然災害が損害の原因だった場合には、火災保険の対象となる場合があります。
「不測かつ突発的な事故」の補償は受けられなくてもそれ以外の補償を受けられる場合もありますので、保険会社に問い合わせてみることをお勧めします。
火災保険が適用されないケース2 補償内容に含まれていない場合
火災保険で床の傷を修理するためには、保険の内容に「破損・汚損」が含まれていることが必要となります。
この項目は、もともと保険の内容に含まれておらず、オプションで特約として加入しなければならない場合や、加入の際に保険料削減のために外してしまう場合が多くあります。
今一度、自分の加入している火災保険の補償範囲に「破損・汚損」の項目が含まれているかを確認しておきましょう。
火災保険が適用されないケース3 機能に支障をきたしていない場合
事故によって発生した破損が、単に外観上の問題にとどまり、機能に支障をきたしていない場合は、補償の対象とはなりません。
多少の傷や汚れでは適用されない場合がありますので気をつけましょう。
火災保険が適用されないケース4 故意や重大な過失がある場合
破損の原因となった事故について、被保険者に故意や重大な過失がある場合には保険が適用されません。
故意の有無については判断が難しいところがあります。
重大な過失とは著しい不注意のことをいい、通常人であれば当然に結果が予見でき、結果の発生を防止できたにも関わらず、それを怠った場合に認められます。
火災保険が適用されないケース5 修理にかかる費用が免責金を下回る場合
免責金とは、保険事故の際、被保険者が自己負担しなければならない金額のことをいいます。
この免責金よりも修理費の方が金額が低い場合、補償を受けることはできません。
「不測かつ突発的な事故」については特別に免責金が設定されていることもあるため、確認することが重要です。
床・フローリングの修理で火災保険を請求する流れ
実際に床・フローリングに傷ができてしまったとき、どのような流れで保険金を請求すればいいのでしょうか。
以下では、火災保険の保険金請求手続きについて解説していきます。
①保険会社への連絡
損害が起きたらまず、保険会社にその旨を伝える連絡をしましょう。
連絡をする際には手元に保険証などを用意しておくとスムーズに手続きを進めることができるためおすすめです。
連絡をすると保険金請求に必要な書類等を受け取ることができます。
②必要書類を提出する
保険会社へ連絡を済ますと、1〜2週間程度で必要な書類が届きます。
生類の案内に従って必要事項を埋めていきましょう。
被害状況の確認が必要となりますので、証拠となる写真や動画も用意しておきます。
③床・フローリングの損害状況の調査・審査
必要書類を提出したら、保険会社や鑑定会社による現場調査・審査が行われます。
保険会社から調査員が派遣され、補償対象となるかどうか、なる場合にはどれくらいの保険金が降りるのか、直接損害を確認して審査されます。
審査結果は後日、自宅に届くこととなりますので、その場で決定しないことを知っておきましょう。
④保険金の支払い
被保険者の申請内容と調査員の現場調査の結果を検討し、保険が適用されることが決定すると、保険金が指定の口座に振り込まれます。
保険金を受け取り次第、床を修理するようにしましょう。
賃貸の場合
上記で、保険の種類は「建物」「家財」の2種類があることを確認しました。
しかし、賃貸の場合に加入する火災保険は「家財」になります。
床やフローリングの損害を補償してくれるのは「建物」の方の保険ですので、賃貸の場合、借主は家財について火災保険に入っていることはありますが、建物には火災保険を付けていないため、上記の保険の適用はありません。
賃貸の場合、賃借人にとって重要となってくるのは、「借家人賠償責任保険」というものです。
「借家人賠償責任保険」の補償範囲を確認
「借家人賠償責任保険」とは、偶然の事故等によって借りている部屋に対して、何らかの損害を与えしまいその責任を賠償する場合に、その費用を補償する保険です。
通常、借主は、部屋を借りそれを返還する際には借りたときの状態に戻さなければならない、という「原状回復義務」を負います。
もしもその義務を果たせない場合は、大家さんは借主に、損害賠償を請求することができます。(民法415条・不法行為による損害賠償)
「借家人賠償責任保険」はそれに備えた保険です。
では実際に「借家人賠償責任保険」の対象になるのはどのような場合かを解説していきます。
「借家人賠償責任保険」の対象者
「借家人賠償責任保険」の対象者は以下です。
- 被保険者本人
- 被保険者の同居人
- 賃貸借契約で借主として記載されている人
また、「借家人賠償責任保険」にも通常の火災保険同様、補償を受けられる場合と受けられない場合があります。
「借家人賠償責任保険」の補償が受けられる場合
- 火災または破裂・爆発
- 水濡れ 給排水設備に生じた事故に伴うもの
以上のことによって借りている部屋が損害を受け、損害賠償責任を負った場には保険が適用されます。
「借家人賠償責任保険」の補償が受けられない場合
- 被保険者の故意による損害
- 被保険者の職務遂行に直接起因する損害賠償責任
- 被保険者および被保険者と同居する親族に対する損害賠償責任
- 被保険者が建物を貸主に引き渡した後に発見された建物の損壊に起因する損害賠償責任
補償の受けられない例
- 子供が遊んでいて壁に傷をつけてしまった。
- 模様替えをしていて床に傷をつけてしまった。
このような場合は、火災、破裂、爆発、水濡れに該当しないため「借家人賠償責任保険」の対象とはなりません。
まとめ
床の傷は、火災保険の対象となる場合もありますが、条件を満たさないと保険が適用されない場合もあります。
傷は機能に支障をきたしているか、経年劣化によるのもではないかなどに注意しましょう。
また、自分の加入している保険の内容をよく確認しておくようにしましょう。
賃貸の場合には、基本的に「火災・破裂・爆発・漏水」が原因で生じる賃貸住宅への損害でなければ補償してもらえないことが多いです。
あらかじめ調べておくようにしましょう。
保険金の不払いに
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